痛みは悪魔、快楽は神

シエル

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悪魔の快楽 信仰の苦痛

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ナレーター   
少年は薬をもって家へと走っていた。
母親を少しでも苦しみから解放できることを信じて。
途中何回もこけて服はボロボロになり体は傷だらけになっていたが
それでも母の苦痛が和らぐ可能性という喜びには勝てず
自分の痛みを度外視して走り続けた。
彼はまさしく今「幸せ」を体験している。

少年
かぁちゃん、かぁちゃん!これ!外国のお薬でなんでも効くんだって!
これで風邪も腰の痛みも楽になるよ!!これを煙管に入れて火をつけて
煙を吸うんだって!

母       
あんた、これどこで手に入れたんだい?

少年      
そんなことどうでもいいだろ?とりあえず使ってみてくれよ!

母       
ありがとう、後で使わせてもらうよ。なんて薬なんだい?

少年      
えっと、お兄さんは「神の薬」って言っていた!

母       
神の薬ねぇ、それじゃあこれを私にもって来たあんたは「天使」だね。

少年      
天使?なにそれ?

母       
神様の使いさ、神様の力を人間に与える仕事をしているみたいね。
今日話に来てた聖職者の人がそう言っていたわ。

少年      
そうなんだ!

母       
悪いねお母さんまだ仕事があるから今日も外で待っててくれないかい?

少年      
わかった!!寒いから毛布もっていくね!

母       
いっぱい持っていきなさい。ごめんね、こんな生活をさせて。
風邪をひかないでね幸せを運んでくれる天使さん。

ナレーター   
少年は元気に走って外へと出て行った。

男       
おい、何やってんだ。早く癒してくれよ。

母       
人の事を物みたいに扱いやがって。はーい、少々お待ちを

ナレーター   
少年は毛布をもっていつも母の仕事が終わるのを待っている路地裏へと行った。
路地裏は寒く毛布がいくつあっても足りないような環境だった。
毛布に包まりガクガクと震えていると綺麗な服を着た男が少年の目の前で立ち止まった。

聖職者     
坊や、こんな時間に何をしているんだい?

少年      
お兄さん...誰?

聖職者     
私はこの国に宣教に来たべリオという国の聖職者です。
そんなことより、こんなに震えて可哀そう...
私の家で温かいスープなどを出すのでよかったら来られますか?

少年      
そんな、大丈夫ですよ。母の仕事が終わったら家に帰れるし。
お兄さんも食事に困ってるんだろ?申し訳ないよ...

聖職者     
子供がわがままも言えない国なのか...
坊や、子供ってのは笑顔で物を貰うのがお仕事なんですよ。
お母様のお仕事が終わるまで私の家でゆっくり過ごしましょ?

少年      
そんなに言うなら、分かった!ちょっとだけお邪魔させてもらいます!

ナレーター  
少年は聖職者の家にお邪魔することになった。
聖職者の家は木で作らており暖炉や台所などとても生活がしやすそうな作りになっている。

聖職者    
さて、スープができましたよ。
これで体の中から暖かくなると思いますよ!

少年      
やった!!ありがとう!

聖職者     
ふふ、ゆっくりお飲みください。別に誰かが盗るわけじゃないので

ナレーター   
少年は聖職者が作った玉ねぎのスープを息で冷ましながら飲んだ。
すると冷えて感覚がなかった体の先端がほんのりと温かくなっていく感覚を味わった。

少年      
すごく温かいしおいしい!!

聖職者     
おかわりもありますのでもっと欲しかったら言ってください。

少年      
そんな、大丈夫だよ!!
そういえばお兄さんって神様のことを教えてる人なんだよね?

聖職者     
そうですが、どうかしました?

少年      
ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?

聖職者     
もちろんです!何か気になることがあるんですか?

少年      
うん、「天使」ってどんなお仕事をする人なの?

ナレーター   
聖職者はまさか宗教関係の質問が来るとは思っていなかったのか
少し焦った顔をしながら本棚にある分厚い本を取り出し一生懸命に
ページをめくりとある一文を少年に見せた。

聖職者     
坊やにはまだわかりずらいかもしれませんが神の言葉であるこの本にはこう書いています。
天使は私たち人類とは違い神様に似た特質をもっている
存在で私たちよりも優れている存在です。
そんな天使は神様のお告げを人間たちに教えたり
特別な力で助けてくれるのがお仕事ですね。

少年      
ふーん、かぁちゃんが僕のことを天使って言ってくれたんだ。

聖職者     
なるほど、坊やは何かお母様の助けになるような事をしたのでしょう。
いいことをしてくれて多分お母様も喜んでいるでしょう。

少年      
そうなんだ!
ねぇ、神様ってどんな人なの?
かぁちゃんにも神様のお告げってやつを教えてあげたい!!

聖職者     
いいですね!神様のすごさを教えてあげたらきっととても喜ぶと思いますよ。
神様は私たちのお父さんであり友達であり兄弟でもある素敵な方なのです。
そんな神様の力をお母様が知ったらとても素敵な日々を過ごせます!
それじゃあ少し神様についてお勉強しましょうか

ナレーター     
神様について聖職者が少年に教えているといつの間にか
とても長い時間を過ごしていたようで少年は聖職者に
また会う約束をして急いで帰った。

少年        
ただいま!

ナレーター     
少年が元気よく扉を開けると母親は泣きながら少年を抱きしめた
少年はほんのり人肌の暖かさを感じた

母        
あんたどこ行ってたんだい?
いつもの場所まで探しに行ったのにいなくて私はてっきり...

少年        
ごめんなさい、かぁちゃん待っていたら聖職者のお兄ちゃんが
家に招いてくれてスープとかもらって、神様の話してたんだ。
遅くなって本当にごめんなさい...

母         
無事でいてくれて本当に良かった。今度聖職者さんにも
お礼をしないとね?どこの国の人だって?

少年        
ベリオって国の聖職者さんなんだって、天使の仕事のこととか
神様についての話聞いてきたんだぁ

母         
それはいいわね、ちょっと母さんにどんな話だったか教えてよ。

少年        
うん!!ちょっと話長くなるかもだけど大丈夫?

母        
大丈夫よ、あんたから貰った薬を少し吸ったらだいぶ
元気になったからね。むしろ少し眠れないくらいだよ。

少年        
よかった、それじゃあ話すねこの世界を作ったのは神様って方で...

ナレーター    
その日から少年は母の仕事の間に聖職者の所へ行って神様の話を
聞いては母に聞いてきたことを伝える生活を続けた。
母親は神の薬の効果のおかげで一時的に腰の痛みや発疹のかゆみなどを
止めることができ前よりも仕事を増やした。
少年は日に日に聖職者の仕事の手伝いをするようになった。

少年        
ふぅ疲れた。聖職者さん毎日歩いて話しをして疲れないの?


聖職者       
疲れないと言ったら嘘ですがそれでも誰かの喜ぶ顔が見れれば
それより「幸せ」な事はないですね

少年        
ふーん、最近誰も聞いてくれないし

聖職者       
う…手厳しい言葉ですね

少年        
あれ、あのおじさん見たことあるなぁ

ナレーター     
少年は町を歩いている男を指さした

聖職者       
おや、知り合いですか?

少年        
うーん、かぁちゃんがお客さんって言って家に招いてた気がする

聖職者       
なるほど、ちょっと声だけでもかけてみましょうか

ナレーター     
聖職者は少年が指さした男の前へと来た

聖職者       
こんにちは

男         
おう、綺麗な服着たお兄さん。こんなこ汚ねぇ俺に何かようかい?

聖職者      
いえいえ、しっかりと仕事をされた服が汚い分けありません。

男         
道端でたまたまあっただけなのに久しぶりに人に褒められたぜ

少年        
おじさんこんにちは

男         
ん?あぁあの女の所の坊主か、なんか用かい?

少年        
うーん、おいらが用事があるんじゃなくてどちらかと言うと
多分聖職者さんが用事あるんじゃないかな

男         
聖職者?あんた聖職者なのかい?こんな神も進行しない町にわざわざ来たってかい?

聖職者       
そうですね、神の導きが全世界に届くようにお話をしておりまして

男         
そりゃあたいそうなもんだな。いいぜ、仕事終わってその坊主の
家に行こうとしてたとこだしちょっとくらいなら話聞けるぜ

少年        
聖職者さんやったね!久々に話聞いてくれる人にあえて!

聖職者       
えぇ、坊やのおかげですね。

少年        
えへへ、それじゃあおじさんに神様についての話しよ!

男         
おう、教えてくれ!

ナレーター     
聖職者たちは近くにあった椅子に座り神様と悪魔について話始めた。
男が納得できないところや気になる所を聖職者が答え
自分が好きな場面等を少年が楽し気に話をしてそれを見ている
男はとても笑顔になった。
気づくと町は暗くなっていて少し肌寒くなっていた。

男         
お、もうこんな時間か今日はお前のかぁちゃんの所行かないでそのまま帰るかな。

少年        
うん!おじさんまたしゃべろうね!

聖職者       
また興味がありましたらお話させてください。

男         
なんか少しほっこりしたというか元気になったよ。
ありがとな!また話聞かせてや!

ナレーター     
男と別れその場を後にした二人は遅い時間になったので
聖職者は少年を母が待つ家へと送る事にした。
家の前につくと少年は足を止め聖職者と目を合わせた

少年        
かあちゃんが誰か招く時は一声かけてから玄関を開けてって
言ってるから先にかあちゃんに家に入れていいか聞いてくるね!

聖職者       
そうなんですね。せっかく来たし坊やにお世話になってるから
挨拶だけでもさせてください

少年        
わかった!伝えてくるね!

ナレーター    
少年は家へとかけて行った。しばらくすると少年は母親を連れて聖職者の前に戻って来た。

少年        
お待たせ!かあちゃんがぜひ会いたいって!!
でも部屋が汚れてるからそこの腰掛で待っててくれって!

聖職者       
そうですか、わかりました。それでは少し待ちましょうか

少年        
うん!

ナレーター     
聖職者が腰掛に座って待っていると少年の母親が家から出てきた。




母         
こんにちは、あなたがうちの子に神様の話をしてくださってる聖職者さんですか?

聖職者       
お会いできて光栄です。坊ちゃんにはいつもお世話になっているんです。
お仕事中に家まで押し掛けちゃって迷惑じゃなかったですか

母     
迷惑だなんてそんなことありませんよ。いつもこの子から神様や
教えについて教わっているんです。だからどっかで聖職者さんに
あってお礼しようと思ってたんですよ。

聖職者   
あら、そうだったんですね。坊や、しっかり天使のお仕事しているんですね

少年    
あったりまえだろ!かあちゃんはおいらが幸せにするんだ!それに...

聖職者   
それに?

少年    
かあちゃんがうれしそうな顔しているのがおいらの幸せだからさ。

ナレーター 
少年は恥ずかしそうに母親を見た。

母     
いつもありがとうね。あんたがいるだけで母さんは幸せだよ。

聖職者   
幸せそうな家族でこっちまで見てるだけで幸せになりそうですよ。

ナレーター 
とても暖かい空間が3人を覆っていた。
聖職者は夜に少年を外に放り出している母親が少し心配だったが
そんな心配をちょっとした会話だけで払拭させていた。

聖職者   
そうですね、お母さまは何か神様や教えについて聞きたい事とかありますか


母     
そうねぇ、神様っていうのは人が仕事を必死にしていて疲れて動けなく
なることをどう思っているんだろうね。力があるなら疲れない体がほしかったよほんと。

聖職者   
そうですね、日々夜中まで仕事をしているのは坊やから聞いています。
大変ですよね。
悪魔が支配しているこの世でする仕事は疲れますし神の教えを守る
事もしづらくしています。それが悪魔のやり方です。
なので仕事をしていると辛いですしいくら働いても
生きる希望を見いだせなくなっています。
それに神様は人間を作るとき疲れなどもない完璧な体を作りました。
それなのに私たち人類が神を裏切り悪魔に加担したので完璧な体を
なくしました。私たち人間は神に一生謝っても許して貰えない程
人類史で神を冒涜し裏切ってしまいました。それでも許してくださる
神の元に着いて教えを守れば味方もいますし少しは疲れも安らぐと思いますよ。

母     
なるほどね、でも私なんかにそれができるかしらね

聖職者   
どうしてですか?

母     
私にはあなたが話している話や神様の行いが強い明かりすぎて
直視できないよ。こんな薄汚れた人間が神様の元なんかに行けるかね

聖職者   
なれますとも!この長い人類史の中でたくさんの大罪を犯した
人たちだって公正して神の元に行っているんです。
なのでぜひ神の教え通りに生きてみるのはいかがでしょうか?

母     
そうかい...まぁちょっと考えてみるかね。少しずつ眩しい光に耐えれるようにしときますね

聖職者   
ありがとうございます。くれぐれも悪魔にご注意くださいね。
悪魔はいつだって私たちを誘惑してきます。この世界は悪魔が
支配していますので、疲れている時や心が折れそうな時が



聖職者   
一番危険です。ですからどうか何かあったら私に相談してください。

母     
お優しいんですね。わかりました、何かあったら相談しますね。
聖職者に会えないことが多いだろうから神の話しはうちの天使から聞こうかしら。

少年    
そうだぜ!おいらが天使なんだから聖職者さんじゃなくておいらに聞くといいぜ!

聖職者   
ふふ、それがいいです。神の力を与えるのも天使のやくめですから。
きっと坊やが話すことによって元気が出るでしょう。

ナレーター 
聖職者は母親ににこりと笑い会釈してその場を後にした。
それ以降も少年は母親が仕事で忙しい時に聖職者の所に行っては宣教活動の協力をした。
少年は聖職者から教わった事を母親に伝え
その話を母は「神の薬」を吸いながら聞いていた。
それが日課となり二人の幸せな時間になっていた。
一方、神の話を聞いていた男はその後も聖職者に話を聞いていて
母と同じでまだ信仰に対して抵抗があるようで日常に
溶け込むように生活するのに苦労しているようだ。
そして聖職者は少年の母に合うことはなかったが定期的に少年が
聖職者の家に泊まりに来ていたのでそれを快く請け負っていた。
そんなある日の事だった。

少年    
聖職者さんー今日も泊まりに来たよぉ

聖職者   
おや、今日もお母さまのお仕事は忙しいんですか

少年    
そうなんだ、またお客さんの相手で忙しいんだって。
ほんと、神様の教え守るつもりあるのかなぁ

聖職者   
まぁまぁいつか坊やがしている行いが花開く時が来ますとも



少年    
それだといいけど、全くおいらおいてお客さんの相手ばっかりでつまんない

聖職者   
坊やの生活の為に頑張ってるんですから、応援してあげてくださいな。

少年    
ほんと聖職者さんは優しいね、まぁだからおいら好きなんだけどさ。

聖職者   
ありがとうございます。せっかくだったらお母さまのお土産におにぎりでも
作りましょうか?

少年    
うーんそれが最近あまりご飯食べないんだよ

聖職者   
そうなんですか。体調が悪かったりするでしょうか?

少年    
そんなことないと思うんだけどなぁ毎日薬吸ってるし

聖職者   
薬ですか?

少年    
そうそう、おいらが貿易商のお兄さんから貰った薬だよ!
「神の薬」って言われて渡されてそれから母ちゃんにあげたら
腰の痛みとか病気とかが治ったみたいで最近はそれを毎日吸ってるさ

聖職者   
神の薬ですか、吸う薬なんて珍しいですね

少年    
うん、なんか葉っぱを燃やして吸うんだよね。ちょっと甘い匂いがする
お薬だね。おいらが買いに行くんだけど最近量も増えちゃって大変なんだ。

聖職者   
それって、もしかして…まさか、神の話を聞きながらそんなわけ…



少年    
どうしたの?

聖職者   
坊や、少しここにいてください。ちょっと確認しなくてはならない事ができましたので。

少年    
え?こんな時間に何確認しに行くんですか聖職者さん!

ナレーター 
聖職者は少年の言葉を無視してその場を後にし急いで少年の家へと行った。
家に近づくと甘い匂いと煙、生臭い匂いが濃くなっていた。
聖職者はこのにおいに覚えがあった。自分の国で流行りすぎて
禁止されている「アヘン」と全くおんなじ匂い
最悪な予想が当たってしまったと思いながら
玄関の扉を勢いよく開けた。
すると裸でアヘンを吸いながら喘ぎ、足を下品に大きく開いている
少年の母とそれに向けて腰を振っている男の姿があった。

母     
せ…聖職者さんなんでここに

男     
あぁ、あの時の聖職者さんか。奇遇だなぁもうおっぱじめてたぜ
おら、もっと喘げ、ちゃんと締めろ。そんなんじゃ満足しねぇだろ

聖職者   
下劣な事を…少年からたまたま神の薬の話を聞きましてね…
まさかあなたが「娼婦」だったとは思いませんでしたが。

母     
何よ、その目!仕方ないじゃない。この国にはこういう
仕事がないと生きがいもない人たちが大勢いるわ。
それに体も弱くて仕事もできないあたしみたいな
女はこうやって快楽を与える事しかできないのよ

聖職者   
なにをいうか娼婦が、神がそんな行い許すわけないだろ。
私は確かにどんな罪を犯したものでも救われると行ったが
神の事を知ってもなお薬に手を染めて、挙句に乱れた関係で金を稼ごう
なんて、そんなもの許されるわけないだろ。
ましてや悪魔の誘惑どころかそれを受け入れて堕ちるところまで堕ちて…
坊やがなぜあなたに神の話をしていたのかわかりますか!

母     
仕方ないじゃない、仕方ない、仕方ないのよ…あぁ気持ちぃ早くもっと
あたしの中を弄ってくれよもっと激しく!

男     
あぁ、天国だここが天国なんだ。

聖職者   
やめろ!これ以上神を冒涜するような事をするな!

ナレーター 
聖職者は少年の母親に覆いかぶさって腰を振っている男から
引きはがそうとした。だが、薬で感覚をなくした男の力は強く
聖職者は振り払われてしまう。

男     
天国の邪魔すんな!あぁ?お前悪魔か?

聖職者   
悪魔はお前だろ薄汚れが。

母     
なんでそんなこというの!私たちだって必死に生きてきた。それでも
全く成長しない社会に失望したそれなのに働かないと行けなかった。
私たちの何が悪いの!

聖職者   
売女(ばいた)め、社会のせいで堕ちた?危険な薬だとわかっていて
罪の意識も何もない少年に薬を買いに行かせていたくせに
社会のせいだ?私は貴様らに神の教えも伝えた筈だ。
悪魔の言いなりになるなとも言った!

聖職者   
その通りに生きなかった末路だ。事実確認のためにここに来たが
まさかこんなにも堕ちているとは…

母     
社会のせい…社会のせいでこんなにこんなに、気持ちいいあぁ気持ちぃ


男   
必死に仕事をしてるのに安定もしない、なら簡単に天国を見つけた方が
早い…あぁ邪魔だ、邪魔だ!!!!

聖職者   
醜い獣よ、人の姿に戻りたいのなら悔い改めるか?
それをするためには今まで以上に辛くなるだろうが、それでも人の心に戻るか?

母     
何言ってるの?ここはもう天国、私たちはもう到達したの
これ以上くるしくいきるいみなんてないわ

男     
そうだ、このまま快楽におぼれた方が楽だ。

ナレーター 
まさしく地獄のような光景だった。聖職者が想像していたものよりも
かなりひどい状況だった。少年の事を思うと情けなくて仕方なかった。
聖職者はその場で手を胸の前で握り祈りを捧げた。

聖職者   
神よ、本当に申し訳ありません。私がこの人たちを導いていたのに
こんなことになってしまって。私はこの人たちをどうしたらよいので
しょうか?彼らに救いはあるのでしょうか?

ナレーター 
その時聖職者の近くの茂みがゆらゆらと動き息切れと共に何かが近づいた。

少年    
せ、聖職者さん?なんでおいらの家にいるんだい?

聖職者   
ぼ!坊や!!何しているんですか!!家にいてくださいと行った
じゃないですか!今ここに来ては行けない!

少年    
だって、一人じゃ寂しいし…いつもの優しい顔じゃなくて怖い顔してたから
心配で…って母ちゃんとおじさん?なんで裸なの?



母     
あんた!何して…何しててもいいか別にぃそれより何やってるの!
薬が切れちゃうから早く!もっと早く動かして!

聖職者   
子供の前で快楽におぼれるか!いい加減にしろ貴様ら!

ナレーター 
聖職者が怒鳴ったと同時に少年が聖職者に抱きついた。

少年    
聖職者さん、怒らないで。かあちゃんとおじさん多分よくない事
してるんでしょ?でも…かあちゃん今までにないくらい幸せな顔してるんだ

聖職者   
何言ってるんですか!あれは!

ナレーター 
聖職者は薬の正体を言おうとしたがそれを止めた。なぜなら、そもそも
その薬を母親に渡したのはこの少年なのだから、麻薬だということは理解
しないだろうがよくない薬を渡していたということくらいわかるだろう。
その真実を知った時少年はどう思うだろう。
罪悪感に一生犯される事になるだろう。
そんなことを考えてると男が叫びだした。

男     
あぁ、天使の坊や!こんな遅くまでかあちゃんの仕事待ちかい?

少年    
う、おじさんどうしてこんなことしてんの?

聖職者   
坊や、この人たちにしゃべりかけたって意味ないよ

男     
なにって、母さんに気持ちよくしてもらってるんだ。ほら、喜んでいる
かあちゃんを見てみろよ。

ナレーター 
男は少年の母親の女性器に自らの男性器を挿れて腕をつかみ少年に行為を
見せつけるように無理やり母親を立たせそのまま腰を振った。


聖職者   
子供になんてものを見せるんだ!いい加減にしろ!

ナレーター 
聖職者は少年の目を手で隠し思いっきり男をけり上げた。
地面に倒れた男は逆上して台所にある刃物を取り出した。

男     
貴様!いい加減にしろ!俺らの天国を邪魔する奴はブチ殺してやる!

母     
へへへ…あひひひひ…気持ちぃ気持ちぃのぉ

聖職者   
罪に罪を重ねるのか、本当に堕ちた人間はこんなにも醜いのか

少年    
聖職者さん…もしかして僕のせいで…

聖職者   
大丈夫、大丈夫だから。神様が君の近くにいて助けてくれるから。
今は僕を信じて茂みに隠れててください

少年    
僕のせいで聖職者さんがこんな目に…まって、この甘い匂いって…
もしかして僕が持ってきた薬が

聖職者   
坊や!!何も考えないでいいから!!今は茂みに隠れて!

ナレーター 
遅かった、少年に気を取られていた聖職者は男に思いっきり刃物で背中を
刺されグニッと鈍い音を立てた。そんなことはお構いなしに男はどんどん聖職者を刺す。

男     
へへへ、悪魔祓い!悪魔祓いだ!お前が!お前が天国に行く邪魔をしたから
こんなことになったんだ、気持ちぃ気持ちぃ…うぇ?あ…が…

ナレーター 
男の動きは急に止まり刃物を落として悶絶し始めた。


男     
うぎ、ぎえあああああ痛い、ああああ苦しい苦しい!!

母     
あああああああだから、だから言ったの!あと少しで天国に行けたのに!

少年    
聖職者さん!!!

聖職者   
うぐ、がは…これはもう動けなさそうですね。
坊や、私の家に逃げなさい。あそこならあの人たちも追ってこれない。
それから坊や、最後にあなたに神様のお告げと祈りを与えます。

ナレーター 
少年は無意識に聖職者の手を握っていた。

聖職者   
私は、生まれてからずっと神を愛していました。そして神が与えた
この世界や教えが大好きでした、ですからにくいのです。
最後の最後に神の教えに反した人の形をした獣に殺されるのです。
私は人生で始めての感情に目覚めてしまいました。
神は、こんな腐った世界を早急に滅ぼしてくれるであろう。
坊や、私の教えた事をしっかりと覚えておいてその日の為に備えなさい。
神を愛する人が救われ、神に反したものが滅ぶ時が来ます。
その…時まで…準備を…神に、祈りながら

ナレーター 
聖職者はこの世を去った。最後は優しい笑顔のまま。
その顔の裏にはいろんな思いがあるだろうが少年に絶対に見せないように
笑顔のまま死んだ。少年は悲しみと人生で始めて見た死体に恐怖を覚えた

少年    
聖職者さん、聖職者さん!まだ、まだあの厚い本の全部を学んでないよ。
おいら、聖職者さんいないと書いてる言葉もわからないのに、なのに

男     
いだい!!ああああ助けてくれ!!天使の坊や!助けてくれ!

母     
薬!!薬をもってきて。

少年    
いやだ、そもそもこんな時間に薬なんて売ってないよ!!

男     
天使?そうか!神様がいなくても天使がいたら俺らは天国に行ける!

母     
あぁ、天使、天使の施しを頂戴!!

少年    
何言ってるの二人とも。いやだ、触らないで!!やめて!!

ナレーター 
二人は少年の服を引き裂いて少年を裸にした。

少年    
やめて!恥ずかしいよぉ!


おぉ天使の服から小便の匂いがする

母     
まさかちびったのかい?

少年    
お願い!返して!

男     
ありがてぇ、これも施しだな

ナレーター 
男と母親は少年が恐怖のあまり小便を漏らした服の匂いを買いだあと
二人で塗れている部分を舐めまわし始めた。


少年    
何やってるの…ほんとにやめて、お願いだから

男     
こんなんじゃ足りない。まだ痛い苦しい


母     
もっともっと施しを頂戴、お願い、苦しいのそうだ、小便じゃなくて精子なら

ナレーター 
母親は少年を捕まえまだ未発達の生殖器を手でこすり始めた。

少年    
何やってるの!!やめて!なんか気持ち悪いよ

男     
何やってんだ、俺にも分けろ

ナレーター 
男は少年の睾丸をゆっくりと舐め始めた。少年は小便の匂いと男の口臭と
汗のにおい、母親の生臭い匂いに包み込まれていた。
どんどん気持ち悪くなり嘔吐したがそれでも二人の行為は止まらなかった。

母     
あぁもうじれったい!こんだけ立ってたらこっちのほうが早いわ

男     
おいずるいぞ俺にも精子よこせ!!

少年    
やめて、おねがいだからやめて

ナレーター 
この後少年は男と自分の母親から何度も犯された。汗や吐しゃ物が出ると
それを二人は舐め始め少年にその口でキスをしていた。それでも苦痛が
おさまらない二人は結局疲れと倦怠感によって行為中に気を失った。
その間に両足が震え腰や尻に違和感を残したまま少年は裸で聖職者の家へと
逃げてきた。その夜は恐怖のあまり一睡もできないまま夜を迎えた。
その後母と男が裸の変死体で見つかった。

..................................................................................................................

ナレーター
聖職者と少年がいなくなった部屋で一人商人は煙管に残っていたアヘンを吸っていた。



商人    
気持ちよくなるんじゃないのかよ...なんでこんな事
思い出さないといけないんだ

ナレーター 
人生で初めて自分の意思で吸ったアヘンは最悪の記憶を思い出せた。
それは記憶の絶対に開けたくない箱の中にしっかり閉まっていた筈の
思い出が薬で頭がマヒしたのか快楽よりも先に解放されてしまった。

商人    
なんでみんな...僕と一緒に堕ちてくれないんだなぜ僕と一緒に逃げてくれないんだ…

ナレーター 
商人は玉ねぎのスープを少し飲んだ後に暖炉と台所で使った火を消した。
今日は冷え込むが聖職者が残してくれた「逃げ場」はとても暖かく
毛布に包まり床に敷いた布団で眠ることにした。
明日には記憶の箱のふたが閉まっていることを願って。
結局自分がしっかりと寝たかもよくわからないまま朝を迎えた。
いつもより少し早いが市場で仕事の準備をする事にした。
市場につくとボロボロになった男女が少年の手を引っ張ている所に遭遇した。

少年    
かあちゃん!おじさん!いやだよ!!なんで僕を「売ろう」とするの!はなしてよ!

母     
あぁー天国に行きたい。早く気持ちよくなりたい

おじさん  
幸せの対価...天国に行くためには金がいるんだ。だから...

少年    
金の為に僕を売る気なの?いやだ!助けて!商人さん!聖職者さん!

ナレーター 
少年は手を紐で縛られ裸足で母親たちに引っ張られていた。
商人はその光景を見て慌てて駆け寄っていった。

商人    
何をしているんですか。坊や...足も傷だらけじゃないですか。

少年    
商人さん!助けてください!かぁちゃんたちが外国に僕を売り飛ばそうとしてるんだ!


ナレーター 
商人は少年を買おうとしている奴隷商人を見た。綺麗な服を来た
とても綺麗な服を来た奴隷商人に笑みを浮かべ会釈をした。
すると商人は少年に近づいて、耳元でとある言葉を。
最初戸惑っていた少年は次第に安心したような顔になり笑顔で奴隷商人の元へと行った。

商人    
これでいいんだ、これであの子も「幸せ」をつかめるだろう
あ?薬がほしいのかい?ええ構いませんよ。
その汚れた金で天国にでも行けばいいじゃないですか。

ナレーター 
商人は憐れんだような冷たい目をして二人を見てほくそ笑んだ。
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みんなの感想(1件)

真紗愛虎主
2023.12.08 真紗愛虎主

1作品目より前のお話ですね!!
終わり方も作中のセリフやナレーターの回し方が今後の作品すら楽しみにさせてくれる…💭
読み進めるにあたって様々な感情が湧いてきますが、
今作以降も早錐さんの作品が投稿されるの待っています!

2作品目の投稿 お疲れ様です、ありがとうございました!

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