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第43話ー3
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――ベルがカプリコルノに帰国し、宮廷オルキデーア城に帰って来たら、たくさんの涙と笑顔、そして天地がひっくり返ったかのような悲鳴に迎えられた。
「可愛いぃぃぃっ! 金髪碧眼のちっちゃいベルがいるわぁぁぁっ! ベルもちっちゃいから、ちっちゃいちっちゃいちっちゃいベルよ!」
「嘘ヤダ、生まれたのってサルヴァトーレだったの!? ていうか、これで男の子なんて信じられない! なんて可愛いの! 貸して貸して、ベル!」
「あっ、待ってベラ叔母上! 私が先に抱っこしたいわ!」
「そうね、新しい弟だものねティーナ」
ベルが「どうぞ」とサルヴァトーレをヴァレンティーナに渡すと、周りを囲っている一同の視線もそちらへと移動する。
恍惚と煌めくたくさんの瞳から、涙が零れ落ちていた。
そんな久々の一同の顔を見ているうちに、ベルの方も涙が込み上げてくる。
家族の下に帰ってきたのだ。
ちなみに驚いた。
「はい、ばーちゃん。抱っこしてやってー」
と、カプリコルノ国の第二王子であり、サジッターリオ国王であるコラードに、赤ん坊を渡される。
妻であるサジッターリオ国女王シャルロッテが妊娠していたことは知っていたが、先月生まれていたようだった。
「この子も男の子なの。名前はライモンドよ。ライモンド・マストランジェロ」
と、シャルロッテ。
そのとても珍しく、美しい紫色の瞳を受け継いだ子だった。
「なんと神秘的な王子殿下でしょう。トーレをよろしくお願い致しますね、ライモンド殿下」
「こっちもよろしくね、ライモンド殿下も、トーレ殿下も」
と、フェデリコの妻アリーチェがお腹を摩る。
どうやら現在妊娠中で、11月頃に第6子が産まれるらしい。
続々と未来を担う子供たちが産まれるな、と思いながらベルがルフィーナのお腹を見る。
それはこほんと咳払いをして、ベルの耳元で囁いた。
「わ、わたしはまだです。魔法使いを増やさなきゃいけない義務は分かってますけど、陛下がベルさんのことで一杯で、それどころじゃなくて」
「も、申し訳ございません。ところでルフィーナ王妃陛下」
「なんでしょう?」
「あ、いえ、テンテンさんの方がよろしいでしょうか」
と、ベルが一同の中からテンテンを探すと、それは「スィー!」と返事をしながらベルの前へ飛び出してきた。
「あの、テンテンさん。私をカンクロ国へ送ってくださいませんか?」
サルヴァトーレに目を奪われていた一同が、驚きの声を上げてベルを見た。
当然のように、駄目だ、何を言っているのかと怒られたが、ベルの意志は揺るがなかった。
ハナのテレトラスポルトで飛ばされてしまったが、本当はこうしてもう帰国することを戸惑っていた。
「現在、フラヴィオ様たちがワン・ジンと王太后の軍を相手に戦われています」
「心配しなくても30分あれば終わる。無論、『力の王軍』の勝利だ」
と王太子オルランドが言うと、ベルは頷いて「そうですが」と続けた。
「終わったとき――ワン・ジンがこの世から去るそのとき、私は傍にいなければならない義務があるように感じるのです」
一同が戸惑いながら顔を見合わせた。
「私はカンクロ国の王妃――あの人の妻でした。いえ、あの人がまだ生きているのなら、今も妻でしょうか。私はオブリーオを掛けられましたが掛からず、でも掛かって記憶を失った振りをしていました。フラヴィオ様のことを覚えていたり、思い出したら殺すと脅されていたからです」
王子たちが不快そうに顔を歪め、口々からワン・ジンに対する悪態を呟く。
ベルが「でも」と続けた。
「あの人はやり方は手荒でしたが、善良な国王になる努力をしてくれました。私があの人を愛することはありませんでしたし、先ほどフラヴィオ様が仰っていましたが、あの人が私を愛していたかどうかとなると定かではありません。でもあの人が私を好いていて、私に好かれようと、愛されようと努力してくれたことは事実です。愛されずに育った分、私に求めたようにも思います。だから私が国民の笑顔が欲しいと言って以来、あの人は努力してくれました。そして本当に叶えてくれました。あの人はもう私に恨みしかないでしょうが、それでも私はあの人の最期に付き添わなければならない気がするのです」
というベルの言葉を聞いても承知の返事を出せないでいる一同の中、ルフィーナが「そうですね」と同意した。
「テンテンさんは今日はもうカンクロ国まで飛べるほどの力は残っていませんから、わたしのテレトラスポルトで行きましょう。ただ魔法が使える以上、少し距離が空いていたって殺すことが出来ますから、そんなに近くまで寄ることは出来ませんが……。でも、さぁ、そのときが去ってしまう前に行きましょう――」
「可愛いぃぃぃっ! 金髪碧眼のちっちゃいベルがいるわぁぁぁっ! ベルもちっちゃいから、ちっちゃいちっちゃいちっちゃいベルよ!」
「嘘ヤダ、生まれたのってサルヴァトーレだったの!? ていうか、これで男の子なんて信じられない! なんて可愛いの! 貸して貸して、ベル!」
「あっ、待ってベラ叔母上! 私が先に抱っこしたいわ!」
「そうね、新しい弟だものねティーナ」
ベルが「どうぞ」とサルヴァトーレをヴァレンティーナに渡すと、周りを囲っている一同の視線もそちらへと移動する。
恍惚と煌めくたくさんの瞳から、涙が零れ落ちていた。
そんな久々の一同の顔を見ているうちに、ベルの方も涙が込み上げてくる。
家族の下に帰ってきたのだ。
ちなみに驚いた。
「はい、ばーちゃん。抱っこしてやってー」
と、カプリコルノ国の第二王子であり、サジッターリオ国王であるコラードに、赤ん坊を渡される。
妻であるサジッターリオ国女王シャルロッテが妊娠していたことは知っていたが、先月生まれていたようだった。
「この子も男の子なの。名前はライモンドよ。ライモンド・マストランジェロ」
と、シャルロッテ。
そのとても珍しく、美しい紫色の瞳を受け継いだ子だった。
「なんと神秘的な王子殿下でしょう。トーレをよろしくお願い致しますね、ライモンド殿下」
「こっちもよろしくね、ライモンド殿下も、トーレ殿下も」
と、フェデリコの妻アリーチェがお腹を摩る。
どうやら現在妊娠中で、11月頃に第6子が産まれるらしい。
続々と未来を担う子供たちが産まれるな、と思いながらベルがルフィーナのお腹を見る。
それはこほんと咳払いをして、ベルの耳元で囁いた。
「わ、わたしはまだです。魔法使いを増やさなきゃいけない義務は分かってますけど、陛下がベルさんのことで一杯で、それどころじゃなくて」
「も、申し訳ございません。ところでルフィーナ王妃陛下」
「なんでしょう?」
「あ、いえ、テンテンさんの方がよろしいでしょうか」
と、ベルが一同の中からテンテンを探すと、それは「スィー!」と返事をしながらベルの前へ飛び出してきた。
「あの、テンテンさん。私をカンクロ国へ送ってくださいませんか?」
サルヴァトーレに目を奪われていた一同が、驚きの声を上げてベルを見た。
当然のように、駄目だ、何を言っているのかと怒られたが、ベルの意志は揺るがなかった。
ハナのテレトラスポルトで飛ばされてしまったが、本当はこうしてもう帰国することを戸惑っていた。
「現在、フラヴィオ様たちがワン・ジンと王太后の軍を相手に戦われています」
「心配しなくても30分あれば終わる。無論、『力の王軍』の勝利だ」
と王太子オルランドが言うと、ベルは頷いて「そうですが」と続けた。
「終わったとき――ワン・ジンがこの世から去るそのとき、私は傍にいなければならない義務があるように感じるのです」
一同が戸惑いながら顔を見合わせた。
「私はカンクロ国の王妃――あの人の妻でした。いえ、あの人がまだ生きているのなら、今も妻でしょうか。私はオブリーオを掛けられましたが掛からず、でも掛かって記憶を失った振りをしていました。フラヴィオ様のことを覚えていたり、思い出したら殺すと脅されていたからです」
王子たちが不快そうに顔を歪め、口々からワン・ジンに対する悪態を呟く。
ベルが「でも」と続けた。
「あの人はやり方は手荒でしたが、善良な国王になる努力をしてくれました。私があの人を愛することはありませんでしたし、先ほどフラヴィオ様が仰っていましたが、あの人が私を愛していたかどうかとなると定かではありません。でもあの人が私を好いていて、私に好かれようと、愛されようと努力してくれたことは事実です。愛されずに育った分、私に求めたようにも思います。だから私が国民の笑顔が欲しいと言って以来、あの人は努力してくれました。そして本当に叶えてくれました。あの人はもう私に恨みしかないでしょうが、それでも私はあの人の最期に付き添わなければならない気がするのです」
というベルの言葉を聞いても承知の返事を出せないでいる一同の中、ルフィーナが「そうですね」と同意した。
「テンテンさんは今日はもうカンクロ国まで飛べるほどの力は残っていませんから、わたしのテレトラスポルトで行きましょう。ただ魔法が使える以上、少し距離が空いていたって殺すことが出来ますから、そんなに近くまで寄ることは出来ませんが……。でも、さぁ、そのときが去ってしまう前に行きましょう――」
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