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大規模襲撃イベント バハムート編
第2話 ロックダウン
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真っ赤に燃えた口から火を放つバハムート。その火の直撃を受けたプレイヤーはタンクであろうと一瞬で消え去っている。
「ハリー! 」
近くにタケシことハリー・ボルダーの姿を見かけたので声をかける。
「エイジか……ありゃやべぇ勝てねぇわ。攻撃が強すぎて近寄れねぇ」
弱音を吐くタケシに俺は胸を張り自信満々に答える。
「俺がやってみる」
そう言うとタケシはハッとした表情を俺に向ける。
「……あっデバフか! 」
「うん。取り敢えず麻痺を使ってみる」
「何分ぐらい動かなくなる?」
「2分」
「わかった。みんなに知らせてくる」
タケシと別れ俺はシゲゾーの方を向いて頷く。シゲゾーはすぐに俺の背後に周り麻痺を入れる。
「……あ……」
射程距離忘れてた……
「ごめん……射程距離、10メートルだったの忘れてた」
「ったくしょうがねぇな」
シゲゾーにお姫様抱っこされ、俺達はバハムートに向けて走る。
バハムートは大きく息を吸い込む。すると口の中が真っ赤に燃えているようにみえる。
くるりと向きを変え、大きく開口し一軒家ほどの火球をプレイヤーに吐き出す。その火球を食らった多数のプレイヤーはダメージ表記もなく消滅している。
「あれを喰らえば即死ということか」
俺をお姫様抱っこしているシゲゾーが呟く。
すると今度は電車ほどの大きさの長く太い尻尾を振り回し、近くにいるプレイヤー達を吹き飛ばす。バハムートから50メートルは離れているのに、攻撃を受けたプレイヤーここまで吹き飛ばされてくる。
その数秒後にはこちらを向いたまま再び息を吸い込み、口の中に炎を蓄えているのが見える。
射程距離まであと10メートルといったところ、しかしあの炎を喰らえば消滅する! そう思った瞬間に俺の体は宙を舞っていた。
……シゲゾーが機転を利かせ俺の体を投げていた。
あと3メートル、2、1 バハムートが口に蓄えた炎を吐き出そうしているのが見える。
空を舞いながら俺はスキルを発動させる。
「ターゲットインフェクション! 」
体の動かない俺はそのまま地面に転がる。俺の体は、そのままうつ伏せになっており、今がどういう状況か分からない。
しかし、まだ生きてるということは俺の方が早くスキルを発動させたらしい。
「うおおおお!」
雄叫びとともにドドドと地鳴りのような音が聞こえる。
俺の身体は後ろからやってきたプレイヤーに蹴られ踏みつけられて、偶然バハムートが見える位置になる。
数百のプレイヤーが一斉に攻撃を加えているを見ているのは壮観だった。俺もその中に加わりたいと思うが麻痺で体は動かない。
麻痺が切れるのを今か今かと待ちわびていると……
突然視界にLOSEと表示され、ドゥルルンという如何にも負けたような音楽が聞こえてきた。
バハムートはその姿を消し、それまで空を覆っていた飛竜たちもその姿を消し、真っ青な空が広がる。
は?何が起きたのか分からない。皆も唖然としている。
誰かが言った。
「防衛失敗だ」
確かに右上のバーが防衛耐久度が0になっている。そう街の防衛ができてなかった。みんな初めての経験でバハムート討伐に集まったということなのだろう……
『ファールースの街はロックダウンされました』と表示がされ
襲撃戦貢献度resultと書いたものが現れる。
1位 1201pt ユーリ レッドデビル
2位 1152pt ダイチャントムーブ レッドデビル
3位 1123pt タヌキチ2323 レッドデビル
~ ~ ~
ユーリってユーリさん?あの初心者の頃にお世話になった……レッドデビルって確か、攻略トップクランって言ってたような……でも見かけ無かったな……
えっと俺は……
2124位 3pt エイジ2525 ムカデ団
は? 死ぬ思いでバハムートに麻痺入れたのにこの貢献度?は?
すっと手が伸びてくるシゲゾーの手だ。
「おつかれエイジ」
もう麻痺は切れているため、その手を取って立ち上がる。
「なあシゲゾー、貢献度いくつだった?」
「43ポイントで500位ぐらいかな」
「うそ? 私の貢献度低すぎ! 」
「何言ってんだよ」
「俺なんて3ポイントで2000位……」
「あはは、そりゃ低い」
「あーもうじゃあ麻痺使うの止めるか?」
「好きにすりゃあいい」
途中ではぐれたホムホムさん達と合流する。
「ダメだったね」
ホムホムさんはそう言って残念そうにしている。
「麻痺は入ったんだけどね……でも街が使えないってあんまり影響ないよね?」
「生産職やってないと知らないかもだけど、ファールースでしか手に入らない素材とかあったりするから結構痛いのよ」
「へーそうなんだ……」
何かしら影響があるもんなんだな……
遠目から見た街はボロボロに破壊されており、オレンジ屋根の真っ白な白壁の家なども見るも無残に壊され、まさに戦争でもあったような光景。
試しに街に入ろうとすると透明の壁があり入れず、『ファールースの街は72時間のロックダウン中です。あと71時間57分』と表示される。
街の近くで赤い髪をポニーテールにした女剣士。そうユーリさんの姿を見かける。
「ユーリさん」
俺が話し掛けるとこっち向く。そして
「エイジくん久しぶり」
と声を掛けてくれる。
「1位のユーリって人ユーリさん?」
「うん。そうよ。1位狙ってたわけじゃないけどねー防衛頑張ってたらなっちゃって」
そう言って明るく笑う。
「エイジくんも貢献度稼ぎたいなら防衛に専念した方がいいわよ」
「そうなんですか?」
「うん、飛竜1匹倒すごとにポイントが加算されるっぽいね。わたし達のクランはバハムート攻撃せず防衛に徹してたから」
「あーそうなんですね……今度試してみます」
「うん、それじゃ私達行くから」
ユーリさんはそう言って仲間達の元に戻っていった。
「ハリー! 」
近くにタケシことハリー・ボルダーの姿を見かけたので声をかける。
「エイジか……ありゃやべぇ勝てねぇわ。攻撃が強すぎて近寄れねぇ」
弱音を吐くタケシに俺は胸を張り自信満々に答える。
「俺がやってみる」
そう言うとタケシはハッとした表情を俺に向ける。
「……あっデバフか! 」
「うん。取り敢えず麻痺を使ってみる」
「何分ぐらい動かなくなる?」
「2分」
「わかった。みんなに知らせてくる」
タケシと別れ俺はシゲゾーの方を向いて頷く。シゲゾーはすぐに俺の背後に周り麻痺を入れる。
「……あ……」
射程距離忘れてた……
「ごめん……射程距離、10メートルだったの忘れてた」
「ったくしょうがねぇな」
シゲゾーにお姫様抱っこされ、俺達はバハムートに向けて走る。
バハムートは大きく息を吸い込む。すると口の中が真っ赤に燃えているようにみえる。
くるりと向きを変え、大きく開口し一軒家ほどの火球をプレイヤーに吐き出す。その火球を食らった多数のプレイヤーはダメージ表記もなく消滅している。
「あれを喰らえば即死ということか」
俺をお姫様抱っこしているシゲゾーが呟く。
すると今度は電車ほどの大きさの長く太い尻尾を振り回し、近くにいるプレイヤー達を吹き飛ばす。バハムートから50メートルは離れているのに、攻撃を受けたプレイヤーここまで吹き飛ばされてくる。
その数秒後にはこちらを向いたまま再び息を吸い込み、口の中に炎を蓄えているのが見える。
射程距離まであと10メートルといったところ、しかしあの炎を喰らえば消滅する! そう思った瞬間に俺の体は宙を舞っていた。
……シゲゾーが機転を利かせ俺の体を投げていた。
あと3メートル、2、1 バハムートが口に蓄えた炎を吐き出そうしているのが見える。
空を舞いながら俺はスキルを発動させる。
「ターゲットインフェクション! 」
体の動かない俺はそのまま地面に転がる。俺の体は、そのままうつ伏せになっており、今がどういう状況か分からない。
しかし、まだ生きてるということは俺の方が早くスキルを発動させたらしい。
「うおおおお!」
雄叫びとともにドドドと地鳴りのような音が聞こえる。
俺の身体は後ろからやってきたプレイヤーに蹴られ踏みつけられて、偶然バハムートが見える位置になる。
数百のプレイヤーが一斉に攻撃を加えているを見ているのは壮観だった。俺もその中に加わりたいと思うが麻痺で体は動かない。
麻痺が切れるのを今か今かと待ちわびていると……
突然視界にLOSEと表示され、ドゥルルンという如何にも負けたような音楽が聞こえてきた。
バハムートはその姿を消し、それまで空を覆っていた飛竜たちもその姿を消し、真っ青な空が広がる。
は?何が起きたのか分からない。皆も唖然としている。
誰かが言った。
「防衛失敗だ」
確かに右上のバーが防衛耐久度が0になっている。そう街の防衛ができてなかった。みんな初めての経験でバハムート討伐に集まったということなのだろう……
『ファールースの街はロックダウンされました』と表示がされ
襲撃戦貢献度resultと書いたものが現れる。
1位 1201pt ユーリ レッドデビル
2位 1152pt ダイチャントムーブ レッドデビル
3位 1123pt タヌキチ2323 レッドデビル
~ ~ ~
ユーリってユーリさん?あの初心者の頃にお世話になった……レッドデビルって確か、攻略トップクランって言ってたような……でも見かけ無かったな……
えっと俺は……
2124位 3pt エイジ2525 ムカデ団
は? 死ぬ思いでバハムートに麻痺入れたのにこの貢献度?は?
すっと手が伸びてくるシゲゾーの手だ。
「おつかれエイジ」
もう麻痺は切れているため、その手を取って立ち上がる。
「なあシゲゾー、貢献度いくつだった?」
「43ポイントで500位ぐらいかな」
「うそ? 私の貢献度低すぎ! 」
「何言ってんだよ」
「俺なんて3ポイントで2000位……」
「あはは、そりゃ低い」
「あーもうじゃあ麻痺使うの止めるか?」
「好きにすりゃあいい」
途中ではぐれたホムホムさん達と合流する。
「ダメだったね」
ホムホムさんはそう言って残念そうにしている。
「麻痺は入ったんだけどね……でも街が使えないってあんまり影響ないよね?」
「生産職やってないと知らないかもだけど、ファールースでしか手に入らない素材とかあったりするから結構痛いのよ」
「へーそうなんだ……」
何かしら影響があるもんなんだな……
遠目から見た街はボロボロに破壊されており、オレンジ屋根の真っ白な白壁の家なども見るも無残に壊され、まさに戦争でもあったような光景。
試しに街に入ろうとすると透明の壁があり入れず、『ファールースの街は72時間のロックダウン中です。あと71時間57分』と表示される。
街の近くで赤い髪をポニーテールにした女剣士。そうユーリさんの姿を見かける。
「ユーリさん」
俺が話し掛けるとこっち向く。そして
「エイジくん久しぶり」
と声を掛けてくれる。
「1位のユーリって人ユーリさん?」
「うん。そうよ。1位狙ってたわけじゃないけどねー防衛頑張ってたらなっちゃって」
そう言って明るく笑う。
「エイジくんも貢献度稼ぎたいなら防衛に専念した方がいいわよ」
「そうなんですか?」
「うん、飛竜1匹倒すごとにポイントが加算されるっぽいね。わたし達のクランはバハムート攻撃せず防衛に徹してたから」
「あーそうなんですね……今度試してみます」
「うん、それじゃ私達行くから」
ユーリさんはそう言って仲間達の元に戻っていった。
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