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第4章 出会いと別れ
9.化けガエルと牙
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「…グヘッ!」
俺たちを食べようと襲い掛かってきた化けガエルに反撃をする為、俺は飛び跳ねて肩の辺りへ飛び掛かる様に剣を振りおろそうとした。
だが化けガエルは長く撓る舌を出して俺の体をバチンと叩き、周囲に立ち並ぶ木々の方へと弾き飛ばしたので太い幹に打ち付ける様に思いっきり体がぶつかった。
「イ、デテテテテ……。マジかよ…。ありゃ舌ってより、鞭だな……。」
「大丈夫ですかにゃ? ルカ様!」
「あぁ。大丈夫、だ! だから、テントから、出るんじゃないぞ!」
テントの隙間からこちらの様子を伺っていたイブは派手に吹っ飛ばされた俺の身を案じて声を掛けてきてくれたが、俺は痛みによって息絶え絶えにしか返事をする事ができなかった。
しかし一緒に化けガエルの前に立ったアンドレアがどうなったかが気になって周囲を探してみると、俺が攻撃を仕掛ける寸前にジャンプした時に化けガエルの頭に上手く飛び移る事ができており、牙を突き立てて噛み付いたままウーウーと唸っていた。
ただ、俺の身長の2倍以上の高さの位置に目がある程大きなカエルなので、体格差もあってアンドレアの噛みつき攻撃は残念ながら効いていない感じだった。
「アンドレア! そんなんじゃ、ダメだ……。このデカイ、化けガエルには、お前が噛み付いた、所で効いて、いない様だぞ!」
「でも……。こいつの皮はブニュリと柔らかくて爪も刺さらないんだにゃ。おいらにはこれ以上の事は……。」
木の太い幹に強く打ちつけられたせいで動けなくなっていた俺を、化けガエルは獲物が弱ってもう反撃してこないと判断したのか、先程までよりも余裕な感じで俺を絡め捕ろうとこっちまで長い舌を伸ばしてきた。
流石にもうダメだと俺が諦めかけたその時、パウロが俺に向かって叫んだ。
「お兄ちゃん!」
化けガエルはその声に体がビクンッとなって止まり、動かなくなった。
俺は何が起こったのか分からずに固まっていると、化けガエルの頭上にいたアンドレアと目が合った。
「な、なんだ……?」
突然動かなくなった化けガエルを不思議に思い、手元に転がっていた小枝を掴んでツンツンと突いてみたが何の反応も無かった。
しかしこれ幸いと思い、ここから逃げようと痛みの走る体を引きずる様に這ってテントまで戻ろうとしたが、動く度にズキンズキンと体中が痛んでテントに着く前に力尽きてしまった。
「お兄ちゃん。今、治療するからね!」
リリアはそう言って、鞄の中から薬草で作った塗り薬が入った缶を取り出して俺の体の至る所に塗ってくれた。
すると先程迄の痛みは殆どなくなり、傷も癒えて動けるようになった。
「う、動ける……!」
さっきまでの事が嘘の様に立ち上がる事も歩くこともできた。
「そうだ! 何だかよく分からないけど、今の内にここから逃げるんだ! 化けガエルがまたいつ動き出すか分からないからな。」
「う、うん…。でもお兄ちゃんが……。」
「俺は薬のお陰で取りあえず大丈夫みたいだから…。さぁ、早く逃げるぞ!」
俺たちはテントを畳んで素早く荷物をまとめ、小降りにはなっていたがまだ止みそうにない雨の中を只管に走った。
化けガエルの怖さから、猫たちもびしょ濡れになりながら懸命に走った。
途中、一番遅い俺にアダムとイブが風の魔法を使ってくれたので早々に山を下りる事ができ、あの化けガエルからもだいぶ離れることができた。
「これで、もう、大丈夫じゃ、ないか……。」
俺たちは振り向いて後ろを確認し、何かが追ってくる様子も無い事が分かるとホッとしてその場にヘナヘナとへたり込んだ。
「雨が止めば完全に安心なんだけどにゃ。あの化けガエルも動くことができなくなるからにゃ。」
アンドレアのその話に、ブルブルと怖がっていたピエトロが「雨よ止め。」と何度も呟いていた。
俺たちがその場にへたり込んだまま暫く休んでいると、いつの間にか雨も上がっていたのにリリアが気付いた。
「あ、雨が……。」
パウロがぴょんと俺に抱き付くと、横に出た虹を手で指し示して教えてくれた。
「お兄ちゃん! 虹が出てるにゃ!」
「もう大丈夫にゃ~!」
緊張の糸が切れて安堵したのか、リリアとピエトロが泣き出した。
「今日はここで野営するか…。」
薬である程度は治ったが、大怪我を負っていた俺を気遣ってリリアと猫たちがテントの設営から夕食の準備まで全てしてくれた。
「お兄ちゃんはジッとしてて!」
「休んでるにゃ!」
リリアとパウロに怒られた俺は言われた通りに何もせずに座って待っていたが、自分だけ動かないという状況に慣れず皆の事が気になってソワソワしていた。
「ルカ様はあんな大怪我を負ったのですから、大人しくしといてくださいにゃ。」
落ち着きのない俺に、イブがため息を吐いて注意をした。
「そうは言うけど、何もしないのなんか初めてだからさ。落ち着かないんだよ。」
テントが張れるとその中に俺は押し込められ、夕食を食べると、この日は早々と眠りにつかせられた。
「何かあったら遠慮せずに私を起こしてね。薬だけじゃ完全に治らないんだから。」
俺たちを食べようと襲い掛かってきた化けガエルに反撃をする為、俺は飛び跳ねて肩の辺りへ飛び掛かる様に剣を振りおろそうとした。
だが化けガエルは長く撓る舌を出して俺の体をバチンと叩き、周囲に立ち並ぶ木々の方へと弾き飛ばしたので太い幹に打ち付ける様に思いっきり体がぶつかった。
「イ、デテテテテ……。マジかよ…。ありゃ舌ってより、鞭だな……。」
「大丈夫ですかにゃ? ルカ様!」
「あぁ。大丈夫、だ! だから、テントから、出るんじゃないぞ!」
テントの隙間からこちらの様子を伺っていたイブは派手に吹っ飛ばされた俺の身を案じて声を掛けてきてくれたが、俺は痛みによって息絶え絶えにしか返事をする事ができなかった。
しかし一緒に化けガエルの前に立ったアンドレアがどうなったかが気になって周囲を探してみると、俺が攻撃を仕掛ける寸前にジャンプした時に化けガエルの頭に上手く飛び移る事ができており、牙を突き立てて噛み付いたままウーウーと唸っていた。
ただ、俺の身長の2倍以上の高さの位置に目がある程大きなカエルなので、体格差もあってアンドレアの噛みつき攻撃は残念ながら効いていない感じだった。
「アンドレア! そんなんじゃ、ダメだ……。このデカイ、化けガエルには、お前が噛み付いた、所で効いて、いない様だぞ!」
「でも……。こいつの皮はブニュリと柔らかくて爪も刺さらないんだにゃ。おいらにはこれ以上の事は……。」
木の太い幹に強く打ちつけられたせいで動けなくなっていた俺を、化けガエルは獲物が弱ってもう反撃してこないと判断したのか、先程までよりも余裕な感じで俺を絡め捕ろうとこっちまで長い舌を伸ばしてきた。
流石にもうダメだと俺が諦めかけたその時、パウロが俺に向かって叫んだ。
「お兄ちゃん!」
化けガエルはその声に体がビクンッとなって止まり、動かなくなった。
俺は何が起こったのか分からずに固まっていると、化けガエルの頭上にいたアンドレアと目が合った。
「な、なんだ……?」
突然動かなくなった化けガエルを不思議に思い、手元に転がっていた小枝を掴んでツンツンと突いてみたが何の反応も無かった。
しかしこれ幸いと思い、ここから逃げようと痛みの走る体を引きずる様に這ってテントまで戻ろうとしたが、動く度にズキンズキンと体中が痛んでテントに着く前に力尽きてしまった。
「お兄ちゃん。今、治療するからね!」
リリアはそう言って、鞄の中から薬草で作った塗り薬が入った缶を取り出して俺の体の至る所に塗ってくれた。
すると先程迄の痛みは殆どなくなり、傷も癒えて動けるようになった。
「う、動ける……!」
さっきまでの事が嘘の様に立ち上がる事も歩くこともできた。
「そうだ! 何だかよく分からないけど、今の内にここから逃げるんだ! 化けガエルがまたいつ動き出すか分からないからな。」
「う、うん…。でもお兄ちゃんが……。」
「俺は薬のお陰で取りあえず大丈夫みたいだから…。さぁ、早く逃げるぞ!」
俺たちはテントを畳んで素早く荷物をまとめ、小降りにはなっていたがまだ止みそうにない雨の中を只管に走った。
化けガエルの怖さから、猫たちもびしょ濡れになりながら懸命に走った。
途中、一番遅い俺にアダムとイブが風の魔法を使ってくれたので早々に山を下りる事ができ、あの化けガエルからもだいぶ離れることができた。
「これで、もう、大丈夫じゃ、ないか……。」
俺たちは振り向いて後ろを確認し、何かが追ってくる様子も無い事が分かるとホッとしてその場にヘナヘナとへたり込んだ。
「雨が止めば完全に安心なんだけどにゃ。あの化けガエルも動くことができなくなるからにゃ。」
アンドレアのその話に、ブルブルと怖がっていたピエトロが「雨よ止め。」と何度も呟いていた。
俺たちがその場にへたり込んだまま暫く休んでいると、いつの間にか雨も上がっていたのにリリアが気付いた。
「あ、雨が……。」
パウロがぴょんと俺に抱き付くと、横に出た虹を手で指し示して教えてくれた。
「お兄ちゃん! 虹が出てるにゃ!」
「もう大丈夫にゃ~!」
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リリアとパウロに怒られた俺は言われた通りに何もせずに座って待っていたが、自分だけ動かないという状況に慣れず皆の事が気になってソワソワしていた。
「ルカ様はあんな大怪我を負ったのですから、大人しくしといてくださいにゃ。」
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「そうは言うけど、何もしないのなんか初めてだからさ。落ち着かないんだよ。」
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