〜死ねない男〜原始時代に戻る

第十一話 自殺

田中から離れて何日か経った。幸い、雨は降った。おかげでまた死を繰り返す地獄の事態は起こらなかった。
そんな時だった、何個かの膨らみが地面にあった。近づくと、悪臭がしてきた。
「これは・・・」
間違いなく最初にあった話が通じる人間の集団だった。二つの木の下にマンモスの骨と腐敗した肉がある
「ここは、俺が初めて来た時の森か・・・」
地面を触る。
「彼らはこの中に眠っている・・・俺のせいだ。俺がいなければ・・・」
その時、星野の心の中である考えが出てきた。
「自分が生きてると周りが不幸になる。ならば死ねばいいんだ！」
何か目標ができると行動はしやすくなった。
でも、星野は死ねない体質だ。
「試せばいい」
『パターン1：落下死』
星野は高い山に登った。頂上に立つ、目視では1000ｍぐらいはありそうだ。
深呼吸をする星野、かなり心拍数が多くなっている。
星野は息を強くすに、前へと走る。
体が宙に浮いた。死の恐怖が彼に襲いかかる、心臓の音さえ聞こえるぐらいドグンドグンしている。
目の前が暗くなった。
ドン！
木に引っ掛かったようだ、枝が体を貫通している。それでも止まらず、斜面を転がっていく。
全身から痛みが襲ってくる。
目が覚めた。何度か死んだようだ。
これでも星野は死ねなかった。
『パターン2：絞死』
ショップで紐を買った、木の枝に紐をかけて結ぶ。硬さを確認して、結ぶ。となりにあるデカい石を踏み場にした。
「ああああああ！」
大きな叫び声が響いた。石を蹴る、体が前へと傾き宙に浮いた。振り子のようにブラブラと星野の体が揺れている。
何度も死に、そして生き返る・・・
パキッ！
枝が折れた。もう真夜中だ。どれぐらい経ったのか、星野は首から強烈の痛みを感じた。
「これはダメだ！苦しすぎる！」
『パターン3：溺死』
「これも苦しそうだが・・・やるしかない」
目の前の渓流に目を向けている。
「あああああ！」
息をあまり吸わずに顔を水の中に突っ込んだ。
冷たい水が顔に当たる。呼吸ができなくなった。
息が持たなくなり、水を吸ってしまった。水が気道に入り燃えるように肺が痛い。
自然と体が上がった。大きく息を吸い、水を吐き出した。
「はあ～はあ～はあ～」
「無理や」
渓流を見つけたのは幸運だった。星野は顔を洗い寝転がった。
「これで水に困ることはなくなる・・・」
彼は寝た。
「ここはどこ？」
公園だ
「そうだ、俺は世界一デカい山を作っている最中だった」
砂場に落とされたスコップをまた拾い、自分の砂山に砂をかけていく。
「出来た！」
40ｃｍぐらいはありそうな小さな山ができている。でも、まだ幼稚園児の星野はそれを大きいと認識する。
to be continued···