魔法道具はじめました

浜柔

文字の大きさ
64 / 102

閑話 一日

しおりを挟む
  ◆ルゼ

 午前五時、起床。
 作業着に着替え、厩の掃除とセウスペルの世話をする。
 作業着は怪我を防止するために着ているので、前に朝の時間を裸で過ごした時でも着ていた。

 午前六時半、湯浴み。
 手軽にお湯が使えるようになってから毎日の楽しみの一つになっている。
 馬糞の匂いを漂わせたまま店先に立つ訳にはいかないため、冬でも身体を洗うのだが、お湯はおろか水も自由に使えなかった頃は大変辛いものがあった。
 湯浴み後はチーナに朝の挨拶だ。チーナは朝食の仕度をしている時分である。

 午前七時、累造を起こす。
 おはようのチューは既に毎朝の習慣だ。その日の気分で額であったり頬であったりする。
 最近、累造とのふれ合いが少ない気がするので、この朝の時間は貴重である。

 午前七時半、朝食。
 みんなの予定を話し合う場でもある。予定と言っても、出掛ける予定や誰かが訪問してくる予定が重要な程度のものだ。

 午前八時半、開店準備。
 ショウの出勤もこのくらいの時間である。

 午前十時、開店。
 以前、水を販売した日だけは九時からだった。

 午後一時、昼食。
 ショウは一足先に昼食を摂っている。

 午後五時、閉店。
 日暮れ前に閉店する。夏場はもっと遅くまで明るいが、冬場は既に薄暗い時間である。
 そして店の後片付けをする。
 午後六時頃にショウが退勤する。

 午後七時、夕食。
 照明が備わってから、少し時間が遅くなってしまった。
 食事の後はみんなとの会話を楽しむ。

 午後九時、就寝。
 パジャマの着心地はなかなか良い。


  ◆チーナ

 午前六時、起床。
 着替えてエプロンを着ける。累造の視線を釘付けにするために素肌の上にエプロンを着ける誘惑に駆られるが、故意にそんな格好をするなど恥ずかしすぎて無理だ。
 そして朝食の準備をする。水を運ぶ必要も石炭を熾す必要も無くなったため、随分楽になった。
 朝食の準備を終え、時間が空いたら掃除をする。

 午前七時半、朝食。
 みんなの予定を話し合っていると、自分だけ買い物以外で出掛ける事が無いのが少し悔しい。

 午前八時半、掃除。
 掃除を前倒しにできるようになったため、この時間の掃除は短くなった。

 午前九時、洗濯。
 お湯も使い放題なので大変楽になった。だが、洗濯板で擦るのはやはりしんどい。
 ついでに累造の洗濯物に顔を埋めて深呼吸をする。なぜかニナーレから頻繁に見咎められる。

 午前十一時、昼食の支度。
 ショウが昼食で不在の間は店番をするため、先にやっておく。

 午前十二時、店番。
 ショウは昼食だ。
 雑貨店なので昼食時だからと客が増えたりはしない。

 午後一時、昼食。
 累造が案外小食なので理由を尋ねてみると、腹八分目にしているのだと言う。更にその理由を尋ねてみると、食べ過ぎると太るからだと言う。
 太ると聞いてお腹の辺りを抓んでみれば、以前より抓める厚みが増えた気がする。ぐぬぬ……。

 午後二時、買い物。
 主に食料の買い出しだ。お金に余裕が出来、冷蔵庫や冷凍庫も有るため、日持ちの悪いものも買いやすくなって楽しい。
 日によっては、この時間帯に店番をする場合もある。

 午後四時、家事の残り。
 日によっては店番であったり、だらんとしているだけの場合もある。

 午後五時半、夕食の支度。
 最近は色々な食材を使えるようになったので楽しく、腕が鳴る。
 累造に教わった料理ももう完璧だ。自分なりにアレンジもして累造を唸らせることにも成功している。
 ……美味しくて唸ったんだからね!

 午後七時、夕食。
 少しだけ食べ過ぎが怖い。
 でも食べちゃう心の弱さが恨めしい。

 午後八時、後片付け。
 余った料理を捨てるのは勿体ないのでついついお腹の中に処分してしまいがちだ。
 う、運動しなくちゃ……。

 午後九時半、おやすみのチュー。
 胸の谷間が見える程度にパジャマのボタンを外して累造の部屋を訪れる。故意にそれ以上肌を晒すのは恥ずかしくて無理なのだ。
 ベッドに腰掛けた後、累造に躙り寄るようにして迫る。累造の視線が胸に集中して恥ずかしくもドキドキする。
 そして、累造の頬を両手で包んでゆっくりと唇を合わせる。触れるだけ。それ以上は累造からされるのを待つ。
「責任取ってね」
 そう言ってみたいのだ。それに、そう言える状況なら累造はきっと居なくなったりしない。
 目を白黒させる累造に「おやすみ」を言って自分の部屋へと戻る。

 午後十時、就寝。
 累造にいつ覗かれても良いようにパジャマのボタンをもう一つ外し、照明は付けたままで寝る。
 とは言え、意識するとドキドキなので、パジャマの前身頃を手で合わせて眠る。
 ただ、少し冷えるようになってきているのでしっかりとボタンを留める日も近い。
 ともあれ、良い夢が見られますように。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無限在庫チートで異世界を買い占める〜窓際おじさんが廃棄予定のカップ麺で廃村エルフと腹ペコ魔王を救済したら最強商会ができました〜

黒崎隼人
ファンタジー
物流倉庫で不良在庫の管理に追われるだけの42歳、窓際サラリーマンのタケシ。 ある日突然、彼は見知らぬ森の中へと転移してしまう。 彼に与えられたのは、地球で廃棄される運命にあったあらゆる物資を無尽蔵に引き出せる規格外のスキル「無限在庫処分」だった。 賞味期限間近のカップ麺、パッケージ変更で捨てられるレトルトカレー、そして型落ちの電動工具。 地球ではゴミとされるこれらの品々が、異世界では最強のチートアイテムと化す! 森で倒れていたエルフの少女リリアをカップ麺で救ったタケシは、領主の搾取によって滅亡寸前だった彼女の村を拠点とし、現代の物資と物流ノウハウを駆使して商会を立ち上げる。 美味しいご飯と圧倒的な利便性で異世界の人々の胃袋と生活を掴み、村は急速に発展。 さらには、深刻な食糧難で破綻寸前だった美少女魔王ルビア率いる魔王軍と「業務提携」を結び、最強の武力を物流の護衛として手に入れる! 剣も魔法も使わない。武器は段ボールと現代の知識だけ。 窓際おじさんが圧倒的な物量で悪徳領主の経済基盤をすり潰し、異世界の常識を塗り替えていく、痛快・異世界経営スローライフ、開幕!

【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム) 目を覚ますとそこは石畳の町だった 異世界の中世ヨーロッパの街並み 僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた 案の定この世界はステータスのある世界 村スキルというもの以外は平凡なステータス 終わったと思ったら村スキルがスタートする

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~

夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。 「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。 だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。 時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。 そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。 全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。 *小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。

転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】

ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。 転生はデフォです。 でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。 リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。 しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。 この話は第一部ということでそこまでは完結しています。 第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。 そして… リウ君のかっこいい活躍を見てください。

処理中です...