7 / 7
松下蒼馬~秀才くんとの秘密の放課後~
しおりを挟む
勉強が苦手だ。そんな私が気づかぬうちに目で追ってしまうのは、学年主席の松下蒼馬くんだ。
彼は静かでクール。あんまり笑わなくて、なに考えてるかわからないと言って、気持ち悪がる人もいるけど物は言い様だ。つまりはミステリアス。頭の良さから、クラスでは一目おかれている。
一重の目はキリッとしていて、細くてすらっとした体型。肌が白くて髪は少し茶色がかっていた。
蒼馬君を初めて見たあの日、雪の国の王子様みたいなイメージをもった。
蒼馬君の名前を初めて知ったあの日、白と青のグラデーションが綺麗なペガサスを想像した。
彼を見ているうちに、どんどんと彼のことを好きになっていった。尊敬から愛しさへと変わった。
そして、彼に少しでも近づこうと勉強をしている今に至る。家では弟やお姉ちゃんがいて集中できないため、仕方がなくこの図書館で勉強しているのだ。
正直言うと、図書館はあまり好きではない。誰もいないように静かで、気味が悪い。人はいるが、まばらだ。時々、歩く足音と本を棚に戻す音だけが響く。
おまけに集中はできても、問題は解けない。そろそろ図書館にきてから1時間ほどがたつが、目標の半分も終わっていなかった。
私はルーズリーフに書いた数式をまた、消しゴムで消した。その時、勢い余ってルーズリーフが飛んでいった。飛んでいった先には、私が毎日、目で追っている彼の姿がありました。思わず、「あっ」と声がでた。静かな部屋に私の声だけが響く。その瞬間、彼と目が合いました。
いつも一方的に見つめているはずなのに、今日は目があった。私の胸はドキドキがとまらなかった。
彼は私の落としたそのルーズリーフを手にとり、私の方へと歩いてきてくれた。彼は私の解きかけの問題を歩きながら見ていた。
きっと、勉強できないことがばればれだ。私は恥ずかしさと緊張でもうどうすればいいかわからなくなり、わざとらしく目をそらした。
蒼馬君は私の座っている机の近くにそのルーズリーフをそっと置いた。私はその間もうつむいたままだった。ただ、彼がルーズリーフをおいた時に会釈をするだけだった。ここでありがとうと言って、少しだけでも話しかけられれば仲を深められるかもしれないのに。心の中で私は私のばかとつぶやいた。
そのとき、椅子を引く音が聞こえた。音のした方へ顔を向けると、椅子を一つはさんだ席に蒼馬君は座っていた。驚く私をよそに、彼は先ほどのルーズリーフを自分のほうに引き寄せて、端っこの方に数式を書き、私に返してくれた。
数式の隣に、「同じクラスだよね」と崩した文字で書いてあった。
私は嬉しかった。同じクラスだからといったら当然なのかもしれないが、私のことを知ってくれてることが嬉しかった。
「そうだよ」とその下に書き、彼にその紙を見せた。それからしばらく、彼は黙って隣にいてくれた。たまに私のペンがとまっていると、横から手が伸びて、ヒントを書いてくれた。私は彼が隣で座っているという事実が信じられないくらい嬉しかった。
目標の印のついた問題を解き終えたときに、彼はポケットの中から出したメモ帳に、またスラスラと崩れた字で、でも綺麗な字で書いて私に渡してくれた。
メモ帳にはメールアドレスと携帯番号が書かれてあった。その下には「困ったら連絡してね。放課後はしばらく俺、図書館にいるから」と書いてあった。
私が「ありがとう」と紙に書いたのをみて、じゃあ、と手を上げると彼は部屋をあとにした。
私はそのメモ帳を丁寧に畳むと、そっと胸に当てた。彼に会える放課後が、この静かな図書館が待ち遠しかった。
彼は静かでクール。あんまり笑わなくて、なに考えてるかわからないと言って、気持ち悪がる人もいるけど物は言い様だ。つまりはミステリアス。頭の良さから、クラスでは一目おかれている。
一重の目はキリッとしていて、細くてすらっとした体型。肌が白くて髪は少し茶色がかっていた。
蒼馬君を初めて見たあの日、雪の国の王子様みたいなイメージをもった。
蒼馬君の名前を初めて知ったあの日、白と青のグラデーションが綺麗なペガサスを想像した。
彼を見ているうちに、どんどんと彼のことを好きになっていった。尊敬から愛しさへと変わった。
そして、彼に少しでも近づこうと勉強をしている今に至る。家では弟やお姉ちゃんがいて集中できないため、仕方がなくこの図書館で勉強しているのだ。
正直言うと、図書館はあまり好きではない。誰もいないように静かで、気味が悪い。人はいるが、まばらだ。時々、歩く足音と本を棚に戻す音だけが響く。
おまけに集中はできても、問題は解けない。そろそろ図書館にきてから1時間ほどがたつが、目標の半分も終わっていなかった。
私はルーズリーフに書いた数式をまた、消しゴムで消した。その時、勢い余ってルーズリーフが飛んでいった。飛んでいった先には、私が毎日、目で追っている彼の姿がありました。思わず、「あっ」と声がでた。静かな部屋に私の声だけが響く。その瞬間、彼と目が合いました。
いつも一方的に見つめているはずなのに、今日は目があった。私の胸はドキドキがとまらなかった。
彼は私の落としたそのルーズリーフを手にとり、私の方へと歩いてきてくれた。彼は私の解きかけの問題を歩きながら見ていた。
きっと、勉強できないことがばればれだ。私は恥ずかしさと緊張でもうどうすればいいかわからなくなり、わざとらしく目をそらした。
蒼馬君は私の座っている机の近くにそのルーズリーフをそっと置いた。私はその間もうつむいたままだった。ただ、彼がルーズリーフをおいた時に会釈をするだけだった。ここでありがとうと言って、少しだけでも話しかけられれば仲を深められるかもしれないのに。心の中で私は私のばかとつぶやいた。
そのとき、椅子を引く音が聞こえた。音のした方へ顔を向けると、椅子を一つはさんだ席に蒼馬君は座っていた。驚く私をよそに、彼は先ほどのルーズリーフを自分のほうに引き寄せて、端っこの方に数式を書き、私に返してくれた。
数式の隣に、「同じクラスだよね」と崩した文字で書いてあった。
私は嬉しかった。同じクラスだからといったら当然なのかもしれないが、私のことを知ってくれてることが嬉しかった。
「そうだよ」とその下に書き、彼にその紙を見せた。それからしばらく、彼は黙って隣にいてくれた。たまに私のペンがとまっていると、横から手が伸びて、ヒントを書いてくれた。私は彼が隣で座っているという事実が信じられないくらい嬉しかった。
目標の印のついた問題を解き終えたときに、彼はポケットの中から出したメモ帳に、またスラスラと崩れた字で、でも綺麗な字で書いて私に渡してくれた。
メモ帳にはメールアドレスと携帯番号が書かれてあった。その下には「困ったら連絡してね。放課後はしばらく俺、図書館にいるから」と書いてあった。
私が「ありがとう」と紙に書いたのをみて、じゃあ、と手を上げると彼は部屋をあとにした。
私はそのメモ帳を丁寧に畳むと、そっと胸に当てた。彼に会える放課後が、この静かな図書館が待ち遠しかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
入学初日に告白してきた美少女には、『好き』がないらしい。~欠けた感情を追い求めて~
true177
恋愛
怠惰に流されて底辺校に入った龍太郎(りゅうたろう)は、差出人不明の手紙で屋上に呼び出される。
待っていたのは、見違えるような美少女。
『キミのことが好きです!』
これはもらった、と興奮するのもつかの間、彼女の様子が見るからにおかしいことに気付く。テンプレートしか話さないのだ。
荒ぶる少女と、それに付き合う龍太郎。一緒に行動する間にも、龍太郎の疑問は積み重なっていく。
そして、違和感が耐えきれなくなった日。彼女が告げた言葉。
「『好き』って、なんだろう……」
この言葉をきっかけにして、彼女の『好き』を探す旅が始まる……。
※完結まで毎日連載です。内部では既に完結しています。
※小説家になろう、ハーメルン、pixivにも同一作品を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる