生活魔法は万能です

浜柔

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539 先客

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 翌日。ザネクが手に入れたかなり凄い剣の使い始めだ。
 オープニングセレモニーを前にダンジョンの告知もされたようで、クリューの町には探索者らしき人々も増えた。商業関係者なら少し前から増えているものの、彼らはダンジョンに入らないのでルキアス達と競合も無ければ危なっかしく感じられることも無い。しかし探索者はダンジョンに入るのでルキアス達が使っていた場所にも居たりする。
 ルキアス達がいつもの場所に行こうとすると、先客が居た。ただ彼らは苦戦中のようだ。

「あれ、どうするの?」
「今対面している魔物だけならどうにかなるだろ。下手に手は出せないさ」
「次の魔物が来なかったらいいんだけど」
「来ない期待はできないわね」

 言った端から正面の回廊から新たな魔物がやって来た。このダンジョンは徘徊する魔物の数が多く、多い故に連鎖もし易い。一歩中に踏み込めば『大盾』のような特殊な手段が無い限りは途切れ無く戦うことになる。左の回廊からは来ていないのが幸いだ。恐らく左の回廊の先には誰か別の探索者が居るのだろう。

「今入って来ているのくらいはこっちに引っ張ろうか?」
「そうだな」

 ルキアスは銃を取り出し、先客が直接対峙してない最も近い魔物を腹、胸、頭の順に狙って引き金を引く。
 少し距離があったせいか、近頃の状況と少し違ったからか、腹と胸には当たったものの急所は外した。
 だが最低限の目的は果たせたようだ。先客の方に向かうかに見えた魔物がルキアスへと向きを変える。
 手負いはザネクに任せることにして、ルキアスはその後の魔物へ向けて引き金を引く。
 シャルウィもまた後続の魔物に向けて魔法を放つ。ルキアスの銃と違って魔物に回避や防御をされなければ必中。これで魔物を一撃で倒せるまでに威力が向上したならルキアスの銃が不要になるかも知れない。今はまだここ第一階層の魔物に対して二発を必要としているのでこの結論が出るのはもう少し先だ。
 ザネクが迫る魔物に剣を振るう。

「へっ!?」

 振り切ったところで頓狂な声を上げて踏鞴を踏んだ。

「ザネク!?」
「悪ぃ悪ぃ、もう大丈夫だ」

 ザネクは体勢を整えてまた剣を振るい、迫る魔物を全て一刀の下に切り捨てて行く。

「「へっ!?」」

 今度はルキアスとシャルウィが頓狂な声を上げた。ザネクが刃が立ってない筈の剣で魔物をすぱすぱ斬っている。

「……魔石集めましょうか」
「そだね……」

 シャルウィとルキアスは暫く魔物から魔石を抜く作業に専念した。それでもザネクは問題なく魔物を捌いている。
 暫くそのまま続けていると魔物の来襲が一段落する瞬間があった。

「一旦退きましょ!」
「おう」
「うん」

 シャルウィの指示にザネクもルキアスも疑問を返さずに同意。第一階層を出る。出た後でザネクが尋ねた。

「で、何があった?」
「さっきの人達がじっと見てたから、ちょっと不気味かなって」
「……用心に越したことはないか」

 三人は一度地上まで引き上げた。
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