親子誕生

くさなぎ秋良

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二人の育児編

長男の嫉妬と学習

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 私が出産のため入院している間、1歳半の長男は夫の実家に預けられました。
 病室に来た夫が、ため息混じりに口を開きます。
 
「今日、うちの母親、息子に何を食べさせたと思う?」

「さぁ? なに?」

「……味噌汁ぶっかけご飯」

 おかあさん……いまどき、猫にだって食べさせないよ! まして一歳半の孫にどうしてそのメニューをチョイスしたのだろう? 
 怖くてその話は姑にふっていません。歯ブラシは渡したけれどきちんと歯磨きもさせていなかったようで気にはなったのですが、預かってもらえるだけありがたいんだし……と、口をつぐみました。

 長男は思い切りちやほやされていた様子。おかげですっかり我が儘放題の天狗になって帰ってきました。

 そんな彼は病院に面会に来ても、病室の目新しさに心奪われて弟には目もくれません。赤ちゃんという存在が目に入らないというより、それよりも病室のコンセントや備品のほうが興味を惹いていた感じ。

 しかしアパートに戻ると、やっと赤ちゃんを気にし始めました。いつもと何か違うぞ、と気づいたようです。
 赤ちゃんをじっと見つめ、頭の毛をつまもうとしたり、叩こうとしてみたり。
 
 そのうち、私が授乳を始めるたびに嫉妬するようになりました。どうも、げっぷを出すために赤ちゃんを抱えて背中をトントンと叩くのが羨ましかったようです。自分も抱っこが好きなので、「なんであいつばかり抱っこするの」というところでしょうか。最初の数日はふて寝してみたり、泣き喚いてみたり……。
 そこで、授乳を終えて長男のところへ戻るときは大げさに名前を呼びながら抱きついて「お待たせ」と、スキンシップをとるようにしました。

 一週間もすると少し変化が起こりました。
 じっと座って授乳する様子を見守り、哺乳瓶を置くと赤ちゃんの代わりに「ごちそうさま」と言って笑っています。(正確にはまだきちんと言えないのですが)
 どうも、授乳が赤ちゃんの食事だと理解した様子。そしてそれが終わると赤ちゃんも寝て、そうすれば母親が自分のところへ来てくれるということもわかってきたようです。それからは次男の顔を見て微笑むゆとりもできてきたようでした。

 子どもってありのままを恐ろしいスピードで吸収するんですね。その場限りの一瞬の状況だとしても、毎日の習慣だとしても、なんでも鏡のように映してしまう学習力には目を見張るものがあります。
 私が次男にしていることを彼なりに把握し、考えて行動しているのだなと感じました。一見すると意味のわからない彼の行動にも彼なりの考えがあってのことなんでしょう。頭ごなしに否定すると傷つけることもあるかもしれませんね。

 そういえば、保育士の妹がこう話していたことがあります。

「子どもって親を映す鏡だからね。いくら私たち先生によそゆきの顔で接していても、子どもを見ていれば普段の話し方や食べ方のマナーまで丸わかりなの。あぁ、普段は家ではこうなんだなぁって」

 つい苛々したり、声を荒らげたりしてしまうこともあるんですけれど、気をつけなきゃいけないですね。最近、長男ときたら、自分で気づいていなかった私の癖を真似て教えてくれるんですもの。
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