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第4章 21代目の剣聖
第89話 瞳を閉じて
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でも……今ので分かった。体力では俺の方が上だ。至近距離での打ち合いに持ち込めば!
◇◆◇
「小僧、それはレグルスの罠だぞ……」
アルファルドが小声で呟く。
「ああ、若さ故だな」
ムルジムもアルファルドに同意をしている。
「レグルスの消耗は少ない。ああは言っているが小僧の攻撃を受けているだけで、ほぼ攻撃をしていない。後ろに退いたのも蹴りを入れるための罠」
「そうだな。真剣での勝負受ける方も気は抜けないが、攻撃する方は反撃を気にしながらの攻撃になる。その分消耗をする。受けるほうが圧倒的に有利」
「小僧もそれを理解しているはずなんだがな……」
アルファルドは眼光鋭くラグウェルの方を見る。
「お前ならどう攻略するんだ?」
ムルジムの質問にアルファルドは事も無げに答える。
「あの突きを撃たせて見切る」
呆れたような表情をムルジムが見せる。
「それができたら苦労しねぇよ」
「撃たせず勝てるなら剣聖になんてなれねえよ。相手の得意技を上回ってこそ剣聖なんだ」
アルファルドはそう言って口角をニヤリと上げた。
◇◆◇
奴の間合いに入れば、またあの突きが来る。撃たせないように間合いを取りつつ隙きを見て一気に間合いを詰め接近戦に持ち込む。
レグルスの突きが届かない位置で剣を構えその時を伺う。
バンという道場の板張りの床を踏み込む音が聞こえた。剣を弓なりに振りかぶったレグルスが俺の目の前に現れる。
あいつは一気に間合いを詰め接近戦に挑んできたのだ。
剣を振り上げレグルスの剣を弾き、そのまま反撃に転じようとその刃をレグルスの方に向ける。しかしその刹那、剣を引き二撃目の態勢に入っている。
だめだ、反撃する間がない!
二撃目を剣で弾くとさらに三撃目というようにどんどん斬撃の回転速度が上がり、剣で弾くので精一杯になる。
そして鍔迫り合いの型になる。
「何が若さには勝てんだよ」
あまりにも斬撃の苛烈さについつい愚痴ってしまう。
「剣聖らしいところを見せようかと思ってな!」
語尾の部分を発声すると同時にグッと剣が押され、レグルスは後方に跳び間合いを取る。
剣聖らしい……剣聖……俺が戦っているのは剣聖なんだ。策が通じる相手じゃない! 頭ではわかってた。わかってたつもりだった……それがなんだ、距離詰めて相手の攻撃を封じる?あれはそんなものでは俺は倒せない、倒させないと言うレグルスの意思だ。
「うおおおおおおおおおおお」
俺は自然に声が出ていた。自分の迷いを振り切るただそれだけのために。そして俺はレグルスの突きの間合いに立つ。
◇◆◇
「やっと目が覚めたな小僧」
ウンウンと頷きながら呟くアルファルド。
「ああ、これで同じ土俵に立った」
ムルジムもアルファルドに同意をし話を続ける。
「しかし、お前ならどうやってあの突きを攻略するんだ?」
「見ない」
「は?」
「だから、目を閉じてかわす」
ムルジムは腕を組み考え、答えに至る
「なるほどなそういうことか」
「小僧もそれに気がついたようだぞ」
アルファルドの視線の先には目を閉じてレグルスの間合いに入るラグウェルの姿があった。
◇◆◇
俺は俺のやり方であの突きを超える! その方法はあえて一つの情報の遮断、視覚による情報の遮断。
予備動作がないそれはあくまでも視覚による情報だ。剣は一本しかないんだ。空気の流れ、音それを感じることができればあの突きだってかわす事ができるはずだ!
実際に目を閉じてわかったことがある。それはレグルスの気だ、殺気だと言ってもいい。目を閉じていても感じることができるほどの殺気。この殺気がヤツの体が大きくなった正体。強い殺気を俺に当て体を大きくみせて一気に突く。これがあの突きの正体。
理屈がわかったからといってすぐに攻略できるものではない。完全に受けきるには一長一短できるものではない。だから視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ受け切る。今の俺にできる方法はこれしかない。
「目を閉じて、何ができる」
レグルスがそう呟いた瞬間。
スーーっという空気の流れが変わる感覚。
来る!
カァァァァァァンという金属と金属がぶつかり合う音が響く。
レグルスの放った突きを俺は完全に捉え、レグルスの突きを上方に弾くことに成功した。
そして目を開くと直ぐ側にレグルスの顔があり、その顔は不敵にも笑っているように見えた。
◇◆◇
「小僧、それはレグルスの罠だぞ……」
アルファルドが小声で呟く。
「ああ、若さ故だな」
ムルジムもアルファルドに同意をしている。
「レグルスの消耗は少ない。ああは言っているが小僧の攻撃を受けているだけで、ほぼ攻撃をしていない。後ろに退いたのも蹴りを入れるための罠」
「そうだな。真剣での勝負受ける方も気は抜けないが、攻撃する方は反撃を気にしながらの攻撃になる。その分消耗をする。受けるほうが圧倒的に有利」
「小僧もそれを理解しているはずなんだがな……」
アルファルドは眼光鋭くラグウェルの方を見る。
「お前ならどう攻略するんだ?」
ムルジムの質問にアルファルドは事も無げに答える。
「あの突きを撃たせて見切る」
呆れたような表情をムルジムが見せる。
「それができたら苦労しねぇよ」
「撃たせず勝てるなら剣聖になんてなれねえよ。相手の得意技を上回ってこそ剣聖なんだ」
アルファルドはそう言って口角をニヤリと上げた。
◇◆◇
奴の間合いに入れば、またあの突きが来る。撃たせないように間合いを取りつつ隙きを見て一気に間合いを詰め接近戦に持ち込む。
レグルスの突きが届かない位置で剣を構えその時を伺う。
バンという道場の板張りの床を踏み込む音が聞こえた。剣を弓なりに振りかぶったレグルスが俺の目の前に現れる。
あいつは一気に間合いを詰め接近戦に挑んできたのだ。
剣を振り上げレグルスの剣を弾き、そのまま反撃に転じようとその刃をレグルスの方に向ける。しかしその刹那、剣を引き二撃目の態勢に入っている。
だめだ、反撃する間がない!
二撃目を剣で弾くとさらに三撃目というようにどんどん斬撃の回転速度が上がり、剣で弾くので精一杯になる。
そして鍔迫り合いの型になる。
「何が若さには勝てんだよ」
あまりにも斬撃の苛烈さについつい愚痴ってしまう。
「剣聖らしいところを見せようかと思ってな!」
語尾の部分を発声すると同時にグッと剣が押され、レグルスは後方に跳び間合いを取る。
剣聖らしい……剣聖……俺が戦っているのは剣聖なんだ。策が通じる相手じゃない! 頭ではわかってた。わかってたつもりだった……それがなんだ、距離詰めて相手の攻撃を封じる?あれはそんなものでは俺は倒せない、倒させないと言うレグルスの意思だ。
「うおおおおおおおおおおお」
俺は自然に声が出ていた。自分の迷いを振り切るただそれだけのために。そして俺はレグルスの突きの間合いに立つ。
◇◆◇
「やっと目が覚めたな小僧」
ウンウンと頷きながら呟くアルファルド。
「ああ、これで同じ土俵に立った」
ムルジムもアルファルドに同意をし話を続ける。
「しかし、お前ならどうやってあの突きを攻略するんだ?」
「見ない」
「は?」
「だから、目を閉じてかわす」
ムルジムは腕を組み考え、答えに至る
「なるほどなそういうことか」
「小僧もそれに気がついたようだぞ」
アルファルドの視線の先には目を閉じてレグルスの間合いに入るラグウェルの姿があった。
◇◆◇
俺は俺のやり方であの突きを超える! その方法はあえて一つの情報の遮断、視覚による情報の遮断。
予備動作がないそれはあくまでも視覚による情報だ。剣は一本しかないんだ。空気の流れ、音それを感じることができればあの突きだってかわす事ができるはずだ!
実際に目を閉じてわかったことがある。それはレグルスの気だ、殺気だと言ってもいい。目を閉じていても感じることができるほどの殺気。この殺気がヤツの体が大きくなった正体。強い殺気を俺に当て体を大きくみせて一気に突く。これがあの突きの正体。
理屈がわかったからといってすぐに攻略できるものではない。完全に受けきるには一長一短できるものではない。だから視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ受け切る。今の俺にできる方法はこれしかない。
「目を閉じて、何ができる」
レグルスがそう呟いた瞬間。
スーーっという空気の流れが変わる感覚。
来る!
カァァァァァァンという金属と金属がぶつかり合う音が響く。
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そして目を開くと直ぐ側にレグルスの顔があり、その顔は不敵にも笑っているように見えた。
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