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第7章 ペンタグラム
第117話 アルタイル邸
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エリンと一緒にアルタイル邸へと向かう。エリンが用意してくれた制服のおかげで、怪しまれずにメインストリートからアルタイル邸に向かう事ができる。
そうこの角を曲がれば、見えてくるはず。俺が生まれ10歳まで育った家が……もうすぐ見えてくるあの手入れが行き届いた美しい庭に、汚れ一つない明るい青い壁の豪邸……
さあ角を曲がろう。
俺は逸る気持ちを抑えながら角を曲がる。そして目の前の光景に目を疑う……
そう目の前に現れたのは……雑草が生え、全く手入れされていない庭に、ところどころ青い塗料が剥がれ下地の石が見える壁……もう2,3年人が住んでいないんじゃないかとすら思える。
エリンは門を開け中に入る。俺は我が目を疑いながらその後に続く。
「俺の記憶では確か……こんな庭じゃなかったはず」
「数年前までは手入れされた庭でした」
エリンは感情を込めずに淡々と事実を述べる。
庭を歩いていると郊外の家にもあった活動を止めた木人形が主人が帰ってくるのを待っているかのように座り込んでいる姿などが見える。
その姿をみてエリンが呟く。
「スピカ様も帰っておられないので仕方ないです」
「スピカは宮殿に?」
「ええ、今は宮殿に住まわれています」
エリンは手に持った鍵を、扉に刺して正面玄関の観音開きになった扉を開く。
ぎーっと何年も開けられていないような音がし、光が建物中に入ると宙を舞うホコリが白く光る。
もう人が住んでいる家ではない。ここまでの事実を客観的に考えてそういう結論になる。そして正面玄関につながるホールから二階へ伸びる階段の上……
そこに祖父と祖母の肖像画とともに、父と母の肖像画が置かれている。あの郊外の家にあったような肖像画……
この国では死者を祀るために肖像画を玄関から見えるところに飾る。父と母の肖像画がそこに掛けられているということはそういうことなのだ。
スピカがあの場面に現れた時に、少し脳裏をよぎった。父や母は既にと……そして家を見た時にはもうだめだろうと……
しかし改めてこの肖像画を見ると色んな感情がこみ上げてきて
「かはっ」
体から力が抜けただ体が崩れ落ち、言葉を発しようにも言葉が口から出てこない。かといって涙が溢れてくるわけでもなく。ただただ感情の渦に飲み込まれ体が言うことを利かない。
エリンが俺の背中を擦ってくれる。その手の温もりが嬉しかった。もし一人でこの場にいたら俺はどうなっていたのか分からない……
数分が経つと少し落ち着きエリンに話しかける。
「ありがとう……」
エリンは少し迷ったような表情をしたが意を決して話しだす。
「リゲル様は私があなたに会ったということを伝えるととても喜んでいらしました」
「……」
「そしてあなたがこの国に来ることがあれば、こちらに来るようにと」
エリンは家の中を歩き出し、俺もその後をついていく。
「私はペンタグラムに帰還後、リゲル様の元で働いておりました」
「ちょっとまって」
エリンが歩くを止める。
「どうしたんですか?」
「こっちに俺の部屋が有ったんだ」
俺は自分の部屋に向う、黙ってそれを見ているエリン。
柱についた傷、俺が棒を振り回しててつけたんだ……懐かしいな……ここに扉が……あれ?ない……
「確かにここに扉があって俺の部屋が有ったんだ!」
言い訳のように叫ぶするとエリンは壁を触るような合図を出し、俺が壁を触わる、すると少し違和感を感じる。
この壁二重になってる?コンコンと叩くと反響音がし中が空洞であることを物語っている。俺は剣を抜き壁を切ってみる。薄い木材でつくられたような壁は一刀両断され、中から扉がでてくる。
その扉を開くと昔のままの自分の部屋が現れる。
どうしてこんな隠すような真似をしたんだ? 疑問に思いエリンに聞いてみる。
「なんで隠してたのか知ってる?」
するとエリンはこちらにくるようにと言い、俺はエリンの指示したがい後をついて行く。
そしてエリンが止まった部屋は父の書斎だった。
「この部屋に真実があります」
そういってエリンは持っている鍵で父の書斎の扉を開いた。
そうこの角を曲がれば、見えてくるはず。俺が生まれ10歳まで育った家が……もうすぐ見えてくるあの手入れが行き届いた美しい庭に、汚れ一つない明るい青い壁の豪邸……
さあ角を曲がろう。
俺は逸る気持ちを抑えながら角を曲がる。そして目の前の光景に目を疑う……
そう目の前に現れたのは……雑草が生え、全く手入れされていない庭に、ところどころ青い塗料が剥がれ下地の石が見える壁……もう2,3年人が住んでいないんじゃないかとすら思える。
エリンは門を開け中に入る。俺は我が目を疑いながらその後に続く。
「俺の記憶では確か……こんな庭じゃなかったはず」
「数年前までは手入れされた庭でした」
エリンは感情を込めずに淡々と事実を述べる。
庭を歩いていると郊外の家にもあった活動を止めた木人形が主人が帰ってくるのを待っているかのように座り込んでいる姿などが見える。
その姿をみてエリンが呟く。
「スピカ様も帰っておられないので仕方ないです」
「スピカは宮殿に?」
「ええ、今は宮殿に住まわれています」
エリンは手に持った鍵を、扉に刺して正面玄関の観音開きになった扉を開く。
ぎーっと何年も開けられていないような音がし、光が建物中に入ると宙を舞うホコリが白く光る。
もう人が住んでいる家ではない。ここまでの事実を客観的に考えてそういう結論になる。そして正面玄関につながるホールから二階へ伸びる階段の上……
そこに祖父と祖母の肖像画とともに、父と母の肖像画が置かれている。あの郊外の家にあったような肖像画……
この国では死者を祀るために肖像画を玄関から見えるところに飾る。父と母の肖像画がそこに掛けられているということはそういうことなのだ。
スピカがあの場面に現れた時に、少し脳裏をよぎった。父や母は既にと……そして家を見た時にはもうだめだろうと……
しかし改めてこの肖像画を見ると色んな感情がこみ上げてきて
「かはっ」
体から力が抜けただ体が崩れ落ち、言葉を発しようにも言葉が口から出てこない。かといって涙が溢れてくるわけでもなく。ただただ感情の渦に飲み込まれ体が言うことを利かない。
エリンが俺の背中を擦ってくれる。その手の温もりが嬉しかった。もし一人でこの場にいたら俺はどうなっていたのか分からない……
数分が経つと少し落ち着きエリンに話しかける。
「ありがとう……」
エリンは少し迷ったような表情をしたが意を決して話しだす。
「リゲル様は私があなたに会ったということを伝えるととても喜んでいらしました」
「……」
「そしてあなたがこの国に来ることがあれば、こちらに来るようにと」
エリンは家の中を歩き出し、俺もその後をついていく。
「私はペンタグラムに帰還後、リゲル様の元で働いておりました」
「ちょっとまって」
エリンが歩くを止める。
「どうしたんですか?」
「こっちに俺の部屋が有ったんだ」
俺は自分の部屋に向う、黙ってそれを見ているエリン。
柱についた傷、俺が棒を振り回しててつけたんだ……懐かしいな……ここに扉が……あれ?ない……
「確かにここに扉があって俺の部屋が有ったんだ!」
言い訳のように叫ぶするとエリンは壁を触るような合図を出し、俺が壁を触わる、すると少し違和感を感じる。
この壁二重になってる?コンコンと叩くと反響音がし中が空洞であることを物語っている。俺は剣を抜き壁を切ってみる。薄い木材でつくられたような壁は一刀両断され、中から扉がでてくる。
その扉を開くと昔のままの自分の部屋が現れる。
どうしてこんな隠すような真似をしたんだ? 疑問に思いエリンに聞いてみる。
「なんで隠してたのか知ってる?」
するとエリンはこちらにくるようにと言い、俺はエリンの指示したがい後をついて行く。
そしてエリンが止まった部屋は父の書斎だった。
「この部屋に真実があります」
そういってエリンは持っている鍵で父の書斎の扉を開いた。
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