デバフの王〜スキルガチャでハズレスキル【感染】を手に入れたのでこれから無双したいと思います。〜

ぽいづん

文字の大きさ
65 / 85
スキルを使って生き残れバトロワ編

第8話 範囲縮小

しおりを挟む
 取り敢えず2分待つか……小学生狩人のシビレ罠にかかった俺は為す術もなく棒立ちをしている。

 あと10秒程で麻痺が切れそうになるころ、ペキッと枝を踏む音がする。ちょうど俺の目の前から草をかき分けて斧を肩に掛けた、耳の尖ったエルフの男の人がブツブツと独り言をいいながら現れ俺と目が合う。

「え?」
 男はまさか

 やばい、早く感染をさせないと!
「ターゲットイン」

「クソ!」
 そう言って男は斧を構え跳び上がろうとする。

「……フェクション」
 俺のスキル発動のほうが早く跳び上がろうしたままの格好で麻痺となりそのまま転倒する。当然麻痺が入っているので起き上がることができない。

「え! 麻痺? なんでよ麻痺無効なのに!」
 男は転がったまま悔しそうに喚く。

 痺れのデバフが切れた俺はその男の前に立ち剣を抜こうとするとハッとした顔をして
「ま、まさかデバフの王!? すげー!! 俺デバフの王にデバフ貰っちゃった!」
 と嬉しそうな声を上げる。

 え?

 抜こうとした剣を一旦鞘に納めて話しかける。
「俺のこと知ってるの?」

「知ってるも何も!、今アルターで一番の有名人ですよ!! 知らなきゃヌーブですよ! 俺ファンなんですよ!! 王からデバフを貰えるなんて俺ついてるなぁ友達に自慢しちゃお」
 堰を切ったように早口で一方的に話しかけてくる。

「へ、へぇぇ」

 その勢いに押され気味になるが、俺のことが好きだと言う思いをビンビンに感じ悪い気はしない。いやむしろ気分が良い。

「本当に耐性無視でデバフが入るなんて感動しちゃうなぁ。バハムート戦一緒に戦えなくて動画でみたんですけど、俺、あれ見て感動しちゃって! 」

 タケシから聞いたのだが、俺がバハムートと戦っているところを感動的な音楽を付けて、かっこよく編集された動画がアップされ50万再生を突破したとかなんとか……

 動画のURLは教えて貰ったんだけどなんか照れ臭くて見てなかった。

「握手して貰っていいですか?」
 体を動かそうとするファンの男

「あ!麻痺ってたの忘れてました」
「いいよ。いいよ」
 ちょっとしたスター気分で麻痺して動かず仰向けになって寝ているファンの男の手を取って握手をしてあげる。

「ありがとうございます! 」
 男は嬉しそう話す。そして
「応援してます! 優勝を信じてます! 」
 という応援の言葉を貰いその言葉に答える。

「ありがとう優勝できるようにがんばるから」
 俺は手を離して、ぐっと親指をファンの男に立ててみせる。

 いやぁ流石にこのファンを殺すなんて真似はできないなぁ……これはチーミングってやつにはならないだろう……
「それじゃ俺安全地帯に行くから、君も頑張ってね」
「はい!」

 ファンの男と別れ俺は安全地帯に向かった。

 ◇◆◇

 バトロワ開始から30分経過。安全地帯第1段階の縮小開始。

 森の中をずっと安全地帯に向かって走っているとフォーンという音が鳴り響き、目の前に安全地帯範囲の縮小開始と表示がされる。

 まあ、なんとかファンの男にあってからは他のプレイヤーに遭遇することもなく、安全地帯まであと100メートルといったところまで走ってきた。この森を抜ければ安全地帯になるはず……

 後ろを見ると薄く赤い膜のようなものが後ろから迫ってきているのが見えた。まっこの距離だギリギリ間に合いそう。多少は安全地帯にいなくても持つって聞いてるし。

 安堵をした瞬間、思いっきり走っていた体が急に遅くなる。

「へ?」

 遅くなったとともに鈍足との表示。そして俺の横を駆け抜けていくロロリタ族の忍者の格好した奴。その忍者は俺の横に並ぶこっちを向いてニヤッと笑い
「ざまぁぁぁぁぁ」
 と話しかけてくる。

 ……かわいい顔をした女の子だった、というかどっかでみたことのある女の子……

 いやいや性別なんてどうでもいい……このままだと縮小に間に合わねぇぇ……やられた……あいつはこれを狙ってたのか! 範囲の縮小にギリギリ間に合いそうな奴に鈍足をいれて、絶望の淵に落とすつもりか。

 そんなことはさせねぇぇ……

「ターゲットインフェクション」

 取り敢えず先を行くあの性格の悪い忍者に鈍足を掛けておく。

 急に動きが遅くなった性悪女忍者は狼狽して叫ぶ。
「え! なんでよ! なんで私にも鈍足が入ってんのよ!! 」

 それを聞いて俺はその忍者の後ろをゆっくり走りながら話しかける
「んな性格の悪いことしてるからだよ!! ざまぁぁぁぁ」
「ふん! どうせあんたも死ぬんだから! おあいこよ!」

 その忍者と口喧嘩をしていると、赤い膜が体を通過をする。すると体から毎秒5のダメージが入りだす。安全地帯まで後数十メートルなのに……この移動速度の遅さじゃ間に合いそうにない……

「あんたと一緒に死ぬのは癪だけど、まあいいわ」
 そうっ言うと忍者の女はくるりとこちらをむいて、刀を構える。

 どうやら女忍者は諦めて俺を殺すことにしたらしい……

 タタタタタタタと軽快に走る音とともに、叫び声がきこえる
「おおおおおおおおおおおお!! 間に合えーーー」
 さっきのファンの声だ。彼はギリギリ間に合いそうだな……

 そして俺と忍者の横を駆け抜けて……行ったがくるりとこちらを向いて戻ってきて俺の横に立ちランニングをしながら話しかけてくる。
「王! 何してんですか? もう戦ってる場合じゃないですよ!」
「こいつに鈍足をもらっちゃって……」
「なるほど……」

 そういうとファンの男は俺の後ろに立つ。そして俺に話しかけてくる。
「ウォーリアのWSにはジャイアントスイングってやつがあるんです。このWSは対象を数十メートルノックバックさせることができる」

「でもそれだと君は……」
 俺がそういうとファンの男は

「いいんです! 俺は王が優勝するところがみたいんです!」


 女忍者はその話を聞くと
「そんなことはさせない!」
 とゆっくりと走ってきている。

 ファンの男は俺の足を掴みブンブンと振り回し、安全地帯の方向に投げ飛ばす!

 宙をとんだ俺の体は森を通り抜け、赤い膜の寸前で着地、そのままゴロゴロと転げながら赤い膜を通り抜けた。ジャイアントスイングで60ほどのダメージを受けたがなんとか生存している。

 飛んできた方をみるとファンの男は俺にガッツポーズをしてみせ、女忍者は刀を地面に叩きつけ悔しそうな素振りを見せた。

 ウォーリアのジャイアントスイングは敵をノックバックで吹き飛ばすことができるが目眩のデバフが入って暫く動けなくなる……

 そうジャイアントスイングを使わなければあのファンは安全地帯まで間に合ったはず……


しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...