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17.恋人
数日後から、侑斗は私の部屋に通い、勉強を教えてくれるようになった。
私はテキストを広げ、隣に座る彼にずっと悩んでいた問題を相談する。
「ここ、どうしてもわからないの…。」
「どれどれ。」
小声でつぶやくと、法律の専門書を読んでいた彼が体を傾け、肩と肩がかすかに触れる距離まで近づいてきた。
侑斗の指先がテキストに触れるたび、思い出す。
ああ私、ずっと彼の手の形が好きだったな。
少しごつごつしているのに、器用そうな指。
きっと私、たくさんの手の模型があったとしても、侑斗の手を探し出すことができる。
ふふ。
そんな能力があっても、使えるところなんてないのにね。
「この言葉の指す場所がわかると、答えが導き出せるんだ。」
解説を話す彼の声が響き、無心で聞き入ってしまう。
私、侑斗の声も好き。
低く響く声は私を離さず、ずっと聞いていたいと思わせる。
せっかく教えてくれているんだから、内容を頭に入れようと思っても、今度は温かい香りが私に届き、体が自然に彼の方へ引き寄せられ、抱きつきたくなる手を止めることすら難しい。
ダメだ。
侑斗のことが気になって、内容が全然入って来ない。
「…もう一回、教えてくれる?」
彼の手も声もすべてが、私を勉強に集中させてくれない。
教えてくれているのに明らかに違うことを考えているのが恥ずかしく、赤くなった顔をそらす私を見て、彼が手を伸ばし、私の手にそっと触れる。
二人の指が絡み合い、静かにその繋がった手をお互いに見つめる。
すると、肩が触れる距離で、彼の視線が熱く私を見つめてきた。
それを受けて、私も彼を見つめ返す。
「そんな顔で見つめられたら、勉強に集中しろって、怒れない。
好きだよ、華。
大学を卒業してなくても、付き合おう。
好きって言い合うだけじゃ俺、満足できないし、待てない。
ちゃんと卒業するまでフォローするから。」
「…うん、本当は私も早く付き合いたい。
でも、親に伝えるのは、卒業してからでもいい?」
「うん、華がそうしたいなら。」
「うん、だったらいいよ。」
「よし、じゃあ今から、俺達は恋人同士だぞ。」
「わかったわ。」
「はー、今すぐイチャイチャしたいけど、約束したし、とりあえず先に勉強しちゃおう。
それまで、恋人モードはおあずけ。
だから華もニヤニヤすんな。
そのかわり、終わったら二人でお祝いな、約束だぞ。」
「うん。」
二人でテキストに向き直り、意識を集中させようとするが、彼の声が低く囁き、どうしても難しい。
意識しないようにすればするほど、テキストの文字はもう目に入らず、私は彼だけでいっぱいになっていた。
勉強しているはずなのに、いつの間にか甘く切ない時間に迷い込んでしまう。
いつから私達は、勉強していても、お互いを意識するようになったんだろう。
子供の頃は、こんな気持ち全然知らなかった。
でも今は、ただ二人で勉強しているだけで、こんなにも甘くなってしまう。
その後、大森君は大学を辞め、私は侑斗と付き合ったこともあり、通信大学の仲間達とは距離を置くようになった。
私は容疑が晴れたので、会社で仕事を続けているけれど、小池さんは辞職していった。
留置所で過ごした時は、明日をも見えないほど追い込まれたけれど、侑斗が関わったおかげで、その後、警察に呼ばれることは一切なかった。
彼はいつも、私のトラブルを完璧に収めてくれる。
「ねえ、警察署に侑斗が来てくれた時の依頼料を払いたいんだけど?」
「恋人同士だからいらない。
俺は華のために弁護士の仕事をするし、華は俺のために部屋の掃除してくれてるだろ?
だから、おあいこ。」
「でも、侑斗のやってくれたことは、特別な知識と資格を持った人しかできないことだし。
私のところに来てくれてた間、仕事に穴あけてない?」
「有休使ったから、大丈夫。
久しぶりに華に会いに行くんだから、るんるんだったよ。」
「嘘、そんな顔してなかったよ。」
「俺だって、警察署の中ではそれらしい顔するさ。」
「それはそうだろうけど。
でも、侑斗に迷惑かけちゃったから、気持ちだけでも払いたいの。」
「きっとさぁ、料理人の彼氏は彼女に熟練の技を駆使して、美味しいご飯を作ってあげると思うんだ。
でも、彼女にお金を請求しない。
それと同じだよ。」
「確かにそうだけど、私ばっかり特別なことをしてもらうのって、申し訳なくて。」
「何、そんなに俺に何かしたいの?
だったら、ヘッドマッサージしてくれてもいいよ。
大森の裁判で使う華の意見書作ってるんだけど、一日中パソコン見てるから、目が限界でさ。」
「えー、そうだよね。
ここに座って。
ぜひやらせてもらいます。」
「うん、ありがとう。」
侑斗を目の前のソファに座らせると、後ろから彼の髪にそっと指を差し入れる。
柔らかな髪を梳くたびに、彼は目を細め、ほっとしたように息をついた。
「力加減、大丈夫?」
「…気持ちいい。
眠くなるかも。」
くすぐったそうに笑いながらも、彼は頭を預けてくる。
私はゆっくりと指の腹で、繰り返しこめかみを押していく。
彼の普段と違う無防備な表情に胸が熱くなる。
侑斗はずっと勉強も仕事も全力で頑張って来たよね。
その姿も素敵だけど、どうか私のそばでは、少しだけ休んでほしいと思うの。
あなたはいつでも全力で、自分に頼って来る人を助けようとする人だから。
「…たまにこうしてもいい?」
「うん。
華に触れられてると、何もいらない気がする。」
「嬉しい。
私も侑斗のためにできることがあるんだね。」
「華は気づいてないけれど、ずっと俺を支えてくれてるよ。
仕事でどんなに心が折れそうになっても、これが終わったら華に会えると思えば、乗り越えて行きたくなるんだよ。
それに、会えない夜はスマホの華の写真を見て、あー可愛いって言っちゃってるし。
だから俺達は、支え合ってる。
それを忘れないで。」
「うん。」
囁かれた言葉に、普段はあまり教えてくれない一人でいる時の侑斗の本音が垣間見える。
目を瞑ってリラックスしているから、素直な心が漏れているのだろう。
そんな姿に、指先だけでなく心までも彼を包み込んでしまいたい衝動に駆られる。
髪を撫でながら、二人の間に甘く穏やかな時間が流れていった。
それから、何とか私は大学を卒業することができ、ついに両親にも紹介できるようなお似合いのカップルになった。
多分だけど。
私はテキストを広げ、隣に座る彼にずっと悩んでいた問題を相談する。
「ここ、どうしてもわからないの…。」
「どれどれ。」
小声でつぶやくと、法律の専門書を読んでいた彼が体を傾け、肩と肩がかすかに触れる距離まで近づいてきた。
侑斗の指先がテキストに触れるたび、思い出す。
ああ私、ずっと彼の手の形が好きだったな。
少しごつごつしているのに、器用そうな指。
きっと私、たくさんの手の模型があったとしても、侑斗の手を探し出すことができる。
ふふ。
そんな能力があっても、使えるところなんてないのにね。
「この言葉の指す場所がわかると、答えが導き出せるんだ。」
解説を話す彼の声が響き、無心で聞き入ってしまう。
私、侑斗の声も好き。
低く響く声は私を離さず、ずっと聞いていたいと思わせる。
せっかく教えてくれているんだから、内容を頭に入れようと思っても、今度は温かい香りが私に届き、体が自然に彼の方へ引き寄せられ、抱きつきたくなる手を止めることすら難しい。
ダメだ。
侑斗のことが気になって、内容が全然入って来ない。
「…もう一回、教えてくれる?」
彼の手も声もすべてが、私を勉強に集中させてくれない。
教えてくれているのに明らかに違うことを考えているのが恥ずかしく、赤くなった顔をそらす私を見て、彼が手を伸ばし、私の手にそっと触れる。
二人の指が絡み合い、静かにその繋がった手をお互いに見つめる。
すると、肩が触れる距離で、彼の視線が熱く私を見つめてきた。
それを受けて、私も彼を見つめ返す。
「そんな顔で見つめられたら、勉強に集中しろって、怒れない。
好きだよ、華。
大学を卒業してなくても、付き合おう。
好きって言い合うだけじゃ俺、満足できないし、待てない。
ちゃんと卒業するまでフォローするから。」
「…うん、本当は私も早く付き合いたい。
でも、親に伝えるのは、卒業してからでもいい?」
「うん、華がそうしたいなら。」
「うん、だったらいいよ。」
「よし、じゃあ今から、俺達は恋人同士だぞ。」
「わかったわ。」
「はー、今すぐイチャイチャしたいけど、約束したし、とりあえず先に勉強しちゃおう。
それまで、恋人モードはおあずけ。
だから華もニヤニヤすんな。
そのかわり、終わったら二人でお祝いな、約束だぞ。」
「うん。」
二人でテキストに向き直り、意識を集中させようとするが、彼の声が低く囁き、どうしても難しい。
意識しないようにすればするほど、テキストの文字はもう目に入らず、私は彼だけでいっぱいになっていた。
勉強しているはずなのに、いつの間にか甘く切ない時間に迷い込んでしまう。
いつから私達は、勉強していても、お互いを意識するようになったんだろう。
子供の頃は、こんな気持ち全然知らなかった。
でも今は、ただ二人で勉強しているだけで、こんなにも甘くなってしまう。
その後、大森君は大学を辞め、私は侑斗と付き合ったこともあり、通信大学の仲間達とは距離を置くようになった。
私は容疑が晴れたので、会社で仕事を続けているけれど、小池さんは辞職していった。
留置所で過ごした時は、明日をも見えないほど追い込まれたけれど、侑斗が関わったおかげで、その後、警察に呼ばれることは一切なかった。
彼はいつも、私のトラブルを完璧に収めてくれる。
「ねえ、警察署に侑斗が来てくれた時の依頼料を払いたいんだけど?」
「恋人同士だからいらない。
俺は華のために弁護士の仕事をするし、華は俺のために部屋の掃除してくれてるだろ?
だから、おあいこ。」
「でも、侑斗のやってくれたことは、特別な知識と資格を持った人しかできないことだし。
私のところに来てくれてた間、仕事に穴あけてない?」
「有休使ったから、大丈夫。
久しぶりに華に会いに行くんだから、るんるんだったよ。」
「嘘、そんな顔してなかったよ。」
「俺だって、警察署の中ではそれらしい顔するさ。」
「それはそうだろうけど。
でも、侑斗に迷惑かけちゃったから、気持ちだけでも払いたいの。」
「きっとさぁ、料理人の彼氏は彼女に熟練の技を駆使して、美味しいご飯を作ってあげると思うんだ。
でも、彼女にお金を請求しない。
それと同じだよ。」
「確かにそうだけど、私ばっかり特別なことをしてもらうのって、申し訳なくて。」
「何、そんなに俺に何かしたいの?
だったら、ヘッドマッサージしてくれてもいいよ。
大森の裁判で使う華の意見書作ってるんだけど、一日中パソコン見てるから、目が限界でさ。」
「えー、そうだよね。
ここに座って。
ぜひやらせてもらいます。」
「うん、ありがとう。」
侑斗を目の前のソファに座らせると、後ろから彼の髪にそっと指を差し入れる。
柔らかな髪を梳くたびに、彼は目を細め、ほっとしたように息をついた。
「力加減、大丈夫?」
「…気持ちいい。
眠くなるかも。」
くすぐったそうに笑いながらも、彼は頭を預けてくる。
私はゆっくりと指の腹で、繰り返しこめかみを押していく。
彼の普段と違う無防備な表情に胸が熱くなる。
侑斗はずっと勉強も仕事も全力で頑張って来たよね。
その姿も素敵だけど、どうか私のそばでは、少しだけ休んでほしいと思うの。
あなたはいつでも全力で、自分に頼って来る人を助けようとする人だから。
「…たまにこうしてもいい?」
「うん。
華に触れられてると、何もいらない気がする。」
「嬉しい。
私も侑斗のためにできることがあるんだね。」
「華は気づいてないけれど、ずっと俺を支えてくれてるよ。
仕事でどんなに心が折れそうになっても、これが終わったら華に会えると思えば、乗り越えて行きたくなるんだよ。
それに、会えない夜はスマホの華の写真を見て、あー可愛いって言っちゃってるし。
だから俺達は、支え合ってる。
それを忘れないで。」
「うん。」
囁かれた言葉に、普段はあまり教えてくれない一人でいる時の侑斗の本音が垣間見える。
目を瞑ってリラックスしているから、素直な心が漏れているのだろう。
そんな姿に、指先だけでなく心までも彼を包み込んでしまいたい衝動に駆られる。
髪を撫でながら、二人の間に甘く穏やかな時間が流れていった。
それから、何とか私は大学を卒業することができ、ついに両親にも紹介できるようなお似合いのカップルになった。
多分だけど。
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