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最終話ー17
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「――ジル!」
と叫びながら、ガルテリオが腕に抱いていたヴァレンティーナを宙に向かって放り投げる。
「えっ?」
と一瞬何が起こったのか分からないまま、ガルテリオを見たヴァレンティーナ。
落下していく寸前、目に飛び込んできたのはガルテリオの腹部の鎧から飛び出す5本の爪だった。
「ガルテリオ!」
絶叫し、手を伸ばしたまま落下していったヴァレンティーナを、ジルベルトが「うわっ!」と慌てて受け止める。
中庭から見上げる一同からも、ガルテリオの真後ろに立つ白の巨体が見えて、再び辺りを悲鳴が包み込んでいく。
「ガルテリオ殿!」
とムサシが矢を連射し、ジルベルトが「待ってろ!」と跳び上がって窓の縁によじ登る。
ムサシの矢は大きなオスのピピストレッロの胸元に刺さっていき、一本食らうごとにその巨体が後退っていくと、ガルテリオの身体から5本の爪が抜けていった。
そして大きなオスのピピストレッロの方へと振り返ったガルテリオが、剣を構えてジルベルトを背に庇いながら、こう言った。
「行け、ジル。僕がこいつを食い止める」
「なっ……何言ってんだよ、ガルテリオ!」
「僕は深手を負った、学校まで逃げる上で足手まといになる。そうでなくとも、こうなってしまったらこいつはここで食い止めないと皆が危険だ。早く行け」
「んなこと出来るわけねえだろ!」
ガルテリオが襲い掛かってきた爪を剣で受け止めると、「うっ」と声が出ると共に傷口からどっと血が流れ出ていった。
「今、治癒魔法を掛けます!」
とルフィーナがテレトラスポルトしようとすると、ガルテリオが「ノ!」と制止した。
「ルフィーナ王妃陛下、あなたももう魔法を使える余裕は無いはず。その力は学校まで避難する際に、他の皆のためにとっておいてください」
「で…でも……!」
とルフィーナが戸惑う傍ら、ガルテリオがジルベルトに向かって続ける。
「早く行け、ジル」
「ふざけんな! オレは――」
「ティーナがいるんだ! トーレ殿下がいるんだ!」
と、ガルテリオが声高に叫んだ。
「僕の大切な二つの宝物なんだ……守りたいんだ! おまえだって、分かるだろう!」
ジルベルトは返答するまでに一呼吸分、黙考すると、「ああ」と言って中庭の方を向いた。
「……分かる」
「学校まで――父上たちの下までだ。頼んだぞ……ジル」
ジルベルトが覚悟を決めた様子で、黒の手を握り締める。
「任せろ……おまえの大切な二つは、オレが死んでも守る」
とジルベルトは下へと飛び降りると、一同に「行くぞ!」と言った。
ガルテリオの名を泣き叫んでいるサルヴァトーレを肩に担ぎ、ヴァレンティーナの手を強引に引っ張って、振り返らずに大手門へと駆けて行く。
「待って、ジル兄上! ガルテリオ先生も一緒に行く! おろして! ガルテリオ先生っ……ガルテリオ先生ぇぇぇっ!」
「嫌よ! 離して、ジル! ガルテリオを置いていけないわ! ジル! 離して! 離してよっ……! ガルテリオ!」
ガルテリオは顔を傾けてその背を見送ると、ジルベルトに向けて「ありがとう」と呟いた。
「おまえは僕の、救世主だ……!」
続いてムサシも「かたじけない」とガルテリオに深く一礼すると、泣き喚いている幼子たちを連れて大手門へと急いでいった。
ふと、レオナルドの泣き顔が目に入る。
「ガルテリオ兄上! 一緒に来てください、ガルテリオ兄上! 僕はこれ以上、大切な家族を失いたくありません!」
とてもとても心優しい弟に、微笑を返した。
「いいか、レオ。おまえのせいじゃない。僕に何があっても、自分を責めるなよ。おまえは何も悪くないんだ。普通の突っ込みを入れておくが、8歳のおまえが気にすることじゃない」
母の泣き顔も目に入った。
「冗談は止めて、ガルテリオ…! あなたまで失うなんて耐えられないわ……!」
こればかりはばつが悪くて、胸が強く痛む。
「親不孝な息子ばかりで申し訳ありません、母上……本当に、申し訳ありません。17年間、お世話になりました。決して長い人生ではありませんでしたが、母上を含め、愛する者のために残りの命を使えるのならば悔いはありません。父上たちにもそうお伝えください」
と居た堪れなくなったガルテリオが窓辺から離れていった一方、ピエトラが声高に「ご心配なく」と口を開いた。
「ガルテリオ様は、私とフィコが助け出します。皆さん、早く学校まで急いでください」
「そうだ、俺たちに任せて早く行ってくれい! いつまでもここで話をしてる時間なんてねえんだ!」
とフィコも続くと、おろおろとしていたファビオが「あっ!」と言って姿勢を正した。
窓から見えなくなったガルテリオに向け、兜の面頬を上げて敬礼し、「急いでくださいだ!」とその場に残っている女子供を大手門の方へと連れていく。
その中からひとり駆け戻ってきたベルが、宮廷の1階の廊下へ入っていったピエトラとフィコ、それから当然のようにそれと共に居る執事ファウストを「お待ちください!」と呼び止めた。
「ピエトラ様、フィコ師匠、私も一緒に戦います……!」
2人の眉間にシワが寄った。
「何言ってんだい、ベル。あんたは学校へ急ぎな」
「そうだ、俺の一番弟子。おまえはここに残るべきじゃねえ」
ファウストがいつもそうであるように、穏やかな声で口を開いた。
「そうですよ、ベルナデッタ女王陛下。あなたは必ず生き残らなければなりません」
「ということは」とベルが声高になった。
「お三方とも、生きて学校まで避難する気はないということですね? ガルテリオ様を含め、皆様この場で果てるおつもりでいらっしゃるのですね? 許しません……女王ベルナデッタは、そんなこと断じて許さないのです」
3人が顔を見合わせた。
「ベル、宮廷が襲われたら命を懸けて守るのは、私たち使用人の仕事でもあるんだよ」
「私だって使用人です!」
「おまえは女王陛下だろ、ついさっき自分で言った通り。それに天使なんだから、生きなきゃいけねえだろ」
「分かっています!」
「ならば急いでください、女王陛下。フィコはちょっと早いかもしれないけど、私とピエトラはもう充分に生きました。このような最期に悔いはありません」
「でもっ……!」
と3人の顔を見回すベルの栗色の瞳から、涙が溢れていく。
「ピエトラ様はベルナデッタのお母さんで、フィコ師匠はお父さんで、ファウスト様はおじいちゃんなのですっ……!」
3人の顔が優しく綻んだ。
「ああ、そうさベル。だから私は、あんたを死なせるわけには行かないのさ」
「考えてみろい。可愛い娘の命を危険から守らねえ父親がどこにいんだ?」
「私たちのためにもご無事でいてください、女王陛下。私たちが愛したこの国を再び建て直していただくには、あなたの力が必要不可欠なのですから」
「お母さん、お父さん、おじいちゃんっ……!」
大慌てで戻ってくるファビオの「女王陛下ぁぁぁ!」という叫声がした。
「さあ、行くんだ、私の大切な愛娘。私たちがガルテリオ様と共闘して、なるべく長いあいだ彼らを食い止める。その間に、皆と一緒に学校まで逃げ切るんだ。良いね?」
ベルが涙を飲み込み、決心した様子で「スィー」と返事をした。
3人と最後の抱擁を交わして、迎えに来たファビオと共に今度こそ宮廷を後にする。
3人はそれを見送った後、急いで階段を駆け上がっていった。
「って、あんた大丈夫かいファウスト」
「先に行っていて良いよ、二人共。私は足腰が弱いから」
「じーさんは女子供と一緒に学校へ行っても良かったんじゃねえのか?」
「こんな足腰だからこそ、若い者たちの迷惑になる。それに私は妻と最期を共にしたいよ」
「なら私と一緒に行かなきゃ駄目じゃないか」
とピエトラがファウストを背負い、残りの階段を駆け上がっていく。
先ほども大量に倒したつもりだが、廊下にはもうたくさんのピピストレッロがうろついていた。
また部屋という部屋の扉が開けられており、どの部屋も侵入されているようだった。
向かってくるそれらの首をフィコが素早く跳ね飛ばしながら廊下を進み、ガルテリオのいる部屋へと急ぐ。
そして3人が中を覗き込むと、大きなオスのピピストレッロとガルテリオが、爪と剣を激しくぶつけ合っていた。
床にはガルテリオの腹部から流れ出た血溜まりがあり、ガルテリオが弾かれると、その上を足が少し滑っていった。
ガルテリオが「フン」と鼻を鳴らす。
「フランジャヤロウが……」
大きなオスのピピストレッロの翼を見たピエトラが、「たしかにねぇ」と言った。
「フランジャみたいな翼だね」
「なんでい、フランジャって?」
「料理一筋で生きてきたフィコには『レオーネ国のイカソーメンみたいな飾り』って言った方が分かるんじゃないかい?」
「イカソーメンみたいな? ああ、アレのことか。意外と洒落た奴じゃねえか」
3人に振り返ったガルテリオが、少し驚いたような反応を見せた。
「じいや、ばあや、料理長……」
「私たちがお手伝いしますよ、ガルテリオ様。まあ、ファウストは見学だけどね」
「3人で戦った方が時間稼げるだろ?」
「ありがとう……助かる」
と言いながらもどこか申し訳なさそうなガルテリオに、3人が笑顔を向けた。
「私たちにも守りたいものがあるのですよ、ガルテリオ様」
「そうそう。宮廷で一つ屋根の下で暮らしてきた皆は俺たちの家族なんだ。一緒に守らせてくれい。俺もこのバケモノの相手をすっから、家政婦長は廊下で雑魚の相手を頼むぜ」
「分かったよ、フィコ」
とピエトラが戸口前の廊下に立ち、フィコが部屋に入っていく。
ファウストも一応持って来ていた弓を構え、ピエトラの傍に立った。
「見て」
とガルテリオが、大きなオスのピピストレッロの爪を受け止めながらフィコを一瞥した。
「こいつ、身体が異常に硬いんだ。それに、翼をこれだけフランジャみたいにされても、片方を半分失っていても、魔力がまだまだ高いんだ。何故ならムサシ殿下が矢で針山みたいにした身体の傷も、さっきまで潰れていた右目ももう治りかけてる」
「そうかい、俺の『六連輪切り円舞』も『半月・切り上げ』も『半月・唐竹』も『乱切り乱舞』もこいつの身体にはほとんど効かねえってわけかい。きっとこいつにやられたんだろう王子殿下たちが、翼を使ってイカソーメン作りに励むわけだぜ」
と、特大包丁を握るフィコの手がわなわなと震える。
「俺の家族を散々殺しやがって! 宮廷を、カプリコルノを滅茶苦茶にしやがって! 俺が玄人のイカソーメンにしてやるぜ、こんちくしょうが!」
と大きなオスのピピストレッロの背に突進していったフィコが、乱心した薪割り職人の如く特大包丁を振り下ろし、左翼をより細かく裂いていく。
振り返った大きなオスのピピストレッロがフィコへと爪を振るうと、フィコが「だりゃあ!」と包丁で弾き返した。
一本飛んだ爪は、またすぐに長く鋭利に伸びていく。
「何が目的だ! サジッターリオの王都だけじゃ飽き足らず、わざわざこっちまで飛んできて、そんなに人間が殺してえのか! そんなに人間が憎いのか!」
と怒り狂うフィコの傍ら、ガルテリオがふと先ほどのことを思い出した。
「そういえばルフィーナ王妃陛下が、ピピストレッロたちは『誰か』を探してると言っていたな」
ピエトラとフィコ、ファウストが眉を顰めた。
「そういえばそうだね……『誰か』って、サジッターリオの『誰か』ってことだよねぇ?」
「だろうな。何かよっぽどの恨みを買った『誰か』を追ってきたとか、そういうことか?」
「彼らの探しているその『誰か』を差し出せば、怒りを静めてサジッターリオに帰ってくれるかもしれないよ?」
ピエトラが少し呆れ顔になった。
「ファウスト、そうかもしれないけど、どうやってその『誰か』を見つけるって言うんだい? 誰のことなのか見当も付かないし、サジッターリオ国民はもう皆プリームラにやっちまったし。手遅れだ」
「彼に訊いてみてはどうだろう」
とファウストが提案すると、フィコが短く笑った。
「じーさん、ボケ過ぎだろ。モストロが人間語を分かるわけがねえ」
「タロウ君やハナちゃん、ナナちゃん・ネネちゃん、テンテン君を見てきて言う台詞かい、フィコ? 人型モストロの知能は、人間と変わらないよ」
「分かってっけど、こいつ野生だろ? ……でもま、一応訊いてみっか?」
とフィコが、正面で爪を振り回している大きなオスのピピストレッロに、「おい」と声を掛けた。
「おまえ、誰を探してるんでい?」
返ってきたのは、フィコの特大包丁を叩く金属音だった。
フィコが「ほら見ろ」とファウストに言うと、それはこう返した。
「サジッターリオ国に棲息するモストロが、カプリコルノ語を分かったら、それは私も驚くよ」
「言われてみりゃそうか。でも俺、カプリコルノ語とレオーネ語しか分かんねえぞ」
「じゃあ、僕が」
とガルテリオが、フィコと剣戟の相手を交代した。
兜の面頬を上げ、大柄な自身よりも1メートル以上上にある顔を見つめて、サジッターリオ語で問う。
「おまえたちは、誰を探してるんだ。それを教えてくれたら、おまえたちに渡してやれるかもしれない」
赤の瞳が、真剣でいるガルテリオの榛色の瞳を捉える。
間もなく、その爪が止まった。
「え……?」
と少し動揺した4人の目線の先、赤の唇が開いていく――
「ハーゲン……」
身体の芯まで轟きそうな、重低音の声が響いた。
耳を疑った4人の身体に、刹那の硬直が訪れる。
「――…う…嘘だろ、こいつ本当に人間語――サジッターリオ語を喋れるのかよ……!」
「だから私は言ったんだよ、フィコ。それより今、『ハーゲン』と……?」
「ちょっと待っておくれ。あの天才ヴィオリニスタなら、もう死んだじゃないか! 一体どういうことだい!」
ガルテリオが、「まさか……」と信じられない思いで、もう一度問う。
「ハーゲンは、生きてるのか?」
その返答は無く、カタコトの別の言葉が返ってきた。
「カエせ」
「返せ? 何をだ?」
「ソフィア」
聞き覚えの無い返答に、4人が困惑して再び硬直する。
「な……何だ、それは?」
その返答も無かった。
「ハーゲン」「カエせ」「ソフィア」――その三つの言葉だけが赤の唇から繰り返される。
「ソフィアって……ソフィアって、何だ。女の名前だから、女でいいのか? 実は生きていたハーゲンが女を――ソフィアを攫ってきたってことなのか?」
「女っつか、『メス』だろ普通に考えて?」
「何言ってるんだい、フィコ。ピピストレッロが船に乗ってたら、サジッターリオ国民が気付かないわけがないじゃないか」
「困ったね、三つの言葉だけでは分からないことが多過ぎるよ。これでは彼らに『誰か』を返そうにも返せない」
と4人が困惑しているうちに、大きなオスのピピストレッロの周りの空気が殺気立ち、その巨体が狂飆のように回転した。
ガルテリオとフィコが咄嗟に飛び退ったが、避け切れずに体の一部に赤い爪痕が出来る。
「いきなりキレやがって、こいつ……!」
「私たちでは彼らの力になれないと判断されたんだろう。これでは到底彼らの怒りを静めることは出来ない。被害がプリームラの方まで広がってしまう」
とファウストが、急いた様子でガルテリオを見た。
「レオ様なら何かお分かりになりますか」
ガルテリオがはっとして「そうだ」と3人の顔を見回した。
「レオだ……ハーゲンと仲の良かったレオなら、何か知ってるかもしれない。それにレオはピピストレッロに一番詳しいし、この謎も解けるかもしれない」
「なら、これはレオ様に任せた方が良さそうだね。急いでレオ様の後を追おう」
「誰がでい?」
とフィコが問うと、ファウストが挙手した。
「私が今すぐ馬で行こう」
「何言ってんでい! じーさんじゃ辿り着けねえよ!」
「私も行くよ」
とピエトラも続いた。
「ファウストじゃなくても、きっとひとりでレオ様たちに辿り着くのは厳しいからね。フィコ、私と代わって廊下に出ておくれ」
「分かった」
4人が互いの顔を見合う。
「念のため、今言っておくよ。さようなら、ガルテリオ様。じゃあね、フィコ。世話になったね」
「おうよ、家政婦長、じーさん。長い付き合いだったな。最後の仕事、しっかり頼んだぜい」
「ありがとう、じいや、ばあや……さようなら。大好きだよ」
ピエトラはファウストを肩に担ぐと、部屋の中に飛び込み、窓から中庭へと飛び降りていった。
アーチを潜って『下の中庭』へと入り、ファウストを肩から降ろす。
「馬車だ、ファウスト。レオ様たちに追い付くには、馬車がいる。馬車も馬車馬も燃やされてしまったかもしれないけど、無事だったらすぐに引いて来ておくれ」
承知したファウストが『下の中庭』の端にある厩舎へと向かう一方、ピエトラはそこに多数転がっている兵士・使用人の死体から空っぽの矢筒を取り、背と腰に装備した。
地面を埋め尽くす白の灰の中から先ほど投げたコルテッロを拾い集め、矢筒の中にぎりぎりまで詰め込んでいく。
ファウストがやがて「無事だったよ!」と四頭立ての箱馬車を大手門前に引いてくると、ピエトラが箱の後方にある荷台の上に飛び乗った。
そして後ろ向きで立ち、両手に合計8本のコルテッロを構えて「いいよ」と言うと、ファウストが箱馬車を発進させ、全速力で王都へと向かっていった。
と叫びながら、ガルテリオが腕に抱いていたヴァレンティーナを宙に向かって放り投げる。
「えっ?」
と一瞬何が起こったのか分からないまま、ガルテリオを見たヴァレンティーナ。
落下していく寸前、目に飛び込んできたのはガルテリオの腹部の鎧から飛び出す5本の爪だった。
「ガルテリオ!」
絶叫し、手を伸ばしたまま落下していったヴァレンティーナを、ジルベルトが「うわっ!」と慌てて受け止める。
中庭から見上げる一同からも、ガルテリオの真後ろに立つ白の巨体が見えて、再び辺りを悲鳴が包み込んでいく。
「ガルテリオ殿!」
とムサシが矢を連射し、ジルベルトが「待ってろ!」と跳び上がって窓の縁によじ登る。
ムサシの矢は大きなオスのピピストレッロの胸元に刺さっていき、一本食らうごとにその巨体が後退っていくと、ガルテリオの身体から5本の爪が抜けていった。
そして大きなオスのピピストレッロの方へと振り返ったガルテリオが、剣を構えてジルベルトを背に庇いながら、こう言った。
「行け、ジル。僕がこいつを食い止める」
「なっ……何言ってんだよ、ガルテリオ!」
「僕は深手を負った、学校まで逃げる上で足手まといになる。そうでなくとも、こうなってしまったらこいつはここで食い止めないと皆が危険だ。早く行け」
「んなこと出来るわけねえだろ!」
ガルテリオが襲い掛かってきた爪を剣で受け止めると、「うっ」と声が出ると共に傷口からどっと血が流れ出ていった。
「今、治癒魔法を掛けます!」
とルフィーナがテレトラスポルトしようとすると、ガルテリオが「ノ!」と制止した。
「ルフィーナ王妃陛下、あなたももう魔法を使える余裕は無いはず。その力は学校まで避難する際に、他の皆のためにとっておいてください」
「で…でも……!」
とルフィーナが戸惑う傍ら、ガルテリオがジルベルトに向かって続ける。
「早く行け、ジル」
「ふざけんな! オレは――」
「ティーナがいるんだ! トーレ殿下がいるんだ!」
と、ガルテリオが声高に叫んだ。
「僕の大切な二つの宝物なんだ……守りたいんだ! おまえだって、分かるだろう!」
ジルベルトは返答するまでに一呼吸分、黙考すると、「ああ」と言って中庭の方を向いた。
「……分かる」
「学校まで――父上たちの下までだ。頼んだぞ……ジル」
ジルベルトが覚悟を決めた様子で、黒の手を握り締める。
「任せろ……おまえの大切な二つは、オレが死んでも守る」
とジルベルトは下へと飛び降りると、一同に「行くぞ!」と言った。
ガルテリオの名を泣き叫んでいるサルヴァトーレを肩に担ぎ、ヴァレンティーナの手を強引に引っ張って、振り返らずに大手門へと駆けて行く。
「待って、ジル兄上! ガルテリオ先生も一緒に行く! おろして! ガルテリオ先生っ……ガルテリオ先生ぇぇぇっ!」
「嫌よ! 離して、ジル! ガルテリオを置いていけないわ! ジル! 離して! 離してよっ……! ガルテリオ!」
ガルテリオは顔を傾けてその背を見送ると、ジルベルトに向けて「ありがとう」と呟いた。
「おまえは僕の、救世主だ……!」
続いてムサシも「かたじけない」とガルテリオに深く一礼すると、泣き喚いている幼子たちを連れて大手門へと急いでいった。
ふと、レオナルドの泣き顔が目に入る。
「ガルテリオ兄上! 一緒に来てください、ガルテリオ兄上! 僕はこれ以上、大切な家族を失いたくありません!」
とてもとても心優しい弟に、微笑を返した。
「いいか、レオ。おまえのせいじゃない。僕に何があっても、自分を責めるなよ。おまえは何も悪くないんだ。普通の突っ込みを入れておくが、8歳のおまえが気にすることじゃない」
母の泣き顔も目に入った。
「冗談は止めて、ガルテリオ…! あなたまで失うなんて耐えられないわ……!」
こればかりはばつが悪くて、胸が強く痛む。
「親不孝な息子ばかりで申し訳ありません、母上……本当に、申し訳ありません。17年間、お世話になりました。決して長い人生ではありませんでしたが、母上を含め、愛する者のために残りの命を使えるのならば悔いはありません。父上たちにもそうお伝えください」
と居た堪れなくなったガルテリオが窓辺から離れていった一方、ピエトラが声高に「ご心配なく」と口を開いた。
「ガルテリオ様は、私とフィコが助け出します。皆さん、早く学校まで急いでください」
「そうだ、俺たちに任せて早く行ってくれい! いつまでもここで話をしてる時間なんてねえんだ!」
とフィコも続くと、おろおろとしていたファビオが「あっ!」と言って姿勢を正した。
窓から見えなくなったガルテリオに向け、兜の面頬を上げて敬礼し、「急いでくださいだ!」とその場に残っている女子供を大手門の方へと連れていく。
その中からひとり駆け戻ってきたベルが、宮廷の1階の廊下へ入っていったピエトラとフィコ、それから当然のようにそれと共に居る執事ファウストを「お待ちください!」と呼び止めた。
「ピエトラ様、フィコ師匠、私も一緒に戦います……!」
2人の眉間にシワが寄った。
「何言ってんだい、ベル。あんたは学校へ急ぎな」
「そうだ、俺の一番弟子。おまえはここに残るべきじゃねえ」
ファウストがいつもそうであるように、穏やかな声で口を開いた。
「そうですよ、ベルナデッタ女王陛下。あなたは必ず生き残らなければなりません」
「ということは」とベルが声高になった。
「お三方とも、生きて学校まで避難する気はないということですね? ガルテリオ様を含め、皆様この場で果てるおつもりでいらっしゃるのですね? 許しません……女王ベルナデッタは、そんなこと断じて許さないのです」
3人が顔を見合わせた。
「ベル、宮廷が襲われたら命を懸けて守るのは、私たち使用人の仕事でもあるんだよ」
「私だって使用人です!」
「おまえは女王陛下だろ、ついさっき自分で言った通り。それに天使なんだから、生きなきゃいけねえだろ」
「分かっています!」
「ならば急いでください、女王陛下。フィコはちょっと早いかもしれないけど、私とピエトラはもう充分に生きました。このような最期に悔いはありません」
「でもっ……!」
と3人の顔を見回すベルの栗色の瞳から、涙が溢れていく。
「ピエトラ様はベルナデッタのお母さんで、フィコ師匠はお父さんで、ファウスト様はおじいちゃんなのですっ……!」
3人の顔が優しく綻んだ。
「ああ、そうさベル。だから私は、あんたを死なせるわけには行かないのさ」
「考えてみろい。可愛い娘の命を危険から守らねえ父親がどこにいんだ?」
「私たちのためにもご無事でいてください、女王陛下。私たちが愛したこの国を再び建て直していただくには、あなたの力が必要不可欠なのですから」
「お母さん、お父さん、おじいちゃんっ……!」
大慌てで戻ってくるファビオの「女王陛下ぁぁぁ!」という叫声がした。
「さあ、行くんだ、私の大切な愛娘。私たちがガルテリオ様と共闘して、なるべく長いあいだ彼らを食い止める。その間に、皆と一緒に学校まで逃げ切るんだ。良いね?」
ベルが涙を飲み込み、決心した様子で「スィー」と返事をした。
3人と最後の抱擁を交わして、迎えに来たファビオと共に今度こそ宮廷を後にする。
3人はそれを見送った後、急いで階段を駆け上がっていった。
「って、あんた大丈夫かいファウスト」
「先に行っていて良いよ、二人共。私は足腰が弱いから」
「じーさんは女子供と一緒に学校へ行っても良かったんじゃねえのか?」
「こんな足腰だからこそ、若い者たちの迷惑になる。それに私は妻と最期を共にしたいよ」
「なら私と一緒に行かなきゃ駄目じゃないか」
とピエトラがファウストを背負い、残りの階段を駆け上がっていく。
先ほども大量に倒したつもりだが、廊下にはもうたくさんのピピストレッロがうろついていた。
また部屋という部屋の扉が開けられており、どの部屋も侵入されているようだった。
向かってくるそれらの首をフィコが素早く跳ね飛ばしながら廊下を進み、ガルテリオのいる部屋へと急ぐ。
そして3人が中を覗き込むと、大きなオスのピピストレッロとガルテリオが、爪と剣を激しくぶつけ合っていた。
床にはガルテリオの腹部から流れ出た血溜まりがあり、ガルテリオが弾かれると、その上を足が少し滑っていった。
ガルテリオが「フン」と鼻を鳴らす。
「フランジャヤロウが……」
大きなオスのピピストレッロの翼を見たピエトラが、「たしかにねぇ」と言った。
「フランジャみたいな翼だね」
「なんでい、フランジャって?」
「料理一筋で生きてきたフィコには『レオーネ国のイカソーメンみたいな飾り』って言った方が分かるんじゃないかい?」
「イカソーメンみたいな? ああ、アレのことか。意外と洒落た奴じゃねえか」
3人に振り返ったガルテリオが、少し驚いたような反応を見せた。
「じいや、ばあや、料理長……」
「私たちがお手伝いしますよ、ガルテリオ様。まあ、ファウストは見学だけどね」
「3人で戦った方が時間稼げるだろ?」
「ありがとう……助かる」
と言いながらもどこか申し訳なさそうなガルテリオに、3人が笑顔を向けた。
「私たちにも守りたいものがあるのですよ、ガルテリオ様」
「そうそう。宮廷で一つ屋根の下で暮らしてきた皆は俺たちの家族なんだ。一緒に守らせてくれい。俺もこのバケモノの相手をすっから、家政婦長は廊下で雑魚の相手を頼むぜ」
「分かったよ、フィコ」
とピエトラが戸口前の廊下に立ち、フィコが部屋に入っていく。
ファウストも一応持って来ていた弓を構え、ピエトラの傍に立った。
「見て」
とガルテリオが、大きなオスのピピストレッロの爪を受け止めながらフィコを一瞥した。
「こいつ、身体が異常に硬いんだ。それに、翼をこれだけフランジャみたいにされても、片方を半分失っていても、魔力がまだまだ高いんだ。何故ならムサシ殿下が矢で針山みたいにした身体の傷も、さっきまで潰れていた右目ももう治りかけてる」
「そうかい、俺の『六連輪切り円舞』も『半月・切り上げ』も『半月・唐竹』も『乱切り乱舞』もこいつの身体にはほとんど効かねえってわけかい。きっとこいつにやられたんだろう王子殿下たちが、翼を使ってイカソーメン作りに励むわけだぜ」
と、特大包丁を握るフィコの手がわなわなと震える。
「俺の家族を散々殺しやがって! 宮廷を、カプリコルノを滅茶苦茶にしやがって! 俺が玄人のイカソーメンにしてやるぜ、こんちくしょうが!」
と大きなオスのピピストレッロの背に突進していったフィコが、乱心した薪割り職人の如く特大包丁を振り下ろし、左翼をより細かく裂いていく。
振り返った大きなオスのピピストレッロがフィコへと爪を振るうと、フィコが「だりゃあ!」と包丁で弾き返した。
一本飛んだ爪は、またすぐに長く鋭利に伸びていく。
「何が目的だ! サジッターリオの王都だけじゃ飽き足らず、わざわざこっちまで飛んできて、そんなに人間が殺してえのか! そんなに人間が憎いのか!」
と怒り狂うフィコの傍ら、ガルテリオがふと先ほどのことを思い出した。
「そういえばルフィーナ王妃陛下が、ピピストレッロたちは『誰か』を探してると言っていたな」
ピエトラとフィコ、ファウストが眉を顰めた。
「そういえばそうだね……『誰か』って、サジッターリオの『誰か』ってことだよねぇ?」
「だろうな。何かよっぽどの恨みを買った『誰か』を追ってきたとか、そういうことか?」
「彼らの探しているその『誰か』を差し出せば、怒りを静めてサジッターリオに帰ってくれるかもしれないよ?」
ピエトラが少し呆れ顔になった。
「ファウスト、そうかもしれないけど、どうやってその『誰か』を見つけるって言うんだい? 誰のことなのか見当も付かないし、サジッターリオ国民はもう皆プリームラにやっちまったし。手遅れだ」
「彼に訊いてみてはどうだろう」
とファウストが提案すると、フィコが短く笑った。
「じーさん、ボケ過ぎだろ。モストロが人間語を分かるわけがねえ」
「タロウ君やハナちゃん、ナナちゃん・ネネちゃん、テンテン君を見てきて言う台詞かい、フィコ? 人型モストロの知能は、人間と変わらないよ」
「分かってっけど、こいつ野生だろ? ……でもま、一応訊いてみっか?」
とフィコが、正面で爪を振り回している大きなオスのピピストレッロに、「おい」と声を掛けた。
「おまえ、誰を探してるんでい?」
返ってきたのは、フィコの特大包丁を叩く金属音だった。
フィコが「ほら見ろ」とファウストに言うと、それはこう返した。
「サジッターリオ国に棲息するモストロが、カプリコルノ語を分かったら、それは私も驚くよ」
「言われてみりゃそうか。でも俺、カプリコルノ語とレオーネ語しか分かんねえぞ」
「じゃあ、僕が」
とガルテリオが、フィコと剣戟の相手を交代した。
兜の面頬を上げ、大柄な自身よりも1メートル以上上にある顔を見つめて、サジッターリオ語で問う。
「おまえたちは、誰を探してるんだ。それを教えてくれたら、おまえたちに渡してやれるかもしれない」
赤の瞳が、真剣でいるガルテリオの榛色の瞳を捉える。
間もなく、その爪が止まった。
「え……?」
と少し動揺した4人の目線の先、赤の唇が開いていく――
「ハーゲン……」
身体の芯まで轟きそうな、重低音の声が響いた。
耳を疑った4人の身体に、刹那の硬直が訪れる。
「――…う…嘘だろ、こいつ本当に人間語――サジッターリオ語を喋れるのかよ……!」
「だから私は言ったんだよ、フィコ。それより今、『ハーゲン』と……?」
「ちょっと待っておくれ。あの天才ヴィオリニスタなら、もう死んだじゃないか! 一体どういうことだい!」
ガルテリオが、「まさか……」と信じられない思いで、もう一度問う。
「ハーゲンは、生きてるのか?」
その返答は無く、カタコトの別の言葉が返ってきた。
「カエせ」
「返せ? 何をだ?」
「ソフィア」
聞き覚えの無い返答に、4人が困惑して再び硬直する。
「な……何だ、それは?」
その返答も無かった。
「ハーゲン」「カエせ」「ソフィア」――その三つの言葉だけが赤の唇から繰り返される。
「ソフィアって……ソフィアって、何だ。女の名前だから、女でいいのか? 実は生きていたハーゲンが女を――ソフィアを攫ってきたってことなのか?」
「女っつか、『メス』だろ普通に考えて?」
「何言ってるんだい、フィコ。ピピストレッロが船に乗ってたら、サジッターリオ国民が気付かないわけがないじゃないか」
「困ったね、三つの言葉だけでは分からないことが多過ぎるよ。これでは彼らに『誰か』を返そうにも返せない」
と4人が困惑しているうちに、大きなオスのピピストレッロの周りの空気が殺気立ち、その巨体が狂飆のように回転した。
ガルテリオとフィコが咄嗟に飛び退ったが、避け切れずに体の一部に赤い爪痕が出来る。
「いきなりキレやがって、こいつ……!」
「私たちでは彼らの力になれないと判断されたんだろう。これでは到底彼らの怒りを静めることは出来ない。被害がプリームラの方まで広がってしまう」
とファウストが、急いた様子でガルテリオを見た。
「レオ様なら何かお分かりになりますか」
ガルテリオがはっとして「そうだ」と3人の顔を見回した。
「レオだ……ハーゲンと仲の良かったレオなら、何か知ってるかもしれない。それにレオはピピストレッロに一番詳しいし、この謎も解けるかもしれない」
「なら、これはレオ様に任せた方が良さそうだね。急いでレオ様の後を追おう」
「誰がでい?」
とフィコが問うと、ファウストが挙手した。
「私が今すぐ馬で行こう」
「何言ってんでい! じーさんじゃ辿り着けねえよ!」
「私も行くよ」
とピエトラも続いた。
「ファウストじゃなくても、きっとひとりでレオ様たちに辿り着くのは厳しいからね。フィコ、私と代わって廊下に出ておくれ」
「分かった」
4人が互いの顔を見合う。
「念のため、今言っておくよ。さようなら、ガルテリオ様。じゃあね、フィコ。世話になったね」
「おうよ、家政婦長、じーさん。長い付き合いだったな。最後の仕事、しっかり頼んだぜい」
「ありがとう、じいや、ばあや……さようなら。大好きだよ」
ピエトラはファウストを肩に担ぐと、部屋の中に飛び込み、窓から中庭へと飛び降りていった。
アーチを潜って『下の中庭』へと入り、ファウストを肩から降ろす。
「馬車だ、ファウスト。レオ様たちに追い付くには、馬車がいる。馬車も馬車馬も燃やされてしまったかもしれないけど、無事だったらすぐに引いて来ておくれ」
承知したファウストが『下の中庭』の端にある厩舎へと向かう一方、ピエトラはそこに多数転がっている兵士・使用人の死体から空っぽの矢筒を取り、背と腰に装備した。
地面を埋め尽くす白の灰の中から先ほど投げたコルテッロを拾い集め、矢筒の中にぎりぎりまで詰め込んでいく。
ファウストがやがて「無事だったよ!」と四頭立ての箱馬車を大手門前に引いてくると、ピエトラが箱の後方にある荷台の上に飛び乗った。
そして後ろ向きで立ち、両手に合計8本のコルテッロを構えて「いいよ」と言うと、ファウストが箱馬車を発進させ、全速力で王都へと向かっていった。
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