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84 銃身
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生存術の講習は受講者と教官のチャーラとの攻守が入れ替わる形で行われた。受講者が潜み、その受講者をチャーラが見付ける。
「あたしは抜き足差し足しか使わないけど、あんた達は常識の範囲でなら使える手段は全て使っていいわよ」
チャーラはこう言ったが、終ぞ肩を掴まれて投げられる前にチャーラを発見した受講者は現れなかった。しかしそれはある意味当然で、発見できるようなら受講をする必要が無い。
ルキアスも『鏡』を駆使して見付けようと奮闘したが、チャーラに投げられながら「鏡が光って丸見えなのよ」と声を聞いた。
ルキアスの午後はダンジョンでの銃身作りから始まった。一昨日紆余曲折しながらも細い棒は完成させていた。これに鉄を巻き付けた後に焼いて灰にするだけだ。
斧だった鉄塊の半分を使い、両端の断面ができる限り直角になるよう『捏ね』付け、念入りに表面を『均し』て厚みを均一化させる。そして『加熱』で焼こうとしても、ある程度温度を上げて『着火』で火を点けても鉄に包まれた部分までは燃えなかった。
(外で火を燃やさなきゃだめなのか……)
林に行って薪を拾い、石で竈を作って焚き火をし、鉄を巻いた棒を火にくべる。鉄に包まれた木もじわじわながら燃えた。じわじわでも燃えないよりは良い。ここからは火の様子を見ながらひたすら待つ時間だ。
思わぬところで焚き火の講習が役に立ったルキアスである。
しかしただ待つだけなのは手持ちぶさただ。木材を銃床の大きさにノコギリで切り、ハンマーとノミで引き金周りの形に合わせて削って行く。目立ての甘いノコギリ故に切れ味が悪い。切るだけでもかなりの時間を費やした。
ホーンラビットがルキアスの近くを鼻をヒクヒクさせながら通り過ぎる。そしてルキアスまでより遠い場所をたまたま通り掛かった探索者へと突進して行った。
ルキアスは叫び声を聞くまで、そのホーンラビットに気付きもしなかった。
「あたしは抜き足差し足しか使わないけど、あんた達は常識の範囲でなら使える手段は全て使っていいわよ」
チャーラはこう言ったが、終ぞ肩を掴まれて投げられる前にチャーラを発見した受講者は現れなかった。しかしそれはある意味当然で、発見できるようなら受講をする必要が無い。
ルキアスも『鏡』を駆使して見付けようと奮闘したが、チャーラに投げられながら「鏡が光って丸見えなのよ」と声を聞いた。
ルキアスの午後はダンジョンでの銃身作りから始まった。一昨日紆余曲折しながらも細い棒は完成させていた。これに鉄を巻き付けた後に焼いて灰にするだけだ。
斧だった鉄塊の半分を使い、両端の断面ができる限り直角になるよう『捏ね』付け、念入りに表面を『均し』て厚みを均一化させる。そして『加熱』で焼こうとしても、ある程度温度を上げて『着火』で火を点けても鉄に包まれた部分までは燃えなかった。
(外で火を燃やさなきゃだめなのか……)
林に行って薪を拾い、石で竈を作って焚き火をし、鉄を巻いた棒を火にくべる。鉄に包まれた木もじわじわながら燃えた。じわじわでも燃えないよりは良い。ここからは火の様子を見ながらひたすら待つ時間だ。
思わぬところで焚き火の講習が役に立ったルキアスである。
しかしただ待つだけなのは手持ちぶさただ。木材を銃床の大きさにノコギリで切り、ハンマーとノミで引き金周りの形に合わせて削って行く。目立ての甘いノコギリ故に切れ味が悪い。切るだけでもかなりの時間を費やした。
ホーンラビットがルキアスの近くを鼻をヒクヒクさせながら通り過ぎる。そしてルキアスまでより遠い場所をたまたま通り掛かった探索者へと突進して行った。
ルキアスは叫び声を聞くまで、そのホーンラビットに気付きもしなかった。
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