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はじめに
プロローグ
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◇
突然ですが、あたしは今、絶体絶命のピンチを迎えています・・・―――――――
タッ、タッ、タッ、タッ……
ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ……
ここは右も左もわからない、どこかもわからない森の中。
おまけに言うと、自分がどこの誰なのかもわからない。
今わかってるのは、そんな森の中で自分の何倍もの大きさがある狼らしき獣に追いかけられていて、捕まったら間違いなく死ぬだろうってことくらいだ。
そもそもなんでこうなった?
そもそもなんでこんな森の中にいるの??
ってか、なんであたしの身体は白くてふわふわのワンコなの――――――??!!
◆
――――――遡ること数分前、気が付けばあたしは辺り一面木が生い茂っている森の中にいた。
(あれ?なんであたし森の中に?確かあたしは……
おかしい。この場所も自分のことも何もわからない…)
まさか、自分がリアルに「ここはドコ?私は誰?」状態になる日がこようとは夢にも思わなかった。
とりあえずこのままここにいても何も変わらないし、少し喉も乾いたから川を探すために耳を澄ませてみると、運が良いことに少し遠いようだが川のせせらぎが聞こえた。
(よし、とりあえずそっちに行ってみよう)
そう思って身体を動かしたとき、少し違和感を感じた。
(あれ?やけに目線が低い位置にない?
身長が縮んだ??それに、この走り方って……)
違和感はあっても思った方向に自然と身体は動くし速度も速いので、気にせず川のせせらぎが聞こえる方へ走り進めることにした。
少し進むと開けた場所に到着し、予想通り川が流れていた。
すっかり喉が渇いていたため、水を飲もうと川に近づいたその時だった。
(???!!!……なっ、なっ、なんじゃこり―――――――!!!!!)
反射した水面に映っていたのは、見事なまでに白くてふわっふわで、思わず愛でたくなるような愛らしい瞳のワンコだった。
(……いやいや、水面に映ってるからって自分の姿とは限らないじゃない。
そう!たまたま、たまたま近くにいる可愛いワンコが映りこんだって可能性も……)
現実逃避の様な、縋るような思いで恐る恐る自分の右手を上げてみた。
すると、ワンコの右手も上がる。
自分の左手を上げてみる。
すると、ワンコの左手が上がる。
(…………)
その後も、交互に左右の手を上げて見たり、ちょっと小躍りしてみたけど、どこをどう頑張ってもワンコ=自分というのは覆せない現実だった。
(ダメだ。ワンコはどう頑張っても自分の姿だ……マジかぁ…)
(ん?でも待てよ。どうしてワンコ姿の自分にこんな落胆してるの?
そもそもあたしはワンコじゃないってこと?)
目が覚めてから記憶が曖昧で、モヤがかかってるみたいに自分が何者かわからないけど、水面に映るワンコの姿は初めて見る感じはしない。
(うーん……どこで見たんだろう。
こんな可愛いワンコなら記憶に残っててもおかしくないのに…)
グルル……
(うーん……う――――――む…)
グルル、ウゥゥ~~~~ッ
(うーん…あれ、あたし声までだしてた?
…はぁ、声までワンコになっちゃったの?
これじゃ人に会えても言葉が通じないんじゃ……)
グルルルゥゥ~~~~ッ
(いやいやいや、今あたし考え込んでないよ?!
声聞こえるのおかしくない??)
ぴちゃん、ポタッ、ポタポタッ
(ん?何これ、頭の上?……雨でも降って‥‥‥‥‥――――――)
雨が降ってる様子はないのに、上から水みたいなものが降ってくるなと上を見上げると、頭上には大きな大きな口を開けた自分の何倍もあるワンコ……というか狼(?)が、よだれを垂らしながら見下ろしていた。
(――――――??!!)
グルルルル……ガウッ
(ひぃぃぃっ!!!食べられる!!!!!!)
思わず身体が動いた後、後ろで“ガウッ”と不機嫌な獣の声がした。
もしかしなくても、食べようとした獲物が逃げたことに不機嫌になっている様子だ。
あたしの第六感的なモノが“逃げろ!とにかく逃げろっ!!”と激しく警笛を鳴らし、ここがどこかもわからないけどあたしはとりあえず思うさま逃げ出した。
突然ですが、あたしは今、絶体絶命のピンチを迎えています・・・―――――――
タッ、タッ、タッ、タッ……
ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ……
ここは右も左もわからない、どこかもわからない森の中。
おまけに言うと、自分がどこの誰なのかもわからない。
今わかってるのは、そんな森の中で自分の何倍もの大きさがある狼らしき獣に追いかけられていて、捕まったら間違いなく死ぬだろうってことくらいだ。
そもそもなんでこうなった?
そもそもなんでこんな森の中にいるの??
ってか、なんであたしの身体は白くてふわふわのワンコなの――――――??!!
◆
――――――遡ること数分前、気が付けばあたしは辺り一面木が生い茂っている森の中にいた。
(あれ?なんであたし森の中に?確かあたしは……
おかしい。この場所も自分のことも何もわからない…)
まさか、自分がリアルに「ここはドコ?私は誰?」状態になる日がこようとは夢にも思わなかった。
とりあえずこのままここにいても何も変わらないし、少し喉も乾いたから川を探すために耳を澄ませてみると、運が良いことに少し遠いようだが川のせせらぎが聞こえた。
(よし、とりあえずそっちに行ってみよう)
そう思って身体を動かしたとき、少し違和感を感じた。
(あれ?やけに目線が低い位置にない?
身長が縮んだ??それに、この走り方って……)
違和感はあっても思った方向に自然と身体は動くし速度も速いので、気にせず川のせせらぎが聞こえる方へ走り進めることにした。
少し進むと開けた場所に到着し、予想通り川が流れていた。
すっかり喉が渇いていたため、水を飲もうと川に近づいたその時だった。
(???!!!……なっ、なっ、なんじゃこり―――――――!!!!!)
反射した水面に映っていたのは、見事なまでに白くてふわっふわで、思わず愛でたくなるような愛らしい瞳のワンコだった。
(……いやいや、水面に映ってるからって自分の姿とは限らないじゃない。
そう!たまたま、たまたま近くにいる可愛いワンコが映りこんだって可能性も……)
現実逃避の様な、縋るような思いで恐る恐る自分の右手を上げてみた。
すると、ワンコの右手も上がる。
自分の左手を上げてみる。
すると、ワンコの左手が上がる。
(…………)
その後も、交互に左右の手を上げて見たり、ちょっと小躍りしてみたけど、どこをどう頑張ってもワンコ=自分というのは覆せない現実だった。
(ダメだ。ワンコはどう頑張っても自分の姿だ……マジかぁ…)
(ん?でも待てよ。どうしてワンコ姿の自分にこんな落胆してるの?
そもそもあたしはワンコじゃないってこと?)
目が覚めてから記憶が曖昧で、モヤがかかってるみたいに自分が何者かわからないけど、水面に映るワンコの姿は初めて見る感じはしない。
(うーん……どこで見たんだろう。
こんな可愛いワンコなら記憶に残っててもおかしくないのに…)
グルル……
(うーん……う――――――む…)
グルル、ウゥゥ~~~~ッ
(うーん…あれ、あたし声までだしてた?
…はぁ、声までワンコになっちゃったの?
これじゃ人に会えても言葉が通じないんじゃ……)
グルルルゥゥ~~~~ッ
(いやいやいや、今あたし考え込んでないよ?!
声聞こえるのおかしくない??)
ぴちゃん、ポタッ、ポタポタッ
(ん?何これ、頭の上?……雨でも降って‥‥‥‥‥――――――)
雨が降ってる様子はないのに、上から水みたいなものが降ってくるなと上を見上げると、頭上には大きな大きな口を開けた自分の何倍もあるワンコ……というか狼(?)が、よだれを垂らしながら見下ろしていた。
(――――――??!!)
グルルルル……ガウッ
(ひぃぃぃっ!!!食べられる!!!!!!)
思わず身体が動いた後、後ろで“ガウッ”と不機嫌な獣の声がした。
もしかしなくても、食べようとした獲物が逃げたことに不機嫌になっている様子だ。
あたしの第六感的なモノが“逃げろ!とにかく逃げろっ!!”と激しく警笛を鳴らし、ここがどこかもわからないけどあたしはとりあえず思うさま逃げ出した。
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