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第2話 チュートリアル
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「ようこそ。ベルファルガー修道院へ」
目の前に現れた修道服をきた老婆がそう言った。
俺はキョロキョロと周囲を見渡す。よくファンタジーの世界にでてくるTHE教会というような建物であるが、その大きさは都庁ぐらいありそう。
老婆は俺にそのまま話掛ける。
「私は、この修道院の院長のミカレスクです。宜しくどうぞ」
このゲームは確か、旅に出る聖女と騎士しかプレイヤーは居なかったはず。ということはこの老婆はAIのNPCか……なら適当にあしらっとくか。
「俺、タケシ宜しくな! ババア!」
初めて喋った声はどこからどう聞いても女の子の声だった。
まあそれであんな暴言を吐いたものだからおかしくなって肩を震わせる。
俺がそう言うと老婆はニコッと笑う。そして
「あらあらシスターアレクシア。そのような言葉遣いですと徳が下がりますわよ」
と言った瞬間。
視界に徳が減少しましたと言う表示がされる。
あ……やっちゃった俺……まずった……
このゲーム、聖女は修道院編の行動で徳というポイントを貯める。この徳だが、聖女は騎士との救国編になると奇跡という魔法にも似た力を使うことができるようになる、そしてこの奇跡、徳を貯めれば貯めるほどより強力な奇跡が使えるようになるのだ。
ただそれだけなら多少ゲームを有利に進めるだけなら、徳なんか貯めなくてもと思うかもしれない。
だがこのゲーム、一つの修道院に100名前後の聖女プレイヤーがおり、騎士はこの100名の聖女の中から自分のパートナーを見つけるのだ。
そして騎士は聖女の徳ポイントを見ることができる……ゲームを有利に進めたいなら徳ポイントが高い方がいい。
だから修道院の中で聖女達は淑女として立ち振る舞い、自分が選ばれるように自分磨きをすると言うわけだ。
……浮かれてやっちまった……
「それではシスターアレクシア、チュートリアルを開始します」
俺はコクっと頷く。
「返事ははいですよ。シスターアレクシア」
院長の目が光る。
これ以上徳が下がるのはマズイ!!
「はい! 」
と答えると老婆はニコッと笑って頷く。そして俺に話し掛ける。
「それではステータスと言ってみて下さい」
「はい! ステータス!」
視界に現在の徳ポイント0と表示されている。
院長は俺を見つめながら説明を始める。
徳のことや奇跡のこと等の説明がなされる。そして
「聖女選定は火木土21:00から行われています。騎士に見初められるように頑張って徳を積みましょう」
と院長が言った。
そうこの聖女選定が騎士が修道院にやってきて聖女を選ぶイベントだ。ここで騎士に見初められると、救国編に行くことができるようになるのだ。
現在の時刻はまだ17時過ぎ、まあまだ俺が選ばれる訳もないので、徳を積んで自分を磨き上げるしかない。
「それではこちらにどうぞ」
院長が歩き出したのでその後を付いて行く。
ある部屋の前に止まる。
「ここが貴方の寝室です」
そう言って扉を開くと、ベッドがずらりと整列して置かれている。
ちょうどそこに140センチぐらいで金髪、碧眼の修道服をきた可愛らしい少女がやってくる。
「院長お呼びでしょうか?」
「ええ、シスターメアリー、此方は新しく修道院にこられたシスターアレクシアです」
俺はお辞儀をして口を開く。
「アレクシアです。宜しく」
するとその少女もお辞儀をしつ
「メアリーです。よろしくお願いします」
と挨拶を交わす。
院長がメアリーに向けて話す。
「それではシスターメアリーをシスターアレクシアの教育係に任命いたします」
そう言われ、メアリーはビシッと背筋を伸ばして
「身に余る光栄です」
と院長に言うと、院長は「それではお願いしますよ」とメアリーに告げてどこかに行ってしまった。
この人はNPCなんだろうか?よく分かんないな……
「今、貴方、私のことNPCって思ったでしょ?」
「え……もしかしてプレイヤー?」
いや、ちょっと待て……めっちゃ自然に女言葉で話ししてるぞこの人……
「ええ、私はプレイヤーよ。このゲーム初めて3か月ってところかしら」
……3か月……選定で選ばれるには3か月前後が平均って聞いたことがある。
「新人の教育は徳が大きく上がるからチャンスなのよね」
「ああ、そうなんですねー」
「まあ君も彼女、欲しくて始めたクチかな?」
「……はい……俺の親友に……」
と言った瞬間、メアリーさんは唇の前に人差し指を当ててシーっというジェスチャーをする。
「俺とか言わない方がいいわ。思考段階から私って一人称を呼称する癖をつけた方がいいわ。徳が下がるわよ」
あ……そうか……お、私の徳が0だったから下がらなかっただけか……
「ご忠告ありがとうございます!」
「まあ、色々と教えてはあげるけど、これだけは覚えて実践してね。リアルで自分は男だと認識できる行動を一つ作ること、そうしないとリアルでもtsしそうになるわ……その行動を行うことで、私はリアルでは男だって切り替えてるわ」
「メアリーさんのその方法ってなんですか?参考にするので教えて下さい」
メアリーさんはしょうがないなという感じで口を開く。
「私のその方法は、小をたすときは、必ず立ってすることかしら」
「なるほど……」
確かに女性にはできないことだよね……
目の前に現れた修道服をきた老婆がそう言った。
俺はキョロキョロと周囲を見渡す。よくファンタジーの世界にでてくるTHE教会というような建物であるが、その大きさは都庁ぐらいありそう。
老婆は俺にそのまま話掛ける。
「私は、この修道院の院長のミカレスクです。宜しくどうぞ」
このゲームは確か、旅に出る聖女と騎士しかプレイヤーは居なかったはず。ということはこの老婆はAIのNPCか……なら適当にあしらっとくか。
「俺、タケシ宜しくな! ババア!」
初めて喋った声はどこからどう聞いても女の子の声だった。
まあそれであんな暴言を吐いたものだからおかしくなって肩を震わせる。
俺がそう言うと老婆はニコッと笑う。そして
「あらあらシスターアレクシア。そのような言葉遣いですと徳が下がりますわよ」
と言った瞬間。
視界に徳が減少しましたと言う表示がされる。
あ……やっちゃった俺……まずった……
このゲーム、聖女は修道院編の行動で徳というポイントを貯める。この徳だが、聖女は騎士との救国編になると奇跡という魔法にも似た力を使うことができるようになる、そしてこの奇跡、徳を貯めれば貯めるほどより強力な奇跡が使えるようになるのだ。
ただそれだけなら多少ゲームを有利に進めるだけなら、徳なんか貯めなくてもと思うかもしれない。
だがこのゲーム、一つの修道院に100名前後の聖女プレイヤーがおり、騎士はこの100名の聖女の中から自分のパートナーを見つけるのだ。
そして騎士は聖女の徳ポイントを見ることができる……ゲームを有利に進めたいなら徳ポイントが高い方がいい。
だから修道院の中で聖女達は淑女として立ち振る舞い、自分が選ばれるように自分磨きをすると言うわけだ。
……浮かれてやっちまった……
「それではシスターアレクシア、チュートリアルを開始します」
俺はコクっと頷く。
「返事ははいですよ。シスターアレクシア」
院長の目が光る。
これ以上徳が下がるのはマズイ!!
「はい! 」
と答えると老婆はニコッと笑って頷く。そして俺に話し掛ける。
「それではステータスと言ってみて下さい」
「はい! ステータス!」
視界に現在の徳ポイント0と表示されている。
院長は俺を見つめながら説明を始める。
徳のことや奇跡のこと等の説明がなされる。そして
「聖女選定は火木土21:00から行われています。騎士に見初められるように頑張って徳を積みましょう」
と院長が言った。
そうこの聖女選定が騎士が修道院にやってきて聖女を選ぶイベントだ。ここで騎士に見初められると、救国編に行くことができるようになるのだ。
現在の時刻はまだ17時過ぎ、まあまだ俺が選ばれる訳もないので、徳を積んで自分を磨き上げるしかない。
「それではこちらにどうぞ」
院長が歩き出したのでその後を付いて行く。
ある部屋の前に止まる。
「ここが貴方の寝室です」
そう言って扉を開くと、ベッドがずらりと整列して置かれている。
ちょうどそこに140センチぐらいで金髪、碧眼の修道服をきた可愛らしい少女がやってくる。
「院長お呼びでしょうか?」
「ええ、シスターメアリー、此方は新しく修道院にこられたシスターアレクシアです」
俺はお辞儀をして口を開く。
「アレクシアです。宜しく」
するとその少女もお辞儀をしつ
「メアリーです。よろしくお願いします」
と挨拶を交わす。
院長がメアリーに向けて話す。
「それではシスターメアリーをシスターアレクシアの教育係に任命いたします」
そう言われ、メアリーはビシッと背筋を伸ばして
「身に余る光栄です」
と院長に言うと、院長は「それではお願いしますよ」とメアリーに告げてどこかに行ってしまった。
この人はNPCなんだろうか?よく分かんないな……
「今、貴方、私のことNPCって思ったでしょ?」
「え……もしかしてプレイヤー?」
いや、ちょっと待て……めっちゃ自然に女言葉で話ししてるぞこの人……
「ええ、私はプレイヤーよ。このゲーム初めて3か月ってところかしら」
……3か月……選定で選ばれるには3か月前後が平均って聞いたことがある。
「新人の教育は徳が大きく上がるからチャンスなのよね」
「ああ、そうなんですねー」
「まあ君も彼女、欲しくて始めたクチかな?」
「……はい……俺の親友に……」
と言った瞬間、メアリーさんは唇の前に人差し指を当ててシーっというジェスチャーをする。
「俺とか言わない方がいいわ。思考段階から私って一人称を呼称する癖をつけた方がいいわ。徳が下がるわよ」
あ……そうか……お、私の徳が0だったから下がらなかっただけか……
「ご忠告ありがとうございます!」
「まあ、色々と教えてはあげるけど、これだけは覚えて実践してね。リアルで自分は男だと認識できる行動を一つ作ること、そうしないとリアルでもtsしそうになるわ……その行動を行うことで、私はリアルでは男だって切り替えてるわ」
「メアリーさんのその方法ってなんですか?参考にするので教えて下さい」
メアリーさんはしょうがないなという感じで口を開く。
「私のその方法は、小をたすときは、必ず立ってすることかしら」
「なるほど……」
確かに女性にはできないことだよね……
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