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大規模襲撃イベント バハムート編
第8話 スキル感染
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カイネスとニーナに連れられて、ソフィアの街のハウジングエリアというところにやってくる。
ハウジングエリアというのは、自分で家を持つことができるというシステムで、クラン名義であったり、個人名義であったりと金さえあれば家を持つことができる。
ちなみにヘパイスの工房はハウジングエリアではないが、生産職の特典として金さえ払えば工房も持つことができるというものらしい。
レッドデビルの拠点はこのソフィアの街のハウジングエリアの中心にある城のような建物。そこに続々と人が向かっている。その中にシゲゾーやタケシの姿もある。
その城のような建物の中に入ると赤い絨毯がバーンと敷かれた大広間がある。そこに百人ほどのクランの代表が集まっている。
「さすが、レッドデビルだね。人望も厚いね。ヘパイスだったこうは行かないよ」
そういってカイネスは苦笑をする。
「まあね。ヘパイスはみんなの嫌われ者だからねぇ」
カイネスの言葉にニーナも同意をする。
……みんなヘパイスのこと嫌いなんだな……
そうすると大広間の2階部分のエントランスにユーリさんと白い鎧を来た仏頂面の男が立っている。ザワザワしていた大広間がシーンと静まる。そしてユーリさんが口を開く。
「突然の呼びかけごめんなさい。こんなに集まってくれるなんて嬉しいわ。私はレッドデビルのサブリーダー、ユーリ。こっちの仏頂面のパラディンがリーダーのタヌキチ。みんなに集まって貰ったのは襲撃戦を突破するためにみんなで協力しようってことなんだけど……」
一人のライオネル族の女が手を上げる。
「どうぞ」
ユーリさんがそういうとその人が話始める。
「まあ、確かに今のままじゃ頭打ちだけど、バハムートを倒す術もないし、防衛に徹するしか無いんじゃないかしら? それに防衛の方が貢献度が高いし……」
「うんうん」と周囲の人たちは頷いている。
「そうね……バハムートは攻撃力も高い上に防御力も高い……私達も倒す術が全く思いつかないわ……でも最初の襲撃戦のときにバハムートの動きが止まったって情報があったの。その条件を突き止めたら倒すことができるんじゃないかしら?」
……あ……それ俺だわ……
「防衛を7、討伐を3……もしその条件がわかればこの比率で勝てると思うの……」
大広間はザワザワとし始める。
「確か……あの時誰かがバハムートの動きが止まるって言ってた……」
「そうだ! それが聞こえてすぐにバハムートの動きが止まったんだ……」
みな口々に話し出す。
ニーナがニヤニヤとした顔で俺を見る。
「あれやったのエイジくんでしょ?」
「……うん。なんで分かったの?」
「だって耐性無視でデバフいれられるのエイジくんぐらいでしょ? 大方麻痺ののデバフでもいれたんでしょ?」
「うん。正解」
「どうするの? 名乗り出るの?」
「……」
俺は口をつぐむ。なぜなら……PvPでスキルがバレるのは致命的……俺はまだ闘技場で1位になってない……
「あの時、動きが止まるって言ってたのこいつじゃね?」
誰かがタケシを指差してそう言った。
タケシは困ったというような表情で周囲をキョロキョロと見回し
「あれは、なんというか……偶然?」
と誤魔化している。
そんな時、シゲゾーからメッセージを受信する。
『お前のスキルはバレても対処は難しいし、たとえ対処されてもショーグンの時みたいに突破する方法一緒に考えようぜ。さっさと手を上げてハリーを助けてやんな』
わかったよ。ありがとう。シゲゾー……
俺が手を上げるとシーンと静まり、一斉に視線を感じる。
「エイジくん!?」
と驚きの声を上げるユーリさん。
俺はぐっと腹に力を入れて話し出す。
「俺のスキルです。俺のスキル感染は自身に罹ったデバフをコピーすることができるんです。そしてそのデバフは耐性無視する……」
一人が呆れたというような口調で口を挟む。
「んなことあるわけねーだろ」
そうするとそれと同調するかのように
「そうだ!そんなスキル聞いたことねー!」
と言うものなどで騒がしくなる。
ユーリさんも腕を組んで厳しい表情で
「それが本当ならいいんだけど……そんなスキル聞いたこともないし……」
といまいち信じられない様子。
「でも本当なんです! 信じてください!」
そう言うがユーリさんを始め、他の人達も信じられないといった態度。
カイネスが口を開き掛けたその時、俺の近くにいたブラックメイジの男が声をあげる。
「こいつの言ってることは本当だ! 俺こいつと闘技場で当たった事があって耐性無視してデバフを貰ったんだ! こいつの言ってることは本当だ!」
カイネスもメガネをクイッと上げて
「元イエローバグのカイネスだが、エイジくんのスキルは本物だよ。アダマンタイマイに防御力DOWNのデバフが確かに入った」
闘技場で当たった人とカイネスの言葉で空気が変わった。
「まじかよ……アダマンタイマイにデバフが入ったのかよ……」
と言った声が聞こえ始める。
ニーナは自身満々で平な胸を張って話す。
「そうよ! このアルターナンバーワン薬剤師のニーナの目の前でアダマンタイマイにデバフを入れたのよ! エイジくんは!」
ユーリさんはそれらを聞いてハッとして俺に申し訳なさそうに話しかける。
「ごめんねエイジくん。信じてあげられなくて……」
それに胸を張って俺は口を開く。
「大丈夫です。みんな最初は信じないんで」
そう答えてニコッと笑う。
それを聞いたユーリさんはうんと頷いて
「エイジくんありがとう……それじゃエイジくんを中心した討伐隊編成して、今度の襲撃戦は戦うわ。あとは防衛と討伐を担当するクランを決めるわ」
とユーリさんが言うとカイネスは俺の方を見て親指を立てる。
その時初めて、どうして俺をクラン会議なんかに参加させたのかカイネスの意図が分かった。カイネスは俺がバハムート討伐のキーとなると見ていたんだ。
ハウジングエリアというのは、自分で家を持つことができるというシステムで、クラン名義であったり、個人名義であったりと金さえあれば家を持つことができる。
ちなみにヘパイスの工房はハウジングエリアではないが、生産職の特典として金さえ払えば工房も持つことができるというものらしい。
レッドデビルの拠点はこのソフィアの街のハウジングエリアの中心にある城のような建物。そこに続々と人が向かっている。その中にシゲゾーやタケシの姿もある。
その城のような建物の中に入ると赤い絨毯がバーンと敷かれた大広間がある。そこに百人ほどのクランの代表が集まっている。
「さすが、レッドデビルだね。人望も厚いね。ヘパイスだったこうは行かないよ」
そういってカイネスは苦笑をする。
「まあね。ヘパイスはみんなの嫌われ者だからねぇ」
カイネスの言葉にニーナも同意をする。
……みんなヘパイスのこと嫌いなんだな……
そうすると大広間の2階部分のエントランスにユーリさんと白い鎧を来た仏頂面の男が立っている。ザワザワしていた大広間がシーンと静まる。そしてユーリさんが口を開く。
「突然の呼びかけごめんなさい。こんなに集まってくれるなんて嬉しいわ。私はレッドデビルのサブリーダー、ユーリ。こっちの仏頂面のパラディンがリーダーのタヌキチ。みんなに集まって貰ったのは襲撃戦を突破するためにみんなで協力しようってことなんだけど……」
一人のライオネル族の女が手を上げる。
「どうぞ」
ユーリさんがそういうとその人が話始める。
「まあ、確かに今のままじゃ頭打ちだけど、バハムートを倒す術もないし、防衛に徹するしか無いんじゃないかしら? それに防衛の方が貢献度が高いし……」
「うんうん」と周囲の人たちは頷いている。
「そうね……バハムートは攻撃力も高い上に防御力も高い……私達も倒す術が全く思いつかないわ……でも最初の襲撃戦のときにバハムートの動きが止まったって情報があったの。その条件を突き止めたら倒すことができるんじゃないかしら?」
……あ……それ俺だわ……
「防衛を7、討伐を3……もしその条件がわかればこの比率で勝てると思うの……」
大広間はザワザワとし始める。
「確か……あの時誰かがバハムートの動きが止まるって言ってた……」
「そうだ! それが聞こえてすぐにバハムートの動きが止まったんだ……」
みな口々に話し出す。
ニーナがニヤニヤとした顔で俺を見る。
「あれやったのエイジくんでしょ?」
「……うん。なんで分かったの?」
「だって耐性無視でデバフいれられるのエイジくんぐらいでしょ? 大方麻痺ののデバフでもいれたんでしょ?」
「うん。正解」
「どうするの? 名乗り出るの?」
「……」
俺は口をつぐむ。なぜなら……PvPでスキルがバレるのは致命的……俺はまだ闘技場で1位になってない……
「あの時、動きが止まるって言ってたのこいつじゃね?」
誰かがタケシを指差してそう言った。
タケシは困ったというような表情で周囲をキョロキョロと見回し
「あれは、なんというか……偶然?」
と誤魔化している。
そんな時、シゲゾーからメッセージを受信する。
『お前のスキルはバレても対処は難しいし、たとえ対処されてもショーグンの時みたいに突破する方法一緒に考えようぜ。さっさと手を上げてハリーを助けてやんな』
わかったよ。ありがとう。シゲゾー……
俺が手を上げるとシーンと静まり、一斉に視線を感じる。
「エイジくん!?」
と驚きの声を上げるユーリさん。
俺はぐっと腹に力を入れて話し出す。
「俺のスキルです。俺のスキル感染は自身に罹ったデバフをコピーすることができるんです。そしてそのデバフは耐性無視する……」
一人が呆れたというような口調で口を挟む。
「んなことあるわけねーだろ」
そうするとそれと同調するかのように
「そうだ!そんなスキル聞いたことねー!」
と言うものなどで騒がしくなる。
ユーリさんも腕を組んで厳しい表情で
「それが本当ならいいんだけど……そんなスキル聞いたこともないし……」
といまいち信じられない様子。
「でも本当なんです! 信じてください!」
そう言うがユーリさんを始め、他の人達も信じられないといった態度。
カイネスが口を開き掛けたその時、俺の近くにいたブラックメイジの男が声をあげる。
「こいつの言ってることは本当だ! 俺こいつと闘技場で当たった事があって耐性無視してデバフを貰ったんだ! こいつの言ってることは本当だ!」
カイネスもメガネをクイッと上げて
「元イエローバグのカイネスだが、エイジくんのスキルは本物だよ。アダマンタイマイに防御力DOWNのデバフが確かに入った」
闘技場で当たった人とカイネスの言葉で空気が変わった。
「まじかよ……アダマンタイマイにデバフが入ったのかよ……」
と言った声が聞こえ始める。
ニーナは自身満々で平な胸を張って話す。
「そうよ! このアルターナンバーワン薬剤師のニーナの目の前でアダマンタイマイにデバフを入れたのよ! エイジくんは!」
ユーリさんはそれらを聞いてハッとして俺に申し訳なさそうに話しかける。
「ごめんねエイジくん。信じてあげられなくて……」
それに胸を張って俺は口を開く。
「大丈夫です。みんな最初は信じないんで」
そう答えてニコッと笑う。
それを聞いたユーリさんはうんと頷いて
「エイジくんありがとう……それじゃエイジくんを中心した討伐隊編成して、今度の襲撃戦は戦うわ。あとは防衛と討伐を担当するクランを決めるわ」
とユーリさんが言うとカイネスは俺の方を見て親指を立てる。
その時初めて、どうして俺をクラン会議なんかに参加させたのかカイネスの意図が分かった。カイネスは俺がバハムート討伐のキーとなると見ていたんだ。
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