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10.新しい先生
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セシリアに教育係をつけるのを喜んだのは、意外にもフリップだった。
「ようございました。
ハルワルド様を邸のものは心配しておりました。」
「ああ、セシリアを手に入れたら、僕だけのものにしたくて、彼女の意思を潰していたことに気がつかなかったよ。」
「ハルワルド様のセシリア様に対する執着はものすごいものでしたから、私としましては、こうなるのもしかたないかと思いますが、周りのものは、ハルワルド様を危惧しておりました。
セシリア様を潰してしまわれるのではないかと。」
「そうだね。
僕は現にそうしていた。
けれども、セシリアはそんな僕だって受け入れるんだ。
だから、決して潰れない。
野に春になると花が咲くように、どんなに寒い冬でも乗り越えて、また春に花を咲かせる。
セシリアは、つらいことがあっても、素直だからそれを吸収して、今より良くなろうと立ち上がる。
僕は箱に入れて飾るのではなく、セシリアを温かく見守るだけで良かったんだ。」
ハルワルドが紹介してくれた教育係の先生は細身のきりりとした方だった。
「初めまして、セシリア様
私はヘイリーと申します。
セシリア様はまずは何をお勉強したいですか?」
「私はまずは貴族の作法の復習です。
ハルワルドに指導してもらったのが、ちゃんと身についているか、先生の目で判断してほしいです。
そして最終的には、領地の管理までわかるようになりたいです。
例えば、治水工事についても知りたいです。」
「まぁ、セシリア様はとても意欲があるのですね。
素晴らしいことです。」
「ありがとうございます。
もっと早くにお勉強を初めていたら、良かったのですが、興味が沸いたのが、ハルワルドと結婚してからなのです。
これでは、みなさんに中身のない女と呼ばれても仕方がなかったですわ。」
「まぁ、そんな酷いことを?
本物の淑女は、そのようなことはおっしゃりません。
教養をひけらかすこともしませんのよ。
あなたを侮辱される方は、下品な方だと思って間違いありません。」
「そうですね。
ダリアン様はとても優しく接してくれました。
もしハルワルドから、酷い扱いを受けたら、頼っていいとおっしゃってくださりました。」
「まぁ、ダリアン様が?」
「はい、ハルワルドはいつでも優しいので、そのような機会はなかったのですが。」
「まぁ、素晴らしいわ。
ダリアン様は誰にでも、そのようなことをおっしゃらないのよ。
ありがたいことです。」
「はい、私もそう思います。
ただ、カミル様がその場に現れて、私にお付き合いをしようとおっしゃって、それで、ダリアン様ともそれきりになってしまって。」
「まぁ、それは酷い。
絶対にいけませんよ。
軽いお遊びのつもりかもしれませんが、ハルワルド様をないがしろにすることは、社交会からの追放を意味します。
いくら、カミル様でもです。
ハルワルド様はそれほどの力のある方です。
カミル様でも、追放なさるでしょう。」
「私、貴族としてのハルワルドのことあまり知らなくて。」
「ハルワルド様は、表向きは侯爵子息様ではありますが、侯爵当主様より明らかに力をお持ちです。
社交会では、敵にまわしてはいけない方です。」
「そうなのですか?
ハルワルドは何故それほどまでに力を持っているのかしら?」
「ここからは推測ですが、若かりし頃から、力を持つことを目標にやって来た方だと思われます。
すぐに、できることではありません。
長い時をかけて、作り出すものです。」
「そうなのですか。
何故それほどまでに、力をつけようとなさったのかしら?」
「それは、私どもにはわかりません。
いつか、お聞きになったらいかがですか?」
「はい、聞いてみます。」
ヘイリー先生から、教えていただくことは、どんな本にも載ってない貴族の内側で、私はヘイリー先生に出会えたことを感謝した。
「ようございました。
ハルワルド様を邸のものは心配しておりました。」
「ああ、セシリアを手に入れたら、僕だけのものにしたくて、彼女の意思を潰していたことに気がつかなかったよ。」
「ハルワルド様のセシリア様に対する執着はものすごいものでしたから、私としましては、こうなるのもしかたないかと思いますが、周りのものは、ハルワルド様を危惧しておりました。
セシリア様を潰してしまわれるのではないかと。」
「そうだね。
僕は現にそうしていた。
けれども、セシリアはそんな僕だって受け入れるんだ。
だから、決して潰れない。
野に春になると花が咲くように、どんなに寒い冬でも乗り越えて、また春に花を咲かせる。
セシリアは、つらいことがあっても、素直だからそれを吸収して、今より良くなろうと立ち上がる。
僕は箱に入れて飾るのではなく、セシリアを温かく見守るだけで良かったんだ。」
ハルワルドが紹介してくれた教育係の先生は細身のきりりとした方だった。
「初めまして、セシリア様
私はヘイリーと申します。
セシリア様はまずは何をお勉強したいですか?」
「私はまずは貴族の作法の復習です。
ハルワルドに指導してもらったのが、ちゃんと身についているか、先生の目で判断してほしいです。
そして最終的には、領地の管理までわかるようになりたいです。
例えば、治水工事についても知りたいです。」
「まぁ、セシリア様はとても意欲があるのですね。
素晴らしいことです。」
「ありがとうございます。
もっと早くにお勉強を初めていたら、良かったのですが、興味が沸いたのが、ハルワルドと結婚してからなのです。
これでは、みなさんに中身のない女と呼ばれても仕方がなかったですわ。」
「まぁ、そんな酷いことを?
本物の淑女は、そのようなことはおっしゃりません。
教養をひけらかすこともしませんのよ。
あなたを侮辱される方は、下品な方だと思って間違いありません。」
「そうですね。
ダリアン様はとても優しく接してくれました。
もしハルワルドから、酷い扱いを受けたら、頼っていいとおっしゃってくださりました。」
「まぁ、ダリアン様が?」
「はい、ハルワルドはいつでも優しいので、そのような機会はなかったのですが。」
「まぁ、素晴らしいわ。
ダリアン様は誰にでも、そのようなことをおっしゃらないのよ。
ありがたいことです。」
「はい、私もそう思います。
ただ、カミル様がその場に現れて、私にお付き合いをしようとおっしゃって、それで、ダリアン様ともそれきりになってしまって。」
「まぁ、それは酷い。
絶対にいけませんよ。
軽いお遊びのつもりかもしれませんが、ハルワルド様をないがしろにすることは、社交会からの追放を意味します。
いくら、カミル様でもです。
ハルワルド様はそれほどの力のある方です。
カミル様でも、追放なさるでしょう。」
「私、貴族としてのハルワルドのことあまり知らなくて。」
「ハルワルド様は、表向きは侯爵子息様ではありますが、侯爵当主様より明らかに力をお持ちです。
社交会では、敵にまわしてはいけない方です。」
「そうなのですか?
ハルワルドは何故それほどまでに力を持っているのかしら?」
「ここからは推測ですが、若かりし頃から、力を持つことを目標にやって来た方だと思われます。
すぐに、できることではありません。
長い時をかけて、作り出すものです。」
「そうなのですか。
何故それほどまでに、力をつけようとなさったのかしら?」
「それは、私どもにはわかりません。
いつか、お聞きになったらいかがですか?」
「はい、聞いてみます。」
ヘイリー先生から、教えていただくことは、どんな本にも載ってない貴族の内側で、私はヘイリー先生に出会えたことを感謝した。
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