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最終章 誰よりも大きなおかえりなさいを貴女へ
来たら全てが変わっていた
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海鳥の鳴き声が遠ざかっていく。
カーテンがゆっくりと下りていく。
勇気を振り絞るということもなかった。
ただ、当たり前であるかのように、俺はティアラナに、ソッと、唇を近づけていって――
その時。
コンコン。コンコン。
「ティアラナさーん。あたしです、ロゼッタです。魔導師協会に依頼された任を受けて、伺わせてもらいました」
その物音によって、魔法が解けた。
あのっさー。
マジで呪われてるんじゃないですかね? 俺。
このタイミングで普通くる? 漫画じゃないんだからさ。
それでも無視して敢行すればいいじゃないかというのは道理である。
でもよ。そんなことできたらとっくに魔法使いなんて卒業してるって。
俺が何年魔法使いしてると思ってんのよ。八百年よ八百年。
後ついでに言えば、俺は物音にすこぶる敏感なんだ。『誰に命狙われてるの?』とよく聞かれるが、そんなもん、あいつにあいつにあいつらに、数えだしたらキリがない。いやマジで。
生来のビビりだというわけでは、断じてないぞ。
だから――
気がついた時には俺は、腰に佩いた剣に手をかけながら、背筋をピンと伸ばし、扉を見据えていた。
「あ」
手に納まる柄の感触で我に返った俺は、急いで振り返った。
まだ間に合うんじゃね?
と、ちょっと思ってしまったことは、ここだけの秘密にしてもらいたい。
ティアラナが目蓋を持ち上げて、俺のことを見上げている。
失笑気味だった。
俺も目を上向けて、苦笑した。
「はーい」
俺の懐を潜り抜けて、ティアラナが、扉の方へと駆けていく。
俺はその背中を見送ってから、重いため息をついた。
幸せが手から滑り落ちたはずなのに、安堵している俺がいる。
幸せを死守する度胸がないからだ。
運がない運がないと思っていたけれど、結局まだその資格がないってだけなのか。
あるいは――
何か、間違っていることが――
バタン!!
「あ、ごめんなさい、大丈夫!?」
二人しかいないはずの家に、突如転がり込んできた謝罪の声。
俺は絨毯の上に突っ伏しながら聞いていた。
ちなみに誰かも、声でわかっていた。
こいつの声は、なんつーか、心にペタペタ触れてくるような声なんだよな。人懐っこいというか、どこか、心に残る声をしていた。
突っ伏した状態のまま、俺は目を横に向けた。
そのままゆっくりと視線を上げていく。
指先を、ピンクのマニキュアで飾った裸足。
ついで、細いふくらはぎ。
女を真下から見上げるなんて最低?
大丈夫大丈夫。
こいつはいつもパンツルックだから。
そういう問題じゃない?
大丈夫大丈夫。
こいつは、そういうことを気にする女じゃないから。
ティアラナだったら俺もこんなことはせんよ。
でも相手はあのパミュだぜ?
そんなもん、気にする方がどうかしている。
白い膝から、その先で影を作る、白い、フワフワのミニスカート。
「え?」
疑問に押し上げられるように、俺はそいつの顔を見た。
パミュが、ミニスカートの裾を押さえながら、後ろに下がった。病院では自慢げにさらけ出していたミニスカ姿を、今日は真っ赤な顔で見つめている。
スカートを押さえる指先は、足先と同じく、ピンクのマニキュアで飾られていた。
膝を揃え、らしくもなく内股になっているのは、やっぱり俺が真下から見上げているからだろうか。
って、顔が赤いのもそのせいか、そりゃそうだわ。
「……あ、あのー、さ」
「あ、悪い。そういうつもりじゃ――」
「いや、違うの。怒ってるわけじゃなくって」
立ち上がろうとして、俺は動きを止めた。
パミュは、唇を震わせながら、はにかんで、ふと笑う。
恥ずかしささえも楽しむような、そんな顔で。
スカートを押さえていた手を、膝に持っていき、前かがみになる。
今日はキャミソールじゃなくて、ダボっとした白い半袖だったので、胸元は見えない。胸を誇張するような格好でもない。
だが、ただただ可愛かった。
「ゴメンね? 大丈夫だった? って聞きたかったんだ」
天使の羽根のように柔らかく、日向のように温かい問いかけだった。
優しさに包まれたような気持になって、顔(こころ)を出すまでにやや時間がかかった。
しばらくして、俺も笑った。
身を起こして、その場に座り込む。
「あぁ。やせすぎの姫様で助かったよ」
言うと、パミュは目を丸くして、小首を傾げた。
しばらくして『あ』と口を開いて、その口を広げた掌で隠す。広げた指の先で、ピンクのマニキュアが輝いている。
俺が言っている意味に気がついたのだろう、パミュが笑った。
いつものパミュだった。
何やかんやで、いつものこいつを見るのは、病院以来の気がする。
ホッとした。
「オホン!!」
咳払い一つ。
見ると、ティアラナがムスッとした顔で俺たちを見つめ、何かを咎めていた。
パミュは慌ててサンダルを脱いで、ティアラナの元まで駆けていく。
この家は、土足厳禁だ。
だからティアラナは怒っているのだろうか……?
しかしティアラナは、それでも俺のことを睨み続け、髪がなびくほどの勢いで、顔を背けた。
ま、違いますよねー。
俺は髪をガリガリとかきながら、立ち上がり、同じく扉のところまで足を運んだ。
好きな女の嫉妬を、少し、嬉しく思ったことも、ここだけの内緒にしてもらいたい。
扉の前には、ティアラナ、今合流したパミュ、ロゼッタ、そして――ロゼッタの臀部から生える、蒼い尻尾。
フサフサと揺れていた。
ロゼッタの腰を背中からつかむようにして、数本の指が見えていた。
ロゼッタが、その背を押すようにして、不器用な蒼い狼を、陽の光へ出していく。
ロゼッタの背に隠れていたマリオンが、目を背けながら、足をプラプラと動かしている。
チラチラとパミュに目を向けては、また足元を見つめる。その顔は、遠目から見ても赤い。思春期の中学生かよってぐらい挙動不審だ。
「あ!!」
パミュが声を上げた。例によって、広げた掌で口元を隠している。
「えへへー。マリオン! 久しぶり!」
「う、うん……」
「?」
要領を得ない返事に、パミュが小首を傾げる。丸々とした瞳はまるでリスのようだ。
マリオンは、いつもと違うパミュの格好を、足先から、頭の先まで、見上げ、見下ろす。
「あ……その……えと」
細かく声を発する。
パクパクと、小さな唇が、金魚みたいに動いていた。
それを見たパミュが、持っていたサンダルを、床に落とした。
マリオンの肩に手をかけて、ゆっくりと、キスでもするかのように顔を近づけて――
額と額を合わせた。
マリオンの赤い顔も相まって、まるでキスしているように、俺には見えた。
パミュが額を持ち上げる。そして、小首を傾げて笑った。
「うん!! 熱はないみたいだね」
「嘘つけ……何にもわかってないくせに」
見鬼でパミュを見据えながら、マリオンが言った。
パミュがやや顔を俯けて、舌を出す。
「えへへーバレバレ?」
「……――ゴホンゴホン!!」
「え? ちょっとマリオン!! 本当に風邪だったの!? 大丈夫!?」
「大……ゲホゲホ!! 大丈夫……」
そういや前回こいつ……。
あの雨の中……びしょ濡れだったんだよな……傘も差さずに。
「本当に大丈夫!? 今日はもう帰って休んだ方が――」
「だから大丈夫だって!! 言ってんじゃん!!」
吠えられ、パミュがビクリと手を退ける。
「あ……」
マリオンが、その手をつかもうと、手を向ける。しかし……。
「ゲホゲホゲホ!!」
すぐ腰を折り曲げて、せき込んだ。つかもうとした手は、唇にあてがわれていた。
「マリオン」
「大丈夫……です。いけます」
つたない練魔で魔力を増幅しながら、ティアラナを見据える。
らしくもなく、目を据わらせていた。
まるで……軍人(カーヤ)のように。
「いけま……」
しかし。
「……ひっ」
マリオンが、弓のように背筋を反らした。
全身の毛を逆立たせるように、ブルリと身を震わせている。
震えは明らかに臀部から広がっており、口元で握った拳とは裏腹に、歯の根は合っていなかった。
「ティアラナさーん。言われた通り人集めときました――うわ!!」
その時、扉が開き、全員から目を向けられる、ナギ。
睨みつけるように見上げているのはマリオンで、両手でお尻を押さえていた。
「あー違う違う、マリオン。あたしあたし。尻尾握ったのあたしだから」
マリオンが据わらせた目を、ロゼッタへと向け直す。
ロゼッタは向けられる前から両手を上げていた。
「おいおい勘弁してくれよなー。こちとらティアラナさん一筋なんだからよー」
ガリガリと頭を掻きながら、ナギが言った。
ティアラナ、俺、パミュ、マリオン、ロゼッタ、ナギ。
主役はそろ――
「ふふっ」
ティアラナがクスクスと笑う。
細くした目を、ナギへと向けている。
ナギは、それはもう、天へと昇りそうな勢いで、喜んでいた。
「で、このメンバーで、今日は何をするんだよ」
やや、俺の声にトゲが混ざる。
「ふふふ」
ティアラナが笑って、紫暗の瞳を向けてくる。
見鬼を使ったわけではない。
それでも、俺には、こいつの言いたいことがツーカーでわかった。
かなわねぇな、こい――
ピクリ。
コメカミが動く。
魔力。向けられてる。誰だ。
振り返った先。
マリオンが、俺とティアラナのことを、見鬼でジッと見つめていた。
何だ? こいつ……。
パチン。
ティアラナが指を鳴らす。
すると。
テーブルの上に置いていた紙が、鳥のように皆の元へとやってきた。
それぞれがその紙をつかむ。
内容は――
カーテンがゆっくりと下りていく。
勇気を振り絞るということもなかった。
ただ、当たり前であるかのように、俺はティアラナに、ソッと、唇を近づけていって――
その時。
コンコン。コンコン。
「ティアラナさーん。あたしです、ロゼッタです。魔導師協会に依頼された任を受けて、伺わせてもらいました」
その物音によって、魔法が解けた。
あのっさー。
マジで呪われてるんじゃないですかね? 俺。
このタイミングで普通くる? 漫画じゃないんだからさ。
それでも無視して敢行すればいいじゃないかというのは道理である。
でもよ。そんなことできたらとっくに魔法使いなんて卒業してるって。
俺が何年魔法使いしてると思ってんのよ。八百年よ八百年。
後ついでに言えば、俺は物音にすこぶる敏感なんだ。『誰に命狙われてるの?』とよく聞かれるが、そんなもん、あいつにあいつにあいつらに、数えだしたらキリがない。いやマジで。
生来のビビりだというわけでは、断じてないぞ。
だから――
気がついた時には俺は、腰に佩いた剣に手をかけながら、背筋をピンと伸ばし、扉を見据えていた。
「あ」
手に納まる柄の感触で我に返った俺は、急いで振り返った。
まだ間に合うんじゃね?
と、ちょっと思ってしまったことは、ここだけの秘密にしてもらいたい。
ティアラナが目蓋を持ち上げて、俺のことを見上げている。
失笑気味だった。
俺も目を上向けて、苦笑した。
「はーい」
俺の懐を潜り抜けて、ティアラナが、扉の方へと駆けていく。
俺はその背中を見送ってから、重いため息をついた。
幸せが手から滑り落ちたはずなのに、安堵している俺がいる。
幸せを死守する度胸がないからだ。
運がない運がないと思っていたけれど、結局まだその資格がないってだけなのか。
あるいは――
何か、間違っていることが――
バタン!!
「あ、ごめんなさい、大丈夫!?」
二人しかいないはずの家に、突如転がり込んできた謝罪の声。
俺は絨毯の上に突っ伏しながら聞いていた。
ちなみに誰かも、声でわかっていた。
こいつの声は、なんつーか、心にペタペタ触れてくるような声なんだよな。人懐っこいというか、どこか、心に残る声をしていた。
突っ伏した状態のまま、俺は目を横に向けた。
そのままゆっくりと視線を上げていく。
指先を、ピンクのマニキュアで飾った裸足。
ついで、細いふくらはぎ。
女を真下から見上げるなんて最低?
大丈夫大丈夫。
こいつはいつもパンツルックだから。
そういう問題じゃない?
大丈夫大丈夫。
こいつは、そういうことを気にする女じゃないから。
ティアラナだったら俺もこんなことはせんよ。
でも相手はあのパミュだぜ?
そんなもん、気にする方がどうかしている。
白い膝から、その先で影を作る、白い、フワフワのミニスカート。
「え?」
疑問に押し上げられるように、俺はそいつの顔を見た。
パミュが、ミニスカートの裾を押さえながら、後ろに下がった。病院では自慢げにさらけ出していたミニスカ姿を、今日は真っ赤な顔で見つめている。
スカートを押さえる指先は、足先と同じく、ピンクのマニキュアで飾られていた。
膝を揃え、らしくもなく内股になっているのは、やっぱり俺が真下から見上げているからだろうか。
って、顔が赤いのもそのせいか、そりゃそうだわ。
「……あ、あのー、さ」
「あ、悪い。そういうつもりじゃ――」
「いや、違うの。怒ってるわけじゃなくって」
立ち上がろうとして、俺は動きを止めた。
パミュは、唇を震わせながら、はにかんで、ふと笑う。
恥ずかしささえも楽しむような、そんな顔で。
スカートを押さえていた手を、膝に持っていき、前かがみになる。
今日はキャミソールじゃなくて、ダボっとした白い半袖だったので、胸元は見えない。胸を誇張するような格好でもない。
だが、ただただ可愛かった。
「ゴメンね? 大丈夫だった? って聞きたかったんだ」
天使の羽根のように柔らかく、日向のように温かい問いかけだった。
優しさに包まれたような気持になって、顔(こころ)を出すまでにやや時間がかかった。
しばらくして、俺も笑った。
身を起こして、その場に座り込む。
「あぁ。やせすぎの姫様で助かったよ」
言うと、パミュは目を丸くして、小首を傾げた。
しばらくして『あ』と口を開いて、その口を広げた掌で隠す。広げた指の先で、ピンクのマニキュアが輝いている。
俺が言っている意味に気がついたのだろう、パミュが笑った。
いつものパミュだった。
何やかんやで、いつものこいつを見るのは、病院以来の気がする。
ホッとした。
「オホン!!」
咳払い一つ。
見ると、ティアラナがムスッとした顔で俺たちを見つめ、何かを咎めていた。
パミュは慌ててサンダルを脱いで、ティアラナの元まで駆けていく。
この家は、土足厳禁だ。
だからティアラナは怒っているのだろうか……?
しかしティアラナは、それでも俺のことを睨み続け、髪がなびくほどの勢いで、顔を背けた。
ま、違いますよねー。
俺は髪をガリガリとかきながら、立ち上がり、同じく扉のところまで足を運んだ。
好きな女の嫉妬を、少し、嬉しく思ったことも、ここだけの内緒にしてもらいたい。
扉の前には、ティアラナ、今合流したパミュ、ロゼッタ、そして――ロゼッタの臀部から生える、蒼い尻尾。
フサフサと揺れていた。
ロゼッタの腰を背中からつかむようにして、数本の指が見えていた。
ロゼッタが、その背を押すようにして、不器用な蒼い狼を、陽の光へ出していく。
ロゼッタの背に隠れていたマリオンが、目を背けながら、足をプラプラと動かしている。
チラチラとパミュに目を向けては、また足元を見つめる。その顔は、遠目から見ても赤い。思春期の中学生かよってぐらい挙動不審だ。
「あ!!」
パミュが声を上げた。例によって、広げた掌で口元を隠している。
「えへへー。マリオン! 久しぶり!」
「う、うん……」
「?」
要領を得ない返事に、パミュが小首を傾げる。丸々とした瞳はまるでリスのようだ。
マリオンは、いつもと違うパミュの格好を、足先から、頭の先まで、見上げ、見下ろす。
「あ……その……えと」
細かく声を発する。
パクパクと、小さな唇が、金魚みたいに動いていた。
それを見たパミュが、持っていたサンダルを、床に落とした。
マリオンの肩に手をかけて、ゆっくりと、キスでもするかのように顔を近づけて――
額と額を合わせた。
マリオンの赤い顔も相まって、まるでキスしているように、俺には見えた。
パミュが額を持ち上げる。そして、小首を傾げて笑った。
「うん!! 熱はないみたいだね」
「嘘つけ……何にもわかってないくせに」
見鬼でパミュを見据えながら、マリオンが言った。
パミュがやや顔を俯けて、舌を出す。
「えへへーバレバレ?」
「……――ゴホンゴホン!!」
「え? ちょっとマリオン!! 本当に風邪だったの!? 大丈夫!?」
「大……ゲホゲホ!! 大丈夫……」
そういや前回こいつ……。
あの雨の中……びしょ濡れだったんだよな……傘も差さずに。
「本当に大丈夫!? 今日はもう帰って休んだ方が――」
「だから大丈夫だって!! 言ってんじゃん!!」
吠えられ、パミュがビクリと手を退ける。
「あ……」
マリオンが、その手をつかもうと、手を向ける。しかし……。
「ゲホゲホゲホ!!」
すぐ腰を折り曲げて、せき込んだ。つかもうとした手は、唇にあてがわれていた。
「マリオン」
「大丈夫……です。いけます」
つたない練魔で魔力を増幅しながら、ティアラナを見据える。
らしくもなく、目を据わらせていた。
まるで……軍人(カーヤ)のように。
「いけま……」
しかし。
「……ひっ」
マリオンが、弓のように背筋を反らした。
全身の毛を逆立たせるように、ブルリと身を震わせている。
震えは明らかに臀部から広がっており、口元で握った拳とは裏腹に、歯の根は合っていなかった。
「ティアラナさーん。言われた通り人集めときました――うわ!!」
その時、扉が開き、全員から目を向けられる、ナギ。
睨みつけるように見上げているのはマリオンで、両手でお尻を押さえていた。
「あー違う違う、マリオン。あたしあたし。尻尾握ったのあたしだから」
マリオンが据わらせた目を、ロゼッタへと向け直す。
ロゼッタは向けられる前から両手を上げていた。
「おいおい勘弁してくれよなー。こちとらティアラナさん一筋なんだからよー」
ガリガリと頭を掻きながら、ナギが言った。
ティアラナ、俺、パミュ、マリオン、ロゼッタ、ナギ。
主役はそろ――
「ふふっ」
ティアラナがクスクスと笑う。
細くした目を、ナギへと向けている。
ナギは、それはもう、天へと昇りそうな勢いで、喜んでいた。
「で、このメンバーで、今日は何をするんだよ」
やや、俺の声にトゲが混ざる。
「ふふふ」
ティアラナが笑って、紫暗の瞳を向けてくる。
見鬼を使ったわけではない。
それでも、俺には、こいつの言いたいことがツーカーでわかった。
かなわねぇな、こい――
ピクリ。
コメカミが動く。
魔力。向けられてる。誰だ。
振り返った先。
マリオンが、俺とティアラナのことを、見鬼でジッと見つめていた。
何だ? こいつ……。
パチン。
ティアラナが指を鳴らす。
すると。
テーブルの上に置いていた紙が、鳥のように皆の元へとやってきた。
それぞれがその紙をつかむ。
内容は――
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