地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!

登夢

文字の大きさ
25 / 27

25.同棲を始めよう!

しおりを挟む
由紀ちゃんが僕の部屋へ来るのは今日で5回ほどになるだろうか? もう勝手が分かっていて、お湯を沸かしてコーヒーを入れてくれる。2週間前に買った大き目のソファーに腰かけて二人ゆっくり飲んでいる。

「今日は4人でいろいろお話ができてよかったわ」

「秘密を共有した同志みたいだね。最初の組み合わせが今の組み合わせに変わってしまうなんて思ってもみなかったよ」

「でもこれが成り行きというか、落ち着くところへ落ち着いた感じがしています。これで本当によかったと思っています」

「それぞれのカップルの進む道は違うかもしれないけど、お互いに相談もできるからいいね」

「野坂先輩は頼りになります。仁さんだって、お二人に随分頼りにされているみたいですね」

「実は二人から相談されていたからね。こうなるようにアドバイスしたんだ。良い方向へ進んで本当によかった。『情けは人のためならず』かな? 野坂さんにも助けられたからね」

「これからも良いお付き合いをしたいですね」

「彼らが今日はどうするんだろうとちょっと気になるけど、それより由紀ちゃんは今日泊まっていってくれるよね」

「はい、一緒にいると安心して心が休まりますから」

「そう言ってくれて嬉しい、僕もだ」

由紀ちゃんの肩を抱き寄せてキスをする。由紀ちゃんが身体を預けてくる。しばらく抱き合ってソファーにもたれかかっていると二人共うとうとしてきた。

お風呂を沸かして由紀ちゃんに先に入るように促す。じゃあお先にと言って入ったところにすかさず僕が入って行く。突然のことで、由紀ちゃんはきゃあーと言ってうずくまる。

「ごめん、でも一緒に入ってみたくなったから」

「恥ずかしいから、ダメです」

「洗ってあげる」

シャワーを背中にかけてせっけん液を吸い込ませたスポンジで洗い始める。由紀ちゃんは観念したとみえて、しゃがんでジッとしている。

「前を洗うから、こっちを向いて」

しぶしぶ向きを変える。もう諦めたみたいで言うなりになる。でも恥ずかしいのか目をつむっている。こっちはそれをよいことに可愛い身体を丁寧に洗ってあげる。きれいな身体だ。

「今が一番いい時で楽しいね」

「私もそう思っています。今のこの時を大切にしたいです」

由紀ちゃんがしがみついてくる。しばらく石鹸のついた身体で抱き合う。

「僕も洗ってくれる?」

「はい」

今度は由紀ちゃんが洗ってくれる。下半身も恥ずかしがらないで洗ってくれる。

「恥ずかしがらないんだね」

「父とは母がなくなるまでは一緒にお風呂に入っていましたから」

「お母さんが亡くなったのは小学6年生の時と言っていたけど」

「そうです。でも母が亡くなってからは一緒に入ってくれなくなりました」

「そうなんだ」

洗い終わるとシャワーで石鹸を流してくれた。二人でバスタブにつかったらお湯があふれた。そのままバスタブで抱き合う。

頭からシャワーをかけあってからお風呂から出て、バスタオルで身体を拭き合って、僕は由紀ちゃんを抱いてベッドまで運ぶ。由紀ちゃんはジッと僕の顔を見ている。

「照れくさいから見つめないでくれないか」

「ジッと見つめているのは仁さんの方です」

「そうかな」

それからベッドでゆっくり愛し合う。

心地よい疲労の中にいると、由紀ちゃんが耳元に囁く。

「身体の上に抱きついて眠ってもいいですか」

「由紀ちゃんはそんなに重くないだろうから、いいよ」

「うれしい、私、小さい時によく父のお腹の上で寝させてもらいました。父は私が抱きついて上で眠ると、しっかり抱いて寝てくれました。温かくて本当に安心して眠れました。だから仁さんのお腹の上で眠ってみたいんです」

「落ちないようにしっかり抱いて眠らせてあげる」

「でも、小さい時あまりにも心地よくて、父のお腹の上で明け方におねしょをしたことがあるんです。そしたら、父がそれに気づいて放りだされました。それからもお腹の上で寝かせてくれましたが、明け方になると必ずトイレに連れていかれました」

「この年になっておねしょはないだろうから安心しているよ」

由紀ちゃんはお腹の上で初めは僕に重さがかからないようにしていたけど、しばらくすると寝入ったと見えて体重がかかってきた。

はじめはその重さに心地良さを感じていたが、だんだん耐えられなくなってきたので、そっと横に滑らせて抱きかかえて眠った。由紀ちゃんは横になったまま抱きついて眠っていた。可愛いもんだ。

****************************************
朝、由紀ちゃんが身体の上にのっかかってきたので目が覚めた。顔を見ると安らかに眠っている。口からよだれをたらしている。可愛い。寝ぼけてまた、僕の上にのって来たいみたいだった。

身体をすこし横にずらすと楽になったので、抱き締めてそのままにしておいた。これも悪くない感じだ。しばらくして由紀ちゃんが動いたので完全に僕の横に落ちた。そして目が覚めたみたい。

「おはようございます。上で寝させてもらってありがとう。気持ちよかった。重かったでしょう」

「少しね」

「毎回お願いします」

「寝入るまでならいいけど、寝入ったら横へ移すけど、それでよければ」

「それでもいいです。でも明け方も上に載っていいですか」

「まあ、起きる少し前くらいなら、目覚まし代わりなるので」

「お願いします。嬉しい」

「じゃあ、思い切って一緒に住まないか」

「ここに私が? 一緒に住む? いいんですか?」

「1LDKだから二人住めないことはない。こうして由紀ちゃんと一緒にいると本当に心が休まるというか、癒されるから。僕はほかの人には頼らないで何でも一人でやる覚悟はできている。由紀ちゃんに何かしてもらいたいから一緒に住もうと言っているのではないんだ。一人ではやはり寂しいんだ。自分のことは自分でするから、一緒に住んでくれないか。もちろん由紀ちゃんの世話もするから、考えてみてくれないか」

「私も一人暮らしは寂しいので一緒に住みたいですけど」

「できれば入籍して一緒に住むのがいいと思うけど、今入籍すると同じ職場だからおそらくどちらかがすぐに異動になる。このまま近くで働くには交際を秘密にしておいた方が良いと思う」

「私もそう思います。一緒に住んでも交際を秘密にしておくのがいいと思います。そのうちに仁さんが転勤になる時に一緒に付いていきます。それまでは秘密でいいと思います」

「入籍しないで一緒に住んでくれというのはとても心苦しい。でも由紀ちゃんと一緒に住みたい思いは強い」

「仁さんが大好きだから、今を大切にしたいから、それでいいんです。先のことは先のことですから、その時に最良の選択をすればいいと思っています」

「そういってくれて嬉しい」

「さっそく、引越しの準備をします。いいですか」

「僕も手伝うから」

****************************************
あれから2週間経った土曜日に由紀ちゃんが引越しをしてきた。これで二人の秘密の生活が始まった。同棲していることは野坂さんたちにもしばらく秘密にしておくことにした。この生活が長く続くといいけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

春燈に咲く

naomikoryo
恋愛
【♪♪♪ 本編完結です!! 応援・投票よろしくお願いします(^^)】 春の名をもらいながら、寒さを知って育った。 江戸の外れ、貧しい百姓家の次女・うららは、十三の春に奉公へ出される。 向かった先は老舗呉服屋「蓬莱屋」。 そこで出会ったのは、何かとちょっかいをかけてくる、 街の悪ガキのような跡取り息子・慶次郎だった―― 反発しながらも心に灯る、淡く、熱く、切ない想い。 そして十五の春、女として、嫁として、うららの人生は大きく動き出す。 身分の差、家柄の壁、嫉妬と陰謀、 愛されることと、信じること―― それでも「私は、あの人の隣に立ちたい」。 不器用な男と、ひたむきな少女が織りなす、 時代小説として風情あふれる王道“和風身分差ラブロマンス”。 春の灯の下で咲く、たったひとつの恋の物語を、どうぞ。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちだというのに。 入社して配属一日目。 直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。 中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。 彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。 それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。 「俺が、悪いのか」 人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。 けれど。 「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」 あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちなのに。 星谷桐子 22歳 システム開発会社営業事務 中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手 自分の非はちゃんと認める子 頑張り屋さん × 京塚大介 32歳 システム開発会社営業事務 主任 ツンツンあたまで目つき悪い 態度もでかくて人に恐怖を与えがち 5歳の娘にデレデレな愛妻家 いまでも亡くなった妻を愛している 私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?

先輩、お久しぶりです

吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社 秘書課 × 藤井昂良 大手不動産会社 経営企画本部 『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。 もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』 大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。 誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。 もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。 ――それも同じ会社で働いていた!? 音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。 打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……

処理中です...