魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

４４７．演出だ

　ゴーレムがもんどり打つ様子を見ていたオリエも目と口を真ん丸にした。
　その横では魔王が「よーし、よし」と悦に入っている。

「幾ら何でもあんなにはならなくない？」

　一頻り驚いた後で、オリエは魔王をジト目で見た。

「演出だ。演出。迫力あったろ？」
「えー。あの程度で人はあんな風に飛ばないって」

　オリエは却って興醒めした表情だ。
　これには魔王も少々バツが悪そうにする。
　魔王が思い起こせば西部劇なんかでの乱闘シーンでは、勢いよくよろめいたり、投げ飛ばされるようにしたりでテーブルに突っ込む。殴っただけでもんどり打つのは漫画なんかの世界だけだ。

「ちょ、ちょっとしたアトラクションと思えば……」

　ちょっとばかり言い訳がましくなった。