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第3章 オフィーリア国、最初の街
3.お金と出会い
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「なんだって!?」
「サクラヴェール国のお金は質があまり良くないからねぇ…。オフィーリア国のと比べると純度が低いし、こんなもんにしかならないよ。まぁ、拳大のパン1個があっちだとサクラ銅貨1枚とサクラ銭貨5枚だが、こっちだとリア銭貨6枚で買えるから…。そう困りはしないと思うよ?」
両替商のお婆さんに替えてもらって出されたオフィーリア国のお金が、元々持っていたサクラヴェール国のお金と比べてあまりにも少なかったので俺は驚愕したが、この国の物価の低さを聞いて少し安堵した。
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ! 兄さん、この国に来たのは初めてかい? まぁ、数字だけ見たら半分近くに減ったのだからたまげるわな。でも…、こんなことで驚いてちゃー、この国では心臓がもたないよ…。ケッケッケッケッケッケッケッ。」
上目遣いで俺を見上げ、両替商のお婆さんは少し意地が悪そうに笑った。
お婆さんのその態度に俺はちょっと嫌な気分になったが、銀行の両替商という国が認めた公式な機関というぼったくられる事の無い一番安全な所なので、俺は言われた通りの金額で証明書にサインをして銀行を出た。
「なんなの!? あのお婆さん…。私たちがサクラヴェール国の人間だからって、田舎者だと思ってバカにしてるのかしら…。ちょっと嫌な感じ~。」
「ニャ~!」
リリアとパウロは建物の外に出ると憤慨を露わにし、2人揃って銀行に向かってアッカンベーをしていた。
「まぁ、まぁ……。」
「ニャー、ニャー……。」
俺はリリアを、アダムとイブはパウロを宥め、両替をして軽くなった布袋を持って今夜の宿を探すことにした。
「なるべく安い宿が良いんだけど……。」
街中をキョロキョロしながら歩いていても、ご立派な大きな建物の高そうな感じのするホテルばかりであった。
「これは……、絶対にどこも高いよ……。ハァ~…。どうしよう……。」
安い宿を求めて俺たちは奥へ奥へと彷徨い歩き、いつの間にかこの街の住宅街の方まで来てしまっていた事に、リリアに指摘されてから気が付いた。
「お兄ちゃん…。ここは宿じゃなくてお家がある所みたいだよ。」
「あっ! 大通りまで戻らなきゃ…。」
俺たちが大通りまで戻ろうと踵を返して歩きだそうとすると、肩をポンと叩かれて後ろから声を掛けられた。
「兄さんたち、迷子かい?」
後ろを振り向くと、そこに居たのはリリアとそう変わらない年齢に見えた、オフィーリア国民であるエルフとは少し違った見た目をした少年であった。
少し珍しい見た目をした少年を思わずジーっと見つめてしまい、返事をするのを忘れていると、少年がハッと何かに気が付いて慌てだした。
「えーっと……。コトバ、ワカリ、マス、カ? マイゴ、カ? 通じてるかな~?」
黙っていた俺たちに、少年は日本語……この世界ではサクラヴェール語と呼ばれている言葉じゃなければ俺たちには通じないと思った様で、たどたどしい片言ながらも言い換えて改めて尋ねてくれた。
「あっ、あぁ……。ボーっとしてたよ。ごめん。オフィーリア語は分かるから大丈夫だよ。」
「あぁ、良かった。兄さんたち、サクラヴェール国の人だろ? ここらでは見ない恰好をしてキョロキョロしながらこんな所を歩いているなんて怪しさ満点なんだけど……、どうしたんだい?」
「俺たちは旅をしていて、サクラヴェール国からオフィーリア国に来たばかりなんだ。それでさっきこの街に着いたところなんだけど…、何処の宿も高そうでね~。そんなにお金も持っていないから安い宿がないかなと探して歩いていたらここまで来てしまっていたのさ。ハハハハハハハハハハ……。」
頭を掻いて俺が誤魔化す様に笑っていると、左腕にしがみ付いていたリリアが少年を警戒してキッと睨んでいた。
「リリア……。」
「お嬢ちゃん。そんなに警戒しなくても僕は何もしやしないよ。」
国境に一番近い村で育っただけあってオフィーリア国の人たちにリリアはよく村やアシュワガンダの街に行った時に会うことがあるのである程度言葉も分かるらしいが、先程の銀行での一件もあってオフィーリア国の人に良い印象が無く、警戒心を解くことはなかった。
「私、お嬢ちゃんじゃないもん! お兄ちゃんの『妻』だもん!」
「こ、こらっ。リリア……。」
「妻!?」
自分と年齢の変わらなそうな少年に「お嬢ちゃん」と言われて怒りだしたリリアがこれ以上変な事を言わない様にと窘める為、リリアの口を俺は手の平で塞いで抑えたまま、あたふたと言い繕った。
「え、えーっと……。ちょっと事情があってね…。旅をする為に…許嫁ってことにしてるんだよ!」
「へ~ぇ。事情ねぇ……。」
少年は俺とリリアの顔を交互に何度も見て不思議そうな顔をしていた。
「まぁいいや……。しかし、まいったな………。安い宿を探しているんだろ? この国の宿はサクラヴェール国のに比べると何処も高そうな見た目をしているが値段自体は大したことはないんだ。ここは田舎だし結構安い方だと思うよ。でも、兄さんたち3匹も猫を連れているだろ? ちょっと泊まるのは難しいんじゃないかなぁと思って……。だから僕んちに泊まってはどうかなぁと思ったんだけど…、なんかその子に嫌われちゃってるみたいだね……。」
申し訳なさそうな顔して少年は睨みつけるリリアを見て愛想笑いを浮かべた。
「サクラヴェール国のお金は質があまり良くないからねぇ…。オフィーリア国のと比べると純度が低いし、こんなもんにしかならないよ。まぁ、拳大のパン1個があっちだとサクラ銅貨1枚とサクラ銭貨5枚だが、こっちだとリア銭貨6枚で買えるから…。そう困りはしないと思うよ?」
両替商のお婆さんに替えてもらって出されたオフィーリア国のお金が、元々持っていたサクラヴェール国のお金と比べてあまりにも少なかったので俺は驚愕したが、この国の物価の低さを聞いて少し安堵した。
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ! 兄さん、この国に来たのは初めてかい? まぁ、数字だけ見たら半分近くに減ったのだからたまげるわな。でも…、こんなことで驚いてちゃー、この国では心臓がもたないよ…。ケッケッケッケッケッケッケッ。」
上目遣いで俺を見上げ、両替商のお婆さんは少し意地が悪そうに笑った。
お婆さんのその態度に俺はちょっと嫌な気分になったが、銀行の両替商という国が認めた公式な機関というぼったくられる事の無い一番安全な所なので、俺は言われた通りの金額で証明書にサインをして銀行を出た。
「なんなの!? あのお婆さん…。私たちがサクラヴェール国の人間だからって、田舎者だと思ってバカにしてるのかしら…。ちょっと嫌な感じ~。」
「ニャ~!」
リリアとパウロは建物の外に出ると憤慨を露わにし、2人揃って銀行に向かってアッカンベーをしていた。
「まぁ、まぁ……。」
「ニャー、ニャー……。」
俺はリリアを、アダムとイブはパウロを宥め、両替をして軽くなった布袋を持って今夜の宿を探すことにした。
「なるべく安い宿が良いんだけど……。」
街中をキョロキョロしながら歩いていても、ご立派な大きな建物の高そうな感じのするホテルばかりであった。
「これは……、絶対にどこも高いよ……。ハァ~…。どうしよう……。」
安い宿を求めて俺たちは奥へ奥へと彷徨い歩き、いつの間にかこの街の住宅街の方まで来てしまっていた事に、リリアに指摘されてから気が付いた。
「お兄ちゃん…。ここは宿じゃなくてお家がある所みたいだよ。」
「あっ! 大通りまで戻らなきゃ…。」
俺たちが大通りまで戻ろうと踵を返して歩きだそうとすると、肩をポンと叩かれて後ろから声を掛けられた。
「兄さんたち、迷子かい?」
後ろを振り向くと、そこに居たのはリリアとそう変わらない年齢に見えた、オフィーリア国民であるエルフとは少し違った見た目をした少年であった。
少し珍しい見た目をした少年を思わずジーっと見つめてしまい、返事をするのを忘れていると、少年がハッと何かに気が付いて慌てだした。
「えーっと……。コトバ、ワカリ、マス、カ? マイゴ、カ? 通じてるかな~?」
黙っていた俺たちに、少年は日本語……この世界ではサクラヴェール語と呼ばれている言葉じゃなければ俺たちには通じないと思った様で、たどたどしい片言ながらも言い換えて改めて尋ねてくれた。
「あっ、あぁ……。ボーっとしてたよ。ごめん。オフィーリア語は分かるから大丈夫だよ。」
「あぁ、良かった。兄さんたち、サクラヴェール国の人だろ? ここらでは見ない恰好をしてキョロキョロしながらこんな所を歩いているなんて怪しさ満点なんだけど……、どうしたんだい?」
「俺たちは旅をしていて、サクラヴェール国からオフィーリア国に来たばかりなんだ。それでさっきこの街に着いたところなんだけど…、何処の宿も高そうでね~。そんなにお金も持っていないから安い宿がないかなと探して歩いていたらここまで来てしまっていたのさ。ハハハハハハハハハハ……。」
頭を掻いて俺が誤魔化す様に笑っていると、左腕にしがみ付いていたリリアが少年を警戒してキッと睨んでいた。
「リリア……。」
「お嬢ちゃん。そんなに警戒しなくても僕は何もしやしないよ。」
国境に一番近い村で育っただけあってオフィーリア国の人たちにリリアはよく村やアシュワガンダの街に行った時に会うことがあるのである程度言葉も分かるらしいが、先程の銀行での一件もあってオフィーリア国の人に良い印象が無く、警戒心を解くことはなかった。
「私、お嬢ちゃんじゃないもん! お兄ちゃんの『妻』だもん!」
「こ、こらっ。リリア……。」
「妻!?」
自分と年齢の変わらなそうな少年に「お嬢ちゃん」と言われて怒りだしたリリアがこれ以上変な事を言わない様にと窘める為、リリアの口を俺は手の平で塞いで抑えたまま、あたふたと言い繕った。
「え、えーっと……。ちょっと事情があってね…。旅をする為に…許嫁ってことにしてるんだよ!」
「へ~ぇ。事情ねぇ……。」
少年は俺とリリアの顔を交互に何度も見て不思議そうな顔をしていた。
「まぁいいや……。しかし、まいったな………。安い宿を探しているんだろ? この国の宿はサクラヴェール国のに比べると何処も高そうな見た目をしているが値段自体は大したことはないんだ。ここは田舎だし結構安い方だと思うよ。でも、兄さんたち3匹も猫を連れているだろ? ちょっと泊まるのは難しいんじゃないかなぁと思って……。だから僕んちに泊まってはどうかなぁと思ったんだけど…、なんかその子に嫌われちゃってるみたいだね……。」
申し訳なさそうな顔して少年は睨みつけるリリアを見て愛想笑いを浮かべた。
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