デバフの王〜スキルガチャでハズレスキル【感染】を手に入れたのでこれから無双したいと思います。〜

ぽいづん

文字の大きさ
53 / 85
大規模襲撃イベント バハムート編

第9話 みんなのデバフ

しおりを挟む
「は? そんなのダメに決まってんじゃん!」
 ヘパイスは怒ったような口調でカイネスを攻め立てる。

「防衛だけやって貢献度あげたらいいのお前らは! お前らの装備だっていくら掛かってると思ってんの?それにエイジにだって大枚はたいてるんだから!」
 興奮したヘパイスは早口でまくし立てるように話をする。

 クラン会議で決まったことを寝マクロから起きたヘパイスにカイネスが報告をしたのだ。

 そうあのクラン会議で俺達ヘパイス財団とレッドデビルその他クランがバハムート討伐隊として選ばれたのだ。
 当然、ヘパイスはその決定に激怒をする。

 まあこいつは自分がレアアイテム、ゴールデンハンマーさえゲットできたらいいだけなんだよなぁ。

 するとカイネスは冷静な表情でいつものようにメガネをクイッと上げて
「バハムートを倒したら確実に貢献度は凄まじくあがると思います。それをレッドデビルに取られてもいいと?」

 さっきまで威勢の良さは急になくなって
「……レッドデビル……ゴーランにだけは負けたくない……」
 と呟く。

 それを聞いて畳み掛けるようにカイネスが続ける。
「ですよね? さっきの納品で1位になったんですよね? そのままの勢いでバハムートを倒して終わらせれば良いんです」

 少しヘパイスは考え込んだあと顔を上げて
「お前たちがトドメを刺せる保証はあるのか?」
「それはどうなるか展開のアヤでしょうが、エイジくんのデバフを中心にした戦いになります。故にエイジくんの貢献度は確実に高くなります。もちろん我々も最大限の努力しますが」

「なるほど……そういうわけか……」
 そう呟いたヘパイスは俺の肩を叩き

「1500万分の活躍しろよ」
 と言ってふぁぁぁぁぁと大きなアクビをする。

「それじゃ俺は寝るから。あとはよろしく」
 そういってヘパイスは奥に言ってまた数字をいい始めた。

 ――翌朝

 校門の前でタケシが俺の肩を叩き話しかけてくる。
「大事になったな」
「ああ、まさか俺がなぁ」

「そうか?初めてお前のスキルを聞いた時から、お前のスキルすげぇと思ってたよ!」
 タケシは俺に親指を立てて見せる。

「はぁ? おまえリセマラ推奨っていったじゃねーか!」
「え? そうだっけ?」
 そう言ってワザとトボケてみせる。

 タケシは急に真剣な表情になる。
「俺はお前にデバフを付与することができないし、俺のクランは防衛担当になった。バハムートの討伐、絶対に頼むぞ。俺も倒せるまで頑張って必ず守りきってみせるから」

「うん。分かってる俺が必ず感染させてみせる」
 そう言ってタケシに親指を立てて見せた。

 ――数日後

 それから俺と襲撃戦の時間帯が合わず、数日が経過した。

 そして……夜の8時頃

『ファールースの街から救難信号!』

 警報音とともにこの表示が現れる。

 来た! ドキンと胸が高鳴る。俺がログインしてることはフレのユーリさんや同じクランのカイネスは知っている。そしてこの場所は一番、最初にバハムートが現れた場所! 最終決戦にはうってつけの場所だ!!

 ファールースの街に転移をする。

 すっかり元通りになったオレンジ屋根の白い壁の建物が立ち並び、大きな風車が海からの風を受けてゆっくりと回っている。

 その青空に暗雲のような飛竜の群れが現れる。

 ユーリさんの声が響く。
「討伐隊デバフ隊はこっちへ! 防衛隊は街へ急いで」

 続々と到着するプレイヤー達は各々に与えられた役割を果たすために、街に向かうもの。ユーリさんの元に向かうものとに分かれる。

 俺はユーリさんのもとに向かう。事前に決めた作戦はこうなっている。
 討伐隊と防衛隊、そしてデバフ隊の3グループに分かれる。討伐隊はバハムートに対して攻撃を加える。防衛隊は都市防衛に専念。

 そしてデバフ隊は俺にデバフを付与する、10名程度のデバッファーからなる部隊。薬剤師、忍者、狩人などのデバッファー選ばれている。

 そして忍者のシゲゾーが俺をバハムートの10メートル圏内に運ぶ。そして俺が感染を使用するとまたデバフ隊のもとに戻ってきてデバフを貰う。

 バハムートを倒すまでこの作業をずっと続けるということだ。

 数百名のプレイヤーの中心にユーリさん達、レッドデビルのメンバーがいる。俺達デバフ隊はそれを少し離れた場所で見守る。

「私達、レッドデビルがバハムートの注意を惹きつけます! その間にエイジくんの運搬をお願い! デバフが入ったら合図を出します。そしたら全員でバハムートを叩きましょう!! 」

 ユーリさんがそう言うと討伐隊に選ばれたプレイヤー達はうおおおおおおと勝どきを上げる。

 そしてユーリさん達レッドデビルのメンバーは先陣を切って、バハムートのもとに向かう。

「行ったわね」
 ニーナはそれを見て呟いた。

「さてと、俺達も仕事をするか」
 シゲゾーがそれに答えるように口を開く。

 うんとニーナは頷いて
「頼んだわよ。エイジくん!」
 と言って手に持ったビーカーを俺にぶっ掛ける。

 視界の真ん中に硫酸と表示される。

「僕のデバフを頼みます!」
 そう言って矢で撃たれる。

 視界の真ん中に毒と表示される。

「バハムート必ず倒しましょう!!」
 背後からそう声を掛けられ、バキッっという音ともに鈍足と表示される。

 こうして十数名のデバッファーから一言ずつ受け取りデバフを貰う。俺の視界は真っ黒でもう何も見えず、体も当然動かない。視界の右上には見たこともない数のデバフアイコン。

 現状プレイヤーが付与できるだけのデバフを貰ったということになる。

 しかしそのせいか、HPの減り半端ない。ヤバ死ぬっと思った瞬間HPがMAXまで回復する。
「大丈夫よ。私も同行するからデバフでエイジくんを死なせないわ」
 ニーナのその言葉がやたら力強く感じた。

 そして俺はシゲゾーに背負われて、バハムートのもとに向かった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...