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第17話 紹介状
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「頭を上げて下さい。俺は当然のことをしただけです」
「……気を遣わせてしまったようだね……」
「いえ……」
料理がカートに乗って運ばれてくる。給仕係の人が自分の前に料理の乗った皿を出す。
あらかた準備ができるとグラスにワインが注がれ、グエン様がグラスを掲げてこう言った。
「我がアリステル家の恩人、ウェブ・ステイに乾杯」
肩を狭めて恐縮しながらグラスを掲げて一気に飲み干す。
う、うっめぇぇぇぇぇぇぇ!!! 今まで大衆酒場の安酒しか飲んだことが無かったから、酒を飲んでもそれほど上手いなどと感じたことなど無かったが、この酒は本当に美味い!! 同じ酒とは思えない……
当然料理も全て美味しく今まで生きてきた中で一番美味いと思う。食える中で一番不味いと思ったものは土。
料理も食べてお酒も入ってだいぶリラックスし談笑なんかをし始めたころ、グエン様が口を開く。
「ウェブ・ステイ、本当に君のおかげでこうやってアリシアと再び食事ができる。本当に感謝している。アリシアを救ってくれたお礼をしなければと思っているだが、できる限りの君の要望に応えようと思う」
「……でしたら……紹介状を……騎士団に推薦をする紹介状を書いていただけませんか?」
俺がそういうとグエン様は目を丸くする。
「そんなものでいいのか? 我が娘を救ったお礼がたかがそんなもので……」
俺はまっすぐにグエン様を見つめて答える。
「これは俺の夢だったんです……騎士団に入ることが、そのためにその紹介状を貰うためにお金を必死にためてきたんです……それをたかがとか言わないでください……」
そういうとグエン様はハッとして
「すまない。君の夢を貶すようなことをしてしまった。私の紹介状でよければ何通でも書こう。ただし騎士団は紹介状があるからとおいそれと入れる場所ではない……それに君は平民だ。その入団試験は過酷なものになるやもしれぬ。それでも騎士を目指すか?」
「はい。目指します」
「うむ……いい顔だ。紙とペンを」
グエン様がそういうと執事が紙とペンを持ってやってくる。
「え……騎士団に……」
アリシア様の顔が青ざめていく。
隣に座る母親がアリシア様に声を掛ける。
「どうしたのアリシア?」
「ウェブ様が騎士団に行かれると……そうなれば王都の騎士団本部に数年は……」
「そうなるわね……」
アリシア様はグエン様と俺の方をみて肩を震わせながらこう言った。
「ウ、ウェブ様……ど、どうかお考え直しを……騎士団入りのお考えを改めてください……」
それにグエン様が口を挟む
「アリシア、それは失礼だぞ!」
「で、ですが……お父様……私、ウェブ様をお慕い申しております!! できることならこの街に、王都なんかに行かないで欲しいのです!!」
「……アリシア様……」
「ウェブ様……私の思いを聞いても騎士団の夢は捨てることができませんか?」
グエン様は語気を強めてアリシア様を諭そうとする。
「アリシア! わがままを言って困らせてはいけない!」
俺はそんなグエン様を制止するように声を掛ける。
「グエン様。いいんです。馬車の中でアリシア様の思いには気づいておりました……それなのに俺はアリシア様の気持ちに応えようともせず、夢のことだけを言ってしまった」
アリシア様は俺がそういうとハンカチで目を拭きながら顔を上げる
「ウェブ様……」
俺はアリシアのその黒曜石のような真っ黒な瞳を見ながらこう言った。
「俺は平民なんです……平民は貴族と結ばれることはできない……だけど、騎士、一流の騎士になれば、貴族と養子縁組が容易い。そうなれば俺は貴族になれる。貴族にさえなればアリシア様と結ばれることだってできる……それまで、それまで我慢していただけませんか? 俺は必ず貴族となり、アリシア様を迎えにきます」
「……」
アリシア様は何も答えない……そして顔を手で隠しながら立ち上がり駆けていく。
「アリシア様!!」
俺は立ち上がってそれを追いかける。
「アリシア様!!」
声を掛けるが無視してアリシア様は自室に入ってガチャりと鍵をかけた。
コンコンとノックをして話しかける。
「ウェブです……アリシア様、先ほどは失礼なことを申し上げてすいませんでした……」
中からアリシア様の声が聞こえる。
「だったら、騎士団入りは諦めてくれるのですか?」
「そ、それは……」
「私はあなたと今からでもずっと一緒に居たいのです……それなのに……」
「アリシア様……」
「……分かっています。あなたは平民で私は貴族。おいそれと会えるような身分ではない……あなたが言ったように貴族になって私を迎えに来て下さる……そう言っていただいたときは嬉しかったのです……ですが……私はあなたとずっと一緒に居たいのです……」
それを聞いて俺は居ても立っても居られなくなり、瞬間移動しアリシア様の部屋の中に入る。
「アリシア様!!」
「ウェブ様!」
そう言ってアリシアは俺に抱き着いてくる。
「ありがとう……こんな俺をそれほどまでに……」
「あなたは私を救ってくれた……私だけの騎士様なんです……」
「……アリシア様……」
アリシア様は涙を拭いて、俺の目を真っ直ぐに見つめながらこう言った。
「……必ず、本物の騎士になって私を迎えに来て下さい。私、いつまでも、いつまでもウェブ様の帰りをお待ちしています」
アリシア様を抱きしめてから告げる。
「分かりました。アリシア様。必ずお迎えにあがります」
そして部屋を出るとグエン様が立っており声を掛けてくる。
「すまないな……わがままの娘で……」
そう言われ俺は首を横に振る。
グエン様のアリステル家の家紋が入った封書を俺に渡す。
「これが紹介状だ」
「ありがとうございます……必ずこの紹介状に恥じない騎士になってみせます」
「大丈夫、君なら立派な騎士になれる」
「……気を遣わせてしまったようだね……」
「いえ……」
料理がカートに乗って運ばれてくる。給仕係の人が自分の前に料理の乗った皿を出す。
あらかた準備ができるとグラスにワインが注がれ、グエン様がグラスを掲げてこう言った。
「我がアリステル家の恩人、ウェブ・ステイに乾杯」
肩を狭めて恐縮しながらグラスを掲げて一気に飲み干す。
う、うっめぇぇぇぇぇぇぇ!!! 今まで大衆酒場の安酒しか飲んだことが無かったから、酒を飲んでもそれほど上手いなどと感じたことなど無かったが、この酒は本当に美味い!! 同じ酒とは思えない……
当然料理も全て美味しく今まで生きてきた中で一番美味いと思う。食える中で一番不味いと思ったものは土。
料理も食べてお酒も入ってだいぶリラックスし談笑なんかをし始めたころ、グエン様が口を開く。
「ウェブ・ステイ、本当に君のおかげでこうやってアリシアと再び食事ができる。本当に感謝している。アリシアを救ってくれたお礼をしなければと思っているだが、できる限りの君の要望に応えようと思う」
「……でしたら……紹介状を……騎士団に推薦をする紹介状を書いていただけませんか?」
俺がそういうとグエン様は目を丸くする。
「そんなものでいいのか? 我が娘を救ったお礼がたかがそんなもので……」
俺はまっすぐにグエン様を見つめて答える。
「これは俺の夢だったんです……騎士団に入ることが、そのためにその紹介状を貰うためにお金を必死にためてきたんです……それをたかがとか言わないでください……」
そういうとグエン様はハッとして
「すまない。君の夢を貶すようなことをしてしまった。私の紹介状でよければ何通でも書こう。ただし騎士団は紹介状があるからとおいそれと入れる場所ではない……それに君は平民だ。その入団試験は過酷なものになるやもしれぬ。それでも騎士を目指すか?」
「はい。目指します」
「うむ……いい顔だ。紙とペンを」
グエン様がそういうと執事が紙とペンを持ってやってくる。
「え……騎士団に……」
アリシア様の顔が青ざめていく。
隣に座る母親がアリシア様に声を掛ける。
「どうしたのアリシア?」
「ウェブ様が騎士団に行かれると……そうなれば王都の騎士団本部に数年は……」
「そうなるわね……」
アリシア様はグエン様と俺の方をみて肩を震わせながらこう言った。
「ウ、ウェブ様……ど、どうかお考え直しを……騎士団入りのお考えを改めてください……」
それにグエン様が口を挟む
「アリシア、それは失礼だぞ!」
「で、ですが……お父様……私、ウェブ様をお慕い申しております!! できることならこの街に、王都なんかに行かないで欲しいのです!!」
「……アリシア様……」
「ウェブ様……私の思いを聞いても騎士団の夢は捨てることができませんか?」
グエン様は語気を強めてアリシア様を諭そうとする。
「アリシア! わがままを言って困らせてはいけない!」
俺はそんなグエン様を制止するように声を掛ける。
「グエン様。いいんです。馬車の中でアリシア様の思いには気づいておりました……それなのに俺はアリシア様の気持ちに応えようともせず、夢のことだけを言ってしまった」
アリシア様は俺がそういうとハンカチで目を拭きながら顔を上げる
「ウェブ様……」
俺はアリシアのその黒曜石のような真っ黒な瞳を見ながらこう言った。
「俺は平民なんです……平民は貴族と結ばれることはできない……だけど、騎士、一流の騎士になれば、貴族と養子縁組が容易い。そうなれば俺は貴族になれる。貴族にさえなればアリシア様と結ばれることだってできる……それまで、それまで我慢していただけませんか? 俺は必ず貴族となり、アリシア様を迎えにきます」
「……」
アリシア様は何も答えない……そして顔を手で隠しながら立ち上がり駆けていく。
「アリシア様!!」
俺は立ち上がってそれを追いかける。
「アリシア様!!」
声を掛けるが無視してアリシア様は自室に入ってガチャりと鍵をかけた。
コンコンとノックをして話しかける。
「ウェブです……アリシア様、先ほどは失礼なことを申し上げてすいませんでした……」
中からアリシア様の声が聞こえる。
「だったら、騎士団入りは諦めてくれるのですか?」
「そ、それは……」
「私はあなたと今からでもずっと一緒に居たいのです……それなのに……」
「アリシア様……」
「……分かっています。あなたは平民で私は貴族。おいそれと会えるような身分ではない……あなたが言ったように貴族になって私を迎えに来て下さる……そう言っていただいたときは嬉しかったのです……ですが……私はあなたとずっと一緒に居たいのです……」
それを聞いて俺は居ても立っても居られなくなり、瞬間移動しアリシア様の部屋の中に入る。
「アリシア様!!」
「ウェブ様!」
そう言ってアリシアは俺に抱き着いてくる。
「ありがとう……こんな俺をそれほどまでに……」
「あなたは私を救ってくれた……私だけの騎士様なんです……」
「……アリシア様……」
アリシア様は涙を拭いて、俺の目を真っ直ぐに見つめながらこう言った。
「……必ず、本物の騎士になって私を迎えに来て下さい。私、いつまでも、いつまでもウェブ様の帰りをお待ちしています」
アリシア様を抱きしめてから告げる。
「分かりました。アリシア様。必ずお迎えにあがります」
そして部屋を出るとグエン様が立っており声を掛けてくる。
「すまないな……わがままの娘で……」
そう言われ俺は首を横に振る。
グエン様のアリステル家の家紋が入った封書を俺に渡す。
「これが紹介状だ」
「ありがとうございます……必ずこの紹介状に恥じない騎士になってみせます」
「大丈夫、君なら立派な騎士になれる」
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