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第2部 美少女天才ゲーマー編
第7話 釣り師のレベル上げ
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アルターにINすると俺はとある場所に行きゴールドシルクドレスを売ったお金で装備を購入する。
「これでよし。あとは神崎を待つだけだな」
1時間程待つと神崎からメッセージを受信する。
『いつもの場所でー』
とたった一言。
あの女子共、俺が神崎とこんなカップルみたいな待ち合わせなんてしてるなんて知ったら発狂するんだろうな。
などと思いつつ、神崎の待つソフィアの街の噴水広場に向かう。
「ちょっとなんでそんな格好してんのよ」
マッチョ神崎は俺の装備をみてツッコミを入れた。
俺は今、麦わら帽子に半袖半パン、手には木の竿を持っている。
「今日は釣り師のレベル上げだよ」
「は? 今日は私のメインアカウントレベル上げを手伝って言ったでしょ? それに私釣り師のレベルなんてあげないわよ。攻略サイトによると、釣りってただの趣味でお金を稼げるわけでもないんでしょ?」
「違うよ。今日は俺の釣り師のレベル上げに付き合ってって言ってるんだよ。昨日も一昨日もレベル上げに付き合ったんだから、俺のレベル上げに付き合ってくれてもいいんじゃない?俺の釣り師のレベル1だし」
「……私、釣り師の装備なんてもってないけど?」
「もってるよ神崎の分」
そう言って神崎に装備を渡そうとする。
するとしょうがないなというような表情をして
「わかったわよ。ただし1時間で交代ね。サブアカウントに変えてくるわ」
マッチョ神崎はログアウトして、美少女神崎になって帰ってくる。
美少女神崎に装備を渡す。
麦わら帽子に半袖半パンの俺と同じスタイルになる。
「これでいいのね。それじゃ行きましょ」
ソフィアの街の南部にある、港に行く、数人の釣り人が堤防から糸を垂らしている。
「釣りってどうやってやるのよ?」
と神崎が聞いてくる。
「俺も初めてだから分かんない。チュートリアルが起動すると思う」
案の定堤防に立つとチュートリアルが起動して、久しぶりに無機質な女の人の声が聞こえる。
竿を海に向けると餌を選ぶことができるようになり、餌を選択すると海に向かって竿を振ると釣りができるようになるらしい。浮きがピクンと沈むタイミングで竿を引くと当たり、魚の動きに合わせてリールを回して行けば釣れるということらしい。
「なるほど、なるほど」
と神崎は既に理解した言わんばかりに、既に釣り糸を垂らしている。
俺も神崎の横で釣り糸を垂らし、2人で並んで釣りをする。
「あ!」
俺の浮きがグンっと沈む。
「そこで引くのよ! 早く!」
が叫ぶ。
「う、うん」
と俺は頷き、思いっきり竿を引く。
するとギューーーンと竿が曲がる。
「え……こっからどうすればいいの?」
「ったくチュートリアルでやったでしょ! 魚の動きに合わせて竿を動かしてリールを回す!」
神崎に叱られながら言う通りにする。
ぐるぐるとリールを回すがなかなか難しい……そしてプツンと糸が切れる。
「ったく下手くそなんだから!」
となぜか神崎に叱られる。
「結構難しいよこれ?」
俺がそう言うと簡単よと言わんばかりに
「二宮くんには難しいのかも知れませんねぇ」
と悪態をついたその時。
今度は神崎の浮きがピクンと沈む。
「お手本を見せてあげるから!」
そう言って竿を引くと俺と同じ様にギューーーンと浮きが沈む竿がしなる。
「さあ見てなさい!」
左右に動く魚影に合わせて竿を移動させリールを巻いていく。やはりゲームセンスが違うのか、リールを上手に巻いていく。
「ほら、楽勝よ」
と神崎が言った時、神崎の竿から伸びる糸の先にある魚影に向かって大きな背びれが向かっていく。
「「え?」」
同時にすっとんきょな声を出す。
竿が折れそうなぐらいにしなる。
「に、二宮くん、て、手伝って」
「わ、分かった」
竿を持つだけで精一杯という感じの神崎、俺は後ろから覆い被さるように竿を持つ。
そこから4、5分サメとの格闘が続き……べキッという音がして竿が折れる。その反動で後ろに向けて二人で吹っ飛ぶ。
吹っ飛んだ先で神崎に声を掛ける。
「神崎さん大丈夫?」
ひっくり返っている神崎はそのままの体勢で答える。
「だ、大丈夫よ。あんなの反則よ。竿が折れるなんて」
起き上がって折れた竿を見せる。
「サメなんてレベル1で釣り上げられるわけないよね」
「ははは。そうよねぇ」
と言って二人で笑った。
俺はそれをみて神崎に話しかける。
「やっと神崎さんが笑った。神崎さんがこのゲームやってて楽しそうに笑ったとこ見たことなかったから」
「……そ、そう?」
そう言うと照れくさそうにする神崎。
「うん。邪推かもしれないけど、神崎さんがこのゲームを始めたのは別の自分になりたいからかなーと思って」
「……」
神崎は何も言わずに黙って話を聞いている。
「現実を完璧にこなす天才女子高生、そんな天才女子高生もゲームまでは完璧にこなす必要はないんじゃないかなーってね。まあ完璧にこなしたい性分なのかもしれないけど、ゲームぐらい適当に遊んでもいいんじゃないかって思ってね。だから釣りに誘ったんだよこのゲームの釣りってただの回り道にしかならない趣味らしいから」
神崎は暫く黙って何も言わなかったが唐突に口を開く。
「ねぇ。オンラインゲームで本名を言うのはマナー違反らしいじゃん」
俺は頷いて答える。
「そうだね」
「じゃあアカウント名で私のこと呼んでよ。マナってね、エイジ」
「え?」
「だから今から私のこと神崎って呼ぶの禁止! マナって呼んでね」
「わ、わかったよ……かんじゃなくてマナ……」
「それでよし! それじゃ今度は私のレベル上げ手伝ってよ1時間たったでしょ?」
「ああ いいよ」
「それじゃ、ちょっとまってて新しい竿を買ってくるから」
マナはそう言ってニコッと笑った。
「これでよし。あとは神崎を待つだけだな」
1時間程待つと神崎からメッセージを受信する。
『いつもの場所でー』
とたった一言。
あの女子共、俺が神崎とこんなカップルみたいな待ち合わせなんてしてるなんて知ったら発狂するんだろうな。
などと思いつつ、神崎の待つソフィアの街の噴水広場に向かう。
「ちょっとなんでそんな格好してんのよ」
マッチョ神崎は俺の装備をみてツッコミを入れた。
俺は今、麦わら帽子に半袖半パン、手には木の竿を持っている。
「今日は釣り師のレベル上げだよ」
「は? 今日は私のメインアカウントレベル上げを手伝って言ったでしょ? それに私釣り師のレベルなんてあげないわよ。攻略サイトによると、釣りってただの趣味でお金を稼げるわけでもないんでしょ?」
「違うよ。今日は俺の釣り師のレベル上げに付き合ってって言ってるんだよ。昨日も一昨日もレベル上げに付き合ったんだから、俺のレベル上げに付き合ってくれてもいいんじゃない?俺の釣り師のレベル1だし」
「……私、釣り師の装備なんてもってないけど?」
「もってるよ神崎の分」
そう言って神崎に装備を渡そうとする。
するとしょうがないなというような表情をして
「わかったわよ。ただし1時間で交代ね。サブアカウントに変えてくるわ」
マッチョ神崎はログアウトして、美少女神崎になって帰ってくる。
美少女神崎に装備を渡す。
麦わら帽子に半袖半パンの俺と同じスタイルになる。
「これでいいのね。それじゃ行きましょ」
ソフィアの街の南部にある、港に行く、数人の釣り人が堤防から糸を垂らしている。
「釣りってどうやってやるのよ?」
と神崎が聞いてくる。
「俺も初めてだから分かんない。チュートリアルが起動すると思う」
案の定堤防に立つとチュートリアルが起動して、久しぶりに無機質な女の人の声が聞こえる。
竿を海に向けると餌を選ぶことができるようになり、餌を選択すると海に向かって竿を振ると釣りができるようになるらしい。浮きがピクンと沈むタイミングで竿を引くと当たり、魚の動きに合わせてリールを回して行けば釣れるということらしい。
「なるほど、なるほど」
と神崎は既に理解した言わんばかりに、既に釣り糸を垂らしている。
俺も神崎の横で釣り糸を垂らし、2人で並んで釣りをする。
「あ!」
俺の浮きがグンっと沈む。
「そこで引くのよ! 早く!」
が叫ぶ。
「う、うん」
と俺は頷き、思いっきり竿を引く。
するとギューーーンと竿が曲がる。
「え……こっからどうすればいいの?」
「ったくチュートリアルでやったでしょ! 魚の動きに合わせて竿を動かしてリールを回す!」
神崎に叱られながら言う通りにする。
ぐるぐるとリールを回すがなかなか難しい……そしてプツンと糸が切れる。
「ったく下手くそなんだから!」
となぜか神崎に叱られる。
「結構難しいよこれ?」
俺がそう言うと簡単よと言わんばかりに
「二宮くんには難しいのかも知れませんねぇ」
と悪態をついたその時。
今度は神崎の浮きがピクンと沈む。
「お手本を見せてあげるから!」
そう言って竿を引くと俺と同じ様にギューーーンと浮きが沈む竿がしなる。
「さあ見てなさい!」
左右に動く魚影に合わせて竿を移動させリールを巻いていく。やはりゲームセンスが違うのか、リールを上手に巻いていく。
「ほら、楽勝よ」
と神崎が言った時、神崎の竿から伸びる糸の先にある魚影に向かって大きな背びれが向かっていく。
「「え?」」
同時にすっとんきょな声を出す。
竿が折れそうなぐらいにしなる。
「に、二宮くん、て、手伝って」
「わ、分かった」
竿を持つだけで精一杯という感じの神崎、俺は後ろから覆い被さるように竿を持つ。
そこから4、5分サメとの格闘が続き……べキッという音がして竿が折れる。その反動で後ろに向けて二人で吹っ飛ぶ。
吹っ飛んだ先で神崎に声を掛ける。
「神崎さん大丈夫?」
ひっくり返っている神崎はそのままの体勢で答える。
「だ、大丈夫よ。あんなの反則よ。竿が折れるなんて」
起き上がって折れた竿を見せる。
「サメなんてレベル1で釣り上げられるわけないよね」
「ははは。そうよねぇ」
と言って二人で笑った。
俺はそれをみて神崎に話しかける。
「やっと神崎さんが笑った。神崎さんがこのゲームやってて楽しそうに笑ったとこ見たことなかったから」
「……そ、そう?」
そう言うと照れくさそうにする神崎。
「うん。邪推かもしれないけど、神崎さんがこのゲームを始めたのは別の自分になりたいからかなーと思って」
「……」
神崎は何も言わずに黙って話を聞いている。
「現実を完璧にこなす天才女子高生、そんな天才女子高生もゲームまでは完璧にこなす必要はないんじゃないかなーってね。まあ完璧にこなしたい性分なのかもしれないけど、ゲームぐらい適当に遊んでもいいんじゃないかって思ってね。だから釣りに誘ったんだよこのゲームの釣りってただの回り道にしかならない趣味らしいから」
神崎は暫く黙って何も言わなかったが唐突に口を開く。
「ねぇ。オンラインゲームで本名を言うのはマナー違反らしいじゃん」
俺は頷いて答える。
「そうだね」
「じゃあアカウント名で私のこと呼んでよ。マナってね、エイジ」
「え?」
「だから今から私のこと神崎って呼ぶの禁止! マナって呼んでね」
「わ、わかったよ……かんじゃなくてマナ……」
「それでよし! それじゃ今度は私のレベル上げ手伝ってよ1時間たったでしょ?」
「ああ いいよ」
「それじゃ、ちょっとまってて新しい竿を買ってくるから」
マナはそう言ってニコッと笑った。
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