魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１８１０．ぐずぐず

　シェフは探索者達に面談した。

「あんたが異世界の言葉を教えてくれるのか？」
「ソウダ」

　探索者達は微妙な表情で顔を見合わせた。
　オリエを期待していたのとシェフのカタコトっぷりへの不安だろう。
　しかしぐずぐずされればシェフも気分が悪い。

『教わりたくないなら好きにするがいい』
「え？　何て？」
「オリエデナクテ　ワルカッタナ」

　シェフも暇ではない。
　ダンジョンに来てかなりの年月が経っているが、世界の料理は未だ網羅していないのだ。
　毎日の食事に出す以外にも料理の試作は日々行っている。
　ここまで足を運んだのはオリジナルの暮らした世界への義理立てのようなものでしかなかった。

「あなた達、ぐずぐず選り好みしてるから言葉を教わる機会を逃そうとしてますわよ」
「え？　あ！　悪かった！　この通りだ。だから俺達に言葉を教えてくれ！」

　探索者達は頭を大きく下げて平謝りに謝った。
　するとシェフも帰ろうとした足を止めた。