21代目の剣聖〜魔法の国生まれの魔力0の少年、国を追われ剣聖になる。〜

ぽいづん

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第6章 剣聖剥奪

第103話 開戦

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 ――王都郊外

 新たに騎士団長になったダンカンは、王都の城壁の上に立つ。その眼下には馬に跨った鈍く銀色に輝く鎧を纏った騎士や槍や剣、盾を持った兵士達がずらりと並んでいる。その数およそ5万人。あのペンタグラムの宣戦布告から3日、非常召集で集められる最大の兵士数。

 その5万人前に騎士団長となったダンカンは演説をする。

「本日より私が騎士団団長を拝命することとなった」

 その演説を聞きながら、兵士達がヒソヒソと話をする。
「今、収穫の時期なのに戦争なんてやってられんよなぁ」
「んだ、んだ。騎士たちが勝手にやってろっつうの」
「ペンタグラムだ?そんなもんおら達がでなくてもなー」
「んだ、んだ。戦争よりも畑の方が大切だべ」

 騎士がギロリと話をしている兵士を睨む。

 睨んだ騎士が他の騎士に話しかける。
「確かに今の時期は収穫の時期、それを緊急招集か……士気も下がるか……」
「うむ。しかし相手も時期を選んではくれんからな半農半兵が故の弊害だな」
「職業軍人は我々騎士団の3千のみか」
「そのうち千は王都の防衛。」
「まあ相手はずっと鎖国してて戦争経験はない。数では負けても戦略では我々が有利だよ」
「うむ」

 騎士団長の演説は続く。
「前任の騎士団長は弱気な故その任を解かれた。だが私は違う。私の前で弱気なことを言うものは叩き切る! その覚悟をもって此度の戦に臨む。それでは国王陛下の演説だ」
 騎士団長はそういうと城壁を降り、騎士や兵士たちの先頭に立つ。

 そして国王が城壁に立ち演説が始まる。

「今、我が国は存亡の危機にある。あの難攻不落の城と呼ばれた巨石城が落とされたのだ。此度の戦は過去の歴史を見ても最も激しいものとなるであろう。だが我々は負けない!十王国の名誉のために! 勝どきをあげよ!勝どきを!」

 国王の叫ぶ声が響くと同時に騎士達は武器をもつ右手を上げ、おおおおおと勝どき上げる。それに習うように兵士達も勝どきを上げ始め、空気が揺れるほどの勝どきとなる。

 騎士団長のダンカンを先頭に進軍を開始した。

 ――3日後

 カルテー平原に陣を構え休息を取る十王国軍。5万の兵を率いる騎士団長のテントに斥候からの報告が入る。
「敵、木人形その数無数。進軍を続けております。会敵まではあと1日ほどかと」

 ダンカンはその報告を聞きニヤリと笑う。
「その距離から推測するに巨石城からここまで休まず進軍をつづけてきたはず、そろそろ敵の疲労も限界。そろそろ休憩をとる頃合いか……もしくは敵は素人か……」
 副団長がダンカンに進言をする。

「さすれば明朝にでも進軍を開始しますか?」
「いや……ここカルテー平原で迎え撃とう。我が陣営は小高い丘に陣を引いておる。数で勝る敵には地形の有利をとるべき」
「分かりました。斥候は引き続き情報の収集を」

 真っ赤に燃える太陽が東の空を染める。

 見張りの兵士がダンカンの元に飛び込んでくる。
「敵軍が現れました!」
「なんだと!!斥候の報告ではあと1日の余裕があると……まさか夜を徹して進軍を?」
「どうします?」
「どうするもこうするもない。直ちに開戦準備だ!」

 パオーーパオーーっと法螺貝がなり、兵士たちが右往左往する。
 騎士団長のダンカンも鎧を纏い馬に跨る。

「なんとか間に合ったな」
小高い丘に整列する5万の兵。それの先頭に立つダンカンはそう呟いた。

敵の木人形は一列に並び感情の気配もなく不気味に歩き続けている。

「まさか夜を徹して進軍してくるとは」
ダンカンの隣にいる副団長がそう呟く。

「そうとなれば敵は疲弊をしている。我が軍に勝機があるというもの」

ダンカンは馬上で右手をあげる。
すると後ろにいる弓兵たちが一斉に弓を引く。

そして右手を振り下ろす。100メートル程先に迫った無数の木人形に一斉に弓なりに矢が放たれた。



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