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第三章 めざすは運動会!
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《ゾンビといえば、十八世紀にフランスの植民地支配下のハイチで、ヴードゥー教の呪術師が死者を蘇らせる儀式で用いられた言葉が起源と言われていルようです》
ふふ、ミドリくんがいつものように解説をしている。
《え、ミドリくんってゾンビも守備範囲なの⁉︎》
《ゾンビも動物と同じってこと……?》
《さすがすぎる……》
アカネくんと紫音くんがミドリくんに翔さんの声を送っている。
《……》
オープニングだというのに、アオくんは一言も話していない。
この前と一緒だ。
「アオくん……がんばって……!」
事情を知っているわたしは、ついハラハラしてしまう。
なんでよりによってゾンビゲームを選んだんだろう。
他の四人はキャイキャイと楽しそうにしているのに、本当に青色の字幕だけ一切出ない。
またこの前と同じように、暗い建物の中をプレイヤーが進んでいくところからスタートだ。
最初はシオンくんとアカネくんがやるらしい。
叫び声や笑い声が入り混じって、とても楽しそうだ。
《ほらアオ、次お前だぞ、がんばれよ!》
アカネくんからアオくんへとプレイヤーが変わる。
研究施設のような部屋には、いくつも朽ちたベッドや謎の医療機器があってその情景だけでこわい。
《グオオオオおおおおオ‼︎》
そう思ったら、カーテンの裏から突然ゾンビが飛び出してきた。
《わあ出たっ! あははは》
《ヒッ》
初めてマイクがアオくんの声を拾った。小さな悲鳴だ。
そして一緒にプレイをしているらしいmomoくんは、いつもの愛され可愛いキャラとは裏腹に、バリバリとゾンビを駆逐して行っている。
《えっこれ楽しいね、アオ!》
《……》
《アオ~~~~がんばれ~~~! 失神するな、ほらっ》
momoくんが話しかけてもアオくんは答えない。
そこにシオンくんの声が飛び込んできて、アオくんが極限状態でプレイをしていることがわかった。
みんなでワイワイと楽しそうに進める中、蒼太くんが操作しているキャラの時だけ挙動がおかしい。
それからもところどころで小さな悲鳴が聞こえてくる。
コメント欄もざわめきだし、『アオ、ホラーゲーム苦手なんじゃ……?』『悲鳴かわいい』というメッセージがどんどんと送られている。
アオくんがんばれコールが沸き出して、気づけばわたしも祈るようにアオくんを応援していた。
そうしてなんとか第一場面をクリアし、動画は終わった。
コメント欄はアオくんを応援する言葉がびっしりだ。
《続きはまた今度やっていくね~。今日はここまで。みんなありがとう!》
《アオくん大丈夫?》
《これは極限の緊張状態から解放されたことによる脱力ですね》
アカネくんが最後の締めをしている後ろで、momoくんたちがアオくんを心配する声がする。
な、なんとか終わってよかった……。
蒼太くん、大丈夫かな。
ついソワソワして、何度も窓の外を見てしまう。
昨日まであんなに落ち込んでいたのに、今日一日ゆっくり寝て、結愛ちゃんからのお手紙をもらって。
蒼太くんに声をかけてもらって、紫音くんにプリンをもらって。
温かいご飯と、その取り巻くすべてのものを見つめ直すことができた。
……負けたくない。
あんなふうに、陰で悪口を言う人たちの思い通りになんて、なりたくない。
わたしを心配してくれる人たちのためにも。
タブレットを見ていたところで、ちょうど通知が鳴った。
お母さんからのメッセージだ。返信をすると、今度は通話アプリの呼び出し音が鳴る。
ムームーと振動するタブレットに触れ、わたしは受話器ボタンを押した。
《ひな! 体調はもう大丈夫? アキちゃんから連絡があってから、今日一日どうしてたかなってずっと気にしていたの》
「お母さん……」
わたしのことは、アキさんからずっと連絡を入れていたと聞いていた。
よく見たら、メッセージアプリにはお母さんからのメッセージがたくさんきていた、通知漏れがあっているのと、私が1日タブレットを見ていなかったから……
「うん、もう元気だよ。大丈夫」
《無理しないでね。ああひなちゃん、ごめんね。ごめん……》
「お母さん、わたしはもう大丈夫だよ」
《ごはんは食べられた? もう熱はない? 寒くない?》
「うん。あったかいうどんを食べたよ。熱も下がった。あとね、紫音くんがプリンをくれて、蒼太くんはプリントを持って帰ってきてくれたよ」
《そう……後でお母さんもたくさんお礼を言っておくね》
「うん。えへへ。わたし、実は案外たのしく暮らしてるから安心してね!」
お母さんのことを安心させたい気持ちは本当。
寂しく出会いたくなってしまうのも本当。
でも、この同居生活で出会えたたくさんの新しいことの赤毛で、わたしが毎日楽しく暮らせているのも本当た。
そう伝えると、こわばっていたお母さんの顔が、ようやく綻んだ。
《うん……ひなちゃんが頑張っていてくれて、お母さんも嬉しい。運動会楽しみにしてるね》
「うん……!」
その後、お父さんも交えて三人で話をして、すっかり眠くなったわたしはそのままお布団に入った。
遠くでガチャリと言う金属音が聞こえる。
……ああ、蒼太くんたちが帰ってきたのかも──
お帰りなさいって、言いたいな……
うつらうつらとした頭でそう思うけど、もう目が開かない。
わたしはそのまま、スッと寝入ってしまったのだった。
ふふ、ミドリくんがいつものように解説をしている。
《え、ミドリくんってゾンビも守備範囲なの⁉︎》
《ゾンビも動物と同じってこと……?》
《さすがすぎる……》
アカネくんと紫音くんがミドリくんに翔さんの声を送っている。
《……》
オープニングだというのに、アオくんは一言も話していない。
この前と一緒だ。
「アオくん……がんばって……!」
事情を知っているわたしは、ついハラハラしてしまう。
なんでよりによってゾンビゲームを選んだんだろう。
他の四人はキャイキャイと楽しそうにしているのに、本当に青色の字幕だけ一切出ない。
またこの前と同じように、暗い建物の中をプレイヤーが進んでいくところからスタートだ。
最初はシオンくんとアカネくんがやるらしい。
叫び声や笑い声が入り混じって、とても楽しそうだ。
《ほらアオ、次お前だぞ、がんばれよ!》
アカネくんからアオくんへとプレイヤーが変わる。
研究施設のような部屋には、いくつも朽ちたベッドや謎の医療機器があってその情景だけでこわい。
《グオオオオおおおおオ‼︎》
そう思ったら、カーテンの裏から突然ゾンビが飛び出してきた。
《わあ出たっ! あははは》
《ヒッ》
初めてマイクがアオくんの声を拾った。小さな悲鳴だ。
そして一緒にプレイをしているらしいmomoくんは、いつもの愛され可愛いキャラとは裏腹に、バリバリとゾンビを駆逐して行っている。
《えっこれ楽しいね、アオ!》
《……》
《アオ~~~~がんばれ~~~! 失神するな、ほらっ》
momoくんが話しかけてもアオくんは答えない。
そこにシオンくんの声が飛び込んできて、アオくんが極限状態でプレイをしていることがわかった。
みんなでワイワイと楽しそうに進める中、蒼太くんが操作しているキャラの時だけ挙動がおかしい。
それからもところどころで小さな悲鳴が聞こえてくる。
コメント欄もざわめきだし、『アオ、ホラーゲーム苦手なんじゃ……?』『悲鳴かわいい』というメッセージがどんどんと送られている。
アオくんがんばれコールが沸き出して、気づけばわたしも祈るようにアオくんを応援していた。
そうしてなんとか第一場面をクリアし、動画は終わった。
コメント欄はアオくんを応援する言葉がびっしりだ。
《続きはまた今度やっていくね~。今日はここまで。みんなありがとう!》
《アオくん大丈夫?》
《これは極限の緊張状態から解放されたことによる脱力ですね》
アカネくんが最後の締めをしている後ろで、momoくんたちがアオくんを心配する声がする。
な、なんとか終わってよかった……。
蒼太くん、大丈夫かな。
ついソワソワして、何度も窓の外を見てしまう。
昨日まであんなに落ち込んでいたのに、今日一日ゆっくり寝て、結愛ちゃんからのお手紙をもらって。
蒼太くんに声をかけてもらって、紫音くんにプリンをもらって。
温かいご飯と、その取り巻くすべてのものを見つめ直すことができた。
……負けたくない。
あんなふうに、陰で悪口を言う人たちの思い通りになんて、なりたくない。
わたしを心配してくれる人たちのためにも。
タブレットを見ていたところで、ちょうど通知が鳴った。
お母さんからのメッセージだ。返信をすると、今度は通話アプリの呼び出し音が鳴る。
ムームーと振動するタブレットに触れ、わたしは受話器ボタンを押した。
《ひな! 体調はもう大丈夫? アキちゃんから連絡があってから、今日一日どうしてたかなってずっと気にしていたの》
「お母さん……」
わたしのことは、アキさんからずっと連絡を入れていたと聞いていた。
よく見たら、メッセージアプリにはお母さんからのメッセージがたくさんきていた、通知漏れがあっているのと、私が1日タブレットを見ていなかったから……
「うん、もう元気だよ。大丈夫」
《無理しないでね。ああひなちゃん、ごめんね。ごめん……》
「お母さん、わたしはもう大丈夫だよ」
《ごはんは食べられた? もう熱はない? 寒くない?》
「うん。あったかいうどんを食べたよ。熱も下がった。あとね、紫音くんがプリンをくれて、蒼太くんはプリントを持って帰ってきてくれたよ」
《そう……後でお母さんもたくさんお礼を言っておくね》
「うん。えへへ。わたし、実は案外たのしく暮らしてるから安心してね!」
お母さんのことを安心させたい気持ちは本当。
寂しく出会いたくなってしまうのも本当。
でも、この同居生活で出会えたたくさんの新しいことの赤毛で、わたしが毎日楽しく暮らせているのも本当た。
そう伝えると、こわばっていたお母さんの顔が、ようやく綻んだ。
《うん……ひなちゃんが頑張っていてくれて、お母さんも嬉しい。運動会楽しみにしてるね》
「うん……!」
その後、お父さんも交えて三人で話をして、すっかり眠くなったわたしはそのままお布団に入った。
遠くでガチャリと言う金属音が聞こえる。
……ああ、蒼太くんたちが帰ってきたのかも──
お帰りなさいって、言いたいな……
うつらうつらとした頭でそう思うけど、もう目が開かない。
わたしはそのまま、スッと寝入ってしまったのだった。
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