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8.家出少年
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王宮にいるナイジェルは、今日は特にやる気が出ないと思っていた。
もう、執務は終わり、眠気が酷い。
ああ、そう言えば、あのスッキリするお茶って効くのかなぁ?
ナイジェルは早速、お茶を入れて飲んでみることにする。
そのお茶は、ミントのような茶葉をブレンドした少し酸味がある爽やかなお茶だった。
ん、何か目が覚めた気がする。
正直こう言うので、効果があるとかいうのは、飲んだ人の気のせいぐらいに思っていた。
だけど、これは違う。
さすが、街外れの店なのに、わざわざ買いに行く人がいるのは、こう言うことなんだな。
僕はいやに納得した。
その後、やっと帰る時間になったので、邸に帰ろうとすると、
「お疲れ様です。
ナイジェル様。
今日は邸にお客様が来ています。」
影が王宮内で話しかけて来た。
「また、何かあるんだね。
わざわざ王宮内ってことは?」
王宮内では、それぞれの影が出入りしているが、王族達は、あまりそれをよしとしていないため、特別なことがない場合は、話しかけて来ない。
「はい、第一王子が家出して、邸に来ています。」
「は?」
「ここの子になるだそうです。」
報告する影は、顔が引き攣っている。
「実は王宮内で、第一王子がいなくなったと、密かに大捜索が行われています。」
「何それ?
僕だけじゃ、手に負えないやつ。
急ぎ、王妃と面会だよ。
ここまで来ると、面倒だ。
さすがに笑えない。」
ナイジェルは急遽、王子のことを心配しているお忍びの王妃と共に、馬車で邸に戻った。
「コーデリアを呼んで。」
ナイジェルは応接室で、表向きは優雅に、お茶を飲みながら、王妃と共にコーデリアを待つ。
そこへ、慌てたコーデリアがやって来る。
そして、王妃を見ると、ビックリとしたようすで、顔を引きつらせながら、カーテシーをする。
「王妃様、こちらは妻のコーデリアです。
コーデリア、王妃様に説明を。」
「はい、古井戸の穴が塞がれたか確認に向かった帰り道で、不貞腐れて石を川に投げている少年を見つけました。
気になって話しかけると、ユリウス王子だと言い、王宮から家出して来たとのことです。
王子は、もう王宮に帰りたくないと話しています。」
「そんなことを?
まぁ、いいわ。
私をユリウス王子のところに、案内してちょうだい。」
「ちょっと待ってください、王妃様。
彼は自分ばっかり、勉強させられているのが、納得いかないみたいです。
なので、勉強の量を、第二王子様と同じにしてあげてください。
第二王子様だって、もしかしたら、将来王位につく可能性はあるのでしょうし。」
「あなた、私に向かって、随分はっきりと意見するのね。」
王妃はコーデリアを睨みつける。
「納得していないのに、ただ連れ帰ってもいいことはありません。
彼の言い分はもっともです。」
「コーデリアね。
覚えておくわ。」
そう言い残して、王妃はユリウス王子をつれ戻そうと話をしに行くが、頑なな王子の説得を失敗する。
「しょうがないから、悪いけれど、もう少しユリウスをこちらで預かってくれるかしら?
あなたの言うように、無理矢理連れ帰っても、また、家出してしまう気がするわ。
少なくとも、ここにいれば、王子は安全だろうから。
私の一存で、第二王子の勉強量を変えるのは、不可能なの。
調整が必要だわ。」
「わかりました、王妃様。」
王妃は、連れ帰るのを諦めて、王子付きの従者や影をたくさん邸に配置につかせると、王宮に戻って行った。
その後食堂では、コーデリアとナイジェル、ユリウス第一王子と三人で、遅くなった夕食を食べている。
「コーデリアはそれにしても、王妃様相手にも、躊躇うことなく、はっきり意見するんだね。
僕は胸がキューってなったよ。
不敬罪とかで、捕らえられたら、どうしようって。」
「ナイジェル様、心配おかけしてすみません。
でも、ユリウス様の気持ちを伝えなきゃって思ったら、思わず言ってしまっていました。」
「僕のためにすみません。」
多感な十代のユリウス王子は申し訳なさそうにする。
「いいんだよ。
コーデリアの人のために動く姿は、本当に揺るぎないんだなって、感心してさ、ちょっと感動すら覚えるよ。
だって、王妃様にすら助けたいからって、意見するとは、さすが僕の奥さんだね。
それでこそ、コーデリアだ。」
ナイジェルは立場とか、今後の侯爵家の未来とか、そんなものはすべて後回しにして、今ここにいる少年である王子を、精一杯守ろうとするコーデリアに満足するのだった。
もう、執務は終わり、眠気が酷い。
ああ、そう言えば、あのスッキリするお茶って効くのかなぁ?
ナイジェルは早速、お茶を入れて飲んでみることにする。
そのお茶は、ミントのような茶葉をブレンドした少し酸味がある爽やかなお茶だった。
ん、何か目が覚めた気がする。
正直こう言うので、効果があるとかいうのは、飲んだ人の気のせいぐらいに思っていた。
だけど、これは違う。
さすが、街外れの店なのに、わざわざ買いに行く人がいるのは、こう言うことなんだな。
僕はいやに納得した。
その後、やっと帰る時間になったので、邸に帰ろうとすると、
「お疲れ様です。
ナイジェル様。
今日は邸にお客様が来ています。」
影が王宮内で話しかけて来た。
「また、何かあるんだね。
わざわざ王宮内ってことは?」
王宮内では、それぞれの影が出入りしているが、王族達は、あまりそれをよしとしていないため、特別なことがない場合は、話しかけて来ない。
「はい、第一王子が家出して、邸に来ています。」
「は?」
「ここの子になるだそうです。」
報告する影は、顔が引き攣っている。
「実は王宮内で、第一王子がいなくなったと、密かに大捜索が行われています。」
「何それ?
僕だけじゃ、手に負えないやつ。
急ぎ、王妃と面会だよ。
ここまで来ると、面倒だ。
さすがに笑えない。」
ナイジェルは急遽、王子のことを心配しているお忍びの王妃と共に、馬車で邸に戻った。
「コーデリアを呼んで。」
ナイジェルは応接室で、表向きは優雅に、お茶を飲みながら、王妃と共にコーデリアを待つ。
そこへ、慌てたコーデリアがやって来る。
そして、王妃を見ると、ビックリとしたようすで、顔を引きつらせながら、カーテシーをする。
「王妃様、こちらは妻のコーデリアです。
コーデリア、王妃様に説明を。」
「はい、古井戸の穴が塞がれたか確認に向かった帰り道で、不貞腐れて石を川に投げている少年を見つけました。
気になって話しかけると、ユリウス王子だと言い、王宮から家出して来たとのことです。
王子は、もう王宮に帰りたくないと話しています。」
「そんなことを?
まぁ、いいわ。
私をユリウス王子のところに、案内してちょうだい。」
「ちょっと待ってください、王妃様。
彼は自分ばっかり、勉強させられているのが、納得いかないみたいです。
なので、勉強の量を、第二王子様と同じにしてあげてください。
第二王子様だって、もしかしたら、将来王位につく可能性はあるのでしょうし。」
「あなた、私に向かって、随分はっきりと意見するのね。」
王妃はコーデリアを睨みつける。
「納得していないのに、ただ連れ帰ってもいいことはありません。
彼の言い分はもっともです。」
「コーデリアね。
覚えておくわ。」
そう言い残して、王妃はユリウス王子をつれ戻そうと話をしに行くが、頑なな王子の説得を失敗する。
「しょうがないから、悪いけれど、もう少しユリウスをこちらで預かってくれるかしら?
あなたの言うように、無理矢理連れ帰っても、また、家出してしまう気がするわ。
少なくとも、ここにいれば、王子は安全だろうから。
私の一存で、第二王子の勉強量を変えるのは、不可能なの。
調整が必要だわ。」
「わかりました、王妃様。」
王妃は、連れ帰るのを諦めて、王子付きの従者や影をたくさん邸に配置につかせると、王宮に戻って行った。
その後食堂では、コーデリアとナイジェル、ユリウス第一王子と三人で、遅くなった夕食を食べている。
「コーデリアはそれにしても、王妃様相手にも、躊躇うことなく、はっきり意見するんだね。
僕は胸がキューってなったよ。
不敬罪とかで、捕らえられたら、どうしようって。」
「ナイジェル様、心配おかけしてすみません。
でも、ユリウス様の気持ちを伝えなきゃって思ったら、思わず言ってしまっていました。」
「僕のためにすみません。」
多感な十代のユリウス王子は申し訳なさそうにする。
「いいんだよ。
コーデリアの人のために動く姿は、本当に揺るぎないんだなって、感心してさ、ちょっと感動すら覚えるよ。
だって、王妃様にすら助けたいからって、意見するとは、さすが僕の奥さんだね。
それでこそ、コーデリアだ。」
ナイジェルは立場とか、今後の侯爵家の未来とか、そんなものはすべて後回しにして、今ここにいる少年である王子を、精一杯守ろうとするコーデリアに満足するのだった。
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