デバフの王〜スキルガチャでハズレスキル【感染】を手に入れたのでこれから無双したいと思います。〜

第2部 美少女天才ゲーマー編

第9話 棘が無くなりました

学校でタケシがニヤつきながら話し掛けてくる。
「お前、神崎と付き合ってんの？」

　タケシの言葉に一瞬、思考がフリーズする。

　その数秒後
「は！？　んなわけあるか！　」
　すると薄目であからさまに疑っているという目で俺のことを見る。

「俺が1週間ぶりログインしたら、神崎と二人でクラン作ってたろ？　それで付き合ってませーんとかありえないだろ！　このリア充が爆発しろよ！　」
「マナ……いや神崎がクラン作りたいって言ったから手伝っただけで」
　俺がそう言うとタケシは手を頭に当てて鼻息荒く俺を問い詰める。

「マぁぁぁナぁぁぁぁ！！　おぅふ……ファーストネームで呼びあう仲なのか……お前だけは俺の仲間だと思ってたのに……そうか……」

「いーや、ちょっとまて！　アイツのアカウント名がマナだろうが！！　」

「……そこまで必死に否定しなくてもいいんじゃない？　エ・イ・ジくん！」
　神崎の声が聞こえ、振り返るとニコニコとイタズラっぽく笑う神崎の姿がある。
「え？　いつから居たの？　」
「最初から最後までなんてねー。それじゃまた今晩。加川くんはちゃんと勉強しなさいよ」

　神崎はそう言って俺とタケシの横を通り過ぎる。その通り過ぎた後に石鹸のいい匂いが漂ってくる。

「なんかあいつ、棘がなくなってかわいくなったな……」
　タケシがボソッとそう言った。

　◇◆◇

「これでよし」
　ソフィアの街の道具屋で大量に目薬を購入するマナ。
「なんに使うんだよ。その目薬」

　はぁとため息をついてマナが俺に説明を始める。
「そろそろゲイザーの湧く時間でしょ？、Bランクのユニークモンスターゲイザーのポップトリガーは目薬でしょ？」
　さも当たり前かのように言われるが俺は知らない。ゲイザーなんて見たこともない。

「エイジ……このゲーム初めて一週間の私がゲイザー知ってるのに……」
「……俺は色々と忙しかったんだよ！　」
「ふーん……まあいいわ。行きましょう」

　そしてとあるフィールドで俺は上を向いて目の中に液体を一滴入れる。マッチョマナも俺と同じように上を向いて目薬を入れている。

　Bランクのユニークモンスターは大体1日か2日程度でリポップをする。そしてリポップさせるためにはトリガーと呼ばれる行動が必要。

　そしてゲイザーと呼ばれるBランクのユニークモンスターをポップさせるには目薬がトリガーということだ。

　正直Bランクのユニークモンスターは数も多くて、ユニークモンスターを狩るのが趣味の人ぐらいしかBランクのユニークモンスターの網羅してる人なんていない。

　フィールドには俺達と同じことをしている人間が数人にいる。この数人の人達がユニークモンスターを狩るのを趣味にしてる人達ということだ。

「もうそろそろ湧くとおもうんだけど」
　マナがそう呟く。

　目の前に急に暗くなるというか影になった、そう背後に何か巨大なものが居るということ……俺とマッチョマナが恐る恐る振り返ると……

　ワンボックスカー程の大きさの目玉の怪物が現れていた。

　はっきり言ってリアルな目玉の怪物を眼前でみると恐怖を覚える。

　それを見たマナは「ひぃぃっ！」と恐怖に慄く。
　俺は敢えて強がってマナに話しかける。
「あれ？　ゲイザー知ってるんじゃなかったっけ？」
「ちょ、ちょっとびっくりしただけよ！　あんたも後ずさりしてたじゃない！」

　そんな言い合いをしていると、ゲイザーギロリとこちらを見る。

　すると睨みつけというデバフを食らったという表示が現れ、体を動かすことができなくなる。

「マナ……やるぞ」
「分かってるわ」

「ターゲットインフェクション！」
　俺がゲイザーにスキルを使用する。すると攻撃の為に跳び上がろうとしていたゲイザーの体が動かなくなる。

　その睨みつけの効果は一定時間の移動することができなくなるというもの。当然俺はそのデバフをゲイザーにお返しする。

「今だマナ！」
　合図を出すとマナは
「デバフを力に！」
　と呟いた。すると、マッチョマナの体が赤く光ってマナに罹っていたデバフは解除され動けるようになる。反対に自分のデバフで動けなくなったゲイザーを殴り始めるマッチョマナ。

　同じ様に湧かしをしていた人達と一緒になってゲイザーをタコ殴りにする。

　数人でタコ殴りにしたおかげでゲイザーの睨みつけの効果が切れる前にゲイザーは消滅をした。

　そして乙女の涙を手に入れたと表示される。

　マナは嬉しそうに話す。
「やった！　レアアイテムゲット」
「そのアイテム何に使うんだ？」
　俺が聞くとマナは恥ずかしそうに答える。
「指輪に……」
　と。