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大空カモメ、東京に立つ
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ウィィィィィィィィィィィン。
と、蝉が鳴くような音を立てて、何かがまっすぐこっちに向かってくる。虫じゃない。虫にしても大きすぎた。自分の足ぐらいの大きさがある。
馬のない馬車だ。それが自動で向かってくる。しかも何より、格好いい。アレに似ている。遣外使の館にあった、そう、ヘルメット。アレを変容させるとこうなりそうだった。兎角かっこいい。
「う、うわあああああああああああああああ!!」
カモメはビックリしすぎて馬のない車に飛びつき、回転を経てから座り直した。車についた車輪は『離せ離せ』と言わんばかりに、ウィンウィンと音を鳴らしている。
もしかしたら、生きているのかもしれない。ふとカモメは思った。誰かが化生した神様である可能性は否めない。
そこまで考えた上で、カモメの車に対する扱いは変わらなかった。
「お父さんお父さん!! これは一体なんなのだ!?」
車を振り回しながら、部屋にいた父、カイセイに話しかける。
カイセイが答えた。
「フッフッフ。面白いだろ? 外土から鳥を操って取ってきたのさ。これで操るんだぜ?」
カイセイは手に黒い塊を持っていた。岩のように厳ついが、箱のように整った形をしている。箱には細い棒がピンと一本伸びていた。カイセイが言うにはそれで操るらしい。
確かに興味深い話ではある。今すぐにでもカイセイの前に身体を割り込ませ、操ってみたい気持ちはあった。しかしそれを越える感情がここにある。怒りである。
「許せん!!」
車を放り出し、カモメが立ち上がる。手は固く握りしめられていた。
「え? な、何が?」
「本土の人間だけこんな楽しそうな物を一杯持って、反則だ!! 卑怯!! 一本負け! こっちが!」
「え? 俺らが?」
「うーむ。やはり本土の人間には、一度一杯食わさねばならないようだな! よし! じゃあちょっくらあたしは、本土に復讐に行ってくるから。お父さんには、あたしのご飯がお母さんに奪われそうになった時、確保する役目を言い渡します!! わかりましたか!?」
「あー、なるほどそういうことね。はいはい、了解しましたよ」
「よし!! では、お互い健闘を祈る!!」
シュピっと敬礼して、カモメは階段をおりていく。
「あ、カモメ!! あんたこの鹿の角ー」
「それはもうお父さんに頼んどいたー!!」
「ふーん。じゃあもういいけど。で? あんたはこれからどこ行くのよ? もう明け七つ(午後四時)よ。夏じゃないんだから、今日はもう中にいなさい」
「そういうわけにいかぬ!!」
床に座って靴をはき、カモメが諸手を上げて主張する。
「何者なのよ、あんたは。その変な話し方いい加減にやめなさい。後両手を上げて喋る癖も」
首からかけた前掛けで手をフキフキしながら、ランカが近寄ってくる。そんなランカに、カモメはしたり顔でこう言った。
「女は時に、理ではなく感情で動かないといけない時があるのじゃ――ぶえええええ」
「だから普通に喋りなさいつってんでしょ! で? どこ行くつもりなのよ?」
人のほっぺたを引っ張り終わったランカが、腰に手を当て問いかけてくる。
「本土」
「はぁ? また?」
「今回はちゃんとした目的があるもん!」
「目的のあるなしじゃないの。あんたじゃあの結界は破れない。あたしにはわかるわ」
出た。
ランカお得意のあたしにはわかる。
ランカはいつもそうやって何でもかんでも決めつけてかかるのだ。
そしてそれはいつだって間違えている。それがカモメにはわかるのである。
だからカモメは頬に空気を入れてむくれた。
『はぁ』とランカが溜息をつく。ランカの癖の一つ。しかし今回の溜息はいつもと違う。いつもの、疲れた、呆れた、といった類のものではなく、むしろ幸せそうに口角は上がっていた。
ランカがカモメの頭に手を置いた。カモメの頬から息がもれていく。
「後八年もすればあんたも働くわ。すぐには無理でもいつかは遣外使になればいい。誰かがしなければいけないことだもの。あんたがしたっておかしくない。だから今は、その時のために術に励む。作法を覚える。そしてあの鹿の角を届けてくる。ね?」
頭を撫でながら、宥め、励まし、注文してくる。
どんだけ鹿の角を届けてほしいんだ、この人は……。
思いながらも、顔がニヤけそうになるのをどうにかこらえた。ニヤけたら負け。そう思った。
「じゃあ、じゃあ、一回だけ! 一回だけ挑戦してみる!」
「一回だけ? まぁ一回だけだったら――」
「よ~し!! ここに――」
「あぁもうここで言代を唱えるな! 外で化生しなさい、外で! それと、六つ(午後五時)までに帰ってこなかったら、晩ごはん抜きだからね!!」
「は~い!!」
ランカに追い出され、カモメは外で書を用いて神仕八咫烏を呼び出し、空を飛んだ。
芙蓉山玉繭からの許可が下りない限り、魔女ヶ島の外には出られない。
それが魔女ヶ島内での一般認識。
だからランカも認可したのだ。
しかし。
誰が思っただろう。
まさかこんな結末になるだなんて。
天を突く高い建物。壁の中で動き回る人。馬より早く、馬もなく動きまわる厳つい車。鳴り響く騒音。視界を埋め尽くすほどの、人、人、人……。
本土東京。
カモメはそこに、立っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここが、本土……。
思いも寄らず本土に来てしまったカモメは、辺りを見回す。
いや、見なくても物が、人が、音が、勝手に身体の中へと入り込んでくる。
ここにいる人たちは、一体何をこんなに競いあっているのだろうか。
建物は高さを競い合い、鉄の塊は速さを競い合い、黒い土は茶色い土と硬さを競い合い、音楽は音の大きさを競い合い、人は格好の派手さを競い合って、誰よりも楽しむんだって、そんな気持ちで一杯で、むしろどこか、辛そうな印象さえ受ける。
ここが、本土……。
改めて思う。
楽しい?
否。
ワクワク?
否。
この感情は――恐怖だ。 素早く巾着袋に手を入れる。いや。全然素早くない。手が震えて、上手く背中の巾着に手が突っ込めない。書が取り出せない。足もガクガクと震えていた。
どうして? どうしてこんなことになったのか? 自分が出ようとしたからだ。それは確かにそうだった。でも出られないはずなんだ。どうして今回に限って、こんなことに――。
泣きそうになる。
そんな時。
「ガオーっ!!」
「ヒッ!!」
いきなり脅かされて、カモメは飛び上がりながら後方に下がった。全身は鳥肌で一杯である。逃げ出したかったが足が言うことを聞かない。
怯えながらも相手を見た。
「ガオーガオーなんてね。アハハ。あたしらが子供の時はこうやって手を組み合わせて怪獣ーなんて言って遊んでたものだけど、今の君らの時代にはもうなかったりするのかな? えへへ」
両手を合わせて怪獣っぽい形を模しながら、女の人が言ってくる。長い栗色の髪をした女の人で、第一印象は、すごく綺麗。あのランカですら、この人の前では採りたてのさつまいものように野暮ったく思えた。
何せ、例えでもなんでもなく、本当に光り輝いているのだから。光るものを全身のあちこちにつけている。それでいて、決して下品ではない。太陽を着ているみたいだ。
更にこの人は足も真っ黒だ。多分これも服。でも段袋じゃない。細い足にピタリとまとわりついて、すごく綺麗。夜が張り付いているみたいだ。
天照大御神様と、月読尊様が、一つの身体に同居している。従えている。
憧れた。自分もこんな格好をしてみたい。そこまで直接的に思ったわけではないのだが、言葉にすると、つまりそういうことなのだった。
「おいちょっと神山」
と、蝉が鳴くような音を立てて、何かがまっすぐこっちに向かってくる。虫じゃない。虫にしても大きすぎた。自分の足ぐらいの大きさがある。
馬のない馬車だ。それが自動で向かってくる。しかも何より、格好いい。アレに似ている。遣外使の館にあった、そう、ヘルメット。アレを変容させるとこうなりそうだった。兎角かっこいい。
「う、うわあああああああああああああああ!!」
カモメはビックリしすぎて馬のない車に飛びつき、回転を経てから座り直した。車についた車輪は『離せ離せ』と言わんばかりに、ウィンウィンと音を鳴らしている。
もしかしたら、生きているのかもしれない。ふとカモメは思った。誰かが化生した神様である可能性は否めない。
そこまで考えた上で、カモメの車に対する扱いは変わらなかった。
「お父さんお父さん!! これは一体なんなのだ!?」
車を振り回しながら、部屋にいた父、カイセイに話しかける。
カイセイが答えた。
「フッフッフ。面白いだろ? 外土から鳥を操って取ってきたのさ。これで操るんだぜ?」
カイセイは手に黒い塊を持っていた。岩のように厳ついが、箱のように整った形をしている。箱には細い棒がピンと一本伸びていた。カイセイが言うにはそれで操るらしい。
確かに興味深い話ではある。今すぐにでもカイセイの前に身体を割り込ませ、操ってみたい気持ちはあった。しかしそれを越える感情がここにある。怒りである。
「許せん!!」
車を放り出し、カモメが立ち上がる。手は固く握りしめられていた。
「え? な、何が?」
「本土の人間だけこんな楽しそうな物を一杯持って、反則だ!! 卑怯!! 一本負け! こっちが!」
「え? 俺らが?」
「うーむ。やはり本土の人間には、一度一杯食わさねばならないようだな! よし! じゃあちょっくらあたしは、本土に復讐に行ってくるから。お父さんには、あたしのご飯がお母さんに奪われそうになった時、確保する役目を言い渡します!! わかりましたか!?」
「あー、なるほどそういうことね。はいはい、了解しましたよ」
「よし!! では、お互い健闘を祈る!!」
シュピっと敬礼して、カモメは階段をおりていく。
「あ、カモメ!! あんたこの鹿の角ー」
「それはもうお父さんに頼んどいたー!!」
「ふーん。じゃあもういいけど。で? あんたはこれからどこ行くのよ? もう明け七つ(午後四時)よ。夏じゃないんだから、今日はもう中にいなさい」
「そういうわけにいかぬ!!」
床に座って靴をはき、カモメが諸手を上げて主張する。
「何者なのよ、あんたは。その変な話し方いい加減にやめなさい。後両手を上げて喋る癖も」
首からかけた前掛けで手をフキフキしながら、ランカが近寄ってくる。そんなランカに、カモメはしたり顔でこう言った。
「女は時に、理ではなく感情で動かないといけない時があるのじゃ――ぶえええええ」
「だから普通に喋りなさいつってんでしょ! で? どこ行くつもりなのよ?」
人のほっぺたを引っ張り終わったランカが、腰に手を当て問いかけてくる。
「本土」
「はぁ? また?」
「今回はちゃんとした目的があるもん!」
「目的のあるなしじゃないの。あんたじゃあの結界は破れない。あたしにはわかるわ」
出た。
ランカお得意のあたしにはわかる。
ランカはいつもそうやって何でもかんでも決めつけてかかるのだ。
そしてそれはいつだって間違えている。それがカモメにはわかるのである。
だからカモメは頬に空気を入れてむくれた。
『はぁ』とランカが溜息をつく。ランカの癖の一つ。しかし今回の溜息はいつもと違う。いつもの、疲れた、呆れた、といった類のものではなく、むしろ幸せそうに口角は上がっていた。
ランカがカモメの頭に手を置いた。カモメの頬から息がもれていく。
「後八年もすればあんたも働くわ。すぐには無理でもいつかは遣外使になればいい。誰かがしなければいけないことだもの。あんたがしたっておかしくない。だから今は、その時のために術に励む。作法を覚える。そしてあの鹿の角を届けてくる。ね?」
頭を撫でながら、宥め、励まし、注文してくる。
どんだけ鹿の角を届けてほしいんだ、この人は……。
思いながらも、顔がニヤけそうになるのをどうにかこらえた。ニヤけたら負け。そう思った。
「じゃあ、じゃあ、一回だけ! 一回だけ挑戦してみる!」
「一回だけ? まぁ一回だけだったら――」
「よ~し!! ここに――」
「あぁもうここで言代を唱えるな! 外で化生しなさい、外で! それと、六つ(午後五時)までに帰ってこなかったら、晩ごはん抜きだからね!!」
「は~い!!」
ランカに追い出され、カモメは外で書を用いて神仕八咫烏を呼び出し、空を飛んだ。
芙蓉山玉繭からの許可が下りない限り、魔女ヶ島の外には出られない。
それが魔女ヶ島内での一般認識。
だからランカも認可したのだ。
しかし。
誰が思っただろう。
まさかこんな結末になるだなんて。
天を突く高い建物。壁の中で動き回る人。馬より早く、馬もなく動きまわる厳つい車。鳴り響く騒音。視界を埋め尽くすほどの、人、人、人……。
本土東京。
カモメはそこに、立っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここが、本土……。
思いも寄らず本土に来てしまったカモメは、辺りを見回す。
いや、見なくても物が、人が、音が、勝手に身体の中へと入り込んでくる。
ここにいる人たちは、一体何をこんなに競いあっているのだろうか。
建物は高さを競い合い、鉄の塊は速さを競い合い、黒い土は茶色い土と硬さを競い合い、音楽は音の大きさを競い合い、人は格好の派手さを競い合って、誰よりも楽しむんだって、そんな気持ちで一杯で、むしろどこか、辛そうな印象さえ受ける。
ここが、本土……。
改めて思う。
楽しい?
否。
ワクワク?
否。
この感情は――恐怖だ。 素早く巾着袋に手を入れる。いや。全然素早くない。手が震えて、上手く背中の巾着に手が突っ込めない。書が取り出せない。足もガクガクと震えていた。
どうして? どうしてこんなことになったのか? 自分が出ようとしたからだ。それは確かにそうだった。でも出られないはずなんだ。どうして今回に限って、こんなことに――。
泣きそうになる。
そんな時。
「ガオーっ!!」
「ヒッ!!」
いきなり脅かされて、カモメは飛び上がりながら後方に下がった。全身は鳥肌で一杯である。逃げ出したかったが足が言うことを聞かない。
怯えながらも相手を見た。
「ガオーガオーなんてね。アハハ。あたしらが子供の時はこうやって手を組み合わせて怪獣ーなんて言って遊んでたものだけど、今の君らの時代にはもうなかったりするのかな? えへへ」
両手を合わせて怪獣っぽい形を模しながら、女の人が言ってくる。長い栗色の髪をした女の人で、第一印象は、すごく綺麗。あのランカですら、この人の前では採りたてのさつまいものように野暮ったく思えた。
何せ、例えでもなんでもなく、本当に光り輝いているのだから。光るものを全身のあちこちにつけている。それでいて、決して下品ではない。太陽を着ているみたいだ。
更にこの人は足も真っ黒だ。多分これも服。でも段袋じゃない。細い足にピタリとまとわりついて、すごく綺麗。夜が張り付いているみたいだ。
天照大御神様と、月読尊様が、一つの身体に同居している。従えている。
憧れた。自分もこんな格好をしてみたい。そこまで直接的に思ったわけではないのだが、言葉にすると、つまりそういうことなのだった。
「おいちょっと神山」
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