俺が聖女で彼女が騎士〜話題の強制tsゲーで遊んでみたら何かに目覚めそうになっている件について~

ぽいづん

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第5話 突発イベント

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「さあ、行くわよ」
 メアリーさんに付いていくと、修道院前の広場にみすぼらしい格好をした人達が300人前後集まってきている。
「施しイベントは、あのNPC達の為に作った食事を施すイベント。ストーリーは知ってると思うけど……」

 国に魔物と呼ばれる化け物が現れるようになり、次第に国は荒廃をする。王は騎士に命じた、国を救うために聖女の力を得よと……それがこの救国オンラインのメインストーリーだ。

「そのストーリーの側面として、この貧民達がいるわ。国が魔物によって滅びかけている。国民も貧しく飢えている人達もいるの」

 確かに料理はやたら多いとは思ったけれど、直接こうやって手渡しをするイベントがあるのか……

「なるほど…….それでこの施しイベントがあるんですね」
「ええ、ゲーム内の1日のうち朝、昼、夕の3回このイベントがあって、参加すると徳を積めるわ」

 メアリーさんが私に説明をしている間に、他の仕事をしていた聖女達も修道院前の広場に集合している。

 当然あのシスターアンドレアの姿もある。さすがというか、やはりというか、他の聖女達にも一目置かれている存在で、彼女が通る先々で聖女達が声を掛けている。

 それを嫌な顔ひとつせずににこやか笑っているシスターアンドレア。

 この人がリアルで男だなんてとても信じらなれない。

 食事係の聖女達が大きな寸胴鍋やパンの入ったバスケットをカートを押して広場にやってくる。

 私達も給仕をするために、湯気が立つ鍋の前に立つ。そして並んだ人達の為に、鍋の中のスープを皿によそって並んだ人達に渡す。

 よくある炊き出しボランティアのような感じ。

 最初のうちはぎこちなかったが、すぐに慣れてくる。私が皿にスープを入れて手渡すと「ありがたやーありがたやー聖女様のおかげで」とみんなありがたがってくれる。

 まあAIのNPCだけど嫌な気分はしないし、まさに全ての人に身を捧げる聖女気分が味わえて心が豊かになる。

 私の前にお皿を持った一人の少年が現れる。

お皿を受け取り鍋の方を振り返る。

 すると、私の身体のバランスが崩れて、鍋に体当たりするような形になって、鍋の中のスープをぶちまけてしまう。

 俺は怒りで頭に血が昇る。

 原因はこのクソガキに間違いない。俺が皿を受け取り、スープを皿によそおうとした瞬間、奴は背後から体当たりをしたに違いない、それ以外あり得ない。ワザとじゃないとこんなことにはならない。

 こいつが悪意を持って俺に体当たりした。それが事実!!

 俺が振り返えるとそこには俺をみてニヤニヤと笑うクソガキの姿。

 そのニヤニヤする姿を見てさらに怒りがこみ上げてくる。

 胸倉を掴んではりまわしてやる!! そう思って一歩を踏み出そうとした瞬間、他の聖女が羨ましそうに俺を見ているのが目に入った。

 その視線を見て幾分か冷静になる。

 ……何故隣にいるメアリーさんは何も言わないんだろうか?……そしてあの聖女達の羨ましそうな視線。

 それにこの少年はNPCなのだ……冷静になるんだ。冷静に……

 頭がのぼせていた私は冷静になる。

 これはイベントに違いない! このクソガキに聖女らしからぬ応対をすると徳が下がる!!

 そして他の聖女達の羨むような視線……これは間違いなく、このイベントを成功させると大きく徳を積むことができるに違いない。

 メアリーさんが何も言わないのはネタバレするとメアリーさんになんらかの不利益がある可能性があるからだ。

 とにかく冷静に冷静に……でもこのクソガキにどんな言葉を掛ければいいのか……

 どんな言葉が聖女っぽいんだ……まあいいなごやかに何かを言えばいい。

私は軽く笑いながらクソ……少年に話し掛ける。
「うふふ。元気がありあまってるのかしら?」
「うっせーブス!! 」
 クソガキはそう言って走っていってしまった。

 私の応対を見て他の聖女達は首を横に振りながら、残念という顔をする。

 ミスった?

 そう思った瞬間、目の前に字幕が現れる。

 突発イベント『少年の心』リザルト

 判定C

 徳100ポイント入手。

 メアリーさんが私の肩を叩いて話しかけてくる。
「あれが突発イベントよ。対応はイマイチだったけどね」
「突発イベントって気付かなかったら、もうちょっとで胸倉掴んで殴ってましたよハハ」

 私がそう言うとメアリーさんはこう答える。
「まあ、それも有りなのよね。暴力は減点だけど、あの子を叱って正しく導くのが正解」

「え……」

「つまりちゃんと叱ると判定が良くなるってことよ」

 聖女になるのは難しい……








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