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店の中は姫君が撒き散らした砂でいっぱいです。それを踏むと、キュッキュと綺麗な音がしました。
鈴が鳴るような声が消えた店は、いつもよりしんとしています。
「お兄ちゃん、姫君たちはまた来てくれるかな?」
「うん、きっとまたラクダとお忍びで来ると思う」
「どうしてそう思うの?」
「さっきのラクダはね、ちょっと寂しそうな目をしていたからさ」
「寂しい?」
「うん、きっと砂漠に戻ったら姫君とこんなに一緒にいられないんじゃないかな。本当はもっと二人でいたかったと思う。きっと姫君も同じだろうから、また旅に出るさ」
「ふうん。最高に星のまたたきが美しく見える場所って、やっぱり故郷の砂漠なのかしら?」
「ナギは気づかなかったんだね」
「なに?」
「ラクダと一緒ならどこだっていいんだよ」
ナギがきょとんとして首をかしげます。アラシはそんな妹の頭を撫で、優しく言いました。
「姫君がそれに気づいたとき、旅が終わるのさ」
鈴が鳴るような声が消えた店は、いつもよりしんとしています。
「お兄ちゃん、姫君たちはまた来てくれるかな?」
「うん、きっとまたラクダとお忍びで来ると思う」
「どうしてそう思うの?」
「さっきのラクダはね、ちょっと寂しそうな目をしていたからさ」
「寂しい?」
「うん、きっと砂漠に戻ったら姫君とこんなに一緒にいられないんじゃないかな。本当はもっと二人でいたかったと思う。きっと姫君も同じだろうから、また旅に出るさ」
「ふうん。最高に星のまたたきが美しく見える場所って、やっぱり故郷の砂漠なのかしら?」
「ナギは気づかなかったんだね」
「なに?」
「ラクダと一緒ならどこだっていいんだよ」
ナギがきょとんとして首をかしげます。アラシはそんな妹の頭を撫で、優しく言いました。
「姫君がそれに気づいたとき、旅が終わるのさ」
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