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第五章 コウノトリと受胎告知
第百八十二話 呪力発動
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一方、呪力が暴走したセレスティナの方は大変な事になっていた。呪いが方向性を失い、四方八方に呪力を解放し始めたのである。真っ先に犠牲になったのが、セレスティナを迎えに来たシャーロットであった。
「ティナー? 取材終わった? 一緒に……」
帰ろう、そう言おうとして、手を上げた状態ままシャーロットは固まった。目の前にいるのは可愛らしい制服を身に着けたセロリ怪人だったのだ。
なにこれ……
声にならない声がシャーロットから漏れる。
「おい、シャル」
続いてやって来たのが婚約者のジャネットを連れたイザークだ。
「お前、何でトマト星人なんかと一緒にいるんだよ?」
シャーロットは目を剥く。
「な、何言ってるのよ、目の前にいるのはセロリ怪人でしょお?」
「は? セロリ怪人? お前こそ何言ってんだよ、どう見ても巨大トマトだろ?」
じいっとシャーロットとイザークの二人に見つめられ、セレスティナは身の置き所がなく、もじもじする羽目となる。慌てて口を挟んだのはセレスティナの従者であるハロルドだ。
「ま、待ってください! お二方! セロリ怪人だのトマト星人だのと、何を言っているのか分かりません。彼女はセレスティナ様ですよ、セレスティナ様!」
『ティナ?』
シャーロットとイザークの声がハモる。
「え……ちょ、待て」
イザークが何度も何度も目をこすり、じいっとセレスティナを見据える。
「どう見ても巨大トマトだ」
「わたくしは巨大セロリに見えるわ」
「ジェシー?」
横手のジャネットに問いかけると、彼女が申し訳なさそうに答える。
「わ、私には、その……ヒデオン・プラウドル伯爵令息に、見える。元婚約者だ」
「どうなってんだぁああああ! どれが正解?」
イザークが絶叫し、マジックドールのハロルドが赤い瞳をペカペカさせた。
「ですから、セレスティナ様ですってば! セレスティナ様もどうか自己主張なさってください! お願いします!」
ハロルドに促され、気圧されていたセレスティナが声を上げる。
「わ、私はセレスティナ・オルモードよ?」
「え? 本当にティナ?」
「でも、声が変……」
「プラウドルの声で、セレスティナだって言った」
三者三様見えてる姿も声も違うが、自分をセレスティナだと主張しているところは同じである。シャーロットが涙ながらにセロリ怪人と化したセレスティナの手を握る。
「うわぁん、可愛い可愛いティナがぁ! わたくしの嫌いなセロリになっちゃったぁ!」
「俺は嫌いなトマトに見える」
「私はプラウドル……もしかして、自分の嫌いなものに見えているとか?」
ジャネットが発した言葉に、全員がはっとする。
「えぇええええええ? 何でこんなことにぃ?」
シャーロットが叫び、そこに響いたのはシリウスの険悪な声だ。
「こんな場所まで何の用だ? ラザール・フリック」
セレスティナはびくりとなった。振り返れば、そこにシリウスがいたのだけれど、シリウスの射貫くような青い瞳が自分に向けられ、心臓がどくんと跳ね上がる。
シリウス? シリウスにも私が別のものに見えているの?
「待って、シリウス、私は……」
「ティナのいる学園にまでやってくるとはどういう了見か……早々に立ち去れ。でないと強制排除だ」
シリウスが手にしたのは雷電銃である。
これにはハロルドを含めた全員が慌てた。シャレにならない。
「ま、待って、待ってください! マスター! 彼女はフリック所長ではありません! セレスティナ様ですよ! お願いです、早まらないで!」
シャーロットとイザークもまたハロルドの援護に回る。
「そ、そうよ、パパ! わたくしには何故かセロリ怪人に見えるんだけど、ティナっぽいわ!」
「俺はトマト星人だが、ティナだってさっき言ってたから、多分、ハルがあってる!」
シャーロットとイザークの行動に、シリウスの瞳が困惑に揺れた。
「……ティナ?」
一応、突きつけた雷電銃は下ろしたが、警戒は解いていないようだ。
まじまじと見られて、セレスティナは居心地が悪い。そもそも、嫌悪丸出しのシリウスの目など見たことがないからなおさらだ。シリウスと視線を合わせられず、セレスティナは泣きそうになりながら、うつむき加減で今一度自分の名を口にする。
「ええ、私はセレスティナ、よ?」
「……ちょ、待て……そのしゃべり方止めろ」
呻くようにシリウスが言い、シャーロットがたしなめた。
「もう、パパったら。もうちょっと優しく言ってあげてよ」
「いや、シャル、お前がこれを見てみろ。あのフリックが恥ずかしそうにうつむき加減で、『私はセレスティナよ』って言うんだぞ? 私のティナの真似をあいつがするんだ! ぶん殴りたくなる! くっそう! 逐一仕草がティナと一緒! なんなんだこれは!」
「だから、ティナなんだってば! まぁ、所長に見えているのなら気持ち分かる、けど」
ティナの口調を真似る所長を想像し、シャーロットはげっそりとなる。
気持ち悪い、その一言に尽きる。
フリック所長はシリウスやアルフレッド王太子と並んでも遜色ない美男子だが、一言で言って変態である。当初は嫌みったらしいサド体質だったのが、一度シリウスにいったーい目に遭わされて以来、マゾ体質に目覚め、シリウスが大のお気に入りになってしまった。ことあるごとに踏んでくれ、罵ってくれと迫るので、シリウスと顔を合わせれば問答無用で排除されることもざらだ。それで、当初のシリウスの反応があれである。
シリウスが片眼鏡を操作し、フリック所長に見えているセレスティナを分析し始める。ピピッ、ピピッ、ピピッ、と解析が進むにつれ、片眼鏡の機能が虚空にセレスティナの姿を描き出す。
「……ティナだ」
くっそうとシリウスが再度呻き、シャーロットが割って入った。
「わたくしはティナがセロリに見えて、お兄様はトマト、ジャネットにはプラウドル伯爵令息に見えているらしいの。で、パパはフリック所長なら、ジャネットが言っていたように、ティナの姿がそれぞれ自分が嫌いなものに見えてるみたいね。原因分からない?」
シリウスが片手で顔を覆った。
「……ハルには真実の姿が見えているのなら、視覚歪曲の魔法が使われているんだろう」
シャーロットが目をパチパチさせた。
「え? ハルには視覚歪曲の魔法が効かないの?」
「ハルはマジックドールだからな。魔道機械なので働きかける視覚神経が存在しない」
「あ、なるほど。それで……」
真っ先に目の前のセロリ怪人をセレスティナだと見抜いたのだとシャーロットは理解する。
「ティナ、これと同じものを持っているか?」
セレスティナと視線を合わさず、シリウスが例の青いミサンガをポケットから取り出すと、セレスティナははっとなった。
あれは、ボニーさんが……
「え、ええ、腕に嵌めているわ?」
「それを外すんだ」
「え? ええ……あら?」
取ろうとしても取れず、セレスティナは顔を真っ赤にし、うんうん言う羽目になる。
「駄目! 取れないわ!」
結局、嫌々ながらもフリック所長の姿をしたセレスティナの腕を取り、片眼鏡の機能でミサンガを解析した結果、強力な呪いがかかっていることが判明し、シリウスが舌打ちを漏らす。ダグラスが背後からその様子を覗き込んだ。
「公爵様、どうなさいました?」
「……術式にトラップが仕掛けてある。うっかり手を出すと、呪いがさらに食い込む仕組みだ。これを作ったのは随分と腕のいい魔道師らしいな?」
シリウスが横手のハロルドに命令を下す。
「ハル、ミサンガをプレゼントした生徒を教員室に呼び出せと校長に連絡しろ」
「イエス、マスター」
ハロルドが答え、ピカピカ光る目でしばらく佇んだ後、答えが返ってくる。
「園内放送をして呼び出すとおっしゃっていますが、下校時刻なので家に帰っている可能性もあるとの返答です」
「家にも連絡を入れろ。もし、無視をした場合、帰る家がなくなると言え」
「イエス、マスター」
シリウスの言いようにセレスティナは慌てたが、ボニーさんが呼び出しに応じればいいだけだと思い直す。流石に、今回のこれは悪質すぎると思う。一体どういうつもりでこんな真似をしたのか……
「ティナー? 取材終わった? 一緒に……」
帰ろう、そう言おうとして、手を上げた状態ままシャーロットは固まった。目の前にいるのは可愛らしい制服を身に着けたセロリ怪人だったのだ。
なにこれ……
声にならない声がシャーロットから漏れる。
「おい、シャル」
続いてやって来たのが婚約者のジャネットを連れたイザークだ。
「お前、何でトマト星人なんかと一緒にいるんだよ?」
シャーロットは目を剥く。
「な、何言ってるのよ、目の前にいるのはセロリ怪人でしょお?」
「は? セロリ怪人? お前こそ何言ってんだよ、どう見ても巨大トマトだろ?」
じいっとシャーロットとイザークの二人に見つめられ、セレスティナは身の置き所がなく、もじもじする羽目となる。慌てて口を挟んだのはセレスティナの従者であるハロルドだ。
「ま、待ってください! お二方! セロリ怪人だのトマト星人だのと、何を言っているのか分かりません。彼女はセレスティナ様ですよ、セレスティナ様!」
『ティナ?』
シャーロットとイザークの声がハモる。
「え……ちょ、待て」
イザークが何度も何度も目をこすり、じいっとセレスティナを見据える。
「どう見ても巨大トマトだ」
「わたくしは巨大セロリに見えるわ」
「ジェシー?」
横手のジャネットに問いかけると、彼女が申し訳なさそうに答える。
「わ、私には、その……ヒデオン・プラウドル伯爵令息に、見える。元婚約者だ」
「どうなってんだぁああああ! どれが正解?」
イザークが絶叫し、マジックドールのハロルドが赤い瞳をペカペカさせた。
「ですから、セレスティナ様ですってば! セレスティナ様もどうか自己主張なさってください! お願いします!」
ハロルドに促され、気圧されていたセレスティナが声を上げる。
「わ、私はセレスティナ・オルモードよ?」
「え? 本当にティナ?」
「でも、声が変……」
「プラウドルの声で、セレスティナだって言った」
三者三様見えてる姿も声も違うが、自分をセレスティナだと主張しているところは同じである。シャーロットが涙ながらにセロリ怪人と化したセレスティナの手を握る。
「うわぁん、可愛い可愛いティナがぁ! わたくしの嫌いなセロリになっちゃったぁ!」
「俺は嫌いなトマトに見える」
「私はプラウドル……もしかして、自分の嫌いなものに見えているとか?」
ジャネットが発した言葉に、全員がはっとする。
「えぇええええええ? 何でこんなことにぃ?」
シャーロットが叫び、そこに響いたのはシリウスの険悪な声だ。
「こんな場所まで何の用だ? ラザール・フリック」
セレスティナはびくりとなった。振り返れば、そこにシリウスがいたのだけれど、シリウスの射貫くような青い瞳が自分に向けられ、心臓がどくんと跳ね上がる。
シリウス? シリウスにも私が別のものに見えているの?
「待って、シリウス、私は……」
「ティナのいる学園にまでやってくるとはどういう了見か……早々に立ち去れ。でないと強制排除だ」
シリウスが手にしたのは雷電銃である。
これにはハロルドを含めた全員が慌てた。シャレにならない。
「ま、待って、待ってください! マスター! 彼女はフリック所長ではありません! セレスティナ様ですよ! お願いです、早まらないで!」
シャーロットとイザークもまたハロルドの援護に回る。
「そ、そうよ、パパ! わたくしには何故かセロリ怪人に見えるんだけど、ティナっぽいわ!」
「俺はトマト星人だが、ティナだってさっき言ってたから、多分、ハルがあってる!」
シャーロットとイザークの行動に、シリウスの瞳が困惑に揺れた。
「……ティナ?」
一応、突きつけた雷電銃は下ろしたが、警戒は解いていないようだ。
まじまじと見られて、セレスティナは居心地が悪い。そもそも、嫌悪丸出しのシリウスの目など見たことがないからなおさらだ。シリウスと視線を合わせられず、セレスティナは泣きそうになりながら、うつむき加減で今一度自分の名を口にする。
「ええ、私はセレスティナ、よ?」
「……ちょ、待て……そのしゃべり方止めろ」
呻くようにシリウスが言い、シャーロットがたしなめた。
「もう、パパったら。もうちょっと優しく言ってあげてよ」
「いや、シャル、お前がこれを見てみろ。あのフリックが恥ずかしそうにうつむき加減で、『私はセレスティナよ』って言うんだぞ? 私のティナの真似をあいつがするんだ! ぶん殴りたくなる! くっそう! 逐一仕草がティナと一緒! なんなんだこれは!」
「だから、ティナなんだってば! まぁ、所長に見えているのなら気持ち分かる、けど」
ティナの口調を真似る所長を想像し、シャーロットはげっそりとなる。
気持ち悪い、その一言に尽きる。
フリック所長はシリウスやアルフレッド王太子と並んでも遜色ない美男子だが、一言で言って変態である。当初は嫌みったらしいサド体質だったのが、一度シリウスにいったーい目に遭わされて以来、マゾ体質に目覚め、シリウスが大のお気に入りになってしまった。ことあるごとに踏んでくれ、罵ってくれと迫るので、シリウスと顔を合わせれば問答無用で排除されることもざらだ。それで、当初のシリウスの反応があれである。
シリウスが片眼鏡を操作し、フリック所長に見えているセレスティナを分析し始める。ピピッ、ピピッ、ピピッ、と解析が進むにつれ、片眼鏡の機能が虚空にセレスティナの姿を描き出す。
「……ティナだ」
くっそうとシリウスが再度呻き、シャーロットが割って入った。
「わたくしはティナがセロリに見えて、お兄様はトマト、ジャネットにはプラウドル伯爵令息に見えているらしいの。で、パパはフリック所長なら、ジャネットが言っていたように、ティナの姿がそれぞれ自分が嫌いなものに見えてるみたいね。原因分からない?」
シリウスが片手で顔を覆った。
「……ハルには真実の姿が見えているのなら、視覚歪曲の魔法が使われているんだろう」
シャーロットが目をパチパチさせた。
「え? ハルには視覚歪曲の魔法が効かないの?」
「ハルはマジックドールだからな。魔道機械なので働きかける視覚神経が存在しない」
「あ、なるほど。それで……」
真っ先に目の前のセロリ怪人をセレスティナだと見抜いたのだとシャーロットは理解する。
「ティナ、これと同じものを持っているか?」
セレスティナと視線を合わさず、シリウスが例の青いミサンガをポケットから取り出すと、セレスティナははっとなった。
あれは、ボニーさんが……
「え、ええ、腕に嵌めているわ?」
「それを外すんだ」
「え? ええ……あら?」
取ろうとしても取れず、セレスティナは顔を真っ赤にし、うんうん言う羽目になる。
「駄目! 取れないわ!」
結局、嫌々ながらもフリック所長の姿をしたセレスティナの腕を取り、片眼鏡の機能でミサンガを解析した結果、強力な呪いがかかっていることが判明し、シリウスが舌打ちを漏らす。ダグラスが背後からその様子を覗き込んだ。
「公爵様、どうなさいました?」
「……術式にトラップが仕掛けてある。うっかり手を出すと、呪いがさらに食い込む仕組みだ。これを作ったのは随分と腕のいい魔道師らしいな?」
シリウスが横手のハロルドに命令を下す。
「ハル、ミサンガをプレゼントした生徒を教員室に呼び出せと校長に連絡しろ」
「イエス、マスター」
ハロルドが答え、ピカピカ光る目でしばらく佇んだ後、答えが返ってくる。
「園内放送をして呼び出すとおっしゃっていますが、下校時刻なので家に帰っている可能性もあるとの返答です」
「家にも連絡を入れろ。もし、無視をした場合、帰る家がなくなると言え」
「イエス、マスター」
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