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観覧車
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すっかり暗くなってしまった。もうそろそろ、帰らなくてはならない。暗くなるほど、なんだか寂しく感じた。もっと一緒にいたいと思った。
最後の締めに観覧車に乗ることになった。誰が言い出したか覚えていないけど、良いテイスティングだと思う。この遊園地の観覧車は1周するのに5分くらいしかかからない。長いようであっという間に終わってしまうのが残念なのだが、また次も行こうというお客の心を掴むのである。つまり、次の約束をこじつけやすいということである。それだけの観点からすれば、非常に魅力的だ。
転校してしばらくたった頃、唯一の友達と言ってもいい彼女と、丘になっている場所でほんの少しだけ覗いているその観覧車を眺めていたことがあった。
「見て、あそこ!ちょっとだけだけど、遊園地の観覧車!綺麗。カラフルでしょ?一つだけ、透明のがあるんだって!!」
「本当だ。カラフルだね」
つい、とっさに嘘をついた。本当は全然カラフルなんかではなかった。僕には、色が抜けた、廃れて錆びた観覧車に見えた。
「でもね、透明なのじゃなくて、赤いカゴが本当は一番ラッキーなんだ!どれか赤いカゴの1つにね、ハートが隠されてるんだって。」
「どれかって…郁はそういうの信じるんだね。」
「信じるものが救われるんだよ!!」
「はいはい。そうでした。そうでしたー」
「あ、信じてないんでしょ!!」
「信じるものが救われるんだよ。僕は都市伝説とかそういう類のものは信じないけど、郁の言ったことは信じてるよ。」
「なにそれー、まあ透明が一番レア何だけどね、結局」
そういって、彼女は笑っていた。どのカゴに乗っても、郁と乗ったらそれ以上何だけどなと心の中でそう思った。少しだけ、観覧車が生き生きとした。
最後の締めに観覧車に乗ることになった。誰が言い出したか覚えていないけど、良いテイスティングだと思う。この遊園地の観覧車は1周するのに5分くらいしかかからない。長いようであっという間に終わってしまうのが残念なのだが、また次も行こうというお客の心を掴むのである。つまり、次の約束をこじつけやすいということである。それだけの観点からすれば、非常に魅力的だ。
転校してしばらくたった頃、唯一の友達と言ってもいい彼女と、丘になっている場所でほんの少しだけ覗いているその観覧車を眺めていたことがあった。
「見て、あそこ!ちょっとだけだけど、遊園地の観覧車!綺麗。カラフルでしょ?一つだけ、透明のがあるんだって!!」
「本当だ。カラフルだね」
つい、とっさに嘘をついた。本当は全然カラフルなんかではなかった。僕には、色が抜けた、廃れて錆びた観覧車に見えた。
「でもね、透明なのじゃなくて、赤いカゴが本当は一番ラッキーなんだ!どれか赤いカゴの1つにね、ハートが隠されてるんだって。」
「どれかって…郁はそういうの信じるんだね。」
「信じるものが救われるんだよ!!」
「はいはい。そうでした。そうでしたー」
「あ、信じてないんでしょ!!」
「信じるものが救われるんだよ。僕は都市伝説とかそういう類のものは信じないけど、郁の言ったことは信じてるよ。」
「なにそれー、まあ透明が一番レア何だけどね、結局」
そういって、彼女は笑っていた。どのカゴに乗っても、郁と乗ったらそれ以上何だけどなと心の中でそう思った。少しだけ、観覧車が生き生きとした。
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