失声の歌

涼雅

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想い

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『誰かを好きになるのに、時間は関係ないんだって思った』

舞台で煌びやかな衣装に包まれる彼が笑顔を弾かせる

『友人とも呼べない関係だった君のことをこんなにも好きになってしまうなんて。』

どんなに輝く月でさえも霞んでしまうくらいに、照らされるこの人は綺麗だ

『不思議だけど、すごく幸せだと思えたんだ』

茶色の髪がなびく度に目を奪われる

『君を想うこの気持ちを、余すこと無く伝えられたらいいのに』

息を吸う音でさえ歌声であるかのように、丁寧に空気を震わす

『そう思うけれど、想うことで精一杯だった』

はじめの一音で会場は静まる

『誰かに自分の気持ちを伝えるのって、難しい』

サーカス団の人達ですら魅了されている

『単純なことのはずなのに君に伝えようとすると言葉に詰まるんだ』

彼は祈るように、歌っていた

『情けないよね、ごめん』

俺は想いを、書き上げた
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