【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~

暁月

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8章 帰郷!エルフの里へ ~出産騒動編~

病院で過ごそう~産声を上げた小さな命 inエリュシオンside~

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“結婚指輪”の話し合い後、貧血や腰痛でサーヤが寝込む日々が続いた。
そして、出産が近づくにつれてサーヤの魔力の減り方が少しずつ増えていき、自然と魔力補給する回数も増えた。
レミールとその旦那の話し合いの末、こちらが指定した素材を格安で用意してもらい試作品として俺達の指輪を作る事になったが、辛そうな上に魔力補給もこまめに必要なサーヤから長時間離れて指輪を作り始める事など、俺にはとてもできなかった。

「エル、指輪の話し合いはどうなったの?」
「ん?話し合いが終わって、試作品として俺達の指輪を作り始めるところだ」
「そっか・・・ふふっ、指輪楽しみだね。双子達が産まれる前に出来上がるのかな?」
「いや、それは・・・」
「?」

俺達のつける指輪だから他人に作らせたくなくて、でも今のサーヤを放って作り始める事もできなくて・・・そんな心を見透かしたように俺の顔に手を添えてサーヤが言葉を紡ぐ。

「ふふっ、エルの事だから”指輪を自分で作る”って言ったんでしょ?でも、今あたしがこんな状態だから作り始めるのに躊躇してる感じ?」
「サーヤ・・・」
「もう、あたしは病気じゃないんだから大丈夫だよ。魔力はミナトちゃん達からだって分けてもらう事もできるんだし、気にせず指輪を作り始めていいんだよ!あたしも楽しみにしてるんだから」
「エルぱぱ、だいじなごようがあるときは、あたしたちが、サーヤままのそばにいゆのよ」
「そうだよ、おにーさん。僕達はおねーさんを護るためにここにいるんだから」
「サーヤは俺達が護る。誰にも傷つけさせないし、魔力だっていっぱいあげる」
「目障りな看護婦達はボクが適当に追い払っておくから心配しなくていいよ☆」
「お前達・・・」
「何かあったら、ちゃんとエルに伝わるようすぐに連絡してもらうから。・・・でも、夜は一緒にいてね」
「・・・あぁ、わかった。すぐに取り掛かって、双子達が産まれる前には仕上げて見せる」
「うん、楽しみにしてるね」


サーヤとそう約束し、日中は研究室に籠りきり、夜はサーヤの隣で寝るという日々がしばらく続いた。

そして、ようやく指輪が完成して病室に戻ろうとした時、サーヤのそばについていたマデリーヌから“陣痛が始まった”と念話で連絡がきた・・・――――





(シュンッ)
「・・・マデリーヌっ、サーヤの容態は??!!」
「あらエリュシオン、早かったわねん♡サーヤちゃんなら今ティリアちゃんがついてるわん♡♡」

病室に転移して戻ると、少し苦しそうな顔をしているサーヤとお腹に触れながら声をかけているティリアがいた。

「あ、旦那様。サーヤちゃん、ついに本格的な陣痛が始まりました。まだ少し間隔が長いので、いつでも分娩室に移動できるよう着替えを済ませて様子を見てます。出産に立ち合うのであれば、旦那様もそこに置いているガウンに着替えてくださいね」
「・・・立ち合って良いのか?」
「もちろんです!ぜひとも立ち会って、そばでサーヤちゃんに声をかけながら支えてあげて下さい。サーヤちゃんはこの後が一番の頑張りどころですからね!」

さすが名医というだけあってテキパキと指示をしつつ、サーヤにも「はい、深呼吸してね~」などと声をかけている。苦しそうなサーヤを見ていて何もできないのは歯がゆいが、少しでも気持ちが楽になればと先ほど完成した指輪をサーヤに見せてみた。

「大丈夫か?サーヤ・・・結婚指輪が先ほど完成したので持ってきたのだが・・・」
「はぁっ、はぁ・・・ぇ、本当?見せて・・・っ痛ぅ~~~~」

サーヤは痛がりながらも指輪を見たがり、仕上がりに感動していた。

「うわぁ、素敵・・・間に合ったんだね、エル。・・・ティリア、さん、指輪って付けたままでも大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ」
「エル、あたしに指輪付けてもらっても良い?指輪をつけたら双子達が無事に元気で産まれるよう、いっぱい頑張れる気がするの」
「あぁ、もちろんだ。大丈夫なら、俺の指輪をサーヤの手で付けて欲しい」
「うんっ」

痛みがなくなった時を見計らって、互いの指輪を互いに付け合った。この指輪は特別で、サーヤが付けているブレスレット同様に一度つけると取ることができないよう細工されている。
ずっとつけたままでも腐敗したり不潔にならないようきちんと魔法がかけられている。
・・・もちろんそれ以外も色々つけたが。

「・・・ふふっ、嬉しい。エルとお揃いなの初めてだね」
「そうだな」

婚姻の誓約書を書いて手続きした事でも満足していたが、こうして形になるとより一層結婚した事を意識できて心が満たされる感じがした。

だが、サーヤの陣痛の感覚が短くなり、ティリアが「分娩室に移動します!」と言った事で現実に戻った。
双子達がついに産まれるようだ。

サーヤの手を握りつつ、ブレスレットの石の色を見ながら指輪を通して魔力をサーヤに送る。
指輪に色々細工した事により、指輪を通して大量の魔力をサーヤに与える事ができるようになったのだが、早速役に立った。
俺の役目は苦しそうにしているサーヤの汗を拭ったり、声をかけて安心させたり、時々水分を取らせたりとサポートする事らしい。それ以外はティリアや、ティリアが指示した看護婦達がテキパキと手慣れた感じで器具を用意したり、時々魔法を使ったりと色々しているが、正直何をしているのかよくわからない。

時間の感覚が全くなく、長時間経ったのかまだ少ししか経っていないのかわからないまま、部屋にいる誰もが必死で対応していた時、ティリアの声で部屋の空気がまたガラッと変わった。

「一人目、頭が見えてきました。サーヤちゃん、頑張って!!」
「はぁっ、はぁっ、~~~~~~~~~~~~~っ」

その後もティリアの声やサーヤの苦痛に耐えつついきむ声が分娩室に響き渡り、子を産むという事がこんなにも大変なものだという事を俺は目の当たりにして、ただただ呆然としてしまった。


そして、ようやく待望の泣き声が響き渡った・・・―――


「お疲れ様です。そしておめでとうございます。元気な男女の双子ですよ」
「サーヤ・・・無事に産まれたぞ。よく頑張った」
「・・・ホ、ホントに?・・・よかっ・・・た・・・」

双子を産んだ事で体力を使い切ったらしく、サーヤはそのまま気を失ってしまった。

「不思議ですね・・・本来なら母体はもっと出血したり危険な状態になる事も多いのに、サーヤちゃんの場合は外傷が全くないし合併症の心配もなさそうです。今は体力を使い切っただけみたいなので、病室でゆっくり休んだら回復するはずですよ」
「そうなのか」
「双子達は今夜だけ新生児室で簡単な検査をします。明日病室に連れて行くので、今夜はサーヤちゃんと一緒にゆっくりお休みください。旦那様もお疲れ様でした」
「あぁ」


出産の際、途中湯水のようにどんどん魔力が減って行った時は何事かと思って焦ったが、もしかすると双子達もサーヤが傷つかないよう頑張っていたという事なのだろうか。


・・・とにかく無事に産まれてくれて本当に良かった・・・――――


出産を終えて部屋に戻るとすでに夜も更けており、指輪作成とサーヤと子供への魔力補給で俺も少し疲れたのでこのまま眠ることにした。

双子達とは明日改めて対面できるらしい。



俺は隣で眠るサーヤを抱きしめながら、改めてサーヤや双子達をこれから護っていくと決意し眠りについた・・・―――
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