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第4章 21代目の剣聖
第80話 20代剣聖 後編
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おじから父の話を聞いた俺は兎にも角にも、剣の道を究めんと努力した。
それはただ剣を振るということだけでなく、剣の歴史を学ぶことにも及んだ。寝ることを惜しんで勉強に剣の修業に必死に邁進した、それまでの怠惰を挽回するように。
そして剣聖の座が空位になっていたこともあり、国内で剣聖を待望する声が上がり始める。
そう剣聖になれば、平民であれば貴族として取り立てられ、様々な特権を手にいれることができる。貴族であれば一族から剣聖がでるということはこれとないほどの名誉なのだ。富と名声が手に入る。皆がこぞって剣聖候補に名乗りを上げるというわけだ。
遠縁にあたるアリステル家の支援を受け俺は剣聖候補として名乗りを挙げた。
そして腕に自信のあるものが国内から王都に集まる。そして王都のあちこちで試合が始まる。ルールは自分が剣聖候補であるということを名乗り立会人を設けて戦うというもの。そしてただの1度でも負ければ剣聖候補脱落となる。
剣聖は常に最強。これを体現する戦いなのだ。
自分で言うのもあれだが、俺は圧倒的だった。誰も俺に勝てる者はだれもいなかった。
候補者一人一人と脱落をしていく。
「剣聖候補。フェデリコ・ファルスカ参る!」
俺の目の前に最後の一人が現れる。
そうこの戦いに勝てば剣聖になることができる。
フェデリコ・ファルスカ
彼も有名な地方の剣士。ファルスカ流という一撃必殺剣を得意とする流派である。心技体全てを一撃に乗せるというもの。
フェデリコは剣を上段に構える。俺はいつもと同じように水平に構える。
立会人からすればほんの一瞬の間合いだろうが、俺とフェデリコには一生とも言えるような時間に感じる。
この一撃で人生が決まるのだ。フェデリコ、そして俺の……
フェデリコの渾身の一撃を上回る剣撃を放つ。彼に勝つにはこの方法しかありえない。全てにおいて最強にならなければ剣聖たり得ない。
フェデリコがピクリと突き出した右脚を動かす。ほぼ同時に俺も動く。一生とも思える時間の終焉。
瞬時に2人の間合いとなり、フェデリコと俺は生涯を掛けた一撃をほぼ同時繰り出す。
そしてそのまま俺とフェデリコはすれ違う。
フェデリコが持っていた木剣が砕け散る。そして腹を抑え片膝をつく。
「俺の負けだ……生涯を掛けた一撃の更に上をいくとはな……」
俺はフェデリコの生涯を掛けたその一撃よりも一瞬早くに剣撃をフェデリコに与えたのだ。
そして俺の目の前には国王陛下の姿がある。その手には剣の形をした徽章。
「レグルス・フェルトよ。貴殿にこそこの徽章はふさわしい」
国王陛下はそういって俺の胸に剣の形をした徽章を付ける。
俺は剣聖の徽章をつけとある場所にやって来る。
それは俺が剣聖を目指すきっかけとなった場所……
父の墓前。
小さな石のみが置かれた簡素な墓、この下に父が眠っている。
「父さん。俺は剣聖になったよ」
俺は一言そう呟くと墓を後にした。
◇◆◇
20代剣聖レグルス・フェルトは窓の外で剣を振る少年を再び見つめ呟く。
「そうだったな……俺が剣聖になった理由」
そして、机の上の手紙をちらりと見る。
レグルスの部屋をノックする音が聞こえ
「どうぞ」
一人の若い騎士が敬礼をし入ってくる。
「君に密命を頼みたい……この手紙を世界の果てにいるアルファルドに渡してもらいたい」
「……19代剣聖の?」
「ああ」
「……わかりました。必ずお渡しします」
「すまないな。こんなことに君を使ってしまって」
「いえ」
若い騎士はその手紙を持って部屋を後にする。
ゴホゴホとレグルスは咳き込む。
「これで後は待つだけか……」
そう言って椅子に座り込んだ。
それはただ剣を振るということだけでなく、剣の歴史を学ぶことにも及んだ。寝ることを惜しんで勉強に剣の修業に必死に邁進した、それまでの怠惰を挽回するように。
そして剣聖の座が空位になっていたこともあり、国内で剣聖を待望する声が上がり始める。
そう剣聖になれば、平民であれば貴族として取り立てられ、様々な特権を手にいれることができる。貴族であれば一族から剣聖がでるということはこれとないほどの名誉なのだ。富と名声が手に入る。皆がこぞって剣聖候補に名乗りを上げるというわけだ。
遠縁にあたるアリステル家の支援を受け俺は剣聖候補として名乗りを挙げた。
そして腕に自信のあるものが国内から王都に集まる。そして王都のあちこちで試合が始まる。ルールは自分が剣聖候補であるということを名乗り立会人を設けて戦うというもの。そしてただの1度でも負ければ剣聖候補脱落となる。
剣聖は常に最強。これを体現する戦いなのだ。
自分で言うのもあれだが、俺は圧倒的だった。誰も俺に勝てる者はだれもいなかった。
候補者一人一人と脱落をしていく。
「剣聖候補。フェデリコ・ファルスカ参る!」
俺の目の前に最後の一人が現れる。
そうこの戦いに勝てば剣聖になることができる。
フェデリコ・ファルスカ
彼も有名な地方の剣士。ファルスカ流という一撃必殺剣を得意とする流派である。心技体全てを一撃に乗せるというもの。
フェデリコは剣を上段に構える。俺はいつもと同じように水平に構える。
立会人からすればほんの一瞬の間合いだろうが、俺とフェデリコには一生とも言えるような時間に感じる。
この一撃で人生が決まるのだ。フェデリコ、そして俺の……
フェデリコの渾身の一撃を上回る剣撃を放つ。彼に勝つにはこの方法しかありえない。全てにおいて最強にならなければ剣聖たり得ない。
フェデリコがピクリと突き出した右脚を動かす。ほぼ同時に俺も動く。一生とも思える時間の終焉。
瞬時に2人の間合いとなり、フェデリコと俺は生涯を掛けた一撃をほぼ同時繰り出す。
そしてそのまま俺とフェデリコはすれ違う。
フェデリコが持っていた木剣が砕け散る。そして腹を抑え片膝をつく。
「俺の負けだ……生涯を掛けた一撃の更に上をいくとはな……」
俺はフェデリコの生涯を掛けたその一撃よりも一瞬早くに剣撃をフェデリコに与えたのだ。
そして俺の目の前には国王陛下の姿がある。その手には剣の形をした徽章。
「レグルス・フェルトよ。貴殿にこそこの徽章はふさわしい」
国王陛下はそういって俺の胸に剣の形をした徽章を付ける。
俺は剣聖の徽章をつけとある場所にやって来る。
それは俺が剣聖を目指すきっかけとなった場所……
父の墓前。
小さな石のみが置かれた簡素な墓、この下に父が眠っている。
「父さん。俺は剣聖になったよ」
俺は一言そう呟くと墓を後にした。
◇◆◇
20代剣聖レグルス・フェルトは窓の外で剣を振る少年を再び見つめ呟く。
「そうだったな……俺が剣聖になった理由」
そして、机の上の手紙をちらりと見る。
レグルスの部屋をノックする音が聞こえ
「どうぞ」
一人の若い騎士が敬礼をし入ってくる。
「君に密命を頼みたい……この手紙を世界の果てにいるアルファルドに渡してもらいたい」
「……19代剣聖の?」
「ああ」
「……わかりました。必ずお渡しします」
「すまないな。こんなことに君を使ってしまって」
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「これで後は待つだけか……」
そう言って椅子に座り込んだ。
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