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死者の迷宮編
第4話 最高のステータスを持った最低の鎧
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1層クリア後、ソフィアの街に戻ってくきた。
その頃にはホムホムさんは自信に溢れるような表情をして口を開く。
「初トライで一発クリアなんて私達凄くない? 明日から2層よ楽しみね!」
「ああ、ホムちゃんがヒール頑張ってたからだよ。2層のヒールも楽しみだよ」
「アランくん。ありがとう」
さっきまで立ってクリアできるように頑張るって言ってたのにこの変わりようである。くよくよしてるよりはマシか……
ちなみに倒したのは俺とリューネくんな。
「それじゃまた明日」
ホムホムさんとアランくんはそう言ってそそくさと立ち去ろうとする。
明日か……
「明日の攻略だけど……」
俺が口を挟もうとした時、
「あっごめん! 明日は用事があって……」
リューネくんが申し訳無さそうに話す。
ナイス! リューネくん! がここは残念そうな感じで……
「そっか、用事なら仕方ないねー明日の攻略は休みということで」
俺がそう言うとホムホムさん達は少し不服そうな感じで
「そ、そうそれなら仕方ないわね。明日は休みで」
そう言うとアランとどこかに行ってしまった。
俺が攻略を休みたかったのには理由がある。それはこの黎明シリーズの防具だ。
ほんとありがた迷惑。デバフ耐性中に毒無効。ありえないわ……
「それじゃ俺、おちまっす!」
「はい」
リューネくんとも別れて、ログアウトしようとした時。
「いい防具じゃん!」
「そうでしょ? このステータス値みて下さいよ」
「おお! いいね! 値段は?」
「1万でどうです?」
「1万! 1万でいいの?」
「もちろん!」
ふーん、いい装備が手に入って良かったですね……さあログアウト。
「特殊効果は何かなー……っげ! 毒耐性ダウンに麻痺耐性ダウン? さらに全身装備で即死耐性ダウン!」
へ? 俺はログアウトボタンに伸ばした手を止める。
「こ、こんな装備いるか! 1万貰っても要らないよ!」
「そ、そんなぁ…….」
俺はその声の方をみると、ゴザの上に鎧を並べて項垂れている男がいる。
早速、その男に駆け寄り声を掛ける。
「すいません。ちょっといいですか?」
その男は声に力なく応える。
「はい、なんでしょう?」
「あの、私の装備を作って欲しいんですけど」
「さっきの話、聞いてたんでしょ? 私の装備はポンコツですよ。他の人にお願いしたらどうですか?」
「いや、あなたにお願いしたいんです」
俺がそう言うとその男は少し元気になって
「そこまで言うなら仕方ないなー。で何の装備がいいの?」
「黎明シリーズ」
「は? 今着てんじゃん。からかってんの?」
「いえ……これには深い理由が……」
「どれ、どれ……は? このステータスで、デバフ耐性(中)に毒無効! すげぇ……銘はゴーラン!?」
男は俺の装備を見て大興奮している。
「おおおおお!! アルター生産職四天王の一人甲冑神ゴーラン作だって!!すげぇぇぇ」
生産職四天王とかいたんだ……
「こんなすげぇぇ装備をもっていながら、なんで俺なんかに同じもん作れっていうんだ? さては俺をバカにするつもりか?」
男は一転して不機嫌になり、俺を睨みつける。
ここは本当のことを言おう……スキル名は伏せておいて……
俺は感染スキルのことをこの男に説明する。
「なるほど……自身に罹ったデバフをねぇぇだからデバフ耐性がいらない。むしろデバフ耐性ダウンがほしいと……」
「はい。そうなんです。この装備全然デバフに罹らなくて……」
「あははははは。おもしれぇぇぇ! 普通逆だろ逆」
「ですよねぇぇ」
「いいだろう。俺が作ってやる。最高のステータスをもった最低の鎧をさ」
「ありがとうございます!!」
「おれはロジャーだ!」
「エイジです」
こういして生産職のロジャーさんとフレになった。
こうしてロジャーさんと話をして、今、装備している黎明シリーズの防具と同じ色、形で作ってもらえることになった。
ロジャーさんのSPスキルは運命の天秤という生産職のスキルらしい、このスキルはステータスに重きを置けば、生産物のステータスは上がるが付加能力がゴミなものになり、付加能力に重きを置けば、ステータスがゴミになってしまうという物で、平均的に作ると大したこと無いものしかできないらしい。
「2日後だ。2日後ここに来てほしい。最高の装備を作っておいてやる」
「はい!」
ロジャーさんと別れ、ログアウトをする。
――2日後。
ロジャーさんからTELがあり、2日前と同じ場所に向かう。まだ2層攻略時間の前だったので助かった。
「ロジャーさん!」
「おう! エイジ。メッセージでアイテム送りつけても良かったんだがな、おまえの反応が見たくてな」
ロジャーさんから装備一式を受け取る。
早速装備をする。色は形全く同じの黎明シリーズの防具だ。
「この付加能力でるまで10回は作り直したんだぞ」
そう言ってロジャーさんは胸を叩く。
エイジ2525 Lv17 ジョブ 剣士Lv12 タンクスタンス使用中
HP98
MP36
ATK 35(10)
DEF 68(40)
VIT55
STR50
DEX34
SPD24
INT26
MND26
SPスキル:感染
装備効果:デバフ耐性DOWN(大) デバフ効果時間延長
「おおおおすげぇぇぇ!! ステータス値がゴーラン製を越えてさらにデバフ耐性DOWNに全身装備スペシャル効果にデバフ効果時間延長とか……最高です……ロジャーさんあんた最高だよ!!」
「そこまで喜んでくれるとは作った甲斐があるってもんだ……」
ロジャーさんは少し涙ぐんでいる。
「今までゴミだのいらないだの言われ続けて、リセマラして別のスキルにしようかと思い悩んでたところだったんだ……」
「ロジャーさん……」
「ありがとよ……ここまでいってくれ俺は嬉しいわ。お代はいいよ」
「え? そんな訳にはいけません! これどうぞ」
俺はそう言ってなけなしの2万Gを渡す。
「いらねーって」
ロジャーさんはそう言って受け取らない。
「受け取ってください。そしてこれからも俺の装備を作って欲しいんです。これはその契約料です」
「ったく仕方ねぇぇな。分かったよ受け取る。これからもお前の装備作ってやるよ」
ロジャーさんと別れ、メンバーがまつウィンタールの死者の迷宮入り口まで向かう。
待っている3人に声を掛ける。
「ごめん、またせたね」
「じゃあ早速2層の攻略に向かいましょう」
ホムホムさんやアラン、リューネくんは俺の変化に全く気づくことは無く、俺達はダンジョン攻略に向かった。
その頃にはホムホムさんは自信に溢れるような表情をして口を開く。
「初トライで一発クリアなんて私達凄くない? 明日から2層よ楽しみね!」
「ああ、ホムちゃんがヒール頑張ってたからだよ。2層のヒールも楽しみだよ」
「アランくん。ありがとう」
さっきまで立ってクリアできるように頑張るって言ってたのにこの変わりようである。くよくよしてるよりはマシか……
ちなみに倒したのは俺とリューネくんな。
「それじゃまた明日」
ホムホムさんとアランくんはそう言ってそそくさと立ち去ろうとする。
明日か……
「明日の攻略だけど……」
俺が口を挟もうとした時、
「あっごめん! 明日は用事があって……」
リューネくんが申し訳無さそうに話す。
ナイス! リューネくん! がここは残念そうな感じで……
「そっか、用事なら仕方ないねー明日の攻略は休みということで」
俺がそう言うとホムホムさん達は少し不服そうな感じで
「そ、そうそれなら仕方ないわね。明日は休みで」
そう言うとアランとどこかに行ってしまった。
俺が攻略を休みたかったのには理由がある。それはこの黎明シリーズの防具だ。
ほんとありがた迷惑。デバフ耐性中に毒無効。ありえないわ……
「それじゃ俺、おちまっす!」
「はい」
リューネくんとも別れて、ログアウトしようとした時。
「いい防具じゃん!」
「そうでしょ? このステータス値みて下さいよ」
「おお! いいね! 値段は?」
「1万でどうです?」
「1万! 1万でいいの?」
「もちろん!」
ふーん、いい装備が手に入って良かったですね……さあログアウト。
「特殊効果は何かなー……っげ! 毒耐性ダウンに麻痺耐性ダウン? さらに全身装備で即死耐性ダウン!」
へ? 俺はログアウトボタンに伸ばした手を止める。
「こ、こんな装備いるか! 1万貰っても要らないよ!」
「そ、そんなぁ…….」
俺はその声の方をみると、ゴザの上に鎧を並べて項垂れている男がいる。
早速、その男に駆け寄り声を掛ける。
「すいません。ちょっといいですか?」
その男は声に力なく応える。
「はい、なんでしょう?」
「あの、私の装備を作って欲しいんですけど」
「さっきの話、聞いてたんでしょ? 私の装備はポンコツですよ。他の人にお願いしたらどうですか?」
「いや、あなたにお願いしたいんです」
俺がそう言うとその男は少し元気になって
「そこまで言うなら仕方ないなー。で何の装備がいいの?」
「黎明シリーズ」
「は? 今着てんじゃん。からかってんの?」
「いえ……これには深い理由が……」
「どれ、どれ……は? このステータスで、デバフ耐性(中)に毒無効! すげぇ……銘はゴーラン!?」
男は俺の装備を見て大興奮している。
「おおおおお!! アルター生産職四天王の一人甲冑神ゴーラン作だって!!すげぇぇぇ」
生産職四天王とかいたんだ……
「こんなすげぇぇ装備をもっていながら、なんで俺なんかに同じもん作れっていうんだ? さては俺をバカにするつもりか?」
男は一転して不機嫌になり、俺を睨みつける。
ここは本当のことを言おう……スキル名は伏せておいて……
俺は感染スキルのことをこの男に説明する。
「なるほど……自身に罹ったデバフをねぇぇだからデバフ耐性がいらない。むしろデバフ耐性ダウンがほしいと……」
「はい。そうなんです。この装備全然デバフに罹らなくて……」
「あははははは。おもしれぇぇぇ! 普通逆だろ逆」
「ですよねぇぇ」
「いいだろう。俺が作ってやる。最高のステータスをもった最低の鎧をさ」
「ありがとうございます!!」
「おれはロジャーだ!」
「エイジです」
こういして生産職のロジャーさんとフレになった。
こうしてロジャーさんと話をして、今、装備している黎明シリーズの防具と同じ色、形で作ってもらえることになった。
ロジャーさんのSPスキルは運命の天秤という生産職のスキルらしい、このスキルはステータスに重きを置けば、生産物のステータスは上がるが付加能力がゴミなものになり、付加能力に重きを置けば、ステータスがゴミになってしまうという物で、平均的に作ると大したこと無いものしかできないらしい。
「2日後だ。2日後ここに来てほしい。最高の装備を作っておいてやる」
「はい!」
ロジャーさんと別れ、ログアウトをする。
――2日後。
ロジャーさんからTELがあり、2日前と同じ場所に向かう。まだ2層攻略時間の前だったので助かった。
「ロジャーさん!」
「おう! エイジ。メッセージでアイテム送りつけても良かったんだがな、おまえの反応が見たくてな」
ロジャーさんから装備一式を受け取る。
早速装備をする。色は形全く同じの黎明シリーズの防具だ。
「この付加能力でるまで10回は作り直したんだぞ」
そう言ってロジャーさんは胸を叩く。
エイジ2525 Lv17 ジョブ 剣士Lv12 タンクスタンス使用中
HP98
MP36
ATK 35(10)
DEF 68(40)
VIT55
STR50
DEX34
SPD24
INT26
MND26
SPスキル:感染
装備効果:デバフ耐性DOWN(大) デバフ効果時間延長
「おおおおすげぇぇぇ!! ステータス値がゴーラン製を越えてさらにデバフ耐性DOWNに全身装備スペシャル効果にデバフ効果時間延長とか……最高です……ロジャーさんあんた最高だよ!!」
「そこまで喜んでくれるとは作った甲斐があるってもんだ……」
ロジャーさんは少し涙ぐんでいる。
「今までゴミだのいらないだの言われ続けて、リセマラして別のスキルにしようかと思い悩んでたところだったんだ……」
「ロジャーさん……」
「ありがとよ……ここまでいってくれ俺は嬉しいわ。お代はいいよ」
「え? そんな訳にはいけません! これどうぞ」
俺はそう言ってなけなしの2万Gを渡す。
「いらねーって」
ロジャーさんはそう言って受け取らない。
「受け取ってください。そしてこれからも俺の装備を作って欲しいんです。これはその契約料です」
「ったく仕方ねぇぇな。分かったよ受け取る。これからもお前の装備作ってやるよ」
ロジャーさんと別れ、メンバーがまつウィンタールの死者の迷宮入り口まで向かう。
待っている3人に声を掛ける。
「ごめん、またせたね」
「じゃあ早速2層の攻略に向かいましょう」
ホムホムさんやアラン、リューネくんは俺の変化に全く気づくことは無く、俺達はダンジョン攻略に向かった。
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