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ほらな
ほらな
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「ども~っ!!」
「キャッ!!」
火のAクラスの入り口前で腰掛けていた俺は、やってきた女魔導師に向けて手を上げた。
見鬼で見据える俺に対し、女もまた見鬼を使う。
発動まで六秒。整纏と見鬼の併用は、完璧にこなそうと思うと地味に難しい。
腕は立つ。だが、この見鬼の発動の遅さから見て、多分素人だな……。
俺は見鬼を解いて立ち上がり、女魔導師と向き合った。
「お、オホン!! 話は学園長から伺っています。あたしが、この火のAクラスの担任、ナターシャ、ディーンです」
「どうも。リティシア=ヒョウだ」
「あ、あの~」
「ん?」
扉を開けようとする俺に声をかけてくるので、振り返った。
「なんだよ」
「暴れないでくださいね?」
「おいおい。お前の目は節穴かよ」
「え?」
スペアの眼鏡をクイと持ち上げながら、俺は笑った。
「暴れるつもりなら、こんな形はしてないだろ?」
ガララララ。
教室に入る。
俺とナターシャの二人で、教壇に立った。
それを、様々な視線で見据える、A級生徒。リンもいる。リンは口元を袖で隠しながら、俺のことを見ていた。
多分に驚いているのが見て取れる。
「えーっと、オホン。それでは皆さん、知っているとも思いますが、ご紹介させていただきます。本日急遽Bクラスから転入することになった――」
「リティシア=ヒョウだ。よろしく」
ナターシャよりも先に俺が言った。
「え? ちょっとカッコよくない? 眼鏡外したところ見たいんだけどー」
「ネイファちゃんのお兄ちゃん、あの狂犬マルコを一瞬で倒したんでしょ? すごーっ」
「今のクラスリーダーであるルイセさんと、どっちがすごいんだろー?」
「オホン!!」
四方山話を断ち切るように、ナターシャが一つ咳払い。
「じゃあ君の席は――元々ネイファちゃんの席だった、あそこで」
『空席は全部で三つ』あったが、そのうちの一つを指して、ナターシャが言った。
足を回す。
男からは敵意を。女からは好意を向けられる。
リンの一つ隣の椅子を引いて、腰をつけた。
ナターシャが背中を向けて、黒板と向き合う。俺はアゴ肘つきながらそれを見つめて――ふと、リンに目をやった。
リンは今も、口元を押さえて、俺のことを見ていた。
俺は――誰かに目を向けるってのが、嫌いだ。目を向けて、相手がこっちを見ていなかったら、無性に腹が立つからだ。
それでも俺は、リンのことはちょくちょく見てしまう。何つってもこのバカは、いつだって俺のことを見ているからだ。
そんなリンだが、たまに俺のことを見ていない時もある。
そんな時は俺も少しは反省するのだ。こいつが俺を見ていない時ってのは、大体俺がやりすぎている時だからな。
それにやっぱこいつが俺のことを見ていないと――いやまあ、これはいいか。
俺は一度視線をそらして、今一度リンを見た。リンは今も俺を見ていた。両手で口元を隠しながらだ。
ったく、こいつはよー。
手の先でどんな顔をしているのか、俺にはわからないけどよ。
いつまで同じ格好してやがんだよ。
いい加減、笑っちまうぜ。
俺はかけていた眼鏡を外した。外す時、眼鏡の耳かけが髪をこする。
アゴ肘ついて、リンに笑いかける。
そして、口を開いた。
声には出さず、東尾の言葉で。
『ほらな? すぐに会えただろ?』
リンが口元を隠したまま、肩を大きく持ち上げる。
両手を下ろした。
リンは初め、とても困ったような顔で、笑った。
しかしその後、何かに押されるように、表情を変えていって――
「はい!!」
いつもの、くすぐったそうな顔で、笑った。
『だからお前声に出すなっつうに』
口話で俺はそう注意した。
「はわ!!」
リンが口元を袖で隠して声を上げる。
そんなリンを見て、俺はまた笑った。
「キャッ!!」
火のAクラスの入り口前で腰掛けていた俺は、やってきた女魔導師に向けて手を上げた。
見鬼で見据える俺に対し、女もまた見鬼を使う。
発動まで六秒。整纏と見鬼の併用は、完璧にこなそうと思うと地味に難しい。
腕は立つ。だが、この見鬼の発動の遅さから見て、多分素人だな……。
俺は見鬼を解いて立ち上がり、女魔導師と向き合った。
「お、オホン!! 話は学園長から伺っています。あたしが、この火のAクラスの担任、ナターシャ、ディーンです」
「どうも。リティシア=ヒョウだ」
「あ、あの~」
「ん?」
扉を開けようとする俺に声をかけてくるので、振り返った。
「なんだよ」
「暴れないでくださいね?」
「おいおい。お前の目は節穴かよ」
「え?」
スペアの眼鏡をクイと持ち上げながら、俺は笑った。
「暴れるつもりなら、こんな形はしてないだろ?」
ガララララ。
教室に入る。
俺とナターシャの二人で、教壇に立った。
それを、様々な視線で見据える、A級生徒。リンもいる。リンは口元を袖で隠しながら、俺のことを見ていた。
多分に驚いているのが見て取れる。
「えーっと、オホン。それでは皆さん、知っているとも思いますが、ご紹介させていただきます。本日急遽Bクラスから転入することになった――」
「リティシア=ヒョウだ。よろしく」
ナターシャよりも先に俺が言った。
「え? ちょっとカッコよくない? 眼鏡外したところ見たいんだけどー」
「ネイファちゃんのお兄ちゃん、あの狂犬マルコを一瞬で倒したんでしょ? すごーっ」
「今のクラスリーダーであるルイセさんと、どっちがすごいんだろー?」
「オホン!!」
四方山話を断ち切るように、ナターシャが一つ咳払い。
「じゃあ君の席は――元々ネイファちゃんの席だった、あそこで」
『空席は全部で三つ』あったが、そのうちの一つを指して、ナターシャが言った。
足を回す。
男からは敵意を。女からは好意を向けられる。
リンの一つ隣の椅子を引いて、腰をつけた。
ナターシャが背中を向けて、黒板と向き合う。俺はアゴ肘つきながらそれを見つめて――ふと、リンに目をやった。
リンは今も、口元を押さえて、俺のことを見ていた。
俺は――誰かに目を向けるってのが、嫌いだ。目を向けて、相手がこっちを見ていなかったら、無性に腹が立つからだ。
それでも俺は、リンのことはちょくちょく見てしまう。何つってもこのバカは、いつだって俺のことを見ているからだ。
そんなリンだが、たまに俺のことを見ていない時もある。
そんな時は俺も少しは反省するのだ。こいつが俺を見ていない時ってのは、大体俺がやりすぎている時だからな。
それにやっぱこいつが俺のことを見ていないと――いやまあ、これはいいか。
俺は一度視線をそらして、今一度リンを見た。リンは今も俺を見ていた。両手で口元を隠しながらだ。
ったく、こいつはよー。
手の先でどんな顔をしているのか、俺にはわからないけどよ。
いつまで同じ格好してやがんだよ。
いい加減、笑っちまうぜ。
俺はかけていた眼鏡を外した。外す時、眼鏡の耳かけが髪をこする。
アゴ肘ついて、リンに笑いかける。
そして、口を開いた。
声には出さず、東尾の言葉で。
『ほらな? すぐに会えただろ?』
リンが口元を隠したまま、肩を大きく持ち上げる。
両手を下ろした。
リンは初め、とても困ったような顔で、笑った。
しかしその後、何かに押されるように、表情を変えていって――
「はい!!」
いつもの、くすぐったそうな顔で、笑った。
『だからお前声に出すなっつうに』
口話で俺はそう注意した。
「はわ!!」
リンが口元を袖で隠して声を上げる。
そんなリンを見て、俺はまた笑った。
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