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笑う冠婚葬祭
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杉山家の冠婚葬祭には笑いが付き物で、それは葬式も例外ではありません。
タイゾウさんの葬儀でのこと。棺に生花を捧げるとき、夫の妹、つまり私の義妹がこう言ったのです。
「じいちゃん、なんか寂しそうな顔してる」
やんちゃな彼女はタイゾウさんの鼻の穴に生花を突っ込んで死に顔を飾り立てました。
すると、周囲にいたタイゾウさんの娘たち、つまり義妹にとっては叔母ということになりますが、彼女たちは揃って「お父さん、最後なのに可哀想」と泣きながら笑っていたそうです。
その後、おマサさんは生花ではなく一升瓶を入れようとして係りの人に止められました。
「ああ! お酒はダメですよ!」
「だって、じいちゃん、酒が好きだったからさ」
「きちんと燃えるものにしてください」
「じゃあ、この酒、じいちゃんにぶっかけるか」
世の中には『浴びるほど飲む』という言葉がありますが、タイゾウさん、危うく本当に酒を浴びて旅立つところでした。
ちなみに死者の鼻に花を突っ込んだとき、義妹は二十代半ば。童心を忘れず、思いつくまま行動してしまうあたり、義妹とおマサさんは本当によく似ていたのでした。
タイゾウさんの葬儀でのこと。棺に生花を捧げるとき、夫の妹、つまり私の義妹がこう言ったのです。
「じいちゃん、なんか寂しそうな顔してる」
やんちゃな彼女はタイゾウさんの鼻の穴に生花を突っ込んで死に顔を飾り立てました。
すると、周囲にいたタイゾウさんの娘たち、つまり義妹にとっては叔母ということになりますが、彼女たちは揃って「お父さん、最後なのに可哀想」と泣きながら笑っていたそうです。
その後、おマサさんは生花ではなく一升瓶を入れようとして係りの人に止められました。
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