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9.眠そうな人
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ナイジェルの王宮での執務はほぼ終わり、周りを見渡すと、眠そうになりながらも、必死に起きて、執務をこなそうとしている人がいた。
まだ、終わらないんだ。
大変だねーと相変わらずの他人事だった。
でも、そんな起きようとしても、眠いって何なんだろう?
ナイジェルは、そのことがどうにも気になって仕方がない。
「そんなに眠いなら、このお茶飲んでみます?」
気がついたら、話しかけてしまっていた。
「今のは忘れてください。」
ナイジェルは慌てて言うが、
「眠たくてどうしようもないんだ。
そのお茶効くのかい?」
「スッキリしますよ。」
「もらってもいいかい?」
「ああ、入れますね。」
人に割と無関心な僕が、人のためにお茶を入れてる。
僕どうした?
その人は、お茶を飲んだ後、目をぱちぱちさせると、
「うーん、何かスッキリして来た気がする。
ありがとう。」
「どうしてそんなに眠いのかだけ、伺っても?」
「ああ、私には、生まれたばかりの子供がいてね。
双子なんだよ。
妻も、乳母も、体調を崩してしまって、私が夜双子を見ているんだ。
交互に世話しているとすぐ朝で、ここ何日もほとんど寝る時間がなくてね。
明日からは、仕事を少し休むけど、その前に、私が手をつけた分だけやって、帰りたいんだ。
だから、このお茶があると助かるよ。
これは、どこで買えるんだろう?」
「街外れのお茶屋さんです。」
「ああ、あの有名なところだね。
子育てが落ち着くまで、妻の分も買うよ。
ありがとう。」
そう言って、その人は執務を再開した。
ナイジェルは、自分の行動が不思議だった。
僕はあの人が、何故眠いのか、気になっただけなのに、お茶を勧めて、最後には、ありがとうって言われた。
よく考えたら、コーデリア絡みでない時に、人にありがとうって言われたことって、なかったな。
コーデリアの周りには、ありがとうが溢れているのにね。
邸に帰って、
「コーデリアはどうしてる?」
と、カミルに声かけると、
「ユリウス王子の勉強に付き添ってます。
今日は王宮から、専属の勉強係が次々とやって来ていますが、ユリウス王子は嫌がることなく、やっています。
この量なら、逃げ出したいのも、わかります。」
なるほど。
でも、王子は勉強が嫌なのではない。
下の王子とは量が違うのが、不平等だと言っている。
そこを、理解するかどうかは、王子本人にとっては、重大なことだ。
コーデリアは、不貞腐れたユリウス王子から、ちゃんと思いを引き出して、解決しようとしている。
なんとも、コーデリアらしい話だ。
だからこそ、ユリウス王子はここにいたいんだな。
それにしても、王子がいるから、我が邸の警備は厳重だし、王宮から次々と勉強係やその他側近がやって来るし、邸はすごいことになってる。
コーデリアがいると、やっぱり大騒ぎになる。
本当、僕も飽きる暇がない毎日だよ。
「やあ、頑張っているね。」
「おかえりなさい、ナイジェル様。」
「コーデリアに邸で迎えられるのは、よく考えたら、あまりなかったね。
君はいつも、何らかのトラブルに巻き込まれて、僕が帰る頃、邸にいないから。
ユリウス王子のおかげかな。」
ナイジェルがそう言うと、ユリウスは堪えきれず、吹き出した。
「もう、そうでしたっけ?
ナイジェル様。
ユリウス様も笑い過ぎですよ。」
「いや、君は大体帰れないことになってる。
昨日、王妃様にさらっと、穴が塞がれたか確認しに行って、王子に会ったって言ったんだよ。
自覚なかった?
僕はかなり笑うの我慢したんだよ。
王妃様はそれどころじゃないから、スルーしたけど、普通はそこ気になるからね。
侯爵夫人は、普通は穴を見に行かないから。」
あー、コーデリアは本当面白い。
昨日、空気を読んで笑えなかった分余計に面白い。
その後、ユリウス王子に、コーデリアが穴に落ちた話をして、みんなで笑った。
いつの間にか王子は、僕達と馴染んで、まるで家族のように一緒に過ごす穏やかな家族団欒のようになっていた。
まだ、終わらないんだ。
大変だねーと相変わらずの他人事だった。
でも、そんな起きようとしても、眠いって何なんだろう?
ナイジェルは、そのことがどうにも気になって仕方がない。
「そんなに眠いなら、このお茶飲んでみます?」
気がついたら、話しかけてしまっていた。
「今のは忘れてください。」
ナイジェルは慌てて言うが、
「眠たくてどうしようもないんだ。
そのお茶効くのかい?」
「スッキリしますよ。」
「もらってもいいかい?」
「ああ、入れますね。」
人に割と無関心な僕が、人のためにお茶を入れてる。
僕どうした?
その人は、お茶を飲んだ後、目をぱちぱちさせると、
「うーん、何かスッキリして来た気がする。
ありがとう。」
「どうしてそんなに眠いのかだけ、伺っても?」
「ああ、私には、生まれたばかりの子供がいてね。
双子なんだよ。
妻も、乳母も、体調を崩してしまって、私が夜双子を見ているんだ。
交互に世話しているとすぐ朝で、ここ何日もほとんど寝る時間がなくてね。
明日からは、仕事を少し休むけど、その前に、私が手をつけた分だけやって、帰りたいんだ。
だから、このお茶があると助かるよ。
これは、どこで買えるんだろう?」
「街外れのお茶屋さんです。」
「ああ、あの有名なところだね。
子育てが落ち着くまで、妻の分も買うよ。
ありがとう。」
そう言って、その人は執務を再開した。
ナイジェルは、自分の行動が不思議だった。
僕はあの人が、何故眠いのか、気になっただけなのに、お茶を勧めて、最後には、ありがとうって言われた。
よく考えたら、コーデリア絡みでない時に、人にありがとうって言われたことって、なかったな。
コーデリアの周りには、ありがとうが溢れているのにね。
邸に帰って、
「コーデリアはどうしてる?」
と、カミルに声かけると、
「ユリウス王子の勉強に付き添ってます。
今日は王宮から、専属の勉強係が次々とやって来ていますが、ユリウス王子は嫌がることなく、やっています。
この量なら、逃げ出したいのも、わかります。」
なるほど。
でも、王子は勉強が嫌なのではない。
下の王子とは量が違うのが、不平等だと言っている。
そこを、理解するかどうかは、王子本人にとっては、重大なことだ。
コーデリアは、不貞腐れたユリウス王子から、ちゃんと思いを引き出して、解決しようとしている。
なんとも、コーデリアらしい話だ。
だからこそ、ユリウス王子はここにいたいんだな。
それにしても、王子がいるから、我が邸の警備は厳重だし、王宮から次々と勉強係やその他側近がやって来るし、邸はすごいことになってる。
コーデリアがいると、やっぱり大騒ぎになる。
本当、僕も飽きる暇がない毎日だよ。
「やあ、頑張っているね。」
「おかえりなさい、ナイジェル様。」
「コーデリアに邸で迎えられるのは、よく考えたら、あまりなかったね。
君はいつも、何らかのトラブルに巻き込まれて、僕が帰る頃、邸にいないから。
ユリウス王子のおかげかな。」
ナイジェルがそう言うと、ユリウスは堪えきれず、吹き出した。
「もう、そうでしたっけ?
ナイジェル様。
ユリウス様も笑い過ぎですよ。」
「いや、君は大体帰れないことになってる。
昨日、王妃様にさらっと、穴が塞がれたか確認しに行って、王子に会ったって言ったんだよ。
自覚なかった?
僕はかなり笑うの我慢したんだよ。
王妃様はそれどころじゃないから、スルーしたけど、普通はそこ気になるからね。
侯爵夫人は、普通は穴を見に行かないから。」
あー、コーデリアは本当面白い。
昨日、空気を読んで笑えなかった分余計に面白い。
その後、ユリウス王子に、コーデリアが穴に落ちた話をして、みんなで笑った。
いつの間にか王子は、僕達と馴染んで、まるで家族のように一緒に過ごす穏やかな家族団欒のようになっていた。
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