冬の雨に濡れてー家出JKと鬼畜サラリーマンの凄まじいラブストーリー

登夢

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第1部 家出・同居編

23.散骨と衝撃

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6月に入って蒸し暑い日が続いている。明日は確か父親の四十九日のはずだ。気になったので未希に聞いてみる。

「明日で四十九日になるが、遺骨をどうするつもりだ。ここにずっと置いておくのもどうかと思うけど」

「明日は土曜日です。散骨に行こうと思うのですがついて来てくれませんか?」

「散骨か、いいけど、人に見られないようにしないといけないな。どこへ行くつもりだ?」

「多摩川、六郷土手駅から歩くとすぐ多摩川だから、そこで」

骨壺は目立たないように未希が手提げ袋の中に入れて持っている。駅から歩いてすぐに川岸に着いた。未希は蓋を開けてすこしずつ川に流して行く。全部流し終わったら、未希は骨壺を思いっきり投げた。5mほど先に水しぶきが上がった。それを見て二人は手を合わせた。

「お母さんの遺骨もここで散骨しました。お墓がないのでお父さんが多摩川に散骨しようと言うので、去年の6月にここで」

「そうだったのか、お墓参りはここに来るんだ」

「偶然ですが、お父さんが死んだ日はお母さんが死んだ日と同じでした。だから、四十九日も同じ日になりました」
「そんなこともあるんだ」

「側溝で溺れたのもお母さんが水の中に引き入れたのかもしれません。私たちの邪魔をしないようにと」

「そういえば親父さんは安らかな顔をしていた」

「いまごろ二人仲良くしているかもしれません」

「そうならいいね。また、ここへお墓参りに来よう」

それから二人はベンチに座って川の流れるのを見ていた。父親が亡くなって俺はほっとしていた。これでお金をせびられることもなくなった。未希はどんな気持ちだろう。未希に聞いてみた。未希は両親の話をしてくれた。

未希の母親は高校生の時に家出してきて父親と知り合ったと言う。どこかで聞いた話だと思った。母親と父親は10歳以上年が離れていたという。一緒に生活しているうちにいつのまにか結婚して、未希が生まれたそうだ。父親が以前俺に自分と同じ匂いがすると言っていたのはこのことだったのか。

父親は元々人づきあいが不得手で、なかなか職場になじめず、たびたび転職をしていたとのことだった。母親はしっかりもので一生懸命に働いて、家計を支えていた。未希を高校へ行かせるために無理をして休みもなく働いていた。それがたたって急死した。

母親を失ったことで父親の生活が荒れて、母親の生命保険の保険金が100万円ほどあったがすぐに貯金が底をついたと言う。食料を買うことにも不自由になり、未希はコンビニでアルバイトをすることでなんとか生活を支えていたが、学校へ行く時間が取れなくなってしまった。

出会ったあの日から2日前にお金を取り上げられて、途方に暮れて、もう父親とは暮らせないと思って家出して来たということだった。父親は母親を愛していたのだろうと言っていた。だから、母親の死が相当に堪えたようだったとも言っていた。

その話を聞いて、未希と俺の将来を見たような気がした。因果はめぐる糸車! 俺はまるで未希の父親と同じではないか! 今の俺は未希が手放せなくなって来ている。未希に溺れていると言っても過言ではないかもしれない。いずれ二人は未希の両親と同じ道をたどるように思えた。そして、俺は未希の父親のようなあんなみじめな死に方はしたくない、そう思った。

すると身体が震えてきて、その場にいたたまれなくなった。未希を促して、もう一度、二人で手を合わせて、急いで帰ってきた。帰る途中も身体の震えが止まらなかった。

その晩、俺は未希に何もしなかった。いや、何もできなかった。そういう俺を未希は不思議そうに見ていたが、何も言わずに抱きついてきた。俺はただ未希を抱き締めて眠っただけだった。
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