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第2章 新たな学園生活
(7)再会と告白
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「(よっしゃー!!)」
俺は心の中で叫んでいた。
まだ強い風がなびく時期ではあるが、俺自信は興奮して体温が上昇していた。
難関校の高校受験の結果が合格だった。
これも風岡の助けがあったお陰だ。
俺はそんな合格に導いてくれた恩人でもある、風岡美波に連絡をしようとスマホを取り出したその時だった。
「(…あれは。星空さん?…可愛い)」
そう。
まだ寒く強い風が吹く度に、長い黒髪が揺れ、その髪を手で整える姿は俺にとってとても貴重な光景だった。
ただ、今の俺はそんな彼女にただ見惚れている訳にもいかなかった。
こうしてタイムリープをした最大の目的は、初恋の相手である彼女の未来の悲劇を変えること。
「(俺だってこれでようやく彼女と対等の立場になれた…だから)」
この時の俺はどこから沸き上がってくるか分からない、自信で満たされて不思議と強気な行動が取れた。
「――あ、あの」
俺は意を決して彼女に近付いて声を掛けた。
まともに話しかけるのはいつ以来だろうか?
中学入学後はおそらく初めてのことだ。
「えっ…柿沢くん?」
「そっそう。柿沢拓哉です」
星空さんも突然話し掛けて驚いた様子だったものの、話し掛けた俺の方が何倍も緊張していた。
「俺の名前知っててくれたんだ」
「当たり前だよ。小学校から同じ学校だったんだから」
「そ、そうだよね。何か嬉しい…」
「こうやって話すのって何か久しぶりだね。ここに居るってことはもしかして柿沢くんも流星学園の受験を受けたの?」
「うん。星空さんからしたらまさか俺なんかがって感じかもだけど流星を受けてたんだ」
この時点で、ここまで長い会話をするのも前回の世界線では無かった出来事だ。
こうやって当たり前のように星空さんと会話が続くのは本当に不思議な感覚であった。
「そんなことないよ。柿沢くんってがんばり屋さんだからここに受験してもおかしくないって思う。それで…結果とかって聞いて大丈夫かな?」
少し遠慮気味に聞いてくるその感じは実に星空さんらしい聞き方だった。
「うん。まさかの合格してた」
少し照れ気味に結果を星空さんへ伝えた。
「えっ、本当!私も合格してたの。それじゃあまた同じ学校だね」
――同じ学校――とてもいい響きだった。
本来は星空学園からすれば居ない存在である俺が、この世界線ではまさかの合格をして初恋の相手である星空雪菜さんと小中そして高と同じ学校に通えることになったんだから。
この時、その事実を初めて実感した瞬間だった。
「(あっ、そうだ連絡先を聞いとかないと…)」
「…あっ、あの――」
俺が彼女に話し掛けた時だった。
「ねぇ、あの子って…柿沢くんと一緒に受験の日に来てた子だよね?」
「えっ?」
そう言って彼女が見ている方向に視線を向けると、どこか寂しそうな表情でこっちを見ている風岡美波の姿があった。
「あの…ごめん。ちょっと行かないと」
「うん。私も長々と話しちゃってごめんなさい」
「いやいや。そんなことないよ。久々に話せてとても楽しかったし」
「私も…」
――あの!――
2人同時にハモったのだ。
「柿沢くん先にどうぞ」
「それじゃあ。またこうやって話し掛けてもいいかな?」
「もちろん。私も同じこと言おうと思ってた」
「そうだったんだ…」
そんな風に思ってくれるなんてとても嬉しい俺だった。
「あれ?さっきの子が居なくなってるよ」
「えっ…?」
振り返ると確かにさっきまで居た風岡の姿が見られなくなっていた。
「ごめん。今度こそ行くね。また…」
「うん。またね」
――そう言ってお互いに手を振って星空さんと別れた俺は急いで風岡を探しにいった。
「風岡~!」
大勢の受験生を掻き分けていくと、風岡の特徴的な目立った後ろ姿を見つけた。
風岡の名前を呼んでいるのに気付かないようなので…。
――思わず彼女の腕を掴んでしまった。
「ってどこ掴んでるのよ!」
驚いた様子ではあるが、ようやく俺の事に気付いてくれたようだった。
「えっ、どこって…う…で?」
「あんたに掴んでも良いって許可した覚えないんだけどー」
そう話しながら冷たい視線を向けてくる彼女。
俺は慌てて彼女の腕から手を離した。
さっきまでのドキドキした穏やかな雰囲気とは裏腹に殺伐とした気配を感じていた。
「もしかして何か怒ってる?」
恐る恐る彼女に聞いてみた。
「別に。それよりさっき話してたのって例の初恋の子でしょ?もっと話してなくて良かったの?」
「うん。十分すぎるほど話したから」
「そっか。上手く話せたんだね。良かったじゃん」
「あのさ…俺…実は――」
「――合格してたんだよね。おめでとう」
風岡に受験の結果とお礼を言おうとした俺だったが既に知っていたようだった。
「えっ?あっ、ありがとう」
「とっくに結果見たあとなんだけど~連絡も入れてるのに返事ないし」
スマホの確認をすると確かに風岡からメッセージが届いていた。
「ほ、ほんとうだ。ごめん。気付かなくて」
「まぁ良いけど…それより覚えてるよね?保健室でした時の約束」
「あぁ…あの俺の秘密を言うってやつ?でもさ――」
「でもじゃなくて!難関校をギリギリだけど突破できたのって誰のお陰だったかな~?」
「風岡様のお陰です…」
「よろしい。じゃあそこにベンチが都合良く空いてたからそこで話してくれるよね?」
「はい…」
――こうして俺は風岡に告白した。
今の俺は過去にタイムリープして人生をやり直している第2の柿沢拓哉だと。
そして1度目の人生では、風岡がさっき見た星空雪菜が悲劇の最期を迎えたことを。
そんな彼女の未来を救うのが今の俺の一番やろうとしてることだと。
「ふーん。なるほどね」
「信じてくれるの?」
「信じがたいけど…あんたが大切にしている人を使ってそんな話しを作るとは思えないし…そんなしょうもない嘘をつくわけないし全部本当なんだろうね」
「うん。ありがとう」
「てか何で小中で事を起こさなかったのかが逆に疑問なんだけど。普通なら受験勉強やる前にやるべき事もっとあったんじゃない?」
「うっっ…それは――」
「私と勉強する時間あったらもっとその子にアピールすれば良かったのに。本当に回りくどいやり方よね」
彼女の厳しい指摘にぐうの音も出ない俺だった。
「まぁ、でも分かった。それならこれからは私もサポートするわ。あんたの初恋を全力でサポートしてその子の未来を変えてやろうじゃない!」
「えっっ!?」
こうして難関校の受験に合格した俺たちはそれぞれの思惑を胸に流星学園の扉を開く事になった。
俺は心の中で叫んでいた。
まだ強い風がなびく時期ではあるが、俺自信は興奮して体温が上昇していた。
難関校の高校受験の結果が合格だった。
これも風岡の助けがあったお陰だ。
俺はそんな合格に導いてくれた恩人でもある、風岡美波に連絡をしようとスマホを取り出したその時だった。
「(…あれは。星空さん?…可愛い)」
そう。
まだ寒く強い風が吹く度に、長い黒髪が揺れ、その髪を手で整える姿は俺にとってとても貴重な光景だった。
ただ、今の俺はそんな彼女にただ見惚れている訳にもいかなかった。
こうしてタイムリープをした最大の目的は、初恋の相手である彼女の未来の悲劇を変えること。
「(俺だってこれでようやく彼女と対等の立場になれた…だから)」
この時の俺はどこから沸き上がってくるか分からない、自信で満たされて不思議と強気な行動が取れた。
「――あ、あの」
俺は意を決して彼女に近付いて声を掛けた。
まともに話しかけるのはいつ以来だろうか?
中学入学後はおそらく初めてのことだ。
「えっ…柿沢くん?」
「そっそう。柿沢拓哉です」
星空さんも突然話し掛けて驚いた様子だったものの、話し掛けた俺の方が何倍も緊張していた。
「俺の名前知っててくれたんだ」
「当たり前だよ。小学校から同じ学校だったんだから」
「そ、そうだよね。何か嬉しい…」
「こうやって話すのって何か久しぶりだね。ここに居るってことはもしかして柿沢くんも流星学園の受験を受けたの?」
「うん。星空さんからしたらまさか俺なんかがって感じかもだけど流星を受けてたんだ」
この時点で、ここまで長い会話をするのも前回の世界線では無かった出来事だ。
こうやって当たり前のように星空さんと会話が続くのは本当に不思議な感覚であった。
「そんなことないよ。柿沢くんってがんばり屋さんだからここに受験してもおかしくないって思う。それで…結果とかって聞いて大丈夫かな?」
少し遠慮気味に聞いてくるその感じは実に星空さんらしい聞き方だった。
「うん。まさかの合格してた」
少し照れ気味に結果を星空さんへ伝えた。
「えっ、本当!私も合格してたの。それじゃあまた同じ学校だね」
――同じ学校――とてもいい響きだった。
本来は星空学園からすれば居ない存在である俺が、この世界線ではまさかの合格をして初恋の相手である星空雪菜さんと小中そして高と同じ学校に通えることになったんだから。
この時、その事実を初めて実感した瞬間だった。
「(あっ、そうだ連絡先を聞いとかないと…)」
「…あっ、あの――」
俺が彼女に話し掛けた時だった。
「ねぇ、あの子って…柿沢くんと一緒に受験の日に来てた子だよね?」
「えっ?」
そう言って彼女が見ている方向に視線を向けると、どこか寂しそうな表情でこっちを見ている風岡美波の姿があった。
「あの…ごめん。ちょっと行かないと」
「うん。私も長々と話しちゃってごめんなさい」
「いやいや。そんなことないよ。久々に話せてとても楽しかったし」
「私も…」
――あの!――
2人同時にハモったのだ。
「柿沢くん先にどうぞ」
「それじゃあ。またこうやって話し掛けてもいいかな?」
「もちろん。私も同じこと言おうと思ってた」
「そうだったんだ…」
そんな風に思ってくれるなんてとても嬉しい俺だった。
「あれ?さっきの子が居なくなってるよ」
「えっ…?」
振り返ると確かにさっきまで居た風岡の姿が見られなくなっていた。
「ごめん。今度こそ行くね。また…」
「うん。またね」
――そう言ってお互いに手を振って星空さんと別れた俺は急いで風岡を探しにいった。
「風岡~!」
大勢の受験生を掻き分けていくと、風岡の特徴的な目立った後ろ姿を見つけた。
風岡の名前を呼んでいるのに気付かないようなので…。
――思わず彼女の腕を掴んでしまった。
「ってどこ掴んでるのよ!」
驚いた様子ではあるが、ようやく俺の事に気付いてくれたようだった。
「えっ、どこって…う…で?」
「あんたに掴んでも良いって許可した覚えないんだけどー」
そう話しながら冷たい視線を向けてくる彼女。
俺は慌てて彼女の腕から手を離した。
さっきまでのドキドキした穏やかな雰囲気とは裏腹に殺伐とした気配を感じていた。
「もしかして何か怒ってる?」
恐る恐る彼女に聞いてみた。
「別に。それよりさっき話してたのって例の初恋の子でしょ?もっと話してなくて良かったの?」
「うん。十分すぎるほど話したから」
「そっか。上手く話せたんだね。良かったじゃん」
「あのさ…俺…実は――」
「――合格してたんだよね。おめでとう」
風岡に受験の結果とお礼を言おうとした俺だったが既に知っていたようだった。
「えっ?あっ、ありがとう」
「とっくに結果見たあとなんだけど~連絡も入れてるのに返事ないし」
スマホの確認をすると確かに風岡からメッセージが届いていた。
「ほ、ほんとうだ。ごめん。気付かなくて」
「まぁ良いけど…それより覚えてるよね?保健室でした時の約束」
「あぁ…あの俺の秘密を言うってやつ?でもさ――」
「でもじゃなくて!難関校をギリギリだけど突破できたのって誰のお陰だったかな~?」
「風岡様のお陰です…」
「よろしい。じゃあそこにベンチが都合良く空いてたからそこで話してくれるよね?」
「はい…」
――こうして俺は風岡に告白した。
今の俺は過去にタイムリープして人生をやり直している第2の柿沢拓哉だと。
そして1度目の人生では、風岡がさっき見た星空雪菜が悲劇の最期を迎えたことを。
そんな彼女の未来を救うのが今の俺の一番やろうとしてることだと。
「ふーん。なるほどね」
「信じてくれるの?」
「信じがたいけど…あんたが大切にしている人を使ってそんな話しを作るとは思えないし…そんなしょうもない嘘をつくわけないし全部本当なんだろうね」
「うん。ありがとう」
「てか何で小中で事を起こさなかったのかが逆に疑問なんだけど。普通なら受験勉強やる前にやるべき事もっとあったんじゃない?」
「うっっ…それは――」
「私と勉強する時間あったらもっとその子にアピールすれば良かったのに。本当に回りくどいやり方よね」
彼女の厳しい指摘にぐうの音も出ない俺だった。
「まぁ、でも分かった。それならこれからは私もサポートするわ。あんたの初恋を全力でサポートしてその子の未来を変えてやろうじゃない!」
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