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第0章 これが始まりの物語
7.魔法への期待
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「ちょ、ちょっと待ってください! 俺、何の取り柄もないただの15の子供ですよ? それにここでは過去も生まれも存在せず身元不明で、この世界の人からしたら明らかに怪しい身の上で、家族も友達も居ない状態です。しかもこの世界に来て数日で…、この世界での常識も何もかも、知らない事が多すぎるのに……。何が起こっているのかは知りませんが、突然そんな、世界中の異変を1人でどうにかしろだなんて大それたこと……無理ですっ!」
いたって普通の高校生であった俺は、神様からとはいえ「お手伝い」なんて軽い言葉で言い表せれる様なものではないと感じた程の大きな頼みごとに慌てていた。
「君の魂での年齢は15歳ですが、この世界に来た時に新たに与えたその肉体はまだ0歳ですので、0歳とも15歳とも言える今の君にとっては年齢なんて在って無い様なものです。それにこの世界での成人年齢はどこの国も16歳です。そして君の魂での年齢に合わせて新たに作ったその肉体は、赤ん坊程ではありませんが新しいのでまだ弱々しい…。なので成人年齢に達するまでに、この世界での年齢相応の肉体になる様に今日を生まれた日とし、今から一年かけて鍛えてください。そうすればそれからでもこの問題の対応には充分間に合いますから大丈夫です。」
「えっ? 俺の体って…そんなに弱いの?」
俺は「新たな体」と言われて想像していたものとは全然違っていたことに衝撃を受けた。
「赤ん坊ではなく、15歳の人間として新たに作った肉体ですから、無闇に力を与えるとあらゆる所に負荷がかかってしまい、壊れてしまいます。ましてや魔力のない世界から来たのですから、魂にもかなりの負担になりかねません。なのでまずは少しでも慣れてもらおうと、こうしてお話をする前にこの世界を幾分か歩き、過ごしていただいたのです。先程君が刺された蛾も、本来であればあれぐらいで目眩を起こしたりするものではありません。ですがこの世界の住人ではない、魔力を持たない君は、魔力ではなく生命力を吸われてしまい体調に影響を及ぼしたのです。」
「えぇー! マジかよ……。そこまで俺は弱かったのか…。……そういえばずっと魔力、魔力って言ってるけど、この世界では魔法が使えるのか? 俺もそのうち使える様になったりするの?」
俺は期待と不安が入り混じり、ドキドキしながら聞いた。
すると神様は首を横に振りながら「いいえ」と答えた。
「君がこの世界で呼吸をし、食事をすることによって魔力を溜める器を作り、溜めておくことはできます。ですがそれだけです。この世界に魔法はありますが、使うためには私に対する信仰が必要であり、そしてこの世界の住人である必要性があります。なので外界から来た君では一生使う事は出来ません。」
その言葉に俺はガックリとうな垂れて大きく一つため息を吐いた。
「せっかくの異世界。魔法のある世界に来たのに一生使えないのかよ、俺……。」
「ですが……………」
俺はその「ですが」という言葉に、何か望みがあるのかとパッと顔を上げて輝かせた。
「私と契約書を交わし、魔法とは違う神の力の一部を……君だけが使う事のできる固有の特別な能力を、3つまで授ける事ができます。魔力はその力を使う時のエネルギーとして、魔法を使う時と同じ様に使用することができるでしょう。今までお招きし、私のお手伝いをしてくれた4人の聖人たちと同じ様に…。なので、世界の異変を解決する際には何も困らないと思いますよ。」
「やったー!!」
俺は『固有の特別な能力』という言葉にさっき味わった痛恨の念を忘れ、両手を上げて歓喜のあまり叫び声をあげた。
だが「契約書」や「聖人」という言葉に、歓喜に沸きながらもはたと気付いて恐る恐る尋ねてみた。
「もしかして……神様と契約書を交わすと、俺も“聖人”って呼ばれちゃったりするの…かな?」
神様は昔を思い出すように、空を仰ぎ見ながら答えた。
「そうですねぇ……。今までお手伝いしてもらった4人の人間たちは、生きている内は“救世主”と。死んだ後には“聖人”と、他の人間達に呼ばれていましたね。そして聖人となってからは、遺した契約書を聖書とし、聖人を神の御使いとして神自身の様に信仰され、それを1つの宗教として中心に据えられ、1つ1つの国ができあがってきました。そして聖人の遺した子孫たちは神の血縁として、王と言うその国の管理者となり、国民に大切に扱われています。」
「―――えっ? じゃ、じゃあ……、俺も同じ様に、死んだら聖人となるだけじゃなく、更に俺を神様の様に信仰されて国までできちゃうかもしれないってこと!?」
微笑みながら「そうですね。」と神様は言うと、俺に満面の笑みを向けながら楽しそうに言った。
「…そうかもしれませんね。だから、子供を作るなら相手をよく考えないといけませんよ。王の地位を狙って君を騙そうとする人も居るかもしれませんから。」
「こ、子供って……。まだ1、15だよ、俺………。」
俺は顔が真っ赤になってカァーっと熱くなっているのを感じた。
それを見て、神様はフフフッと優しく笑っていた。
「16歳で成人し、20代前半で子供が2人、3人はいるのが当たり前の世界です。君に子供ができるのなんて私からすればあっという間ですよ。」
「か、神様。やめてくださいよ~。」
この頃には、ずっと好きだった片思い中の女の子にコンプレックスを弄られ、酷く落ち込んで傷付いていた事なんてとっくに俺は忘れて笑顔になっていた。
あの傷付いていた俺は地球に置いてきた『遠見ルカ』なんだ。
ここに居るのは新たな、聖なる庭園の『ルカ』なのだ。
いたって普通の高校生であった俺は、神様からとはいえ「お手伝い」なんて軽い言葉で言い表せれる様なものではないと感じた程の大きな頼みごとに慌てていた。
「君の魂での年齢は15歳ですが、この世界に来た時に新たに与えたその肉体はまだ0歳ですので、0歳とも15歳とも言える今の君にとっては年齢なんて在って無い様なものです。それにこの世界での成人年齢はどこの国も16歳です。そして君の魂での年齢に合わせて新たに作ったその肉体は、赤ん坊程ではありませんが新しいのでまだ弱々しい…。なので成人年齢に達するまでに、この世界での年齢相応の肉体になる様に今日を生まれた日とし、今から一年かけて鍛えてください。そうすればそれからでもこの問題の対応には充分間に合いますから大丈夫です。」
「えっ? 俺の体って…そんなに弱いの?」
俺は「新たな体」と言われて想像していたものとは全然違っていたことに衝撃を受けた。
「赤ん坊ではなく、15歳の人間として新たに作った肉体ですから、無闇に力を与えるとあらゆる所に負荷がかかってしまい、壊れてしまいます。ましてや魔力のない世界から来たのですから、魂にもかなりの負担になりかねません。なのでまずは少しでも慣れてもらおうと、こうしてお話をする前にこの世界を幾分か歩き、過ごしていただいたのです。先程君が刺された蛾も、本来であればあれぐらいで目眩を起こしたりするものではありません。ですがこの世界の住人ではない、魔力を持たない君は、魔力ではなく生命力を吸われてしまい体調に影響を及ぼしたのです。」
「えぇー! マジかよ……。そこまで俺は弱かったのか…。……そういえばずっと魔力、魔力って言ってるけど、この世界では魔法が使えるのか? 俺もそのうち使える様になったりするの?」
俺は期待と不安が入り混じり、ドキドキしながら聞いた。
すると神様は首を横に振りながら「いいえ」と答えた。
「君がこの世界で呼吸をし、食事をすることによって魔力を溜める器を作り、溜めておくことはできます。ですがそれだけです。この世界に魔法はありますが、使うためには私に対する信仰が必要であり、そしてこの世界の住人である必要性があります。なので外界から来た君では一生使う事は出来ません。」
その言葉に俺はガックリとうな垂れて大きく一つため息を吐いた。
「せっかくの異世界。魔法のある世界に来たのに一生使えないのかよ、俺……。」
「ですが……………」
俺はその「ですが」という言葉に、何か望みがあるのかとパッと顔を上げて輝かせた。
「私と契約書を交わし、魔法とは違う神の力の一部を……君だけが使う事のできる固有の特別な能力を、3つまで授ける事ができます。魔力はその力を使う時のエネルギーとして、魔法を使う時と同じ様に使用することができるでしょう。今までお招きし、私のお手伝いをしてくれた4人の聖人たちと同じ様に…。なので、世界の異変を解決する際には何も困らないと思いますよ。」
「やったー!!」
俺は『固有の特別な能力』という言葉にさっき味わった痛恨の念を忘れ、両手を上げて歓喜のあまり叫び声をあげた。
だが「契約書」や「聖人」という言葉に、歓喜に沸きながらもはたと気付いて恐る恐る尋ねてみた。
「もしかして……神様と契約書を交わすと、俺も“聖人”って呼ばれちゃったりするの…かな?」
神様は昔を思い出すように、空を仰ぎ見ながら答えた。
「そうですねぇ……。今までお手伝いしてもらった4人の人間たちは、生きている内は“救世主”と。死んだ後には“聖人”と、他の人間達に呼ばれていましたね。そして聖人となってからは、遺した契約書を聖書とし、聖人を神の御使いとして神自身の様に信仰され、それを1つの宗教として中心に据えられ、1つ1つの国ができあがってきました。そして聖人の遺した子孫たちは神の血縁として、王と言うその国の管理者となり、国民に大切に扱われています。」
「―――えっ? じゃ、じゃあ……、俺も同じ様に、死んだら聖人となるだけじゃなく、更に俺を神様の様に信仰されて国までできちゃうかもしれないってこと!?」
微笑みながら「そうですね。」と神様は言うと、俺に満面の笑みを向けながら楽しそうに言った。
「…そうかもしれませんね。だから、子供を作るなら相手をよく考えないといけませんよ。王の地位を狙って君を騙そうとする人も居るかもしれませんから。」
「こ、子供って……。まだ1、15だよ、俺………。」
俺は顔が真っ赤になってカァーっと熱くなっているのを感じた。
それを見て、神様はフフフッと優しく笑っていた。
「16歳で成人し、20代前半で子供が2人、3人はいるのが当たり前の世界です。君に子供ができるのなんて私からすればあっという間ですよ。」
「か、神様。やめてくださいよ~。」
この頃には、ずっと好きだった片思い中の女の子にコンプレックスを弄られ、酷く落ち込んで傷付いていた事なんてとっくに俺は忘れて笑顔になっていた。
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