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第13話(ルート2) =終=
「あぁ―――。これは死んじゃう……。」
その時だった!
カランとテオドールの頭から兜が落ち、さっきまで隠されていたその素顔が露わとなったのは……。
「あっ!」
予想だにしていなかった美形に、私は思わず眩暈がしそうになった。
と共に、私は無意識に牢屋をこじ開けて外へと走り出していっていた。
何のかんのと言いつつ、私は美形に弱い――それは認める。
あの憧れの勇者様を夢に見つつも、目の前で死に直面している美形男を助けようと勝手に手足が動く。
「危ないっ!!」
私は魔王から放たれた攻撃がテオドールに当たる直前、身をその前に乗り出して庇った。
だが――その攻撃魔法は私を掠めた瞬間、パァンッと弾けて霧散した。
「なんてことするのよっ!」
私は牛の様にフーフーと鼻で荒い息をたてて頭に血が上っていた。
「そなた……何故ここへ!?」
「んなことはどうだっていいのよ! もうっ! 許さないんだからっ!!」
私はテオドールが握っていたレイピアを奪い取り、魔王へと切りかかったのだった。
「覚悟っ!」
「なにをっ!」
火事場の馬鹿力とでも言うのかな……私はがむしゃらに戦った。
そして数々の王子たちが負け、テオドールも苦戦していたあの魔王に――私はいともあっさりと勝ってしまった。
「あっ―――っ!」
「ヴッ、ヴォォォォ………。」
私に心臓を一突きにされ、バタリと倒れた魔王は頭に埋め込まれていた宝玉を残して体は灰燼と化していったのだった。
「姫――さ、ま。魔王の……宝玉を、――砕い、て。」
無心で立っていた私はその忠告を聞いてハッとし、足で踏みつぶして宝玉を砕いた。
すると魔王が完全に倒されたことによって気が抜けたのか、後ろでテオドールもバタリと倒れる音がした。
「テオドール様っ!」
私はすぐさま駆け寄り、肩を抱いて仰向けにして身を半分起こした。
ハァハァと息は上がっていたが、怪我も大したことが無く命の危険はなさそうだ。
「どうして僕の名前を……。」
「えっと―――牢屋の方まで聞こえていました。」
「そう……ですか。姫は……お強い、のです、ね。」
そう言われ、私は恥ずかしくなって顔を真っ赤にしていた。
「フフッ……可愛らしいひとだ。」
傷だらけに体で弱々しくも微笑むその顔に、私は胸をキュンとさせた。
「あっ、あの……。立て……ますか? ここに居ても危ないし、それに………。」
「それに?」
優しく問いかけるその声に、私は胸をグッと掴まれた。
「それに他の方の事も気になります。」
「お優しい方だ。ならば僕が案内しよう。肩を……。」
私は肩を貸し、テオドールを支えるように腰に手を添えた。
――ん?
そこで妙な異変を感じた。
「テオドール……様? 随分と細い腰をしていらっしゃるの、ですね。」
「あぁ………実は僕、体は女なんだ。」
――はい?
「訳あって男として育てられたし、僕自身も男だと思ってるんだけどね。ハハッ!」
ちょっと複雑な理由がありそうで、それ以上は聞くに聞けない……。
私は今は忘れようと、小者を倒したり物陰に隠れたりしつつ魔王の自室へと向かった。
「ここだよ。」
部屋の中に入ると死んでいる者もいたが――辛うじて生きている者も何人か確認できた。
「私が回復魔法をっ――!」
倒れている男たちに向かい、神に聖なる祈りを捧げた。
するとキラキラとした光に包まれ、生きている者は走って逃げれる程度には回復した。
皆「おぉー!」と歓喜に沸き、私の元へと駆け寄ってくる。
「姫を助けに来たというのに、私たちが姫に助けられようとは。謝罪を……。」
「き、気にしないでください……アハハッ……。」
ただ私は美形男に良い所を見せようと思っていただけだったのに……。
ここには男としての機能を失った僧侶やら、戦闘狂やら、不細工やら……私の結婚相手に相応しい男はおらず、とんだ無駄骨だったなと落胆した。
魔王亡き今、ここには用がないからと、私はトボトボと家路へと着いたのだった―――。
その時だった!
カランとテオドールの頭から兜が落ち、さっきまで隠されていたその素顔が露わとなったのは……。
「あっ!」
予想だにしていなかった美形に、私は思わず眩暈がしそうになった。
と共に、私は無意識に牢屋をこじ開けて外へと走り出していっていた。
何のかんのと言いつつ、私は美形に弱い――それは認める。
あの憧れの勇者様を夢に見つつも、目の前で死に直面している美形男を助けようと勝手に手足が動く。
「危ないっ!!」
私は魔王から放たれた攻撃がテオドールに当たる直前、身をその前に乗り出して庇った。
だが――その攻撃魔法は私を掠めた瞬間、パァンッと弾けて霧散した。
「なんてことするのよっ!」
私は牛の様にフーフーと鼻で荒い息をたてて頭に血が上っていた。
「そなた……何故ここへ!?」
「んなことはどうだっていいのよ! もうっ! 許さないんだからっ!!」
私はテオドールが握っていたレイピアを奪い取り、魔王へと切りかかったのだった。
「覚悟っ!」
「なにをっ!」
火事場の馬鹿力とでも言うのかな……私はがむしゃらに戦った。
そして数々の王子たちが負け、テオドールも苦戦していたあの魔王に――私はいともあっさりと勝ってしまった。
「あっ―――っ!」
「ヴッ、ヴォォォォ………。」
私に心臓を一突きにされ、バタリと倒れた魔王は頭に埋め込まれていた宝玉を残して体は灰燼と化していったのだった。
「姫――さ、ま。魔王の……宝玉を、――砕い、て。」
無心で立っていた私はその忠告を聞いてハッとし、足で踏みつぶして宝玉を砕いた。
すると魔王が完全に倒されたことによって気が抜けたのか、後ろでテオドールもバタリと倒れる音がした。
「テオドール様っ!」
私はすぐさま駆け寄り、肩を抱いて仰向けにして身を半分起こした。
ハァハァと息は上がっていたが、怪我も大したことが無く命の危険はなさそうだ。
「どうして僕の名前を……。」
「えっと―――牢屋の方まで聞こえていました。」
「そう……ですか。姫は……お強い、のです、ね。」
そう言われ、私は恥ずかしくなって顔を真っ赤にしていた。
「フフッ……可愛らしいひとだ。」
傷だらけに体で弱々しくも微笑むその顔に、私は胸をキュンとさせた。
「あっ、あの……。立て……ますか? ここに居ても危ないし、それに………。」
「それに?」
優しく問いかけるその声に、私は胸をグッと掴まれた。
「それに他の方の事も気になります。」
「お優しい方だ。ならば僕が案内しよう。肩を……。」
私は肩を貸し、テオドールを支えるように腰に手を添えた。
――ん?
そこで妙な異変を感じた。
「テオドール……様? 随分と細い腰をしていらっしゃるの、ですね。」
「あぁ………実は僕、体は女なんだ。」
――はい?
「訳あって男として育てられたし、僕自身も男だと思ってるんだけどね。ハハッ!」
ちょっと複雑な理由がありそうで、それ以上は聞くに聞けない……。
私は今は忘れようと、小者を倒したり物陰に隠れたりしつつ魔王の自室へと向かった。
「ここだよ。」
部屋の中に入ると死んでいる者もいたが――辛うじて生きている者も何人か確認できた。
「私が回復魔法をっ――!」
倒れている男たちに向かい、神に聖なる祈りを捧げた。
するとキラキラとした光に包まれ、生きている者は走って逃げれる程度には回復した。
皆「おぉー!」と歓喜に沸き、私の元へと駆け寄ってくる。
「姫を助けに来たというのに、私たちが姫に助けられようとは。謝罪を……。」
「き、気にしないでください……アハハッ……。」
ただ私は美形男に良い所を見せようと思っていただけだったのに……。
ここには男としての機能を失った僧侶やら、戦闘狂やら、不細工やら……私の結婚相手に相応しい男はおらず、とんだ無駄骨だったなと落胆した。
魔王亡き今、ここには用がないからと、私はトボトボと家路へと着いたのだった―――。
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