俺とうさぎと異世界と

ミラタマ

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第8章

幻の大地

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食堂から幸せな顔で出て来た人達と同じ顔で出てくる俺達。ここは幸せを感じられる場所なのかも知れない。これは、各地の美味しもの巡りしなくてはならないかもしれない。

さて、そろそろ次の町に移動しようかな。特に王都には一度は行ってみたいし。って
「あ~~~~!!!」
すっかり忘れていたことを思い出した。しかし、大声で騒いでしまった為、白ウサが頭をと言うか耳をふさいでうずくまってしまっていた。
「大丈夫か?。」
「いきなり大声は止めて下さい。ただでさえウサギの耳は良く聞こえるんですから。」
「すまん。すまん。」
「いったいどうしたんですか?」
う~ん。どう答えようか・・・。まあ、これから共に暮らすんだからいいか。
「実は良い土地を探してるんだ。そこに家を建てようと思ってる。」
「そんなお金があるんですか?。第一何処に住むんですか?」
「それをこれから探すんだよ。」
そして、魔法創造リードオブワールドを発動した。この魔法はマップを表示してそこに知りたいことを検索する魔法だ。
「検索。誰も統治してない豊かな大地。」
するとワールドマップにいくつか表示された。何処が良いか白ウサと相談する。すると
「ここが今いる所で一番近いのは・・・えぇ~!?」
「どうしたんだ?」
「おかしくないですか?迷いの霧の中に表示されてます。」
「迷いの霧?迷いの森じゃなくて?」
「湖がそこにあるんですけど年中霧が発生している為、誰も寄り付かない場所なんです。以前国が冒険者を雇って調査するために調べさせたんですけど霧に魔法みたいのが掛かっているらしく真っ直ぐ進んでも何故か元の場所に戻ってしまうんです。何度か試してもダメだったみたいで調査を諦めたらしいです。」
「つまり、誰も統治してない大地ってわけだ。」
「はい。ですけど豊かな大地って事が分からないんですけど・・・。」
「じゃぁ行ってみよう。そこまで遠くもなさそうだし。良い土地が手に入るかも?。」
そう思い、湖に行く決意をするのだった。

半日後、モンスターを倒しながら俺達は湖の前まで来ていた。目の前に湖が見えるが1m先から霧が発生していて奥が全く確認出来ない。でも、湖と言うより海なんじゃないかと思うくらい広く見渡す限り湖だと分かる。でも・・・。
「おかしいな。」
「そうですね、ずっと霧が何であるんですかね?。」
「いや、そうじゃない。そもそも霧が湖の上にだけあること自体おかしいんだ!」
「どういうことですか?」
「少し先が見えない位真っ白い霧なのに、その周辺に薄い霧が出ていないことがおかいいんだ。それに・・・。」
俺は、下に生えている葉っぱを毟ると上に放り投げた。放り投げた葉っぱは左側に流れていく。
「左に流れるということは、右から左に風が吹いているはずだ。なのに霧が左に流れて行かないのがおかしい。霧は空気中の細かい水分が材料のはずだから風が吹く時点でここに留まれないはずだ。つまり、この霧は魔法で発生している人工の霧だと分かる。」
白ウサに説明してやると、尊敬する眼差しで俺を見て来た。
「凄いです。凄すぎます。アルヴァさんは頭も良いんですね。」
ここで褒められるとは思っても見なかった。なので、その視線はとても恥ずかしい。
「取りあえず中心に向かってみようか?この先に豊かな大地があるのなら。」
「はいっ!って船はどうするんですか?」
俺は手をかざし創造魔法の物質創造を唱える。イメージによりボートが物質として現れ湖の上に浮いていた。
「よし。これで向かうぞ。」そう言って乗り込む俺を見て
「なんか色々とおかしいですけど、アルヴァさんだから気にしない事にします。」
そうしてボートに白ウサが乗り込んだら中心に向かって進みだした。
霧の中に少し入ったあたりで俺はボートを止めた。
「どうしたんですか?」
「その先に結界が張ってある。ちょっとだけ空けるか・・・。」
手を向けると意識を集中する。
「よいしょっと。よし、通るか・・・。」
そして進み始めると、白ウサの目が常識外の物を見る目になっていたがあえて触れなかった。
ボートを動かして先に進む。暫く進むと霧が晴れて大地が見えて来た。
「すごい・・・。」
「すごいです・・・。」
まさに幻想的。日の光を浴びて輝いている大地。草木が生えて風も暖かい。まさに魅惑の土地である。上陸するとしっかりとした大地の力強さを感じる。視界が涙で見えなくなるほど感動してしまった。白ウサも泣いてしまっている。それほど素晴らしい所だった。

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