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最終話ー6
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兵士たちが悲鳴を上げながら、咄嗟に民家を盾にして炎を防御する。
その様子を、市壁の門から「げぇっ!」と焦って見ていたコラード。
兵士たちの様子から死者は出なかったようだと察すると、「ふう」と息を吐いた。
「なんだ、意外といけるじゃん。これだけの数がいたら、もっとやばいことになると思ってたけど」
「違う……」
とレンツォの声が聞こえて、コラードがそちらを見る。
それは民家の角に隠れながら、黒の塊を見上げていた。
「彼ら王都のあちこちに顔を向けて、必死に何かを探してる感じ。炎を放てなかったんだ」
「『放てなかった』?」
とコラードが門からレンツォの下へと駆けて行くと、それは黒の塊の様子を眺めながら続けた。
「ボクがピピストレッロなら、探しものがあるなら無闇に炎魔法を使えないよ。だってその『何か』を炎で燃やしちゃうかもしれないから。だから彼らは炎を存分に使えないんだ。ほら、こっちが矢を放てば炎を返してくるけど、どう見ても本気で攻撃してないよ」
「たしかに、適当にあしらってる感じだな」
「いやでも、『何か』って何ですか、レンツォ殿下」
と寄ってきたリナルドが問うた。
2人の顔を見たレンツォが、「もしかして」と声を震わせた。
「さっきハーゲンさんが……ハーゲンさんが、ハーゲンさんが抱いていた――」
「陛下、殿下! 後ろです!」
兵士の絶叫がレンツォの言葉を遮った。
3人がはっと背後に振り返ると同時に、数人の兵士が3人の斜め上目掛けて矢を放つ。
背後に立っていた背丈3mはあろうか大きなオスのピピストレッロを見上げ、「は?」と呆然としたレンツォ。
突如コラードとリナルドに腕を引っ張られ、後ろ向きの体勢でその場から駆けて行く。
コラードとリナルドは目前にあった民家の角を左に曲がると、そのまま民家を三軒通り越していく。
「奴です、コラード陛下!」
「とりあえず撒くぞ!」
流石に後ろ向きでは二人の足に追い付かず、「わっ」と尻をつき、そのまま引き摺られていくレンツォの目に映る。
さっき大きなオスのピピストレッロに矢を放ったことで、反撃の炎を食らった兵士たち。
断末魔を町に轟かせ、ほんの数秒で鎧ごと真っ黒になって倒れていく。
「――ボクの、せいだ」
「違う!」
と民家と民家のあいだの小道に隠れながら、コラードが否定した。
「そうです、レンツォ殿下!」
とリナルドも続くと、二人の足元に足を延ばして座っているレンツォが首を横に振った。
「さっきのバケモノみたいなピピストレッロ、きっとボクが言ったあの人の名前を聞き取ったんだ。あの人がボクたちのところにいると思って、見に来たんだ。ピピストレッロは人間を殺すつもりだろうけど、それ以上にあの人が抱いていた赤子を探してるんだ。ボクが逃がしちゃった、あの人の……」
「待て待て、落ち着いてくださいレンツォ殿下。あの人って、あいつのことだよな? それをあのバケモノが探してる? それはどうかな。だってさっきのデールが、あいつだという証拠はない。私もあいつに何となく似てるって思っただけで、あいつだとは確信していない。だって死んだはずだし、あいつ。でもま、一応確認してみますか」
と咳払いしたリナルドが、口の横に手を当てて「ハーゲン」と言った。
それから3秒も経たずに先ほどのピピストレッロが小道を覗き込み、コラードとリナルドが「うわっ」とまたレンツォを引き摺って小道から逃げていく。
レンツォの目には、小道を突き抜けていった炎が見えた。
「やっぱり……そうなんだ。デールさんはあの人で、ピピストレッロたちはあの人が連れて行った赤ん坊を探してるんだ。なんで? ボクはさっきからずっと嫌な予感がしてる。もしかして、あの赤ん坊ってピピストレッロ界の女王陛下の子? なんでそれをあの人が? 普通に考えたら、あの人の子でもあるから?」
「え!? あいつムラッとしてメッゾサングエ作っちまったの!? なんだその奇跡中の奇跡は! よくやらせてもらえたな、オイ! しかも女王の子だって!?」
「ボクの推測が当たってるなら、きっとそうですコラード兄上。だってあの人、反乱軍とは思えないくらいピピストレッロの女王陛下を想ってる感じだった。そりゃ赤ん坊を探すよ、ピピストレッロたち。ピピストレッロの王はどうやって選ばれるのか知らないけど、もし人間界と同じように選ばれているんだとしたら、あの人が抱いていた赤ん坊は王女で、他に兄弟姉妹がいないとしたら新しい『女王』でしょう? ああ、どうしよう……ボクのせいだ」
「違う!」
とコラードがもう一度否定した。
ひとまず扉が開いていた近くの民家の中に隠れる。
「そういう風に考えるな、レンツォ。ピピストレッロがその赤ん坊を探してるからって何だよ? どっちにしろオレら人間を殺すつもりなら、あいつを逃がそうが逃がさまいが結果は一緒だろ?」
「そうです、レンツォ殿下。余計なことは考えないで、私たちは愛する妻子や国民の船が見えなくなるまで耐えることに専念しましょう。そして無事に任務を果たしましょう」
コラードが「でも」と二人を交互に見た。
「今さらだが、どうやってあのバケモノから長時間耐える? ウジャウジャいる普通のピピストレッロだけでも厄介なのに、あのバケモノにいられちゃ、あれよあれよという間にこっちが全滅する。だってピピストレッロの魔力は、翼の大きさに比例してるんだぞ。ってことは、ピピストレッロの中でもあいつの魔力が飛び抜けてるんだ。ナナ・ネネだって奴の魔力に怯えてたくらいだし、こっちが攻撃を仕掛ける度にあいつに炎魔法を返されてたんじゃ、せっかくの盾――石造りの民家だって、溶岩にされちまう」
床に尻を付いて思案顔になっているレンツォが、ふと立ち上がって民家の中を見回した。
「コラード兄上、リナルド。ボクが乗る馬と4人の騎士を連れて来てくれませんか」
「つまり4人の兵士と5頭の馬だな。まぁ、兵士も馬もすぐに連れて来られるだろうが……何をするんだ、レンツォ?」
「早く、お願いします」
とレンツォに急かされ、コラードとリナルドが急いでそれらを探しに行く。
そして戻ってくるなり、レンツォが紐で胸に括りつけているものを見て、二人が「えっ」と仰天する。
「ちょっと待て、ここ誰の家だよ!」
「赤ん坊を残していったのか!?」
レンツォが「ノ」と首を横に振った。
「これはただタオルを丸めて、赤ん坊に見立てたものです」
とレンツォが集まってくれた4人の兵士の胸にも、急いでそれらを紐で括りつけていく。
「ごめんなさい、目くらましになってもらいます。ボクひとりよりは、長いあいだ時間を稼げるから」
察したらしい兵士たちが、覚悟を決めた様子で頷いた。
同様に察したコラードとリナルドの瞳が揺れ動いていく。
「ちょ、ちょっと待て、レンツォ……?」
「な、何をする気です、レンツォ殿下……?」
「ボクはここでお別れです、コラード兄上、リナルド」
言葉を失った2人を見て、レンツォが「大丈夫」と笑顔を見せた。
「探してる赤ん坊がボクたちの懐にいるかもしれないんじゃ、彼らはまずボクたちに炎を放てない。ボクの推測通り、あの赤ん坊が新しい女王陛下だっていうなら尚のことです。どれくらいのピピストレッロを連れて行けるか分からないけど、でもあのバケモノだけは必ず連れていくから、そのあいだに王都に残ったピピストレッロを倒して時間を稼いでください。船はきっと、まだすぐそこにいる」
コラードが「待て!」と声を上げた。
「待てっ……待て、レンツォ! 何言ってるんだよ、おまえ! オレたちの中で一番弱いくせに!」
「スィー、コラード兄上。だからボクは強い2人の足手まといにならないように、こうして遠くから2人の補佐をします。ボクだってマストランジェロ一族の男だ。大切な妻子や国民の命が危険に晒されてるのに、何も出来ないまま死ぬなんて末代までの恥だよ。だから……」
とレンツォが二人を抱擁し、「さようなら」ともう一度笑顔を見せた。
その後、4人の兵士を連れて民家の外へと出ていく。
「まずは馬に乗って、市壁の外まで出ます」
「レンツォ!」
「レンツォ殿下!」
追ってきた2人には振り返らず、用意されている馬に飛び乗り、4人の兵士と共に市壁の門へと向かっていく。
市壁の外へと出て港の方を見ると、まだ近くに船が見えた。
(必ず、守る……!)
自身の左右に兵士を2人ずつ並ばせ、それまで上げていた兜の面頬を下ろす。
その後レンツォは大きく息を吸い込むと、王都の上空に浮遊する大きなオスのピピストレッロに向かって声を張り上げた。
「ハーゲンの赤ん坊はここだ! 君たちの探しものはここだ!」
ほんの一瞬でレンツォたちの真上にやって来た大きなオスのピピストレッロが、赤い瞳を動かして5人の懐に抱かれているものを見つめる。
「さぁ、どーれだ」
と言うなり、レンツォが4人に合図を出して馬を発進させた。
大きなオスのピピストレッロだけどころか、王都にいたすべてのピピストレッロが空中で黒の塊となってレンツォの後を追っていく。
それを見て、リナルドが慌てて声を上げた。
「今だ! 打て!」
兵士たちにより絶え間なく放たれる数百本の矢が、黒の塊の後部を射貫いていく。
10匹20匹、50匹60匹、100匹200匹と、次から次へと宙から大地へとピピストレッロが落ちて来ると、今度は剣を構えたコラードの声が轟いた――
「殺せえぇぇぇっ!」
その様子を、市壁の門から「げぇっ!」と焦って見ていたコラード。
兵士たちの様子から死者は出なかったようだと察すると、「ふう」と息を吐いた。
「なんだ、意外といけるじゃん。これだけの数がいたら、もっとやばいことになると思ってたけど」
「違う……」
とレンツォの声が聞こえて、コラードがそちらを見る。
それは民家の角に隠れながら、黒の塊を見上げていた。
「彼ら王都のあちこちに顔を向けて、必死に何かを探してる感じ。炎を放てなかったんだ」
「『放てなかった』?」
とコラードが門からレンツォの下へと駆けて行くと、それは黒の塊の様子を眺めながら続けた。
「ボクがピピストレッロなら、探しものがあるなら無闇に炎魔法を使えないよ。だってその『何か』を炎で燃やしちゃうかもしれないから。だから彼らは炎を存分に使えないんだ。ほら、こっちが矢を放てば炎を返してくるけど、どう見ても本気で攻撃してないよ」
「たしかに、適当にあしらってる感じだな」
「いやでも、『何か』って何ですか、レンツォ殿下」
と寄ってきたリナルドが問うた。
2人の顔を見たレンツォが、「もしかして」と声を震わせた。
「さっきハーゲンさんが……ハーゲンさんが、ハーゲンさんが抱いていた――」
「陛下、殿下! 後ろです!」
兵士の絶叫がレンツォの言葉を遮った。
3人がはっと背後に振り返ると同時に、数人の兵士が3人の斜め上目掛けて矢を放つ。
背後に立っていた背丈3mはあろうか大きなオスのピピストレッロを見上げ、「は?」と呆然としたレンツォ。
突如コラードとリナルドに腕を引っ張られ、後ろ向きの体勢でその場から駆けて行く。
コラードとリナルドは目前にあった民家の角を左に曲がると、そのまま民家を三軒通り越していく。
「奴です、コラード陛下!」
「とりあえず撒くぞ!」
流石に後ろ向きでは二人の足に追い付かず、「わっ」と尻をつき、そのまま引き摺られていくレンツォの目に映る。
さっき大きなオスのピピストレッロに矢を放ったことで、反撃の炎を食らった兵士たち。
断末魔を町に轟かせ、ほんの数秒で鎧ごと真っ黒になって倒れていく。
「――ボクの、せいだ」
「違う!」
と民家と民家のあいだの小道に隠れながら、コラードが否定した。
「そうです、レンツォ殿下!」
とリナルドも続くと、二人の足元に足を延ばして座っているレンツォが首を横に振った。
「さっきのバケモノみたいなピピストレッロ、きっとボクが言ったあの人の名前を聞き取ったんだ。あの人がボクたちのところにいると思って、見に来たんだ。ピピストレッロは人間を殺すつもりだろうけど、それ以上にあの人が抱いていた赤子を探してるんだ。ボクが逃がしちゃった、あの人の……」
「待て待て、落ち着いてくださいレンツォ殿下。あの人って、あいつのことだよな? それをあのバケモノが探してる? それはどうかな。だってさっきのデールが、あいつだという証拠はない。私もあいつに何となく似てるって思っただけで、あいつだとは確信していない。だって死んだはずだし、あいつ。でもま、一応確認してみますか」
と咳払いしたリナルドが、口の横に手を当てて「ハーゲン」と言った。
それから3秒も経たずに先ほどのピピストレッロが小道を覗き込み、コラードとリナルドが「うわっ」とまたレンツォを引き摺って小道から逃げていく。
レンツォの目には、小道を突き抜けていった炎が見えた。
「やっぱり……そうなんだ。デールさんはあの人で、ピピストレッロたちはあの人が連れて行った赤ん坊を探してるんだ。なんで? ボクはさっきからずっと嫌な予感がしてる。もしかして、あの赤ん坊ってピピストレッロ界の女王陛下の子? なんでそれをあの人が? 普通に考えたら、あの人の子でもあるから?」
「え!? あいつムラッとしてメッゾサングエ作っちまったの!? なんだその奇跡中の奇跡は! よくやらせてもらえたな、オイ! しかも女王の子だって!?」
「ボクの推測が当たってるなら、きっとそうですコラード兄上。だってあの人、反乱軍とは思えないくらいピピストレッロの女王陛下を想ってる感じだった。そりゃ赤ん坊を探すよ、ピピストレッロたち。ピピストレッロの王はどうやって選ばれるのか知らないけど、もし人間界と同じように選ばれているんだとしたら、あの人が抱いていた赤ん坊は王女で、他に兄弟姉妹がいないとしたら新しい『女王』でしょう? ああ、どうしよう……ボクのせいだ」
「違う!」
とコラードがもう一度否定した。
ひとまず扉が開いていた近くの民家の中に隠れる。
「そういう風に考えるな、レンツォ。ピピストレッロがその赤ん坊を探してるからって何だよ? どっちにしろオレら人間を殺すつもりなら、あいつを逃がそうが逃がさまいが結果は一緒だろ?」
「そうです、レンツォ殿下。余計なことは考えないで、私たちは愛する妻子や国民の船が見えなくなるまで耐えることに専念しましょう。そして無事に任務を果たしましょう」
コラードが「でも」と二人を交互に見た。
「今さらだが、どうやってあのバケモノから長時間耐える? ウジャウジャいる普通のピピストレッロだけでも厄介なのに、あのバケモノにいられちゃ、あれよあれよという間にこっちが全滅する。だってピピストレッロの魔力は、翼の大きさに比例してるんだぞ。ってことは、ピピストレッロの中でもあいつの魔力が飛び抜けてるんだ。ナナ・ネネだって奴の魔力に怯えてたくらいだし、こっちが攻撃を仕掛ける度にあいつに炎魔法を返されてたんじゃ、せっかくの盾――石造りの民家だって、溶岩にされちまう」
床に尻を付いて思案顔になっているレンツォが、ふと立ち上がって民家の中を見回した。
「コラード兄上、リナルド。ボクが乗る馬と4人の騎士を連れて来てくれませんか」
「つまり4人の兵士と5頭の馬だな。まぁ、兵士も馬もすぐに連れて来られるだろうが……何をするんだ、レンツォ?」
「早く、お願いします」
とレンツォに急かされ、コラードとリナルドが急いでそれらを探しに行く。
そして戻ってくるなり、レンツォが紐で胸に括りつけているものを見て、二人が「えっ」と仰天する。
「ちょっと待て、ここ誰の家だよ!」
「赤ん坊を残していったのか!?」
レンツォが「ノ」と首を横に振った。
「これはただタオルを丸めて、赤ん坊に見立てたものです」
とレンツォが集まってくれた4人の兵士の胸にも、急いでそれらを紐で括りつけていく。
「ごめんなさい、目くらましになってもらいます。ボクひとりよりは、長いあいだ時間を稼げるから」
察したらしい兵士たちが、覚悟を決めた様子で頷いた。
同様に察したコラードとリナルドの瞳が揺れ動いていく。
「ちょ、ちょっと待て、レンツォ……?」
「な、何をする気です、レンツォ殿下……?」
「ボクはここでお別れです、コラード兄上、リナルド」
言葉を失った2人を見て、レンツォが「大丈夫」と笑顔を見せた。
「探してる赤ん坊がボクたちの懐にいるかもしれないんじゃ、彼らはまずボクたちに炎を放てない。ボクの推測通り、あの赤ん坊が新しい女王陛下だっていうなら尚のことです。どれくらいのピピストレッロを連れて行けるか分からないけど、でもあのバケモノだけは必ず連れていくから、そのあいだに王都に残ったピピストレッロを倒して時間を稼いでください。船はきっと、まだすぐそこにいる」
コラードが「待て!」と声を上げた。
「待てっ……待て、レンツォ! 何言ってるんだよ、おまえ! オレたちの中で一番弱いくせに!」
「スィー、コラード兄上。だからボクは強い2人の足手まといにならないように、こうして遠くから2人の補佐をします。ボクだってマストランジェロ一族の男だ。大切な妻子や国民の命が危険に晒されてるのに、何も出来ないまま死ぬなんて末代までの恥だよ。だから……」
とレンツォが二人を抱擁し、「さようなら」ともう一度笑顔を見せた。
その後、4人の兵士を連れて民家の外へと出ていく。
「まずは馬に乗って、市壁の外まで出ます」
「レンツォ!」
「レンツォ殿下!」
追ってきた2人には振り返らず、用意されている馬に飛び乗り、4人の兵士と共に市壁の門へと向かっていく。
市壁の外へと出て港の方を見ると、まだ近くに船が見えた。
(必ず、守る……!)
自身の左右に兵士を2人ずつ並ばせ、それまで上げていた兜の面頬を下ろす。
その後レンツォは大きく息を吸い込むと、王都の上空に浮遊する大きなオスのピピストレッロに向かって声を張り上げた。
「ハーゲンの赤ん坊はここだ! 君たちの探しものはここだ!」
ほんの一瞬でレンツォたちの真上にやって来た大きなオスのピピストレッロが、赤い瞳を動かして5人の懐に抱かれているものを見つめる。
「さぁ、どーれだ」
と言うなり、レンツォが4人に合図を出して馬を発進させた。
大きなオスのピピストレッロだけどころか、王都にいたすべてのピピストレッロが空中で黒の塊となってレンツォの後を追っていく。
それを見て、リナルドが慌てて声を上げた。
「今だ! 打て!」
兵士たちにより絶え間なく放たれる数百本の矢が、黒の塊の後部を射貫いていく。
10匹20匹、50匹60匹、100匹200匹と、次から次へと宙から大地へとピピストレッロが落ちて来ると、今度は剣を構えたコラードの声が轟いた――
「殺せえぇぇぇっ!」
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