星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

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魔女

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 カフェの奥にある部屋に、突如として現れた女の人は、ここで占い師をやっていると自分を紹介した。占い師とは言っても顔が分からない様にベール被って水晶玉を置いてる訳でもなく、俺の占い師に持ってるイメージとは大分違う。
 瞳はハシバミ色。髪色も瞳と同じでショートヘア。服装も白いシャツに茶色の上衣。年齢不詳。凄く若い様なカンジもするし、凄くお姉さんなカンジもする。
 グエン達とは腐れ縁と言った。

「結構なお年頃だぞ」
 グエンが言うと何かが、バチッと弾けた。
「女性の歳をとやかく言うな」
 ゾフィーから、注意される。
「そこはどの世界でも一緒だな」
 俺が言うと、彼女は厳かに宣った。
「普遍の真理というものはあるんだよ。心得ておきなさい。異世界から来た少年よ」
 俺たちの事は何も言わなくても分かってるみたいだ。
「絶対、逆らっちゃいけないとこだな」
 俺はきちんと理解した。

「これはお礼です」
 キールが渡した手土産は彼女の手を介さずふわふわと浮いて部屋の奥の棚に収まった。
 俺たちが来るというのをゆる~く予言したのは彼女なのだった。
「まさかこんなのが現れるとはな」
 リロイが俺の頭を撫でる。
 彼女は俺たちに座って寛ぐよう促す。
 でも客用の椅子はテーブルのこちら側に一つしかない。
 首を傾げていると、空間が歪んだ。
「!!」
 突如として、豪華なソファセットが出現する。こちら側の椅子は無くなっていた。向かい合わせのソファに、キール、ライト、ヒヨリ。そしてやっぱり何故か、グエン、俺、リロイ。間のテーブルには、人数分の紅茶もあって好い香りをさせている。
 部屋も広くなっていた。
 席に着いて、俺たちは新ためて彼女に紹介された。

「予言ってどうやってするの?」
 好奇心でそう訊くと、
「あの時は驚いた」
 カードゲームしてたら、いきなり突っ伏してしまったのだと。
 何がが降りて来て、気を失った。一瞬後に顔を上げて。御託宣を下したのだとか。
 というか、カードゲームとか。腐れ縁と言ってたが、フツーにお友達だな。
「あんなの滅多にないんだがな。滅多にない事が起こった訳だ」
 彼女は微笑って俺たちを見た。


「魔法陣があったのとは別の場所に転移したって事?」
 俺たちの転移して来た状況を説明すると彼女は首を傾げた。
「クライヴはただ新月から満月に向かって呪文を唱えろと言われただけらしい」
「よく分からんな。まぁ、あそこはパワスポ中のパワスポだからな。う~ん。それは繋がり易い場所って事か」
「それか全く何の関係もないとか」
 何の気なしに言った言葉が皆んなの注目を集める。
 異世界と繋がって俺たちが落っこちて来たのと、クライヴさんが召喚の魔術を行なっていたのと。
「あの時異世界と繋がったのは別の話って事か」
「そうするとクライヴさんに共感した俺が間抜けだって事になるからあんまり認めたくないんだけど」
 満月に何かあるのは分かってたが、ちゃんと魔法陣が効くという保証はなかった。
「……幾ら払った」
「給料ひと月分だと言ってたな」
「家令じゃなかったか」
「家令って、執事の中でも偉い人だよね? 家令って当主に代わって資産管理する様な人なんじゃ」
 訊いたのはヒヨリで、俺は頭に一杯はてなマークが出た。ライトもキョトンとしてる。
「それってかなりのお値段なんじゃ。というよりそんな偉い人に僕たちおさんどんさせてたんだ」
「人を異世界から召喚するのだったら安いもんだろうが」
 リロイが俺を見た。
「払って良いと思える様な値段って事かな」
「出回ってそうですね」
「厄介だな。あの女なんだろ」
「クライヴによるとそうだな」
「で? もうあの女には会ったのか」
「まだです」
「嫌な事先延ばしにしてもしょうがないだろ」
 ゾフィーは顔を顰めた。

 魔女はまだいるらしい。
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